推しのボ   作:モドラナイッチ

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奥義:30また会う日まで

 吾郎と謎の男の闘いは、両者が譲らぬ一進一退の攻防を見せていた。

 互いがこの闘いにおいて譲れぬ想いが有る故か、双方が普段以上の実力を出しているのかもしれない。

 ほんの少しの切っ掛けで、拮抗したバランスは瞬く間に崩れ去るであろう。

 まるで皮膚を削る様なヒリヒリとした緊張感が漂う中、長期戦の気配を見せる闘いに一度落ち着きを齎すべく、吾郎が一手を打つ。

 

「三色ボールペンを使う!」

 

 場持ちの良い三色ボールペンを使う事で、体勢を整えようという狙いだ。

 互いに消耗が激しく、そこまで大胆な動きは出来ないだろうとの読みであったのだが、ともすれば消極的にも見える吾郎の一手に、男は笑みを浮かべる。

 

「堅実だなぁ、先の事迄しっかり考えててよ。

 俺と違って、頭も良いんだろうなぁ...。

 だからあんたは、俺に負けるんだぁ‼︎」

 

 男の言葉に目を見開く吾郎。

 成程、先の彼の一手は確かに男の言う通り、堅実な手だ。

 取れる手段が限られた中で、客観的に見て彼の選択をミスと批難出来る者は少ないであろう。

 しかしその選択を、男は真っ向から否定した。

 ここぞという所でリスクを恐れる者に、勝利の女神は微笑まないのだ_と。

 

「リップクリーム、使い捨てマスクを発動...。

 あんたはこのコンボで終わりだ。

 ホットの缶コーヒー‼︎」

 

 男が発動しようとしている効果、それによって齎される結果を、吾郎の明晰な頭脳が瞬時に分析する。

 

(これは...、無限ループ⁉︎)

 

 これを通してしまえば、敗北は必至。

 ならば、迷っている時間等無い。

 吾郎が瞬時の判断の後、懐へと手を伸ばすと。

 

「布製マスクを二枚発動!

 リップクリームと使い捨てマスクの発動を無効にする!」

 

「何だと⁉︎」

 

 それは先の一幕で、ボーボボから託された二枚のマスクであった。

 受け取った時には、余程の事が起きなければまず使わないだろうと感じたが、その『余程の事』が起こってしまったのだから致し方あるまい。

 男もまた、今の吾郎の行動に驚きを隠せない様子だ。

 いくら敗北を避ける為とはいえ、彼の決断は余りにも大胆な一手である故に。

 先程自身が彼に下した『堅実』という評価とは真逆、強力だが扱い難い効果を使う決断に、評価を修正せざるを得なかった。

 

「効果の処理を行い、コーヒーを被る...。

 正直、驚いたよ。

 今のコンボを止められるなんて、あんたの事を少し甘く見てたみたいだ。

 だが、布マスクのデメリットを忘れた訳じゃねぇよな!

 その効果によって、あんたはここから二ターン、領収書を切る権利を失うんだ!」

 

 その言葉に表情を歪める吾郎。

 男の言う通り、強大な力には代償が付きものなのだ。

 男のターン分も数えれば、計四ターンもの間、吾郎は領収書を切る権利を失う。

 地の利の重要性を考えれば、戦場の主導権を相手に明け渡してしまったに等しい。

 

(いや違う、今のは使わなければ負けていたんだ! 気持ちを切り替えろ!)

 

 自身を叱咤し、考え方をポジティブに変える吾郎。

 成程、確かに今の自身の一手は、或いは最善手ではなかったかもしれない。

 冷静になって考えれば、よりリスクの少ない手段を探せるだろう。

 だがそれは結果論。

 この闘いに勝った後に、幾らでも反省すればいい。

 今、自身の双肩にかかっている最推しの人物の幸せの事を思えば、何という事は無いのだ。

 

 領収書を切る男を見遣りつつ、吾郎が気持ちを入れ直した時であった。

 彼の携帯が、ポケットの中で振動する。

 男が領収書を切るのに夢中になっている隙に電話に出ると、聞き慣れた看護師の声が聞こえてきた。

 

『先生、今どちらにいらっしゃいますか?

