元総組長と俺と競馬と   作:対ゴドルフィン特効兵器

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奇跡的に続きました
かなりアバウトですがどうぞ


老雄

「このぉ!離さぬか!此方を誰だと心得る!?」

 

「はいはい、お父さん達とはぐれたのかな〜?」

 

「違うわたわけ!此方は1人でここまで来たのだ!この祭りを見ずして年が越せるか!!」

 

「それじゃあ余計に入っちゃダメだね〜今年はテレビ見て、あと数年してちゃんと成人してから来てね〜」

 

その光景は明らかに不自然な物だった。ショートカットに吊り目という気の強そうなJSからJK程の年頃の制服を着た少女がゲート前で係員につまみ出されようとしていた。

周囲の人々も祭りの前に関わるまいと騒いでいる2人を避けて足速に競馬場内へと消えていく。

 

「はぁ…全く、何やってんだか…」

良吾はその光景を見て嘆息した。

競馬を愛する身としては少女の言うことも一理ある。

年末のグランプリを生で見ないと年が越せないという意見は大いに賛成であり、その数日後にも2歳G1やダートのJan1のレースもあるが1年を収めるという観点で見るとやはり今日のレースを置いて他には無かった。

 

しかしここは競馬場、鉄火場である。

昨今は綺麗に整備され家族連れでも十二分に楽しむ事が可能であるが、やはり未成年者が1人で立ち入ることはトラブル防止の観点から見ても当然避けたいものである。

 

そんな思いから良吾も騒いでいる少女を無視して入場しようとゲートに向き直ったが、

 

「其方は新入りか!?

 此方はかの老雄がグランプリを制したのもこの目でしかと見ておったのだぞ!?

 それからTTGの戯れにも死闘にも見えたレースも!

 芦毛の怪物の復活から、

 覇王の道が完全に閉ざされたレースも!!

 全て!

 現地で!!

 ここで!!!

 最前列で見ておったのだ!!!!

 年中行事を今年だけ諦める事など出来ぬわ!!」

 

少女のその言葉に思わず足を止めてしまった。

彼女の言う事が本当ならば50年以上前のレースをここで観戦していた事になる。

通常であればそんな事あるわけ無いとか、どうせYou◯ubeの様な動画配信アプリで見たのだろうと一笑に伏すのであろうが彼女の必死の形相がその何方をも否定していた。

 

「はぁ〜…しょうがねぇなぁ…」

面倒事に巻き込まれるのはごめんではあるが、それ以上に少女の言っている事の違和感の方が気になって仕方なかった。芦毛の怪物はさておき、50年以上昔の老雄と呼ばれたグランプリホースの名前や元祖3強対決の馬の名前がうら若き少女の口から次々と出てくるこの光景を無視しては何やら後悔すると自身の勘が働いたのだった。

 

「あの、すいません」

 

良吾が声をかけると言い争っていた少女と係員が此方を見た。

「え?」

「むっ?な、なんじゃあ!?」

声をかけた良吾を見て言い争っていた2人は驚愕した。

身長は少女より頭1つ分以上も高く、横幅は2倍では効かないほどの大きさだが決して太っておらず筋骨隆々。

丸刈りの頭と右の頬には一筋の傷が走っている。

まさに金剛力士や見る人にやってはヤの付く自営業の人と例えるに相応しい巨漢が声をかけて来たからであった。

 

周囲の人々もそんな良吾の達に関わって面倒事に首を突っ込みたく無いとばかりに足早ににゲートをくぐっていく。

 

「その子、俺の親戚の子なんですよ。◯ouTubeで見せた昔のレース動画の事を言ってて…保護者同伴なので入っても良いですよね?」

 

「えっ?いやそんな事一言も…」

 

「そうじゃぞ!此方はそなたの様な男など…おぉそうじゃった!そうじゃったな!!今年は現地集合であったのを忘れておったわ!!いやぁ遅いぞ兄者!!」

 

「…そうだったんですか?なら次回からはちゃんと保護者の人と一緒に来なきゃダメだよ?」

 

良吾の言葉に一瞬キョトンとした少女であったが目配せの意味を察したのかすぐに表情を変え話を合わせた。

その光景に警備員も一瞬不審そうな顔をしたものの、後ろに並ぶ人混みを解消することを優先したのか、はたまた良吾の風貌に気圧されたのか今までの喧騒が嘘かの様にあっさりと少女を解放したのだった。

 

「いやぁごめんごめん。人が多いから見つけられなかったよ。でも合流出来てホッとした!」

 

「この愛くるしい此方を見失うとはお主もまだまだよのう!じゃが無事に合流も出来た事じゃし良しとするかの!」

 

「なら良かったけど…次からは気を付けるんだよ?」

 

「はい、重ね重ね申し訳ございません」

頭を下げる良吾とは対称的に少女はカラカラと笑いながら良吾の背中をバシバシと叩く。

そんな光景に警備員も比較的あっさりと引き下がり2人はようやくゲートをくぐる事が出来たのだった。

 

「ふぅ、助かったぞ。名も知らぬ男よ、礼を言うぞ」

 

「いやそれは全然良いんだけどさ…お嬢ちゃん、さっき言ってた事って本当なの?」

 

「さっきの事?」

 

「ほら、老雄とかTTGとか」

年の割に尊大且つ少々古い言葉遣いの少女であったが良吾は自身の違和感を解決することを優先した。

 

「あぁ、その事か。勿論本当じゃぞ?老雄のグランプリから毎年此方はここに来ておるからのう!」

 

「いや、それなら君何歳だよ…」

当然の疑問に少女はこともなげに答えたがその答えは驚愕すべき物だった。

 

「今年で7X歳じゃが?生年のダービー馬は幻の馬じゃ!!」

 

 

 

「…はいぃ…?」

その圧倒的ガタイの良さが嘘のように良吾は気が抜けた返事をするので精一杯だった。




海桐花ちゃんの年齢と生年、何年のグランプリかはぼかしますが許してください
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