サードとして活動していると人の下につくことばかりだが、セカンドとして活動すると部下がつくこともある。しかし、こういう時は非常に面倒くさい。
「フエ先輩もセカンドになったんすね〜。今日は支援頼むっすよ!」
「アホかお前。この人に支援任せたらいつのまにか後衛やらされるぞ」
「ハアッ!?何言ってんすか先輩、セカンド上がりたてなんてほぼサードと一緒なんすから支援させとかないとまずいでしよ」
「あのな…先輩は何があろうと月が変わればにサードに落とされるんだよ。どんな功績をあげようとな」
「意味わかんないっすよ。それじゃあフエ先輩は働き損じゃないっすか!」
確かにフキの新しいバディ…サクラの言う通りだ。私は側から見ればセカンド上がりたての半端者だ。しかし、経験で言えば化け物揃いのファーストにも負けない自負はある。そこら辺フキには説明してほしいものなのだが…
「知らねえよ。ただこの人がベージュ以外の制服を着てるってことはなにかあったんだろ」
「正っ解っ!!ビルの屋上からテロリストの車狙撃させられたよ。アレはよう分からん任務だった」
「先輩、保守義務忘れてますよ。とりあえず月末までまだ時間はありますからあの時みたいなことはしないでくださいよ」
「やっだなーもう!フキはもうファーストなんだから指揮権譲渡されるんじゃなくてする側でしょー?」
「何やらかしたんすかこの人?」
「当時やってた任務の途中で『月が変わって降格したから後の指揮は頼む』っていきなり全権押し付けられたんだよ」
「おーいフキー?保守義務はどうしたー?」
「あの時もこんなふざけた顔してな…!」
「アハハ!あの時のフキは可愛かったなあ!セカンドになったのになんでか私と組まされて張り込みさせられてたっけ」
「それは先輩が当時ファーストだったからでしょうが…」
「えっ!?フエ先輩って元ファーストなんすか!?」
「ああーそういえばあの時はそうだっけ?もうあの時の制服の色なんて覚えてないなあ」
「リコリスのランクは着替えみたいにコロコロ変えるもんじゃないんですからもうちょっと頑張ってくださいよ」
「それは楠木司令に言ってもらわないとねえ」
正直ファーストなんて面倒な任務ばかりなのだから勘弁してもらいたいがサードはサードで扱いが雑だからセカンド辺りに固定してもらいたいとは思っている。サードの寝床は狭くてかなわん。
「はあ…とりあえず作戦立てるぞ」
「相手は銃を密輸した反社勢力。全員拳銃を装備していて、中には機関銃を装備したのもいる。うーん…面倒だねえ。夜に忍び込んで一網打尽にする?
「それは当たり前です。拳銃はともかく機関銃はどうしますか?先輩」
「うーん…まず使わせないのが最善だけど誰かに盾でも持たせて陽動に使う。私としては盾の作戦がオススメ。最悪でも1人か2人の犠牲で片がつく。ガタイがそこそこあるサクラちゃんとそこの子、車から盾持ってきて」
「ちょっと!?サクラはともかくもう1人はサードじゃないですか!無茶ですよ!」
「なんのためにフキのバディを片方に選んだと思ってるの。適正があって実力もちゃんとしてる。少なくともフォローはできるんだから大して危険じゃないよ」
「だからって…!」
「ねえ、フキ。昔も言ったけど私達の命はそこまで高くはないよ。割り切って」
相変わらずこの子は甘い。それが美点でもあるのだがそれは任務において毒でしかない。
「大丈夫。私がいる。フキもいる。20秒で全部終わる」
「サクラちゃん。フォローしながら20秒耐えて。できる?」
「うす!」
「じゃあ作戦開始と行こうか」
今回の相手は反社勢力。この前戦ったような素人ではないが機関銃の扱いに長けているわけではない。
「なら、正面を耐えている間に横から突っ込むのが正解だよねっ!」
あらかじめ夜のうちに忍び込んで待ち伏せする。彼らが取引に使う予定だった銃は回収して今頃DAの拠点だがそれを感づかれる前に仕留める。
「オラオラー!お前らお縄につくっす!」
陽動のメンバーが突入した。作戦開始だ。
「なっ、なんだあっ!?」
「どこに隠れていやがったコイツら!」
「木箱の中だよっ!」
流石ファースト。リコリス最高ランクの名は伊達ではない。あっという間に数人の構成員を薙ぎ倒していく。
「相変わらずフキの戦闘は早いねえ」
「先輩も相変わらずナイフの扱いが達者なようで!」
私もナイフと拳銃を使ってなんとか相手を無力化していく。
「こんなの曲芸みたいなものだよ。こんなのがあっても君達には及ばない」
「それは相手が千束だからでしょうが!あのバカと比べられても困ります!」
「いやー凡人の私と比べればどっちも似たようなもんだけどね」
ランクファーストとはそれほど突出しなければなれない存在だ。一時でもその制服に袖を通せたのが奇跡みたいなものだ。
「というわけで良いところは譲るよ。後輩にカッコいいところ見せてあげないとね」
「しょうがないですね!」
どうにかして機関銃を構えたのがいるがもう遅い。フキの戦闘スピードなら撃つ前に終わる。銃弾を発射する間もなくフキの銃弾は相手を貫いた。
「じゃあ後片付けと行こうか。殺しちゃダメとは面倒だよねえ。このは海も近いし処理が簡単なんだけど」
「今回は情報が必要ですからね。あの時みたいにならなくて良かったです」
「ああ、捕まった仲間を助けるために敵から銃を奪って掃射するバカがいたんだっけ」
バカなことをするのがいたものだ。その善性は誇るべきものなのだろうが任務においてそれは悪手だ。たとえ捕まったのがファーストであったとしてもそんな行動をしてはならない。
「ほんとバカですよね」
「うん、バカだね」
費用対効果に合わない。所詮生き残ってもリコリス1人の価値などたかが知れてるのに。
「だから千束と気が合ったんだと思います」
「千束ちゃんとねえ…」
なるほど、そういう事もあるのか。確かにあの子と気が合うだろうしリコリコの面々ともよくやっていけるだろう。
「私には一生分かりそうにないかな」
「先輩はそういう人ですからね。そういうドライな所好きじゃないです」
「性分だからねー。直しようがない」
「だから行き遅れるんじゃないですか?」
「そうかもね」
確かに、こういう人材は他の組織にもいらないのだろう。それが私がいまだにここにいる理由なのかもしれないと思った。