西風と星のおとぎ話   作:旅人H

1 / 1
昔、なろうで書いていたものを修正したものです。
楽しんでいただければ幸いです。


始まり

彼と初めて会ったのは、お父さんが大怪我をして入院し、家族みんなが大変で、一人寂しい思いをしていた時だった。

思えばどうして仲良くなったか解らない出会い方で、子供とはいえ酷い、いや最低な行動だろう。何故なら、泣いている私に枕を投げつけ

『うっさい、夢の邪魔だから泣くならよそで泣け!』

と、言ってきたのだから。

 

_______________________________________________________________________

 

 

 

 夢を見ている。

 いつから見ているかは思い出せないけれど、胸がきつく締め付けられるように痛む夢。

 誰かのお墓の前で3人の人たちが話し合っている。話が終わったのか一番年上だと思う男の人がどこかへ歩いていく。

 残された黒い髪を肩位まで伸ばし、白い髪紐で一つまとめにしている男の人が墓に向かって言う。いつもの夢だと聞こえない声が今日は聞こえてくる。

 

「ほんとは望んじゃいけない事だ思う。でも姉さんが、『・・』が生きていられる可能性が在ってもいいと思うんだ」

 

そう言ってうなだれる彼に向かって、栗色の髪をサイドテールにした女の人が

 

「大丈夫だよ、『・・』くん。きっと向こうの私達なら乗り越えてくれるよ」

 

うなだれていた顔を上げ男の人が

 

「ありがとう、『な・・』」

 

もう少しで名前が聞こえる、そんな時に限り夢からさめようとする。もう少し、あと少しだけ時間が欲しい。

知りたいんだあの人の事を、あの女の人の事を。だって()()()に刻まれた名前は・・・・・・

 

『冬馬 由華』

 

俺の姉さんの名前で、墓に向かって姉さんと呼ぶあの男の人は俺のはずなんだから・・・・・・・

 

 

 けど、現実は残酷に目を覚ましてしまう。

そして、目の前に()()()()が浮かんでいた。

 

____________________________________________

 

 

 なんで、携帯が浮かんでるんだと考えても理解が出来ない。しかも勝手にしゃべる。また姉さん関係の誰かがいたずらでも仕掛けたのだろうか、そんなことを考えていたら

 

『マスター?さっきから何やってんですか?』

 

冬馬ケ家訓【自分を弱くする常識は、踏み潰して突き進む】に乗っ取り携帯の存在を無視しよう。

 

『いや、無視しないでくださいよ』

 

必死に自分の液晶やライトを光らせアピールする携帯。少しうっとおしく感じながら仕方がないので対応することにした。

 

 携帯改めピースキーパー【ピース】から聞いた内容は次の通り。

 

一つ目、ピースはデバイスと言われる魔法使いの杖みたいなもの。

    デバイスが携帯なのは、ある人物(製作者)の気に入った着うたが入っているから。

 

二つ目、【レアスキル】と呼ばれる力を持っている。

 

    

三つ目、そう遠くない未来俺は、自分の運命に出会う。

 

「大まかにこんな所だな」

 

『はい。それと力の説明をしますか?』

 

「ああ、頼む。知らないと使えないし」

 

『マスターは二つの力を持ってます。一つ目は、手のひらからお菓子「ちょっと待て」はい?』

 

「お菓子って、なぜ!」

 

いきなり予想の斜め上を行く力に思わず突っ込みを入れた俺は悪くないはず

 

『和菓子、洋菓子、コラボ菓子もだせます』

 

「何でそんな力を?」

 

『笑顔の魔法だからです。』

 

「いや、お菓子=笑顔の意味が解らん」

 

『お菓子食べたら笑顔になれるとか、そんな理由じゃないですか?』

 

「使えないスキルだな」

 

この力いったい何の為だか考えると、激しく頭が痛む。

 

『二つ目は、【完全世界】です』

 

「完全世界?」

 

『完全世界は、人や一定空間の時間に干渉し、編集する力です』

 

「一つ目と違ってチート臭いな」

 

