機動戦士ガンダムSEED New desTiny 作:ジェド・アリッサム
戦場を離脱し、ミネルバへ向かうザクファントム。そのコクピットの中で、シンは先程までの事に思いを馳せる。
まさかこんなことになるとは思ってもみなかった。ミネルバの就役を控えて、翌日に迫った式典のために機体の整備に駆り出されていた自分が、成り行きとは言えモビルスーツに乗ることになるなんて。
ずっと欲しくて、でも手に入れられなくて、諦めそうになっていた誰かを守るための力。
とにかく必死だった。モビルスーツを動かすだけでそうだったのに、その上戦いにまで巻き込まれたのだ。しかも相手は最新鋭機のカオスにアビス。よく生き残れた、というべきなのだろう。
それに、守ることだってできた。初めて、自分の手で、誰かを。ようやく噛みしめられたその実感が、シンの心に温かいものをもたらす。
けれども、守れなかったものもたくさんあった。戦いの中で、たくさんの味方が墜とされた。ハンガーにいた人たちが吹き飛ばされた。生命が消えていく、その悲しみの声が確かに聞こえた。
シンは、操縦桿を握る自分の手を見つめる。確かに誰かを守ることができたこの手は、しかしあまりにも小さなものだった。
そんな、シンの膝の上。アグネスは未だに頭も心も、ぐちゃぐちゃのままだった。骨折の痛みもよそに、気持ちの整理がつかず、頭の中で纏まらない思考の断片がぐるぐると渦巻く。
アグネスにとって、シンは取るに足らない存在だった。そもそもアカデミーに入ったばかりの頃など、いたことすら気付かなかったほどだ。強いて言うならば、最初のシミュレーターでの訓練のとき、座席に座っただけでがくがく震えていた無様な奴がいたのを見て、よくザフトに入ろうとしたものだと思ったくらいか。
アグネスは、自分のことを優秀だと思っていた。そしてそれは事実だった。座学においても、操縦技術においても、格闘術においても、トップに近い成績を出し続けていた彼女のことを、優秀だと思わなかった者はいないだろう。
それだけではない。アグネスは自分が美しいとも思っていた。美貌で言えば、それこそあのラクス・クラインよりも。その程度はどうであれ、彼女の周りに群がる男たちは、確かにその美貌に魅了されていた。
他者よりも間違いなく優れている。他者よりも間違いなく美しい。そんな自分は、間違いなく価値のある存在だ。そう、アグネスは思っていた。
周りの人間は、そんなアグネスの価値を示すトロフィーのようなものだ。だから、より自分を飾り立てるものを選んだ。女の友人には自分に近しいランクのものを、男にはより優れたものを。
価値のある自分は、価値のあるものを手に入れられて当然だ。価値のあるものを手にしている自分は、価値のある存在だ。アグネスの世界は、そうやってできていた。
それゆえに、彼女にとってシンの存在は不愉快だった。自分に靡かないことはまだしも、明らかに自分より劣っていて価値のない奴なのに、アカデミーの首席であるレイと親しげにしている。それだけならば、この自分に見向きもしないレイがそういう嗜好の持ち主であると考えることもできたが、数少ない友人であるルナマリアまでも彼と親しくしていることは、理解しがたいことだった。
だからこそ、結局シンが緑服でアカデミーを卒業し、MSのメカニックになったことは、自分のほうが正しかったことを物語るようで胸が空いたものだ。
同じミネルバへの配属でも、優秀な自分やレイ、ルナマリアはモビルスーツのパイロットに選ばれ、一方シンはそれを整備する立場に収まる。アグネスには、それこそが分相応だと感じられた。今までが分不相応だったのだ、劣った立場で、と。
そんなアグネスの世界は、価値観は、今やぐちゃぐちゃにかき乱されてしまった。
それらは全部、シンのせいだ。自分よりも下で、緑服で、パイロットにもならなかったような奴に自分の機体を使われて。それで、あの戦場を切り抜けるさまを目の前で見せつけられた。
それはまるで、こちらのほうが劣っていると言われたかのようで。優秀な自分のことを、否定されたようで。言いようのない屈辱と悔しさが、アグネスの胸に広がる。
さらに、あのインパルスがやってきたとき。レイから来た通信が、アグネスに追い打ちをかけた。
