完璧で究極のチョコ職人は、大海賊時代でチョコを売り始めます   作:ちいさな魔女

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アイとチョコレート工場のはじまり:その2

翌朝。スイートガレリアの中央通りにやって来たアイとタキオン。二人は中央通りの空いた店にやって来ると、目の前に台を置いて横に杖を置く。

 

アイ「行くよタキオン。見ててね、私のチョコの力を」

 

タキオン「ああっ。君のチョコレートは世界を変える。私にも見せてくれよ。お前の起こす魔法を」

 

そして、台に乗ったアイは、杖のスイッチを押した。杖の胴体から下向きの三角形の旗が出て来た。旗には『W』の字が刻まれているが、右側の先端が渦を描いている。また、髑髏のマークがWの隣に小さく描かれている。そして、杖の先端にある持ち手を引っ張ると、持ち手が杖から離れた。杖と持ち手は黒い線で繋がっている。そして、持ち手はアイが手で覆い隠した後にアイが隠す手を退けると、いつの間にかマイクになっていた。

 

アイ『Ladies and gentlemen!!』

 

アイの言葉に、大勢の人々がアイの元を向いた。マイク越しに、アイは宣伝を開始する。

 

アイ『今から皆様には、私ウォンカ・D・アイの、奇想天外奇々怪々、世にも不思議なアメージング・チョコレートをお届けします!!世界の何処を探しても、此処だけしか味わえない魔法のチョコをご覧あれ!!』

 

その様子は、空いた店の目の前にある三つの店にあるそれぞれの窓からも見られていた。フィクルグルーバー、プロドノーズ、スラグワースの、それぞれ三つの店だ。フィックルグルーバーの店からは痩せた身体の初老男性が、プロドノーズの店からは太った眼鏡の男性、そしてスラグワースの店からは黒人の男性が秘書らしき女性と共に、アイの宣伝を見ていた。

 

そしてそれは、近くを通り掛かったショコラータも同じだった。

 

彼女はクリーニングを終えた洗濯物を配達していた。その時に中央通りの近くを通り掛かったので、アイとタキオンの宣伝場所に辿り着いたのだ。

 

ショコラータ(あの人達は………あの時泊まりに来た人達?何をするつもりなんだろ?)

 

ショコラータは昨日、泊まりに来た彼女達にルームサービスで飲み物を提供した。提供したのはお酒で、辛味と熱さのあるお酒だ。泊まった時、逃げるように伝えたが、タキオンは神妙な顔をした。しかし、アイは自信を持って答えた。

 

アイ『大丈夫。明日になったら私はお金をたんまり稼いで来るからね』

 

タキオン『まあ見てなよ。アイの起こす奇跡を見てみたまえ』

 

ショコラータはスクラビットとブリーチャーの夫婦(とショコラータは思い込んでる)から逃げて欲しかったが、彼女達の自信を信じてみる事にした。

 

そしてショコラータは、奇跡を目撃する。

 

アイ『さあ行くよ………さあ、この目で見てごらん♪間もなく魔法が見られるよ♪』

 

アイは手に持ったハンカチを上下に揺らす。すると、その手にアイの頭部サイズの大きな瓶が現れ、アイの掌に乗っていた。

 

手品のテクニックだ。アイが独学で学んだ手品は数多くあり、何も無い所から物を出すという手品はその中で最も得意な手品だ。

 

周囲の人々『おおっ!!』

 

人々が感心の目を向ける。

 

アイ『この手にある奇跡をご覧あれ♪踊り出すのはダンシングチョコクッキー♪』

 

アイが蓋を開けると、中にあるチョコが飛び出し始めたのだ。人の姿をしたチョコクッキーだ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

アイ『さあ、皆で踊りましょう♪タップダンスでリズミカル♪パッパッパラッパッ、パラパパッパー♪踊れば勝手に踊り出す〜♪』

 

そして、アイの肩や頭、アイの周りの床で人型クッキーが意思を持ってダンスを踊り出すのは彼女の周りを回るように踊り、そしてアイの踊りに合わせてリズミカルにタップダンスを踊り出す。

 

プロドノーズ「ブフゥッ!?」

 