『もし、怪我や死んだとしても、その部分の時間を消す事でなかった事に出来ます。また、相手を殴った時間をリピートさせる事で一瞬にリピートさせた回数分殴った事に出来ます』

 

「本気でチートだな」

 

『ですが制限があります。笑顔の魔法は、魔力を消費します。完全世界は、発動させると徐々に存在が消えていきます。』

 

「消えるって、そんな力使えねぇ」

 

『一度に大量の時間を編集したり、連続発動しなければ大丈夫です。消えかけた存在分は時間がたてば補充されますから』

 

「それでも怖くて使えないつーの」

 

 とりあえず説明されたレアスキルとやらはいろんな意味で使えないと判断。

 

いろいろ説明されているものの、この世界には関わるともの凄く危険な人物がいるらしい。〈主に人生的に〉

 

「その、【ワールド・キーマン】ってなんだ?」

 

『ワールド・キーマンとは【アカシック・レコード】に記された大きな運命の中枢人物たちです』

 

運命の所でさっきのピースの説明に引っかかる事があったが

 

「関わる気ないな。だって、戦闘怖い。痛いの嫌い、殴るの嫌い、怖いのムリ」

 

『はぁ、そうですか』

 

なんか、携帯のくせに呆れてます、のリアクションむかつくな。

 

「まぁ、魔法には興味あるから暇な時にでも教えてくれ」

 

『解りました〜』

 

ピースと話していたので、それなりに時間がたっていた。

 

「そろそろ出かけないと日課が出来ね〜」

 

『日課ですか?』

 

ピースと話をつづけながら出かける支度をする。

 

「うん、昼寝」

 

『何処で?』

 

「公園」

 

服装良し、ハンカチ・チリガミ良し、枕良し。

 

『枕持って?』

 

「うん!」

 

『変わってますね』

 

「子供だから問題無し。むしろ、微笑ましいんじゃない?」

 

『マスターがそれで良いなら何も言いません』

 

よし、お気に入りの抱き枕を……

 

「デバイスって収納スペースあるんだよな。ピースにも、収納スペースある?」

 

『はい、あります』

 

「じゃあ、枕入れて」

 

『かしこまりました』

 

ピースの画面が光ったと思たっら、枕が吸い込まれていった。便利な荷物持ちの誕生だ。

 

『何か酷い扱いを受けた気がします』

 

気のせい、気のせい。

 

「姉ちゃん、公園行ってくる」

 

「遅くならない様にね〜」

 

 

 公園に着いたら、何時もの場所をゲット。風が穏やかで木陰が優しく光を遮って、最高の昼寝スポットなのだ!

 

「ピース、枕出して」

 

『周り人居ますよ?』

 

「手品って事に」

 

『認識阻害の魔法を自動発動します』

 

気配りができるな、コイツ。

 

「ありがとうそんで、おやすみ〜」

 

『おやすみなさいませ、マスター』

 

 

 

―????サイド―

 

 

 家に居てもする事がなく、寂しさに耐えられず、私は公園にやって来た。公園では仲良くボールを蹴りあっている男の子逹。砂場で何か創っている子、集まって話している女の人逹。私は、空いていたブランコに乗りその光景を眺めていた。

 

 どれくらい時間がたったのか解らないけど、女の人に呼ばれ帰って行く子供逹。公園に人が居なくなり、また寂しさが込み上げてきた。

 

「良い子でいなくちゃいけないもん。お母さん、お兄ちゃん、お姉ちゃん。みんな頑張ってるから」

 

だから我慢する。わがまま言って困らせたくない。嫌われたくない。でも、涙が目にたまっていき、つい

 

「寂し「うっさい」痛っ」ボフッ

 

いきなり後ろから柔らかい何かが当たり、後ろを振り向き

 

「夢の邪魔だ。泣くならよそで泣け!」

 

眠そうな目で私を見ている男の子がいた。

 




いかがだったでしょうか?
不定期で修正していくので続きが気になる方は『書け!』と感想くれたら早くなるかも?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。