 星野さんの陣痛が始まりました。』

 

 それは、自身を招集する為の連絡。

 いよいよアイの方も、母としての戦いが始まった様だ。

 

「すまないが、少し厄介な相手に絡まれてしまってね...。

 彼女のストーカーの可能性が高い。

 他の先生に対応をお願いして貰えると助かる。」

 

『⁉︎ 分かりました。

 警察に連絡します、先生も決して無茶はなさらないで下さい...。』

 

 その言葉に薄く笑みを浮かべる吾郎。

 後は自分が時間を稼げば、アイの安全を確保出来るだろう。

 上手くすれば、この場で男を捕まえる事も夢ではない。

 不利な状況に変わりはないが、希望が見えている分、先程より気分は遥かにマシである。

 

 

 男の猛攻を三度防いだ吾郎は、肩で息をしつつ努めて冷静であろうとする。

 先の電話からの経過時間を考えれば、もう間も無く警察が病院の近くに到着する筈である。

 自分が釘付けにしている男を警察が逮捕してくれれば、当面の安全は確保されるだろう。

 

「ハァハァ、随分としぶといじゃねぇの...。

 だが、守ってばかりじゃあ、勝てねえぜ。」

 

「いいからさっさと領収書を切れよ。

 まぁ、三回連続で領収書切っといて、碌なダメージも与えられないんじゃ、自信も無くなるだろうがな。」

 

 自身の言葉に男が怒りを露わにする様子に、薄く笑みを浮かべる吾郎。

 このまま相手が冷静さを失ってくれれば、その攻撃にも精度が失われ対処もし易くなる。

 この闘いにおいて、勝ちに拘る必要は無いのだ。

 男が怒りに身を任せ、四度目の領収書を切ろうとした時であった。

 遂に、吾郎が待ち望んだ音が二人の耳に届く。

 

「クソッ、警察呼びやがったのか!

 いつの間に!」

 

「さぁどうする? まだ続けるか?」

 

 吾郎が投げ掛けた言葉は、この闘いの事だけではない。

 男がどうやってアイの情報を手に入れたのかは定かではないが、現時点では決定的な罪は犯していない、まだ引き返せる段階だと踏んでいる故に。

 そもそも、男がより計画性を持ってこの地を訪れていたとするなら、こんな怪しい風貌で接触を図る必要は無いのだ。

 それこそ、吾郎が病院にいない日を狙って、アイの関係者とでも言った方が余程彼女に近付ける可能性が高いだろう。

 つまり今回の行動は、何らかの手段で妊娠の情報を手に入れた事による突発的な行動。

 吾郎としても、同じ相手を推す人間が逮捕される光景等見たくはない。

 

「ククク、ハハハ...、終わりだなぁ、こりゃ。

 なら、もうどうにでもなれってんだー‼︎」

 

 そんな自暴自棄の言葉と共に、デュエルアンカーによって繋がった左手を自分の方へと引っ張った男が、バランスを崩した吾郎へと突っ込んでいく。

 最早吾郎の方も避ける事は叶わないタイミング。

 一か八かの賭けに出るしかない。

 

「このキシリトールガムで死ねやぁー‼︎」

 

「クソッ、アレン・アイバーソン‼︎」

 

 魂の叫びと共に二人が交差した刹那、片方の体から鮮血が舞った。

 

 

 

「へっ、ざまぁねぇぜ...。

 よう、どんな気分だ、先生様よ...。」

 

 胸に出来た大きな傷から大量の血を流し、大の字で地に伏せる吾郎を見下ろしつつ、男_貝原亮介は勝ち誇った笑みを浮かべる。

 呼吸を荒くしつつ、その言葉に反応する様子すら見せない吾郎は、正に虫の息といった状態だ。

 周囲に人の気配が無いこの状況で、近付いている警察車両が彼を発見すれば、まず間違いなく気を取られるだろう。

 流石にここから病院へ突入する事等出来ないが、少なくとも警察の目を逃れつつ離脱するだけの時間は十分に稼げる筈だ。

 『押し通る』等と宣いながら、こうして自分の前に敗れ去った相手を嘲笑するも、彼の胸元に気になる部分を認める貝原。

 街灯の光を反射したのだろうそれは、どうやら吾郎の名札入れに挟まれている様だった。

 より近くに寄ってその正体を確認すると、まるで信じられない物を見る目で吾郎を見つめる貝原。

 

「そ、それって...、それじゃあ、あんたもアイを...?」

 

 それは吾郎がさりなから託された思い出のキーホルダー。

 『アイ無限恒久永遠推し‼︎!』の文字列が、否応無しに彼がどういった人物なのかを示している。

 だからこそ、貝原には理解出来ない。

 彼もまた同じ情報を知りながら、何故平然としていられたのか。

 

「何でだよ...、あんた、ずっと近くにいたんだろ?