彼は、自分のことを呼んだはずだ。モニターに映っていたのも、自分だったはずだ。それなのに、シンが声をあげた瞬間、まるでこちらのことなど目に入っていないように会話を交わし始めたのだ。
それが、シンだけでなくレイにまで自分を否定されたように感じられて、アグネスの心を抉った。
ズタズタになったプライド。それだけでなく、操縦桿を握ることもできずに戦火に晒されたことによって、アグネスの心には確実に重いストレスが圧し掛かっていた。
心に溜まった澱んだ感情に、死の恐怖からのストレス。常に危機的な状況にあったあの戦場から解放された今、緩み切った箍が吹き飛ぶのは、仕方のないことだろう。
「…………なんで」
静まり返っていたコクピットの中に、言葉が走る。
「なんで…………あんたなんかが……!」
「アグネス?」
「こんなもの!……っ!」
突然豹変した彼女の様子に、シンは困惑しながら名前を呼ぶ。それを無視してシートベルトを外し、立ち上がったアグネスは脚の痛みに顔を歪めた。咄嗟にシートに掴まるも、その腕からも痛みが走る。床に崩れ落ちた彼女が悲鳴を上げなかったのは、せめてものプライドの表れだった。
「無理すんなよ、怪我して…………」
何故アグネスがいきなり立ち上がるようなことをしたのかわからないままのシンは、しかし心配が勝って声を掛けようと彼女の方を向く。だが、その言葉は途中で止まってしまった。
アグネスの目に、光るものを見て。
そんなシンの態度までもが、酷くアグネスの気に障った。
「……っ!そうやって馬鹿にしてたの!?アカデミーの頃から、MSに乗れないふりなんかして!」
「っ!?」
感情を爆発させ、涙を流しながらシンに叫び散らすアグネス。
おもむろに自分に対して向けられた暴言と、見たこともない彼女の様子に、シンは驚く。これまで散々嫌味なことは言われて来たけれども、こんなにまで直線的に暴言を吐かれたことはなかった。
「……私より何もかも下の緑の癖に、そうやって!」
「……っ、何だよ、意味の分からないことをいきなり!」
あまりにも明け透けな自分を見下す言葉に、シンは怒鳴り返す。いつものような事実を織り交ぜた嫌味には言い返せない部分もあったが、このような意味の分からない難癖をつけられて黙っているわけにはいかない。
つい先ほどまで静かなはずだったコクピットの中が、二人分の怒鳴り声で埋め尽くされる。
「何よ!本当のことを言っただけじゃない!」
「何がだよ!馬鹿にしてたとか、MSに乗れないふりをしてたとか!」
「じゃあ何であんたが私のザクに乗れたのよ!?」
「それは!っ、それは……」
怒鳴り合いの中、アグネスの鋭い問いに、思わずシンは言葉に詰まってしまった。あんなにシミュレーターでもダメだった自分がなぜモビルスーツに乗れたのか、シン自身もよくわかっていないのだ。そんなことを、言い合いの中で咄嗟に答えられるはずもない。
答えに窮するシンを見たアグネスは、ここぞとばかりに畳みかける。さながら、この舌戦に勝つことで先ほど感じた挫折を糊塗するかのように。
「言えないってことは、やましいことがあるってことよね?やっぱりあんたはアカデ」
そんなアグネスの言葉を遮るように、シンの叫びが響き渡った。
「守ろうとしたんだよ!っ、あんたを!」
「…………え?」
つい先ほどまで大音量に埋め尽くされていた空間に、静けさが戻る。しばらく、肩で息をするシンの荒い呼吸の音だけが聞こえた。
やがて、ぽつりぽつりとシンの口から言葉が漏れ出る。
「……目の前で瓦礫に潰されそうなアグネスを見たら、身体が勝手に動いて。……MSの操縦なんて、やりたくてもずっとできなかったのに」
これまでずっと詰られてきて、挙句一方的な決めつけをされて怒鳴り散らされて。溜まったフラストレーションをぶちまけるかのように頭の中にあったものを叫んだシン。しかし、頭に上った血は、その一言で一挙に引いていってしまった。
わかっていたはずだ。自分が助けたアグネスという人物は、こういう人間だということは。
だからこそシンは、そんな彼女に対して、助けただとか守っただとか、そういったことを振りかざしたくはなかった。
