完璧で究極のチョコ職人は、大海賊時代でチョコを売り始めます 作:ちいさな魔女
海兵「海兵だ!!営業妨害の通報を受けて此処に来た!!」
スイートガレリア中心街に広がる怒声が、その場の空気を突き刺す。
アイ「え、営業妨害!?」
大佐「そうだ。っていうか踊る奴等をその場から退けてくれ。邪魔だ邪魔だ」
一人の小太りの海兵が指示を出すと、周りの海兵達がその場で踊っている人達を押してその場からどかし始めた。
タキオン「営業妨害ってなんだい?もしかして、私達の事かい?」
すると、アイとタキオンが中心街で最初に出会った海兵がその場に現れた。
中佐「どうも。スイートガレリア所属の海兵中佐です。貴女達が営業妨害をしていると通報がありましたので」
アイ「営業妨害って何!?私達はチョコを売ってるだけだよ!!」
中佐「申し訳ありません………ですが、国の法です。お店を持たずに無断営業は、他の店の営業妨害となりますので。此処での売り上げを罰金として没収します」
アイ「そんな!」
すると、アイの手に握られたベリー硬貨が沢山入った瓶が取られてしまう。
大佐「これは没収だ。まあ寄付金になるかもな」
アイ「ああっ!」
アイはその様子を見る内に、その手からある物を出そうとした。
タキオン「アイ!それは此処で使うな!」
タキオンが肩を掴んで止めた。
アイ「でも!」
タキオン「アイ……その力は此処で使うべきじゃない。その力は……世界中の人達にチョコを食べさせる為だろ?」
アイ「………分かった」
アイは構えを解いた。どうやら何かをしようとしたようだが、それを阻止された。
中佐「もしかして………悪魔の実の?」
タキオン「そうだな。私もだが、今は話せないのさ。世界中にチョコを売りまくるまではな」
アイ「海兵さん………ごめんなさい。でも私、昨日泊まった宿のお代を払わないといけないの。お願い!せめて、1000ベリーだけでも…………」
アイは中佐に頼み込んだ。中佐はアイの必死さに押し負けた。
彼も、彼女達が悪意があってやったわけではない事は分かっていたからだ。
中佐は周囲を見渡した後に、アイに1枚の1000ベリーを手渡す。大佐や周りの海兵が見てない事を確認したのだ。
中佐「………分かりました。どうか、お気を付けて」
アイ「………ありがとう」
そして、中佐はその場から立ち去って行った。
アイ「………良い人だったね」
タキオン「………海軍にもああいう人が居たんだね」
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そして、ブリーチャーとスクラビットの宿に戻って来たアイとタキオン。何故だろうか、不思議とこの宿に来てから身体が重い気がする。商売が失敗して、気分が沈んでいるからだろうか。
スクラビット「あらお帰り。どうだったんだい?」
アイ「………うん。上手く行けたと思ったけど、海兵に怒られちゃった………お店持てないと罰金だって言われて、お金取られちゃった」
スクラビット「そりゃ大変だったねぇ」
タキオン「………なにがおかしいんだい?」
スクラビット「べーつに〜」
スクラビットが怪しい笑みを浮かべる。
アイ「宿ありがとう。宿代一人500ベリーだから、私達で1000ベリーだよね?」
アイが1000ベリーを差し出す。中佐の海兵には感謝しか無い。宿代だけでも払えたのだから。
しかし………スクラビットの怪しい笑みは止まらない。
スクラビット「宿代だけならね?でもアンタ達、部屋に行くとき階段使ったよね?登る時と降りる時」
アイ「えっ?うん」
スクラビット「後、ショコラータからお冷受け取ったでしょ?」
タキオン「まあ、飲んだな………」
タキオンは腰に携帯する試験管に手を伸ばす。嫌な予感はやはり的中した。何かされる前に手を打とうとした。
ブリーチャー「
その時、ブリーチャーが叫ぶ。次の瞬間、タキオンの身体が硬直し、その場に膝を付いてしまう。
アイ「タキオン!!」
アイがタキオンに駆け寄る。
タキオン「何だ……?何をされた?」
アイ「………悪魔の実の能力!」
アイは油断していた。まさかスクラビットかブリーチャーか、どちらかが能力者だろう。
スクラビット「部屋に泊まった時にベッドを使った。後で分かったけど、流し台を使った痕跡があったね。カウンターで暖を取った。その他諸々含めて………合わせて1000万ベリーだよ!」
その時、アイの身体にも重い何かが乗せられたような感覚が身体に走る。
一瞬だけだったが、身体が重く感じた。
アイ「………何の能力?」
スクラビット「“契約”だよ。アタシは『ケイケイの実』の『契約人間』。アタシが書いた契約書にサインしたら、その内容が遂行されるまで相手を縛り付けられるんだよ。ブリーチャーにも命令権があるように、契約書に書いてるからね」
タキオン「契約か………通りで我々の力を!」
タキオンもアイも油断した。本来なら目の前の雑魚相手に、遅れを取る事なんてしない筈だった。
ブリーチャー「契約が解除するにはぁ?」
スクラビット「1000万ベリーを返してもらわないとねぇ?」
ブリーチャーが二人の首根っこを掴む。
アイ「痛い!止めて!放して!」
ブリーチャー「それは無理だ」
スクラビット「払う金が無いんだったら」
ブリーチャー「働いて返してもらわないとなぁ!!」