様子をプロドノーズは驚愕してココアを口や鼻から吹き出し、窓にココアを吹き掛けてしまう。

 

フィクルグルーバー「何だと!?」

 

フィクルグルーバーは目を見開いた。

 

アイ『こんなチョコどこにも無いでしょ?♪踊り出すチョコは私のチョコだけ♪チョコっとダンスを踊れば踊っちゃう♪そうウォンカのチョコで皆踊るよ♪』

 

アイが瓶を真上に翳す。すると、チョコクッキー達が貧乏人の口に向かって跳んだ。床に居るチョコクッキー達は大きさから考えられない跳躍力で、アイの肩に乗るチョコクッキーから飛んで瓶の口に入る。

 

ショコラータ「わぁ…………凄い!!」

 

ショコラータは感激していた。目の前でチョコクッキーが踊る姿を目撃して、言い表せない位に驚きと楽しさで心が満ちたからだ。

 

アイ『踊るチョコなんて何処にもない♪そうここにしかない、魔法のチョコ、どうぞ♪』

 

アイは瓶の口を閉ざし、帽子の鍔を摘みながら人々に左目のウィンクをした。

 

周囲の人々『ワアアアアアアアアアアッ!!』

 

中央通りが大歓声に包みこまれる。

 

その様子を見ていたスラグワースでは、その男性は感心した目でアイの宣伝を見つめていた。

 

スラグワース「……秘書ボンボよ。海兵を呼び給え。特に、大佐には大至急来て頂くように」

 

秘書「かしこまりました」

 

そして、スラグワースはその場を後にした。中央通りに向かう為だ。

 

ショコラータ「凄い…………お菓子が踊るんだ……」

 

ショコラータはもう説明出来ない喜びで、その場に佇んでいた。

 

アイ「どうかな!私のチョコ、今なら一個でたったの100ベリーだよ!」

 

人々『何だと!?』

 

人々『なんて安いんだ!!』

 

人々『それなら買える!!』

 

人々が大歓声を上げる。

 

スラグワース「やあやあ、君のショーは実に楽しませてもらったよ!」

 

そして、スラグワース店からスラグワースが姿を現した。

 

アイ「………誰?」

 

タキオン「アイ。彼はスイートガレリアを収める現国王の大臣の一人だ。そして、スラグワース店の店長でもあるスラグワースさんだよ」

 

アイ「つまり、私と同じチョコ職人なんだ!凄い!大御所じゃん!!」

 

アイは興奮するが、更にスラグワースの両隣にある店から、一人ずつ男達が出て来た。

 

フィクルグルーバー「私も忘れてもらっては困る」

 

プロドノーズ「忘れてはならんのだ」

 

タキオン「おやおや、スラグワースさんと同じこの国の大臣達ではないか。フィクルグルーバーさんに、プロドノーズさんだ」

 

アイ「わあ!!凄い!!始めまして!チョコ職人のウォンカ・D・アイです!!」

 

スラグワース「どうも!うぉっ!?アハハ、力が強いな!」

 

アイと握手を交わすスラグワース。スラグワースはアイの握力の強さに思わず顔をしかめる。

 

スラグワース「それで、そのチョコクッキーは君の傑作なのかね?」

 

フィクルグルーバー「チョコが人間のように踊り出すとは!」

 

プロドノーズ「不可思議な物だな〜」

 

アイ「うん。ダンシングチョコクッキーだよ。良かったら味見してみる?」

 

スラグワース「勿論だとも!スイートガレリアの大臣として味見させてもらうとしよう!ダンシングチョコクッキー!」

 

アイは瓶の蓋を開ける。3人は瓶の中のチョコクッキーをそれぞれ一つ摘み取ると、そのまま口に運んだ。一口で食べられるサイズなのも、食べやすくて良い。

 

クッキーのサクサク音とチョコの液体音が咀嚼の音と共に響く。

 

アイは期待の籠った目で3人を見ていた。

 

スラグワース「ンムム……ムッ?此れは……チョコレートとクッキーだけではないな?此れは……ココナッツミルクか?」

 

アイ「うん。アラバスタ王国にしか生えない希少なヤシの木で採れたココナッツから作ったミルクだよ」

 