それをしてしまったら、やっと誰かを守れたという事実が、くすんでしまうような気がしたから。
けれども、結局それを言ってしまった。そのことが、シンの心に影を落とした。
シンの叫びを聞いて、アグネスは最初唖然とした。一体何を言っているんだろうと。
しかし次の瞬間、ふと思い出す。MSハンガーで瓦礫が降ってきて、意識を失ったあの時。最後に聞いた、誰かの叫び声を。
すべての出来事が繋がっていく。なぜ、瓦礫に押しつぶされようとしていた自分が生きていたのか。なぜ、シンの操縦するザクの中で目を覚ましたのか。目覚めたときに最初に疑問に思って、しかし戦場の空気に呑まれて忘れてしまったその疑問の答えが、今になってわかる。
あの戦場でだけじゃない。その前から自分は、シンによって命を救われていたということが。
その衝撃に打ちのめされていたアグネスの耳に、更なる言葉が入ってくる。それが意味するところを理解したとき、先ほどまでアグネスが感じていた怒りや屈辱は全てひっくり返っていた。
ずっとMSの操縦ができなかったシンが、MSに乗って見せた。それに加えて戦闘まで繰り広げて、こうして生き残って見せた。
それもすべて、私を助けるために。
「……本当に操縦できなかったわけ?」
「……知ってるだろ」
ぶっきらぼうに答えるシン。それを聞いて、アグネスの内心に喜色が広がっていく。どうやら、こいつもようやく自分の価値に気付いたようだと。
やはり自分は、価値のある人間なのだ。これまでMSを動かすことすらできなかった男が、それを乗り越えてまでも助けようとするほどに。
わかってしまえば、これまでのことだってそれなりに自分の価値を証明してくれるようだ。あの出来損ないのシンがあんな風にザクを乗りこなしたというのも、全部私のためだとわかってしまえば、純粋に称賛することができた。性能の劣るザクでカオスとアビスの二体を相手取ってまで私を守ろうとしたなんて、守られるなんて柄じゃない私でも、そう悪くない気分になる。
「……なのに、私を守ろうとして?」
「……悪いかよ」
返答の度、自分の価値を確かめられるようで、アグネスは気分が良かった。
こんな男はまったくタイプではないし、ありえないけれども、こうやって自分に尽くしてくれるなら使わない理由はない。それを受ける権利を、自分は持っているのだから。
そんな、悦に浸るアグネスは、ついこんなことを口にしてしまう。
「……へえ!あんたもようやくわかったのね。私の価値ってものが」
「はあ?価値?」
自分には価値がある。だから、助けられた。それが、アグネスにとっての当然の理屈だった。
だが、そんな理屈を知る由もないシンは突然の言葉に困惑の表情を浮かべる。
その反応は、無性に彼女の神経を逆なでした。
「だから!私の価値がわかったから、あんたは私を助けたんでしょ!?私が赤服で、ミネルバのパイロットだから!」
「……なんだよ、それ。別に赤服でもなんでも、アグネスはアグネスだろ。俺はただ、あの時あんたが危ないって思ったら助けてただけだ」
「…………はあ!?」
これまで培ってきた価値観をぶち壊すようなシンの言葉に、激昂するアグネス。
蘇った怒りをそのままぶつけようとしたところで、通信が割り込んできた。
『アグネス!状況は……』
耳に入ってきたその声に、アグネスはモニターの方を向く。みれば、ミネルバがすぐそこにまで迫っていた。そして、その声の持ち主は勿論……
「艦長……」
『……どういうことかしら。それに、あなたは……』
「……あ、ミネルバ所属、整備班のシン・アスカです」
モニター越しに映る白服の女性に向かって、シンは返答する。タリア・グラディス艦長。流石にシンも、自分の配属になった船の艦長くらいは知っていた。
タリアは、モニターに映し出された二人の姿に、未だに状況を把握できずにいた。ミネルバへと接近してきた機体は、確かにアグネスのザクファントムだった。両腕を失い、損傷も激しかったが、信号からして間違いはない。
だからこそ、明らかに戦闘後と思しき機体を操っているのがアグネスではないという事態を、タリアは未だに呑み込めずにいた。操縦桿を握る彼が名乗った名前、シン・アスカ。辺りを見渡せば、目が合ったオペレーターのメイリン・ホークが頷く。アグネスの様子と併せて、少なくともミネルバの人間だということは間違いないらしい。
