待て、それ以上近付くな! 俺の性癖が歪む! 作:POTROT
さて、ブルーアーカイブにはヤバい格好をした生徒が数多くいると言う話であるが、その中でも天雨アコを代表として特にヤバい、ぶっちぎりで頭のおかしい服を着た生徒が何人か居る。
何人か例を述べれば、先程述べたゲヘナ学園の天雨アコに、ミレニアムサイエンススクールの
そんな彼女らの纏う衣装は、明らかに『格が違う』のである。
いや冗談抜きで、本当にヤバい。現実に存在すれば速攻で通報されるレベルでヤバい。
そのヤバさを示すが如く、中国版ブルーアーカイブにおいて彼女らは悉くそのデザインに規制を食らっている。
ただしアコは横乳が服の色と認定されたのか、そのままになっている。
中国人的にもあの服のデザインはあまりにも意味不明すぎたらしい。
そんなわけで中国版において彼女らの衣装はいい感じに(それでもヤバいが)ナーフを食らったわけであるが、しかしこのブルアカ世界は日本語版。
彼女らの衣装は最高にヤバいままであり、破壊力は据え置きである。
Q.もしそんな生徒が来たら今の俺はどうなってしまうんです?
A.死んだんじゃないの〜?
とまぁ、つまりそう言うことであり、俺は今命の危機にあると言うわけである。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
扉を背で押さえ、肩で息をする。
額からは汗がダラダラと流れ、背中にはべっしゃりと濡れた感覚。
「す、すっかり忘れていた……! 今日は、今日はアイツの日だったのか……!」
「先生……? いきなりどうしたの〜……?」
「ッッ!!!」
ヒュッ、と。喉が音を立てた。
ヤツだ。ヤツがすぐ扉の向こう側に居る。
「そんなところに籠ってないで、こっち来て一緒にお仕事しよ?」
「無理!!!!!!!!!」
のほほんと扉越しに響いて来たその声に、あらん限りの絶叫で返答する。
いや無理。本当に無理。今この扉を開けたら性癖が歪む。死ぬ。
「むぅ〜……大丈夫、私もお仕事くらいできるよ?」
「俺が大丈夫じゃねぇんだよなぁぁぁぁぁぁああああああ!?」
引き下がる彼女に、再度絶叫。
そう、大丈夫ではない。全く大丈夫ではない。
何と言っても、今扉の向こう側に居る生徒は、あの
「えぇ〜……?」
百鬼夜行連合学園、修行部部長の春日ツバキ。
彼女はシズコ程では無いにしても、『眠り姫』の異名を持ち、寝る事に関しては誰も敵わない眠りのプロとして、百鬼夜行においてかなりの知名度を誇っている。
聞いたところによれば、眠りながらジグソーパズルを完成させたとか、眠りながらトランプタワーを組み立てたとか、眠りながらルービックキューブを完成させたとか、凄いのか凄くないのか、いかんせんよく分からない逸話があったりするらしい。
また、ちょっとした格下程度なら寝たままで鎮圧できる。
とまぁ、そんな彼女であるが、修行部と言うことで彼女も彼女なりの修行を行なっており、『眠り姫』の異名からもある程度は察しがつくだろうが、その修行とは『睡眠』だ。
『より安らかで完璧な睡眠』を目指し、常に修行している。
しかし修行と言ってもただの睡眠であるため、気付いたら
……と、ここまで彼女の概要について説明して来たわけであるが、こんなことは全く重要でも何でもない。
彼女を語る上で最も重要なポイントは、そう。
「お前ッ、服もスタイルもヤバすぎんだよぉおおおおッッ!!!」
彼女は服もスタイルもとにかくヤバい。
冒頭で述べた特にヤバい生徒達の中でも上位に位置する、或いはトップを張れるくらいにはヤバい。
まず上の服がセーラー服の襟の部分と、そこから前後にちょっとした布が垂れているのみであり、横乳……どころか、体側面が丸見えであり、背中も少し動けば布がヒラヒラと揺れるので背中もほぼ丸見えである。
前も、紐でキツく固定しており、本当に大事な部分は見えないようにされているが、しかし本当にそれだけであり、下乳あたりからスカートまで全て丸見え。
二の腕の途中まである長い手袋をしているが、それ以前にもっと隠すべき部分があると思う。
この時点でだいぶヤバいのだが、しかし下もエグい。
スカートを穿いているのだが、そのデザインがあまりにもおかしすぎるのだ。
