待て、それ以上近付くな! 俺の性癖が歪む!   作:POTROT

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恩人と生徒会長代理

 さて、俺は先生としてここまでやって来たわけであるが、ここまで辿り着くまでに様々な生徒に死ぬほど世話になったし、今でも死ぬほど世話になっている。

 シャーレ部員の生徒達にはもちろん、色々な学校の生徒達には多種多様な場面で手伝ってもらっているし、アリウススクワッドやRABBIT小隊、ヴァルキューレ、傘下の元不良生徒達と言った俺の一存で動かせる勢力には、本当に申し訳ないくらい働いてもらっている。

 

 そんな色々な生徒に世話になりまくっている俺であるが、そんな中でも特に三人。

 他の生徒達とは一線を画すレベルで世話になっている生徒達が居る。

 

 まず一人目は、俺の頼れる最終防衛ラインにして秘書ことアロナだ。

 アロナの情報処理能力のおかげで助かった場面は数え切れないし、アロナバリアに関しては使わないと詰む場面が多いだけでなく、普通に便利すぎてヤバい。

 俺が現在こうして元気でいられる理由の半分以上は、アロナの働きに依るところだろう。

 最近ではプラナもバリバリ働いてくれているが、まだ来て日が浅いので、三人のうちには入っていない。

 

 で、二人目はワカモ。間違いなく俺が他のどの生徒よりも信頼してる生徒だ。

 コイツに関してはもう、使い勝手が良すぎてヤバい。

 いや、だって『俺がどんな事をしようが、俺がどんな命令を下そうが絶対に俺を見限らず、確実に裏切らないと言う確信が持てて、その上で全力で俺の命令を忠実に遂行してくれる、キヴォトストップクラスの実力を持ちながら知略に優れ、不良達を惹きつけるカリスマと高度な指揮能力、煽動力を持ち、裏方でもその能力を遺憾なく発揮して全力で俺をサポートしてくれる、俺の事が大好きな生徒』だぞ?

 使い所がありすぎて本当にマジで序盤も序盤の時からずっと働きまくってもらっている。

 何なら俺より働いてるんじゃねぇのってくらい働いてもらっている。

 

 しかもそれで『俺のために働くことこそが幸せ』とか言ってるんだぞ。本心から。

 一応ワカモの要望は出来る限り聞く様にしてるし、給金も出してはいるが、正直それでは全然足りないと俺は思っている。

 

 

 ……だから、多分……………………………………………────────

 

 

 いや、決めるのはまだ早いな。

 それが本当にアイツへの対価になっているかどうかわからん。

 ……まぁ、とにかく本当の本当に世話になってると言うことだ。

 

 さて、気を取り直して三人目が─────

 

「ヘイ! リンちゃん!」

「誰がリンちゃんですか。……ええ、ようこそおいで下さいました、先生。どうぞこちらへ」

 

 白い制服に身を包み、理知的な雰囲気を感じさせる眼鏡が特徴的な、黒髪碧眼の麗人。

 俺が初めに会った生徒にして形式上の上司。

 連邦生徒会長代理、七神リンことリンちゃんである。

 

 リンちゃんには仕事のやり方を教えてもらったりするだけでは無く、キヴォトス最高権力者として、名前を使わせてもらったり俺からの無茶振りをどうにかしてもらったりと、政治的な方面で本当に世話になった。

 今でこそたまにしか会っていないが、初期の方なんかは本当に毎日のように手伝ってもらっていた。

 

 そんなリンちゃんに軽く手を上げて挨拶すると、慣れた様子でツッコミを入れ、流れる様な動作で部屋の中心に据えられたソファを手で示した。

 ちなみに現在地はシャーレではなく、連邦生徒会本部。何やらリンちゃんが用事があるとか何とかと俺を呼び出したので、ヘリコプターでさっさと参上した次第だ。

 

「おう、失礼するぜ……っと」

 

 リンちゃんに示されたソファに腰を下ろすと、リンちゃんも俺の向かいに腰を下ろした。

 切れ長の涼しげな蒼い目が、眼鏡越しにこちらを覗く。

 

「では、早速本題に入りましょう。先生」

「おう。でもその前にちょっと言いたい事があるから言って良いか?」

「……では、手短に」

 

 何やら書類が入った封筒を机に置くリンちゃんにそう聞いてみれば、はぁ、と嘆息して目を閉じ、疲れた様にそう許可を出してくれたので、俺は遠慮なしにリンちゃんを指差して言った。

 

「俺の性癖が歪むからさ、このソファもうちょい後ろに下げれる?」

  

 いくら世話になっているとは言え、歪むものは歪むのである。

 距離を取らないと俺が色々とまずい。

 そう思ってそう言ってやれば、ピシリとリンちゃんが固まった。

 

「はぁ、やっぱり自覚ナシか……」

「…………ふぅ……もしかしてですが、ふざけてます?」

 