『艦長!アグネスが怪我をしてるんです。救護班をお願いします』
続くシンの言葉に、タリアは眩暈を覚える。この緊急事態に、パイロットが負傷したなど。そもそも、いつ負傷したのだろうか。どうしてシンまでザクに乗っているのだろうか。聞きたいことはいくらでもあったが、ここで言っても仕方がない。
「……いいわ、用意させます。オペレーターの指示に従って着艦してちょうだい」
『はい!』
モニターの画像が消え、メイリンの声がブリッジに響く中、タリアは一つ大きく息を吐いた。
「アーサー!アグネスから状況を聞いて!」
「は、はい!」
指示に従って、シンは機体を左舷カタパルトデッキに向かわせる。意外にも、その間アグネスは黙ったままだった。
そのアグネスはというと、激昂した瞬間に水を差されたことで頭が冷えたせいだろうか。先ほどのシンの言葉を思い返していた。
彼が自分のことを助けたのは、自分に価値があることの証明だと思った。けれどもシンは、その価値をまるでわかっていなかった。ならば、シンは一体何を以て自分を助けたのだろうか。自分の何を見ていたのだろうか。
……腹立たしい。それに、屈辱極まりない。緑服の分際で私の価値がわからないなんて、本当に癪に障る男だ。
そうやって、シンに対して初めに覚えたような屈折した感情を抱く一方、頭の片隅では不思議と言葉が反響する。
別に赤服でもなんでも、アグネスはアグネスだろ。
そんな自分に、アグネスは戸惑いと苛立ちを覚えた。
「くっ!」
四足になったガイアが、四肢の膂力から繰り出される圧倒的なスピードでインパルスに襲い掛かる。機動力の差に躱すこともままならず、レイは歯噛みしながら展開されたビームの刃による攻撃をシールドで受け止めるしかなかった。
そうして硬直したところに、頭上からカオスが降ってくる。振り下ろされたビームサーベルの一撃をエクスカリバーで受け止め、足先のビームクローをどうにか掻い潜ったレイは、横合いからのビームの一撃をどうにか空いたシールドで防いだ。
今。もしカオスの攻撃をシールドで防ぎに行ったら。自分はなすすべもなくアビスのビームに貫かれていただろう。レイの背筋を、冷たいものが伝る。
状況は最悪と言ってよかった。突貫を繰り返すガイアにただでさえ手を焼いている状況で、的確に援護してくるカオス。集まってきた増援もアビスに都度撃墜され、そればかりか片手間にこちらにまで攻撃を向けてくる。強奪したばかりの機体をこうも操って見せるとは、信じがたいことだ。
何より、こちらの頭数が足りなすぎる。常にほとんど1対3を強いられていることで、防戦に回ることしかできない。先ほど援護してくれたザクウォーリアも反撃を受けて片腕を失い、離脱してしまった。そして敵は、それに目をくれることもなくこちらだけを狙ってくる。
奴らがインパルスまでも奪おうとしていることは明白だった。そしてこのままでは、それは現実のこととなってしまう。せめてもう一機。もう一機でも援護してくれる味方がやってきてくれれば。
次々と墜とされるディンを横目に、レイはその端正な顔を歪めた。
ザクから降り、救護班にアグネスを引き渡したシンは、本来の業務に追われていた。すなわち、自分でこっ酷く壊した機体の整備に。
格納庫に降り立った時は、それは盛大な歓迎を受けた。コクピットが開いて、まず最初に姿を現したアグネスにはみんな喜色や心配を漂わせていた癖に、その後ろから顔を出した自分には罵声と怒声が向けられるなんて。
「ふざけんなお前!」
「アグネスにナニしやがったてめえ!」
「シン!!!!この!!!馬鹿野郎!!!!」
挙句、散々罵声を受けた自分を慰めるように近づいてきたヨウランからは、怪我をしていたアグネスを支えていた事をからかわれて、「このラッキースケベ!」なんて言われる始末。その時になってシンはずっとアグネスを自分の上に乗せていたことを思い出して、恥ずかしさと怒りから顔を真っ赤にした。
そんなことを思い出しながら、黙々と作業をしていたシンの脳内に突如電流が走る。
レイが危ない!