 何も思わなかったのかよ...?」

 

「そんな...、わけ...、ないだろ...。

 それでも...、それが...、俺の使命...、だからだ。」

 

「使命...、そ、そうか...、そうだよな。

 あんた先生だもんな...。」

 

 自身の問いに対して、息も絶え絶えながらに語った吾郎の言葉に、貝原も納得する。

 成程、医師としての立場を考えれば、妊婦が望む以上は安全に出産出来る様にサポートしなければならない筈だ。

 それこそ、自分よりも早い段階からアイの妊娠の事実を知っていた可能性が高いが、医師としての矜持も含め自分の感情に折り合いをつける時間も多く有ったと考えていいだろう。

 しかし、その考察に吾郎自身が補足を付け加える。

 これは自分で納得した上での行動なのだ_と。

 

「医者としても...、だが、ファンとしてもだ...。

 俺は...、納得して...、彼女の決断を後押ししている...。」

 

「な、なんだよ、それ?

 あの女は、俺やあんたを裏切ったんだぞ‼︎

 仕事だっつったって、何で納得出来んだよ⁉︎」

 

 理解出来ない言い分を必死で否定しようと喚く貝原。

 そうでもなければ、同じファンにしてしまった事を受け入れられないのだ。

 同じファンとは言っても、自分よりもライトなファンなのだろう、だから納得出来たのだと自分に言い聞かせる様に。

 

「だってよ...、推しの幸せを願うのが...、ファンだろ...。

 幾ら表で笑顔でいても...、裏で彼女が泣いてたら...、そんなの受け入れられねぇよ...。」

 

 その言葉を聞いた瞬間、貝原の顔は苦悶の表情に変わり、逃げる様にその場から走り去っていく。

 受け入れられない現実から、必死に逃れようとするかの様に。

 

 

 自身の状態についての正確な所は分からないが、恐らく自分は助からないであろうと吾郎は感じ取っていた。

 よしんば、傷を負う直前に聞こえてきた警察車両が自分を発見し、奇跡的に一命を取り留めたとしても、どちらにせよアイの出産に立ち会うのは不可能である。

 

(アイ、大丈夫かな、無事に産まれてるといいけど...。)

 

 彼が、自身の不甲斐無さを呪った時、聞こえる筈のない言葉が脳内に響いた。

 

『大丈夫だよ、せんせ。

 アイちゃんは絶対に大丈夫!

 なんてったって、私の最推しだし、せんせがずっと頑張ってきてたんだから!』

 

 事ここに及んで、未だに『彼女』の存在がちらつく事実に、内心自嘲する吾郎。

 最近、病院内で自身をロリコン呼ばわりする者が増えているらしいが、確かにこの体たらくではそれを否定出来ない。

 

『私、ずっと見てたよ。

 せんせがアイちゃんの為に頑張ってる所も、アイちゃんがちょっとずつせんせの前でもポコミちゃんといる時と同じ風に笑える様になってきてる所も。』

 

 『彼女』の言葉に、今日迄のアイと関わってきた日々を思い返す。

 正直に言って、吾郎にはアイが浮かべる笑顔の変化が分からないが、人の事をよく見ている『彼女』の言う事なのだから、その通りなのだろう。

 

『でも、これだけは怒らないとだなぁ。

 せんせってば、こっちに来るの早過ぎだよ。

 ポコミちゃんもアイちゃんも、急過ぎてビックリしちゃうよ!

