推しのボ   作:モドラナイッチ

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 本話のラスト辺りは、是非『メフィスト』のイントロを思い浮かべながら読んでいただきたいです。


奥義:66覚醒

「...おお、あかね君!

 現場に戻ってこれたのか...。」

 

 終始謎に包まれた、どころか『未練歌』なる意味不明な爆弾を投下して世間を騒がせたボーボボ一行。

 何をどうやったのか、会見場から『今ガチ』の撮影現場へと瞬間移動したとしか思えない彼らの内の一人である軍艦が、自分達が訪れたキャストの休憩室に黒川あかねの姿を認め、思わずと言った様子で声を掛ける。

 なまじ悪意無く、共に番組を盛り上げようとした行動が大変な騒動に発展してしまった事実は、彼としても悔やんでも悔やみきれないのだろう。

 

「ハイ、一応復帰は次の収録以降になると思いますけど、皆さんにも迷惑を掛けちゃったので、挨拶だけでもと思って...。

 軍艦さん達も、本当にありがとうございます。」

 

「お前が礼を言う事じゃねぇさ...。

 今回の件は、俺らももう少し慎重になるべきだった...。

 兎に角、元気そうで安心したよ...。」

 

「そうだぜ!

 それに、あかねがいてくれなきゃ誰も俺らの棋譜つけてくれねぇからよ!

 さっさと戻ってきて貰わねえと困るんだよ!」

 

 そんな軍艦の声に会釈を返すあかねの変わらぬ真面目さに、ボーボボ達も安心した様子を見せる。

 見知らぬ人間からの無数の悪意に晒されるという状況、そしてそれに追い詰められてしまった人間に対しては、例え彼らであっても出来る事は限られているのだ。

 周囲の人間が動くより早く、その人物の心が壊れてしまえば差し伸べられた手が取られる事は無くなってしまう故に。

 

「でもよぉ...、正直復帰するにしても何かしら対策はしておいた方がいいんじゃねぇか?

 性格的に向いてないのは変わらない訳だしよ...。」

 

「確かにね...。

 あかねもちょっとキャラ付けした方がいいと思う。

 素で出て叩かれるのってしんどいっしょ?」

 

「そうだな...。

 何かしら演じてたら、その『役』が鎧になる。

 演じるのは得意だろ?」

 

 しかしながら、復帰する以上は同じ問題を引き起こさない為の対策は必須となるだろう。

 ボーボボ達の会見によって、世間の声はバッシングから擁護へと上書きされつつあるものの、決して全ての人間の考えを変えた訳ではないのだ。

 根本的に『黒川あかね』のアンチである者や、他人を糾弾する事を日常のストレスの捌け口としている者は、そもそもの感情の起源が負の方向である故に、『あかねはあくまで巻き込まれた側』という理ではなく『黒川あかねを否定したい』という情を優先してしまう。

 天の助が言うまでもなく、あかねが急に恋愛リアリティショー向けの性格に変われる訳がない以上、『それに適した人物』を演じ精神的な防護壁とする方が余程健全と言えるか。

 

「そうなると問題は『どんな役』を演じるかだよな...。」

 

「今より多少なりとも目立ちつつ、好感度が下がらないってなると、例えば『同性からの人気が高い人』とかか...?」

 

「...或いは『好悪問わずその場を支配する様な存在感を放つ存在』か...。

 そう簡単に見つかれば苦労はないが...。」

 

 ある程度の方針が見えた所で男性キャストの三人が案を浮かべるものの、その言葉だけでは酷く曖昧なものだ。

 すると、それを聞いていたボーボボ達が何かしら思い当たる節が有ったのか、断片的に特徴を語り始める。

 

「太陽みたいな笑顔...。」

 

「完璧なパフォーマンス...。」

 

「まるで無敵に思える言動...。」

 

「吸い寄せられる天性の瞳...。」

 

 しかしその言葉は、そのどれもが余りにも抽象的な内容であった。

 期せずして、アクアの語った『その場を支配する存在』として四人が同じ人物を思い浮かべた故だが、それだけでは断片的に過ぎる為か他の面々は今一誰の事を話しているのかピンと来ていない様子だ。