そう感じた瞬間、シンは機具を放って走り出していた。
「……不味いな」
そんな事はわかっている!
背後からの言葉に指摘されるまでもなく、タリアは目の前の状況を苦々しく見つめていた。いや、目の前だけでは無い。ちらりと後ろを見遣れば、そこに居るのはギルバート・デュランダル。プラント最高評議会の現議長の姿がある。
有事に国のトップをそのうちに抱える戦闘艦が、どこにあるというのか。タリアの頭痛の具合は、ますます酷くなっていた。
そんな中で、彼女は集まってきた情報と目の前の状況を照らし合わせながら打つべき手を思考する。
レイの駆るインパルスが、危機的状況にあることは間違いなかった。ならば当然、早急に援護を向かわせなければならない。しかしながら、次々と味方のディンやゲイツが堕とされる様を見せつけられれば、その手は鈍るというものだった。
確かに、ミネルバにはまだ機体もあればパイロットもいる。しかしそれは、艦を守る最後の戦力だ。直庵機を失った艦がどうなるかは、それこそ他ならぬザフト自身が先の大戦で示した。
出せば事態を打開できるとなれば、その博打を打つこともあっただろう。しかし、あの三機を相手するには、少なくとも赤クラスの力の持ち主でなければ話にならない。
だからこそ、ミネルバ所属の赤服であるレイが出撃し、ルナマリアは未だ機体に搭乗出来ずにいる中、唯一手元に帰ってきたアグネスにタリアは通信を入れたのだ。
彼女のザクファントムがカオスとアビス相手に立ち回っていたのはこちらでも確認できている。そんな彼女ならば、レイの元に向かわせられると思ったのだが……
「ええ!?」
「なに!アーサー!」
そんな彼女の思考を打ち切るように発せられた叫び声に、タリアは苛立ち交じりの声でアーサーを問いただす。
それを受けて、彼はおずおずと、しかし状況を変える言葉を発した。
「艦長……アグネスが、あのザクに乗って戦っていたのは自分ではなくシンだと……」
「今はそんな!」
そんな事はどうでもいい。そう言おうとしたタリアはしかし、はたと気付く。あの戦いをしていたのは負傷してしまったアグネスではない?ザクでセカンドステージシリーズとやり合っていたのは────
「……シン。シン・アスカ…………」
背後で議長が呟く声が聞こえる。何故そんな一整備兵の名前を知っているのか、そんな疑問が浮かんだ刹那、それを吹き飛ばすように手元の内線がなる。
「今度はなに!」
受話器を取った彼女の耳に聞こえてきたのは、件の人物の声だった。
『艦長!レイが、レイが危ないんです!』
「シン!?……レイが危ない?どういう事!」
タリアの言葉を聞いて。彼は、口元を薄く歪める。
ついに目覚めたのだ。運命の戦士が。人類の革新が。
彼──ギルバート・デュランダルは、自らの精神が昂るのを感じた。
それは、久しく彼が感じていなかったものだった。
アグネスは戦果で嘘をつくタイプじゃ無いはず
あとやっぱりみんなアグネス好きなんですね
おれもすき