アラバスタ王国は砂漠だ。其処に本来ヤシの木は生えない筈だが、何故か一本だけ生えていたのだ。其処で採れたココナッツからミルクを創り、クッキーの原料にして混ぜたのだ。其処からはアラバスタ王国の希少なココナッツを栽培する為に種を入手し、今は自分で育てている。

 

フィクルグルーバー「この酸っぱさも………キウイか!?」

 

アイ「私のオリジナル品種だよ。長年掛けて熟成させたとっておき!」

 

キウイ自体は他の国でも採れるが、アイは自分で他国で買ったキウイを育てて、自分の理想通りに育て上げたのだ。 そのキウイが、チョコクッキーに入っている。

 

プロドノーズ「そしてこのパンチが効く味は……もしやオレンジィ?」

 

アイ「東の海(イーストブルー)である人から貰った、最高品質のオレンジだよ!」

 

3人は感心する。他にも様々な味が、味わう度に舌の上に出てくるのだ。様々な味が自身の舌を占領していく。

 

これまでのチョコの常識がひっくり返されそうだ。

 

スラグワース「いやぁ、ウォンカ君。私もチョコを造って長いが、これだけは確かだ!君のチョコは他と比べると、歴代で、何処の何よりも、最高に、とてつもない、見たことも、聞いたこともないほど!!

 

 

酷い」

 

 

 

人々『えっ』

 

アイ「イヤッホー!!大御所さんが認め………えっ?今酷いって言ったの?」

 

フィクルグルーバー「ああ酷いとも!君のチョコは余計な物がてんこ盛りだ!」

 

プロドノーズ「カオス過ぎて落ち着かないのだぁ!」

 

スラグワース「私、フィクルグルーバー、プロドノーズはこの国の大臣であると同時にチョコ作りのライバルではあるが、一つ意見が一致している!良いチョコとはプレーンのみだ!シンプルこそが正義だ!」

 

アイ「………あっそ。残念」

 

アイは顔を下げる。しかし、すぐに顔を上げた。まるで何かを期待するかのように、怪しげな笑みを浮かべていた。

 

アイ「じゃあ、この後の事もきっと受け入れられないね」

 

アイがそう告げた時、アイは片足でトントンとリズムに合わせて床を叩く。

 

すると、3人は突然身体の奥から何かが疼き出すのを感じた。無性に踊りたくなったのだ。

 

スラグワース「なんだ?か、身体が勝手に踊り出すぞ!?」

 

プロドノーズ「踊り出すのだぁ!?」

 

フィクルグルーバー「そんな馬鹿な!?だが、楽しくて堪らないぞ!寧ろ踊っていたい位だ!」

 

3人は踊り出した。腕や足を巧みに、しかし豪快に、なおかつ楽しさ全開で踊りだしたのだ。

 

プロドノーズ「そんな馬鹿なぁ〜!」

 

フィクルグルーバー「踊りが止まらん!?」

 

アイ「ダンシングチョコクッキーだよ?食べた人の踊りたい欲求を刺激した後に、中でクッキーも踊り出したら食べた人もみーんな踊り出すんだよ」

 

アイは笑っていた。

 

スラグワース「君はイかれてるよウォンカ!!」

 

アイにそう告げるスラグワース。踊るスラグワースを笑いながら見つめるアイ。

 

スラグワース「食べると踊りだすチョコ等、誰が欲しがるというんだ!!」

 

ウタ「じゃあ、聞いてみる?踊りだすチョコ欲しい人ー!」

 

ウタは蓋を開くと、其処からチョコクッキー達が飛び出してきた。

 

人々『ワアアアアアアッ!!』

 

人々が群がり、チョコクッキーを摘んで口にする。

 

タキオン「ハッハッハッ!実に不可思議だろ?私も分からんのさ!アイの魔法の菓子の力は!あっ!一個100ベリーだよ!」

 

アイ「はいどうぞ!」

 

二人はそれぞれ瓶を客達に向ける。お客は皆、チョコクッキーを食べた後に100ベリー硬貨を支払っている。

 

人々『おおっ!踊り出すぞ!』

 