 

「...あっ、もしかして__さんの事です?」

 

「ほう、よく分かったな...。

 全然世代が違うだろ...?」

 

「...アハハ、リスナーさんに教えて貰って...。」

 

「...。」

 

(いくらあかねでも、『彼女』の真似が出来るとは思えないが...。)

 

 すると、とある人物に思い至ったMEMが試しにとその名を語ってみれば、ボーボボ達から『正答』との反応が返ってくる。

 とは言え、その人物のファン層とは年齢層がズレている様に思える彼女からその名が出てきた事にはボーボボ達も意外な様子だ。

 歯切れの悪い返答の彼女や、その姿を何とも言えない表情で見つめる軍艦の様子を見るに、何かしらの事情があるのだろうか。

 

「えっと、頑張ってやってみます...!」

 

「やれやれー!」

 

「一発逆転だー!」

 

 当該人物の名をメモ帳に書き記すと、決意を固めたのかその人物の情報を集めるべく部屋を後にしようとするあかねに、幾分軽いノリながらもゆきとMEMからエールが送られる。

 彼女の『役作り』の成否は兎も角、少なくとも前向きに取り組んでくれている事を喜ぶべきとの考えからだろう。

 

「...なぁ、アクア。

 ああは言ったが、本当にあかねに出来ると思うか...?」

 

「...どうでしょうね...。

 アイツの演技力に疑いの余地は有りませんが、流石に現存する人間を演じるとなると勝手が違う様にも思えます...。」

 

 自分からその名を出した手前、本人の前では言い難かったのか、あかねの退室を見届けたボーボボが、同じく『その人物』を知る人間であるアクアに対し、現実的に今回の提案は可能なものなのかを問う。

 いくら『他人を演じる』という行為自体が共通しているとは言っても、自身に役として与えられ、演出家達とのディレクションを重ねて理解を深められる通常の演技と、実在し今も尚生きている人物の人格を模倣するのとでは、判断材料に差がある様に思えてならないだろう。

 行動や仕草の一つ一つには、その人物の癖、果てには人生経験や思考回路が現れる。

 詰まる所、本来他人に見せない様な所謂『素の姿』までもを捉えなければ、ただのモノマネにしかなり得ないのだ。

 これで、本人にインタビューでも出来るものならまだしも、独力での調査と考察だけではどうしても限界があると考えるのが自然である。

 

「まあ、そう難しく考えるなって。

 別に完コピしなきゃいけない訳じゃないんだし、あかねが『こういう考え方もありなんだ』位になってくれれば十分だろ。」

 

「確かにな!

 大体、あんな出鱈目な存在が二人もいたらこっちの身が保たねえよ!」

 

「フッ、パチさんが言うと説得力が有りますね。」

 

「んだと、このヤロー!」

 

 難しい表情が続く二人の会話に挟まれた天の助の言葉には、二人も成程と思わされた。

 確かに、『件の人物』の模倣は至上命題ではなく、あくまでも指針に過ぎない。

 先のゆきとMEMの反応然り、『あかねが番組に対して前向きに取り組む事』を重要視する方が、あかねにとっても余計な重圧が掛からずに済むであろう。

 また、仮に彼女が完璧な模倣を実現しようものなら、それは一時的とは言えボーボボ達に比肩し得る存在がもう一人顕現する事を意味する。

 もし、そんな状況が実現しようものなら、平時は周囲を振り回す側である彼らが事態を収拾させる側に回らざるを得なくなるのだ。

 その可能性がどれだけのものかを鑑みれば、あかねが準備してきたものに合わせられる様な心構えでいる方が余程建設的と言えるか。

 

「よし、そうと決まればあかねが安心して戻ってこれる様に特訓だな‼︎」

 

「...特訓って何するんですか?」

 

「何ってデュエマに決まってんだろ。」

 

「デュエマ⁉︎」

 