 俺の言葉に我に帰ったらしいリンちゃんは一つ嘆息すると、少しズレた眼鏡の位置を直し、長い髪をエルフのような尖った耳にかけ、明らかに怒りの感情を湛えた、凄まじい微笑みをこちらに向けた。

 当然、ふざけているわけがない。こちらとしては大真面目も大真面目である。

 

「全く、仕方ないなァリンちゃんは……仕方がないので俺が一から説明してやろう」

「…………」

 

 なんだかリンちゃんのこめかみに青筋が浮かんでいる気がしなくもないが、気にせず言葉を続ける。

 

「まぁ、色々と要因はあるっちゃああるが、最初にして最大の要因はやっぱりその制服だな、うん」

「……正式な連邦生徒会の制服の一種ですが」

「いや、そんなんは分かってるけどさ……どう考えてもヤバいだろそれ」

 

 確かにリンちゃんが着用しているのは、連邦生徒会から支給されている正式な制服、そのうちの一つだ。

 だが、正式な制服だからと言ってもヤバいものはヤバい。

 リンちゃんの着ているタイプの制服は……なんと言えば良いのだろう。トレンチコートとシャツとスカートを合体させた感じの、字面だけ聞くとよくわからんヤツの上からロングコートを羽織っている、といった具合なのだが、この服装のツッコミどころは主に三つある。

 

「まずその乳袋だよ乳袋。何でそんなに強調されてんのそれ? しかもその上で滅茶苦茶揺れてるからマジで目線持ってかれるんだわ」

 

 そう、乳袋である。

 それはそれはもうご立派な双丘が、白い生地に包まれて飛び出して、腰のコルセットのようになっている部分に乗っかっているのだ。

 これがとんでもなく目立つ上に、言った通り滅茶苦茶揺れるもので、数々の生徒たちと接して訓練されたはずの俺も、耐えようとしないと視線を持って行かれてしまう。

 

「…………機能性を考慮した結果です。先生がそう言う年頃なのは理解していますが、我慢して下さい」

「だから我慢するためにソファ下げて良いかって話だったんだが?」

 

 話聞いてなかったんかテメェ。

 

「ってかそれだけじゃねぇぞお前の服のヤバいところは。丈どうなってるんだよその服。股下何センチなんだそれ」

 

 他の生徒たちにも散々言ったが、リンちゃんのそれは他の生徒よりもさらに一歩踏み出していると言わざるを得ない。

 レベルで言えばアコと同じ程度。もはやほぼ尻だ。

 救いなのはしっかりとタイツでガードしてある事だが、それにしても短すぎと言う話である。

 

「……やはり機能性を考慮した結果です。先生には少々刺激が強かったかもしれませんが、我慢して下さい」

「アコにも言ったが、お前ら事務作業メインだろうがよ……そこまで短くする必要は無いだろうがよ……ってか俺に刺激が強いって理解してるんなら、もうちょい何とかなりませんかね……」

「なりませんね」

「何故」

「新しい制服を作るのは面倒ですし、先生の弱味は握っていた方が色々とやりやすい────もとい、活用できる場面が多くありますので」

「おうおうおうおう隠す気が微塵も感じられねぇなぁオイ」

 

 いやまぁ良いけど。

 連邦生徒会としては俺の手綱を握っておきたいって言うのは分かるから別に良いけど。

 それにしたって本人に面と向かって言わんでも良いだろうよ。

 

「はぁ……なんかもう色々と面倒になってきたが、折角だから最後の問題点も言っておくぞ?」

「はい、どうぞ」

「コートの隙間からたまに覗く肩とか腋とか。ちょっと刺激が強すぎるんだけど狙ってやってんのそれ?」

 

 と言うのも、先程俺はリンちゃんの制服をトレンチコートとシャツとスカートを合体させた感じのやつの上にロングコート、と説明したが、前者のよくわからない方、ロングコートで隠されているため普段は分かりにくいが、実はノースリーブなのである。

 そのためロングコートの隙間から剥き出しになった肩やら腋やらが見える事が、結構な高頻度で起こるのだ。

 

 正直言って破壊力がエグい。

 本人のルックスに加えて、普段は隠されている分、更に破壊力がエグい。

 もしこれを狙ってやってるとすれば、かなりのやり手だと言わざるを得ない。

 

「狙ってはいませんが、先生の視線がたまにこちらに移るので、こう言うのが好みであると言う事は既に把握していました」

「いや確信犯じゃねぇかオイ」

 

 そんなにか? そんなに俺の弱みが握りたいか?