スクラビット「一ヶ月働けば最低でも2万ベリーは稼げるよ!でもその間に食事代や部屋代で引かれるから一ヶ月に付き1000ベリーだねぇ」
ブリーチャー「せいぜい頑張る事だな!」
スクラビット「ようこそ一生の宿へ!ブリーチャーとスクラビットの本業、クリーニング宿店へ!」
そして、アイとタキオンは洗濯物を放り込む穴へブリーチャーによって投げ込まれた。
落ちた先にある柔らかい布の山に落ちた二人。タキオンが先に起きて、後から起きたアイを睨む。
タキオン「ぶはっ!ほらこうなった!君のせいだぞ!」
アイ「うん………ごめんタキオン」
アイも流石に反省した。今回は人の親切に甘え過ぎた。身売りもしてきた二人であったが、出会ってきた人達は全員いい人達だった。今回は流石に甘え過ぎた。
しかし、そこで思わぬ出会いを果たす。
???「おや、君達も落とされたのか」
二人の前に現れたのは、初老の男性であった。彼の背後には二人の女性の姿もある。一人は中年の女性で、もう一人は若い女性だ。
???「私はアバカス。元会計士だ」
アバカスと名乗る初老の男性が紹介をする。
???「どうも。私はパイパー。元配管工。で、隣りに居るのがロッティー。無口だけど宜しく」
パイパーと呼ばれた中年女性が自己紹介を終えた後、若い女性が手を振って紹介をした。
アイ「うん、宜しく。アイだよ。こっちは姉のタキオン」
???「やぁ!君達も来たのか!俺はラリー!元
奥から軽そうな性格をした男性が現れた。
タキオン「君達もあの契約書にサインしたのかい?」
アバカス「お恥ずかしいことに。私達もあの契約書をきちんと読まずにサインしてしまったのさ。お陰でこうして洗濯物をゴシゴシする日々を送ってるよ」
タキオン「出る所は無いのかい?」
パイパー「無いよ。窓には鉄格子があるし、触れただけでも契約書にサインした私達が触れればスクラビットにバレて1万ベリー追加されちまうよ」
アバカス「おまけに出入り口には番犬のアルバスが居るよ。いや犬じゃなくて巨大な狼だ。出入り口に近付こうものなら噛み付かれて人間の片腕なんてお陀仏だ」
螺旋階段の上に大きな扉があり、其処で黒い大きな狼が横たわっている。まるで一頭の虎を思わせるデカさだ。
アバカス「それに仮に出られたとしても、あの契約書からは逃げられない」
パイパー「点呼の時間は朝の6時と夕方の9時。点呼の時間に居なかったら契約書の力で呼び戻されて、迷惑料10万ベリー追加されるのさ」
ラリー「朝のお寝坊も許されない。寝坊したら5万ベリー追加!ハッハー………笑えないか」
ラリーが暗い顔になる。
アバカス「さあ皆、持ち場に戻ろう。タキオンさんにアイさん。ウォンカさん達の持ち場を教えよう。君達の持ち場は、石鹸水だ」
蒸気の充満する廊下をアバカスの案内を受けて歩くと、大きな樽が2つも配置された選択部屋に案内される。アバカスはその手で籠を押している。樽の隣には山積みの洗濯物が置いてある。
アルバス「此処で洗濯物を樽に入れるんだ」
アイ「うわぁ………」
タキオン「マジかよ」
その後の作業もキツいの一言に限るものだった。
洗濯物を樽に入れて纏めて洗い、ハンドル式の脱水機で脱水、高い所で干す作業。此れだけでもかなりキツいが、彼等はこの状況を歌いながらやる事で苦労を軽くしてる。ラリー曰く「でもキツいけどな」との事。
そして洗濯を終えた衣類は袋に入れて、エレベーターに乗せてハンドルを回して上に上げる。後でショコラータが回収し、各宅に届けるのだ。
因みにアイロン掛けが必要な衣類や下着は、きちんとアイロン掛けをした上で畳まなくてはいけない。もしきちんと畳まなくては食事抜きなのだ。
すると、ブリーチャーが笛を鳴らす。点呼の時間だ。
アイ「き、キツい………!」
タキオン「家政婦の気持ちが分かった気がしたよ……」
強い双子すらも1日でこの感想だ。
パイパー「契約書にサインしちゃったばかりにね」
ラリー「この有り様さぁ!」
アバカス「読めば良かったね」
ロッティー「……………」
すると、スクラビットとブリーチャーが現れた。
スクラビット「もし文句があるんだったら………」
ブリーチャー「契約書の第五条を読め!」
スクラビット「第7項」
ブリーチャー「よーく読んでみな」
スクラビット「他にも色々」
ブリーチャー「書いてあるぞ」
こうして点呼の時間が終わる。それぞれが用意された寮の部屋に戻り、今日の作業は終わるのだ。
全員が部屋に戻り、アイとタキオンもそれぞれ用意された部屋に入ろうとする。二人のそれぞれの部屋は、3部屋も離れていた。それぞれが部屋に入ろうとした時、アイが声を上げた。
アイ「タキオン………ごめんなさい。私が馬鹿だった」
タキオン「過ぎた事さ。対策はまた考えれば良い。なんとかして、彼女に金を返すか、能力を解除しなくちゃな。今は、休もう」
アイ「うん。おやすみ、タキオン」
タキオン「ああっ、おやすみ」
そして、お互いに部屋に入っていく。アイは木箱を背負ったまま、部屋の中に入り、電気を付ける。泊まった時よりも匂いはキツく、あまり掃除されてない感じがある。
そして、アイは背中に背負う木箱を机に置く。
すると、アイの部屋の扉からノック音がした。
アイ「どうぞ」
そして、扉が開いてショコラータが入ってくる。
ショコラータ「ルームサービスだよ。大丈夫?」
アイ「うん。大丈夫だよ」
この出会いが、後にショコラータに奇跡をもたらすとは、この時のショコラータは思いもしなかった。