「当面の目標は、ノブユキを『真の決闘者』として覚醒させる事か...。」

 

「いやいや、アっくんも何真面目に返してんだって...。

 そんな漫画やアニメじゃねぇんだから...。」

 

 気持ちを切り替えた様子のボーボボが提示した『特訓』の内容に、驚き半分呆れ半分と言った様子のノブユキ。

 その内容がカードゲームでは、彼が失笑してしまうのも致し方ないだろう。

 ましてや、平時はキャストの中でも一際冷静沈着なアクアがいかにも真剣な声色で反応するのだから、最早タチの悪い悪ノリと感じてしまうのも自然な事であり、他のキャストと共に文句を言ってやるつもりで背後へと振り向くと。

 

「全員、右手光ってるーー‼︎⁉︎」

 

「視聴者にもバレてるよ...?

 ガルドに襲われたら、真っ先にやられるって...。」

 

「ねぇ待ってよ⁉︎

 もう俺のキャパいっぱいいっぱいなんだって‼︎

 読者も俺がまとも枠になるなんて予想してないって‼︎」

 

「訳分からん事言ってないで、さっさとデッキ組まんとマズイぞ...。

 ガルドが花魔王と結託したという情報も届いているからな...。」

 

「訳分かんないの皆だろ⁉︎

 何なの、そのガルドだの花魔王だのって⁉︎」

 

 

 

「あら、お帰りなさいあかね。

 また、何か『役作り』?」

 

 自宅へ戻るなり迎えてくれる母の質問を、挨拶と共に肯定する。

 児童劇団に入団した時には、まさか芝居を仕事に出来るとは思っていなかったし、両親からしてもそうだっただろう。

 現在は改善出来ているのかと聞かれれば疑わしいが、人見知りしがちで引っ込み思案な娘の活動に、余計な口出しをする事なく応援してくれたものだと思う。

 『今ガチ』に関しては、番組の性質上家族に観られるのは気恥ずかしさがある為観ない様頼んでいたのだが、結果的に面倒な騒動に発展してしまった故に知られていなくて良かったと思える。

 もし、知っていて尚この態度を貫いているなら、自分などより余程『天才役者』の称号が相応しいだろう。

 

「...そういえば、お母さんは『この人』ってどういう印象?」

 

 ふと、当該人物の全盛期をリアルタイムで実感した人間の感覚も参考になるかと思い立つ。

 と言うのも、自身が物心ついた頃にはその人物は芸能界において一定の地位を確立している存在であり、様々な活動を行っている事は現在と変わりはないものの、所謂『本業』の活動は落ち着きを見せていたのだ。

 いくらマルチタレントと称される人物ではあっても、やはりその才覚の真髄を発揮する場は大元の職業の筈である。

 資料の収集はしたものの、『その時代に生きた人間の声』はよりリアリティを感じるだろう。

 

「そうねぇ...。

 やっぱり、一際目を引くと言うか、一度見たら中々頭の中から離れないっていう印象かしら...。」

 

 母の言葉には同意する他ない。

 容姿の美醜は個人の好みに依る部分であるものの、『その顔を見たら簡単には忘れられない』という点について否定出来る者はそうはいないだろう。

 

「後は...、具体的にいつ位からっていうのは分からないんだけど、何か雰囲気が変わったなって感じた時期が有ったのよ。」

 

「へぇ...、具体的にどう変わったのかって分かる?」

 

 思い付きでしてみた母への質問だが、望外の情報を得られるかもしれない。

 最低でも10年以上前の事である為、情報の精度に疑問符がつくものの、変化を感じた瞬間というのはその場にいた者にしか分からないものである故に、断片的であっても情報が欲しい所である。

 

「うーん...、『特別目を掛ける存在』、『絶対に守りたいと思える存在』が出来たって言えばいいのかしら...。

 例えば、『子供が出来た』とかに近いかな...。

 だから、その後すぐ結婚とかって話も無かったから不思議だったのよね...。」

 

 これは予想以上に重大な情報かもしれない。

 母の感じた変化がいつ頃起きたのか、時系列の整理は必要だが、仮にその人物が自分もよく知る『とある人物』と出会った時期とタイミングが一致するなら、確かに『重要な出会い』であったと言えるだろう。

 

「ちょっと分かり難かったかな...。

 あかねにも好きな人が出来れば分かると思うわよ。」

 

「もう、変な事言わないでよ!

