元総組長と俺と競馬と   作:対ゴドルフィン特効兵器

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出資馬の次走が現地参戦予定日前日で泣いてます。


可能性は人を熱くする。

2日後、

良吾の姿は東京にある地方競馬場にあった。

 

東家からの帰路はどの様に帰ったのか全く覚えておらず、翌日の仕事も魂が抜けたかの様にボーッとしておりミスを連発。

あまりの惨状に上司から怒られるのでは無く逆に心配され、結果少々早い正月休みを貰っていたのだった。

 

「はぁ……」

しかし休みを貰ったとはいえ良吾の心は全く晴れなかった。自身の好きな人がまさかの人妻であるという事実が心の奥底まで貫いていたのだった。

海桐花も海桐花で何やら自身と風舞希の交際を容認する様な事を言っていただけに裏切られたという思いも大きく、あの生意気で小憎らしい顔を一発張ってやらないと気が済まない程に荒んでいた。

 

そんな精神状況で馬券を買うのだから当然当たるはずもなく、

「あ〜ちくしょう…また外れた」

ここまで連戦連敗という有様だった。

今日は本当の意味での一年納めのダートのG1が開催される為、メインレースまである予定ではあったがあまりの馬券の当たらなさに帰宅する事さえ頭を過ってきた。

 

その時、

 

「おぉ良吾!やはり来ておったか!!」

今最も聞きたく無い声が良吾の耳に届いた。

 

「海桐花ぁ…」

その声に良吾の怒りのボルテージは跳ね上がった。

 

「一昨日は運んでもろうて悪かったのう! 

にしても此方が目を覚ますまで待っておれば良かったろうに…

風舞希との飲みの席を用意してやれたのに惜しい事をしたのう!」

そんな良吾の気持ちを知ってか知らずか海桐花は良吾が最も聞きたく無い事を無神経に言うのだった。

 

「うるせぇぞ!!

このクソ餓鬼が!

人の純情弄ぶことがそんなに楽しいか!?」

そしてそんな海桐花に良吾は遂に噴火し、怒りを力に変えて海桐花に殴りかかった。

近くにいた人々は良吾の怒声に固まっていた。

 

良吾の拳が海桐花の頰を捉える

 

刹那、

「なんじゃ騒々しい…

馬券が外れてイライラしておるのは分かるがちと落ち着け」

 

「ぐっ!?」

ひらりと良吾を交わした海桐花は良吾の腕を取って後ろ手に固めてしまった。

 

「其方が何に怒っておるのかは分からぬが一旦落ち着け

そうで無くては話も出来ぬ上に馬券も当たらんぞ?

此方が奢ってやる故ついて来い」

そう言うと海桐花は良吾の腕をキメていた手を離し、懐から3Rでの単勝10万円の当たり馬券をヒラヒラと振りながら歩き出したのだった。

 

 

 

「んで?何をそんなに怒っておるんじゃ?」

 

「……」

スタンドを後にして2人はバイキングの店に入っていた。

しかし良吾は席に案内されたにも関わらず料理を取りに行かずにずっと海桐花の事を睨みつけていた。

それに対してそんな良吾の事など気にも留めず海桐花は思い思いの料理を大量に取ってきてガッつきながら良吾に尋ねた。

 

「風舞希さん…」

 

「ん?おぉ風舞希がどうかしたのか?」

 

「風舞希さん、子供居るって言ってたぞ…」

 

「そうじゃぞ?3人とも女で1番下は18じゃな

なんじゃ?其方コブ付きは嫌か?」

 

「そこじゃねぇよ!!!!!!!」

良吾の事を全く気にする事無く言い放った海桐花に今度こそ良吾は目の前が真っ赤になる程の怒りを感じた。

「テメェ!!俺の気持ちを知っていて家庭がある風舞希さんとの仲を応援するとか言ったのか!!?500万スった腹いせに俺が叶わない恋をしているのを見てケラケラ笑ってやろうってのか!?」

 

「家庭?あぁ、そんな事か」

激昂して怒鳴る良吾を尻目に海桐花は鼻を鳴らして答えた。

 

「そんな事だと!?あぁそうだよな!!!500万失ってもさして痛く無い魔防隊元総組長みたいな高貴なお人には30超えてようやく理想の人に巡り合ったDTの気持ちなんて分かる訳無いよな!?」

良吾の怒号に店員や周囲の客がチラチラと此方を見るがそんな事を気にする事など今の良吾には出来なかった。

 

「風舞希の旦那じゃが、もうおらぬぞ?」

 

「はい……?」

海桐花の全く思いもしない角度からの奇襲に良吾の怒りはあっという間に萎んでしまった。

 

「確かに風舞希には子供がおる。じゃが旦那は風舞希の魔防隊での実力を見て怖気付いたのか、自分とはつり合わぬと思ったのかいつの間にか姿をくらませたのじゃよ。

それ以来風舞希は東の人間として、母として、9番組組長としての重圧を一人で抱えてきておったのじゃ」

 

「……」

 

「その様な娘に母として心の拠り所を設けてやりたいと思うことは自然な流れとは思わぬか?」

 

「海桐花…すまなかった…

俺、お前の気持ちも考えずに先走りって…」

良吾の目には光るものが浮かんでいた。

風舞希を思うあまり話の重要な所をすっ飛ばして勝手に解釈していた自身を恥じて頭を下げたのだった。

 

「まぁよい。其方も初めての事に舞い上がっておったのじゃろ。

此方の懐の深さに感謝するがよい!」

 

「ありがとうな、海桐花

安心したら腹減って来たわ!

飯取ってくる!!」

そう言うと良吾は忙しなく席を立つと料理を取りに向かって行ったのだった。

 

そんな良吾を見て海桐花は

(彼奴め…

訓練を受けておらぬ身でありながらあの速さ…

ますます東に欲しいわい。

風舞希との間に子を授かりでもしたら素晴らしい能力を秘める可能性が高い…

とはいえ、皇帝の10冠ベビーや大王と絶景の8冠ベビーの事もある故慎重に見極めねばのう…)

と自分本位にして非人道的にも思える事を考えていたのだった。




一口馬主仲間の出資馬が1勝クラスでクビ-ハナ差で負け、勝った相手が皐月賞に直行するとの事で悶えています。気持ち悪いです。
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