 私もまだ生まれ変わる準備、全然出来てないのにさ。』

 

 それに関しては、許して欲しい。

 そもそも、男の方からこちらを捕まえたのであって、決して自分から勝負を仕掛けた訳ではなかった。

 それに、あのまま男が病院に突入していた可能性を考えると、自分が足止めした事の意義を認めてくれてもいいだろう。

 最後の言葉には、『彼女』の相変わらずぶりに内心笑ってしまう。

 尤も、これが自分の妄想だとするなら、自分の中に残るイメージなのだから当然とも言えるが。

 

(まだ生まれ変わりとか言ってんのかよ。)

 

『そりゃそうだよー。

 私はずっと言い続けるよ。

 生まれ変わっても、せんせの事が大好きだって。

 せんせ、約束覚えてるよね?

 16歳になったら結婚してくれるって。』

 

 吾郎は『真面目に考える』と言っただけで、婚約した覚えは微塵もないのだが、どうやら『彼女』の中ではそれは同義である様だ。

 しかしながら、吾郎もそれに素直に応じてやるつもりはない。

 モラリストを自認する一人の大人としては、もし本当に生まれ変わり等と言うものがあるのだとしたら、自分等よりももっと良い相手を見つけて、幸せになって欲しいのだ。

 

『分かってないなー、せんせは。

 せんせじゃないとダメなの!

 じゃなきゃ、こんな事しないよ!』

 

 これでも引き下がらないとは恐れ入る。

 一体、自分のどこが『彼女』の琴線に触れたのかは分からないが、その気持ちに応える為の肉体は、今現在間違い無く死に向かっている。

 ならば、『彼女』の想いが自分に届くとしたら、それは二人揃って生まれ変わる事が出来たら、という事になるだろう。

 そんな非現実的な現象に、『彼女』を付き合わせるのは忍びない。

 だからこれは、『自分等忘れてさっさと幸せになれ』という願いだ。

 『嘘は愛』_アイが語った言葉の凄みをこんな形で実感するとは思わなかったが。

 

「悪いな...、さりなちゃん...。

 もし...、俺と君が生まれ変わったとしても...、俺が18になる迄お預けだ...。」

 

 雨宮吾郎の最期の言葉は、誰に聞かれる事もなく、夜空へと吸い込まれていく。

 彼の亡骸が顔を向ける先には、スピカが力強く輝いていた。

 

 

 分娩室から、聞き覚えの無い泣き声が聞こえてくる。

 それが意味する所をヒカルと壱護が理解し、目を見開いた。

 

「おめでとさん、ヒカル。

 ほら、早く行って顔見せてやれよ。」

 

 父親となったヒカルに祝福の言葉を掛け、背中を押す天の助。

 涙を溢しながら頷き、彼が壱護と共に分娩室へと入っていくのを見届けた時であった。

 

「ぐおぉぉー、メガネの意識が流れ込んでくる‼︎

 ヤ、ヤメロォォー‼︎」

 

 謎の叫びと共に、首領パッチがまるで阿修羅像の様な六本腕の姿へと変貌する。

 

「こ、これって、第二のガネメ⁉︎

 首領パッチの奴、一体どうしちまったんだ⁉︎」

 

 それは、かつてボーボボとベーベベの戦いの際に見せた姿。

 ボーボボがガネメ補完計画を発動させた際に、彼と共に計画を進行したが、当然ながら彼はこの場では何もしておらず、首領パッチが変貌を遂げた理由に疑問符が浮かぶ。

 

「これは...、恐らくこの病院の近くで、メガネの残留意識が漂っていたんだろう。

 何らかのメッセンジャーの可能性が有るが...、今は様子を見るしかないな...。」

 

「メガネの残留意識ってなんだよ⁉︎

 頼むから変な事すんなよ⁉︎」

 

 ボーボボから、第二のガネメ出現についての考察が語られ、その意味不明な内容に警戒しつつ天の助もヒカル達の後に続いた。

 

 

「あっ、おじさんと天さん...。

 見て...、ちゃんと産まれてきてくれたよ...。」

 

 額に玉の様な汗を流しつつ、我が子の誕生を喜ぶアイが、ボーボボと天の助の入室に気付く。

 ヒカルと共に涙を溢しながら喜び二人の姿に、自然とボーボボ達も表情を和らげた。

 

「やったな、アイ!