 私、部屋にいるから!」

 

 

 

 椅子に深く腰掛け、前方に広げた数多の資料を一つ一つ精査、情報をメモ帳に書き込み、壁へと貼り付けていく。

 『役作り』に取り組む際の、いつもの作業だ。

 

「特徴はやっぱりあの瞳...。

 自信から来るもの?」

 

 まずは外見的特徴から取り掛かっていく。

 演じる対象との外見的差異が大きい程大切になってくるプロセスだ。

 表情一つを取っても、目尻や眉毛の形、口角や視線の向け方等その一つ一つに個性が出る。

 『形から入る』とはよく言ったものだろう。

 件の人物の印象に残るパーツと言えば、やはり己に対する自信が窺える瞳が挙げられるか。

 先の母との会話然り、一目見た後に忘れられない強い印象を受ける要因の一翼を担っていると言えるだろう。

 この力強い視線を再現するのが一つの関門となりそうだ。

 

「だとしたら承認欲求は満たされてる。

 友人関係は薄そう。

 ...でも異性関係は何かあるだろうな。」

 

 自信に満ちた言動を鑑みれば、逆説的に承認欲求が満たされている事の証明となるだろう。

 件の人物と直接話した機会は両の手で足りる程度の回数ではあるが、実際に話してみると思った以上に目下の人間に対してフレンドリーに接してくれた記憶があり、今にして思えば精神的余裕の表れであったのやもしれない。

 とは言え、その性格の表面的な部分を見ると、正直に言えば好みの別れる人物であると言わざるを得ないだろう。

 ハッキリとした物言いも併せると、交友関係は狭く深くと考えるのが自然か。

 ただし、異性関係に関しては十中八九『何か』が起きたのだろう事が窺える。

 

「愛情の抱き方に何かしらのバイアス有り。

 一定の時期から破滅的行動に改善が見られる...、良い出会いがあったのはこの時期と考えてよさそう。」

 

 件の人物の対人関係の特徴として、非常に人の好き嫌いが激しい事が挙げられるのだ。

 確固たる己への自信、或いはそうあらねばならない使命感の様なものか、他者に迎合しようとしない言動が散見される。

 その一方で、自身が同格と認めた者や自身を慕う目下の者達、言ってしまえば懐に入れた者達に対しては包容力を見せている。

 これでは不必要な敵を作ってしまうのも当然と言えるが、幸か不幸かそれらを捩じ伏せてしまうだけの実力が備わっていたのも覆しようがない事実である。

 しかしながら、先の母の言葉然りその言動に変化が見られる様になってくるのだ。

 それまでの、『ただ己が強くある為』だけの力を『誰かの為に強くある』方向へと変えたと言えばいいだろうか。

 具体的に『どの様な出会い』だったのかは定かではないが、『守り、その者の為に尽くしたい』相手が見つかったという事なのだろう。

 

「秘密主義と暴露欲求。

 破天荒な言動に反し、完璧主義者。

 無頓着さと過度な執着。」

 

 そんな件の人物であるが、活動範囲の広さとは裏腹にプライベートを含めた自身の情報を自分から語る機会は驚く程少ない。

 それが本人の性格なのか、ミステリアスさを演出する広報戦略なのかは定かではないが、少なくとも公の場では『自分語り』をしない人物と言える。

 しかし、一方でその傾向が当て嵌まらないシチュエーションも存在する。

 他者との対談、特に相談を持ち掛けられると、内容によっては驚く程あっさりと自身のプライベートの経験まで明かしてしまうのだ。

 往々にして、突然の暴露に聞き手側が困惑する事になるのだが、当の本人に気にする様子は見られない。

 こう見ると秘密主義ではない様に思えてくるが、明かす情報はあくまでも自分自身の事のみに限られており、『その時誰といたのか』や『誰に教わった事なのか』等は徹底して伏せている。