人々『なんて事だ!周りが踊れば俺も踊るぜ!』

 

人々『まあ、ダンスが苦手な私がこんなキレッキレのダンスを!?』

 

チョコクッキーを食べた人々は踊り出す。すると、周りの食べた人達も連鎖的に踊り出す。こうして踊る人々が増えて行き、最終的にはチョコクッキーを食べた全員が踊りだしたのだ。

 

タキオン「ハッハー!!スイートガレリアはダンスブームだ!!」

 

タキオンも踊りだす。彼女はダンシングチョコクッキーを食べた訳では無いが、それでも周りが踊りだすのを見て踊らずには居られなかった。

 

アイ「ん?フフッ」

 

アイは中央通りの出入り口で見ていたショコラータに気付き、微笑みながら左目ウィンクで答える。

 

これが私達の力だよ。

 

私達は凄いでしょ?

 

そう言わんばかりのアピールに、ショコラータは感激した。

 

ショコラータ「凄い!凄いよアイ!タキオン!」

 

 

しかし、夢を見れば現実もまた襲い掛かる。

 

 

 

海兵「海兵だ!!営業妨害の通報を受けて此処に来た!!」

 

 

 

夢を見続ければ、何時だって現実が立ちはだかる。




前回は書き忘れましたが、オリジナルソングを此方に。

《Go to the island you long for, with your dreams./憧れの島へ、夢と共に》
『世界を巡りに巡り いよいよ来たよ、憧れの島へ
長い旅路を終えて 始まるよ私の夢

よぉし、上陸だよ!

長い旅路服は汚れちゃった
色落ちしちゃった赤いスーツ
端がボロボロなスカート
ブーツは水を吸っていて冷たいな

帽子は決して忘れない 赤は可愛くて好き
だから何時でも赤の帽子とスーツは手放さない

イヤッホー!

リンリンの所から逃げ出してもう7年 これまでにいろんな島を巡ったな

遅かったよタキオン!

おっとこりゃすまないね。
薬の調合に時間をかけてしまっていたのさ だが心配無いさ
これから私達は夢を叶えに行くのさ そうだろ?アイ

勿論!私達姉妹の作るチョコを 世界中に売るからね

此処では努力と才能次第で店を持てる いつか此処が私達の店になるんだ
だが私達だけでは思うようにいかない それにお金だって掛かるだろう

でも帽子一杯の夢を持ってる 溢れ出して来るよ沢山の夢
必ずお店を建てよう 私とタキオンの魔法のお店

いつかきっと叶えて見せる 私達の夢

けどお金が早くも減っていく

残ったのは僅か…………あっ

………残ったのは、帽子一杯の 夢だけ』

《Dancing Chocolate/ダンシングチョコレート》
アイ『さあ行くよ………

さあ、この目で見てごらん 間もなく魔法が見られるよ

この手にある奇跡をご覧あれ 踊り出すのはダンシングチョコクッキー

さあ、皆で踊りましょう タップダンスでリズミカル パッパッパラッパッ、パラパパッパー 踊れば勝手に踊り出す〜

こんなチョコどこにも無いでしょ?

踊り出すチョコは私のチョコだけ チョコっとダンスを踊れば踊っちゃう
そうウォンカのチョコで皆踊るよ

踊るチョコなんて何処にもない そうここにしかない 魔法のチョコ、どうぞ』

スラグワースの秘書?の名前を忘れてしまった……。

1ベリーで1円かよ………札だけしか見なかったから硬貨もあるの忘れてた……なので前の話を修正しました!

《オリジナルお菓子》
『ダンシングチョコクッキー』
食べた後に何かのリズムを聴いた時、踊りだしたくなる気持ちが湧き上がり、軈て心が弾み、その場で意思とは関係なく踊り出す。尚、話す事は出来るが、話す間も体も心も踊り続ける。尚、5分も経てば踊りは止まる。チョコクッキーではあるが、他にも様々な味が織り交ぜてあってとてもカオス。なのに味は目茶苦茶美味しい。スラグワース達は酷いと言ったが、自分より腕が良いのが許せなくて強気に出ただけ。床や地面に降り立っても安心して食べられる謎仕様。
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