 ヒカルも、本当におめでとうな‼︎」

 

「二人共、本当におめでとう。

 これで晴れて、『家族』だな‼︎」

 

 二人の祝福の言葉に、アイ達も目線を交わしつつ表情を綻ばせる。

 始まりは彼女達にとっても意図したものではないだろうが、その表情はただただ幸せを噛み締めるものだ。

 

「...そう言えば首領パッチさんは?」

 

 和やかな空気の中、壱護がこの場にいない者の存在に思い当たった時であった。

 まるでその言葉に応えるかの如く、第二のガネメがボーボボ達の間を縫う様に滑り込むと。

 

「入魂の一撃、『ガネメサンダー』‼︎」

 

 彼から放たれた謎の光線が、アイ達がそれぞれ抱える赤子へと命中すると、手の平サイズの人形へ変わってしまう。

 

「...いやいや首領パッチお前何してんの⁉︎

 これマジで洒落になんねぇって!」

 

 天の助が当然の如く慌てた様子で第二のガネメへと詰め寄る。

 余りの出来事に対して、アイ達がどういった反応を示したのか、恐る恐る彼が二人の方を見遣ると。

 

「...。」

 

「いやマジでやべえって!

 二人共死体みたいな顔になってるって!

 こんなのビュティにバレたら殺されるぞ⁉︎」

 

 アイ達の表情は、正に先程迄の自分達の子供に対して向けていた愛に溢れる表情のまま、死んでしまったかの様に固まったままだ。

 二人の側にいた壱護も、余りのショックに糸が切れた人形の様に壁にもたれかかっている。

 しかし、ここまでの光景を見て、黙っているボーボボではない。

 

「安心しろ。

 俺がガネメの意志を正しく導こう!」

 

「ボーボボ!

 信じて良いんだよな⁉︎」

 

 同じガネメの意志を司った者として、ボーボボが天の助の言葉に応える様に人形へと光線を放つと。

 

 

「せんせと...、さりな...ちゃん?」

 

 丁度、アイが休むベッドを挟む形で現れたのは、そこにいる筈のない二人の姿であった。

 アイが、自身が信頼する医師と、亡き友人の在りし日の姿に驚くのと同時、二人もまた互いの存在を確かめる様に手を伸ばすが。

 

「やべ、間違えた。」

 

 再びボーボボから放たれた光線を受けた二人は、晴れて元通りの赤子へと戻り、自身の両親の腕の中へと戻っていった。

 

「...もう何でもいいやぁ。」

 

 涙を流しながら、我が子を再び抱き締めるアイとヒカル。

 意味不明な出来事の連続に、子供の存在を確かめられた事で安心してしまった様だ。

 

「えっ、いや、あの...。

 今の、先生とアイの友達の子ですよね...?

 えっ、良いのこれ...。」

 

 正気に戻った壱護が、当然の疑問を浮かべる。

 アイ達の安堵の雰囲気に水を差す発言とも言えるが、流石に起きた現象を考えれば致し方あるまい。

 

「壱護さん...。

 新たな命の誕生に、戸惑いを覚えてしまうのも仕方が無い事でしょう。

 ですがそれは、アナタが真にアイとヒカルの事を...、この新しい家族を祝福している証拠ではないでしょうか?」

 

「そ、そんな風に言われますと...。」

 

「ふふ、天さん...、ありがとうございます。」

 

「ごらんなさい...。

 この子達の笑顔を!

 二人の間に産まれてきた事を、心から喜んでいますよ!

 これにて一件落着ですね。」

 

 

 何故か天の助が締めた。




 何だよ、この話...。


 気になってる方の為に、拙作中における双子の生まれ変わりの仕組みについて

 ルビー
 18話にてポコミのステッキを使ってさりなが変身した際に、彼女の魂の一部がステッキに残る→
 25話にて首領パッチがステッキを使ってアイを妊娠させ、この時さりなの魂が子供へと乗り移る

 アクア
 18話にて吾郎も上記の二人に協力した結果、魂の極一部がステッキに残る→
 25話にて妊娠した所迄は同じだが、この時点での吾郎の魂はほんの一部であり、ある種の生まれ変わる場所としてマーキングされた様なイメージ→
(仮にこの状態のままだと、吾郎の記憶が断片的に残ってはいるものの、アクアとしてはそれが誰の記憶なのか全く思い出せない感じです。)
 本話にて、吾郎が死亡し上記のマーキングを求めて彼の魂が彷徨っていた所をガネメが補足し、アクアの体へ注入

 以上、書いていても意味の分からない解説でした。
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