 この事からも、自分自身に関しては自信を持って語る事が出来るが、『そうでない者も存在する』事を理解しているのが窺えよう。

 ただ他人に対する拒絶反応を起こすのではなく、一度懐に入れた者を慮る視野の広さも持ち合わせているのだ。

 

 それ故に、その言動に対する周囲の評価も極端に別れる。

 傍若無人、女王様気取りとの否定的な意見の反面、仕事に対するプロフェッショナリズムへの賞賛や『強く格好いい女性像』の旗頭と捉える声も存在している。

 ある意味では、それらも目が離せなくなる要因となっているか。

 

「視力は良い。」

 

 分析する。

 

「歩き方が大股。」

 

 考察する。

 

「ファッションは流行に敏感。」

 

 構築されていく。

 

「水泳が苦手。」

 

 ワタシノナカニ、アノヒトガデキテユク...。

 

 

 

「本日より、あかねちゃん復帰になります。」

 

「皆さん、ご迷惑お掛けして申し訳ありませんでした!

 頑張りでお返ししたいと思っています!

 よろしくお願いします!」」

 

 いつの間にか安立に替わって新しく就任したディレクターの言葉に続いてあかねが頭を下げると、周囲からも拍手の音が巻き起こる。

 復帰を歓迎する空気に彼女が胸を撫で下ろすと、ポケットの中にしまっていた『とある物』を取り出し、一度深呼吸を行う。

 

「...それ、パンの袋止めるやつか?

 それも『役作り』の一環か...?」

 

 彼女が手にしていた物_バッグ・クロージャーという名の代物に一度疑問符を浮かべるものの、すぐさま『件の人物』へ近付く行動の一環かと思考を切り替えたアクア。

 正味、この短い期間では彼女の『役作り』がどの程度の仕上がりになったのか判断し難いが、撮影に対する気持ちの持ちようが変わるだけでも十分と言えよう。

 『件の人物』と彼女とでは余りにキャラクターが違う故に、同じ持ち物を手にする事で思考を役に寄せようとしたと考えたのだ。

 

「それでは、カメラ回し始めまーす。」

 

「よーし、それじゃあ今日はこの折り紙で戦車を作ってみよう!

 さぁ皆一緒に、できるっ毛?」

 

「出来る訳ねーだろ⁉︎」

 

「先生、私達二人でロケット作れたよ!」

 

「マジで⁉︎」

 

「全然違う、やり直し。」

 

「いや十分凄いよ‼︎」

 

 そう、アクアも他の者達も油断していたのだ。

 出来る筈がない。

 例えあかねがどれだけの天才であったとしても、同じ天から与えられたとしか思えない様な存在感を放つ者の模倣が可能だとは思えない。

 あかねの才が唯一無二であるのと同様に『彼女』という存在もまた、唯一無二なのだ_と。

 

「えぇそうね、アクア君。」

 

「えっ...?」

 

 その場にいる者達は思い知らされる。

 

「アナタ達...。」

 

「えっ...?」

 

 本当の天才とは、そんな凡人の思考を容易く捩じ伏せ、蹂躙する存在なのだと。

 

「おふざけはぁぁぁぁ、許さなぁぁぁぁぁい‼︎」

 

「ぎゃああぁぁぁぁ‼︎⁉︎」

 

「キャアアァァァァ‼︎⁉︎」

 

 一瞬で持っていく。

 

「あ、あぁ...。」

 

「そんな...、馬鹿な...。」

 

「あかね...、お前は本当に...。」

 

 キャストも、スタッフも、カメラマンですら、視線を向けざるを得ない暴力的な存在感。

 

「何故なら私はあかねだから‼︎」

 

 伝説のボケ殺しの如きカリスマ性が、彼女に顕現していたのだ。

 

 

 

「ぬめり。」




 やはりあかねちゃん覚醒回は『推しの子』屈指の名シーンですねぇ。
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