路傍に咲く大輪の花   作:山野化石

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サブタイトルに意味はとくにないです


君が立つ大地だ‐前編

 目が覚めた後、あの模擬戦の後を思い出した。

「アレだけやって勝てんとはな」

「もうアレは人じゃないですねー。未来からやってきたサイボーグか何かでですよ」

「次やったらどうなる?」

「無理ですね。あれの作品は一回限りの初見殺しですから。次は対応されますよ」

「とりあえずご苦労だった。月末まではその服でいろ」

「了解しましたー。じゃあまた何かあったら呼んでください」

 そして、その後何度か任務をこなして月末にフキと一緒に任務をして指揮権丸投げしたんだっけか。

「懐かしいなあ…。そういや千束は元気してるのかねー。ハワイ行ったあたりまでは聞いたけど……まあ生きてるならそのうち会うか」

 さて、今日も今日とて任務である。

「で、こういう時に限って千束絡みの任務なんだよなあ……」

 今日の任務は空き家となった喫茶リコリコの整備……という名の清掃である。今は使われていないとはいえここも立派なDAの施設だ。それ故に定期的なメンテナンスや清掃が行われる。

「だからって実働部隊にやらせるかね普通……」

 幸い、ここの荷物は殆ど先生達が運び出しているので店の中の清掃や地下にある機材のメンテナンスをして終了となる。

「工作用の作業着に監督役としてのスーツとか用意するくらいなら業者呼んだ方が楽なのになー」

 こういうのは本来なら後方の担当が行ったりするものだが何故か私たちにお鉢が回ってきた。

「まっ、早めに終わらせて茶でもしばきますか」

 担当する隊員を確認し、道具を持たせて店内の清掃をさせる。少ししたら私も着替えて作業に加わるのだが……

「キャアっ!?」

 掃除ではあまり聞かない声が聞こえた。

「転んでバケツでもひっくり返したの?って何これ」

店内を覗くと中にあったのは罠だらけのトラップハウスだった。

「ワイヤーにブービー、昔懐かしの落とし穴まであるんだ……」

 ただの喫茶店になんてもんを仕込んでいるんだここは。

「全員待機!ちょっと確認してくる」

「おらあ!楠木指令!あのクソトラップ喫茶の清掃とか無茶すぎませんかね!」

「しらん。それにお前はあそこに通っていたそうじゃないか。行きつけの掃除くらいやってやったらどうだ」

「このクソ上司がー!無茶ばかり押し付けるくせにこっちに還元しないとかやってられるか!」

 かくなるうえは仕込んだ本人に聞こう。

「はい、移動喫茶リコリコでーす!ってフエじゃん。どうしたの急に」

「千束か。今お前らの店の後かたづけしてるんだけど罠の数多すぎてどうしようもないんだけど」

「あー、そういえば色々仕込んで放置してたっけ。先生に変ろうか?」

「頼むわ」

「じゃあ……「ちょっと待て。久しぶりに友達との会話だからひとつだけ聞いてもいいか?」

「おう!なんでもききんしゃい!」

「今、楽しいか?」

「あったぼうよ!」

「なら、いい。後、ハワイにいるならマカダミアナッツチョコレート送っってくれ。本場の味ってのが知りたいし」

「えー!そのうち帰るからその時でいいじゃん!」

「お前、私が日本全国回って任務してた時いつもお土産要求してきただろうが!一回くらいこっちが要求しても罰は当たらねえだろ!」

「はいはい、そのうちね。じゃあ先生に変るから」

「それじゃあな、千束。元気そうでよかった」

「こっちこそ。最後に会ったのたきながウチくる前だったから声聞けてよかった。じゃあね~」

 ハワイにいると聞いたときは驚いたが元気そうでよかった。ことのあらましは楠木指令やフキから聞いてはいたが、実際に声を聴くと安心する。

「まあ元気そうでよかったよ。心臓の話は聞いてはいたし」

 この年になると同期も死ぬかどこか行くかして誰もいなくなる。ついには直近の後輩すらいなくなってしまったのだから千束は数少ない私が友達といえる存在だ。まあクソガキではあるが。そんなことを想いながら電話の待機音に耳を澄ましていると

「すまん、待たせたな。まさかお前がウチの片づけをするとはな」

「いやー、先生、あの仕掛けは喫茶店にしては物々しいですよ。一緒に来た子たちみんなとんでもないことになってますよ」

「ハハハ!一応致死性のあるのは仕掛けてはいないから安心しろ」

「罠の位置くらい教えてくださいよー」

「これも訓練だと思いなさい」

 酷い先生もいたものだ。可愛い生徒のために手伝ってやろうとか言えないのだろうか。

「……ガンバリマス」

「それじゃあな。色々大変だろうが頑張りなさい」

「はい……」

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