 

「はて、確信犯とは。私はただ連邦生徒会としてでなく、一介の生徒として先生の趣向を理解しようと努力しただけですが」

「お前まさかこの前の報告書で散々文句書いた事根に持ってる?」

 

 この前の報告書、と言うのはシロコとホテルに行った後にリンちゃんに書かされたアレだ。

 俺は極秘書類と言う事でリンちゃん以外は絶対に見れないのを良い事に、『今回のは先生としてでは無く、一人の人間として苦労して取った休暇であるので、あんまりこう言う報告書とか書きたくないし、個人としての自由が一切存在しないのは流石にどうなのか』的な事を1000文字くらい書いてやったのである。

 先程のリンちゃんの台詞は、まさかその意趣返しなのだろうかと思って聞いてみれば……

 

「はて、何のことやら」

 

 それはもう最高に良い笑顔でそう答えるリンちゃん。

 

「……絶対に根に持ってやがるなぁ……ったく、何だ? 何がお望みだ? 土下座か?」

「要りません。ただ、今後はこのような事が無いようにお願いするのと……ああ、そうですね、もう少しお金を使って下さい」

「……やっぱり?」

「ええ、使い道がないと言うのは理解しているつもりですが、流石に溜め込まれすぎると影響が出ます。今でこそ問題はありませんが、なるべく早急に消費して下さい」

 

 そうだよなぁ……流石に兆は良い加減まずいよなぁ……

 

「不良生徒の受け皿を全国展開してみるか?」

「それでも構いませんが、管理は誰が?」

「……………素直に寄付とかボランティアに使ったほうが良い?」

「私としては寄付では無くボランティア活動を推しますね。キヴォトスは困っている人間に事欠きませんので」

「じゃあ、そうするかぁ……」

 

 こりゃあ今度会議だな。

 呼ぶ生徒は……その時決めるか。

 

「しかし、話が明後日の方向に飛びすぎたな。最初の話に戻るが、ソファ下げて良いか?」

「構いません」

 

 許可を貰ったので、ソファを持ち上げて少し後ろへ。

 こう言うところで日頃の筋トレの成果を実感する。

 

「……んで、何だって今日は俺を呼び出したんだ?」

「ええ、本題に入りましょう」

 

 俺がソファに腰掛けながら聞くと、リンちゃんが取り出したのは一枚の封筒。

 

「以前から先生がお話ししていた、SRT再興についてのお話です」

「………………………へぇ」

 

 こりゃあまた……クソ真面目な話になりそうだ。

 

 

 

 




 はい、リンちゃんでした。
 リンちゃんは他の生徒達と違って、どこまで行ってもあくまで仕事上の関係みたいな感じでいてくれそうってイメージあるんだよね俺。
 多分ウチのクソガキ先生と同じように、連邦生徒会長代理とか言う大役を背負っちゃったもんで『それどころじゃない』んだろうね。
 ウチのクソガキは一足先に安心しちゃったけど。



 ……で、マジでワカモどうしよう。(最推し)
 いや、だって『俺がどんな事をしようが、俺がどんな命令を下そうが絶対に俺を見限らず、確実に裏切らないと言う確信が持てて、その上で全力で俺の命令を忠実に遂行してくれる、キヴォトストップクラスの実力を持ちながら知略に優れ、不良達を惹きつけるカリスマと高度な指揮能力、煽動力を持ち、裏方でもその能力を遺憾なく発揮して全力で俺をサポートしてくれる、俺の事が大好きな生徒』だよ? しかもビジュも声も完璧だよ? めっちゃ好きだけど? 贈り物とかカケラは全部通常ワカモに突っ込んだし、今回の水着ピックアップに貯めてた石全部突っ込んだくらいには好きだけど? 

 でもなんか……なんかこう……違うじゃん!
 こう言う小説で『明らかにコイツ強すぎね?』とか『コイツ贔屓し過ぎじゃね?』みたいなのはなんか…………違うじゃん!
 いや、今更なのはわかってるんだけどさぁ……! 今まで散々ワカモの名前出して来たけどさぁ……! でも……でもさぁ……!
 
 俺はワカモが好きなんだよ! 今までの人生で出会ったキャラの中でどのキャラが一番好きかって聞かれた時、真っ先に思い浮かぶくらいには好きなんだよ! 
 だから俺は俺の『好き』を形にしたい!! でも『筆者としての俺』がその想いを邪魔するんだよ! 『筆者としての俺』が、数ある読者達の『推し』達を尊重したがってるんだよ!!
 
 本来ワカモはスズミの後にやるはずだったんだ!
 だが俺は書けなかった! まだまだ書けるタイミングは他にあるからと先回しにした!
 でも他の生徒達の話を書いていく時にどうしてもワカモがチラつくんだよ!
 その生徒に向き合わなきゃいけないのにワカモが頭の隅にずっと居るんだよ!

 書けば書くほどワカモ回の構想が出来上がっていく!
 書けば書くほどワカモへの『好き』が積み重なってゆく!!

 でもいざ書こうとすれば『筆者としての俺』が顔を出す!!
「本当にそれで良いのか」「この小説にその内容は相応しいのか」と問いかけてくる!!
「他の読者達の『推し』に不誠実ではないか。彼らの『推し』が可哀想じゃないか」と俺を諭してくる!!

 俺は……俺はどうすれば良いんだ……俺は、俺はワカモを…………………………………






 よし、開き直ろう。(ケツイがみなぎった)

ワカモ大勝利編

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