まぁ、赤い縄でスカートを固定しているのは、まだいい。まだ百鬼夜行連合学園だからと納得できる。そこからそこそこ長い前垂れが垂れているのも、まぁいい。若干細すぎる気がしないでもないが。
まぁ、ここまでならそこまでであるのだが、しかし、あまりにもその他のツッコミどころがエグすぎるのだ。
まず、丈が短すぎる。
彼女も股下数センチ族であり、もはやスカートがほぼ隠す役割を果たしていない。
パッと見はそこそこの丈がありそうに見えるのだが、かなり高い位置で履いているためにスカートが覆えている範囲は殆ど胴と腰。
足の付け根より下が本当に数センチあるか無いかと言うレベルであり、もはや歩くだけで危なく、座ればもう完全にノーガード。
先程述べた前垂れのおかげで何とか見えてはいけないものは防げているものの、しかしそれだけである。
と、これだけでもう既にかなりヤバいのだが、しかしここでは終わらない。
彼女のスカートの横には、袴に見られるタイプのスリットが付いているのである。
帯のあたりから下向きに三角形に空いているアレだ。
アレが彼女のただでさえ短すぎるスカートに付いており、そこから彼女の腰と尻の側面が思いっきり顔を出している。何なら足の付け根の部分すら露出している。
黒い紐でその間は縫い止められているのだが、その黒い紐は今にもはち切れてしまいそうなほどにギチギチ。
かろうじてパンツは黒い紐に隠されて見えないのだが、見えないと言う時点でただでさえ細い黒い紐を超えるレベルの紐か、黒い紐がパンツの役割も果たしているかの二択である。
その上でスカート全体の生地が圧倒的に薄く、臍が表面に浮き出ていると来た。
しかもそれを着ているのが、ムチムチとした肉感の凄まじい、あまりにも良すぎるスタイルの持ち主である。それも相当な美人。
「何なんだよその服ッ!! 露出狂なのか!? 頭がおかしいのか!? どうしてそんな服を平然と着て街を歩けるんだお前は!? 自分のスタイルの良さと破壊力に自覚が無いのか!?」
腹から、どころではなく魂から声を出す。
そんな万感の思いを込めての俺の咆哮であるが、しかし。
「…………?」
「自覚持てよぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッッ!!!?」
本人は極めて不思議そうな声を漏らすのみであった。
そう、そうなのだ。そうなのであった。
作中で明確に『頭のおかしい服』と言われているアコとは違い、彼女の服に対する言及は、作中において一度も存在しないのである。
それはつまり、彼女の服はこの世界において『一般的』に属するレベルの服でしか無い、と言う事を指す。
言われてみれば、陰陽部とかその辺は横乳露出が標準装備だった。
……え? ってことは俺、今後百鬼夜行行く時アイツらと面と向かって話さなきゃならんの?
しかも百鬼夜行編って予告であったよな……?
………………………………………あれ? 死んだか? これ?
「う〜ん……よく分からないけど……先生、疲れてるんだね」
俺が絶望に打ちひしがれていると、再び扉の向こうから声がした。
「いや、別に疲れちゃいないが……」
「でも、お仕事やりたくないんでしょ〜?」
「…………まぁ」
俺が仕事をやるのは、それが生徒達のためになるからだ。
やらないでいいのならやりたく無い、と言うのは間違いなく本音である。
しかし今は別に仕事がやりたく無くてここから出ないわけでは無い。
出たら死ぬ事が確定しているから出ていないだけである。
「だったら、一緒にお昼寝しようよ。そこの公園でも、先生のお部屋でもどっちでも良いからさ」
そんな事を思う俺の脳内に、ツバキのゆったりとした声がするりと入り込んで来る。
「とっても気持ち良いよ〜……? すっごく幸せな気持ちになって、心も体もふわふわして……」
……そう言えば、最近は睡眠時間が短くなりがちだった。
6時間どころか、5時間、下手をすれば4時間も寝れない日だってある。
隈がなかなか取れなくなって、ワカモにも心配されたばかりだ。
それに昨日なんか所用で割と遅くまで連邦生徒会の方にお邪魔していたので、睡眠時間は2時間とか3時間くらいである。
……そう自覚すると、何だか急に眠くなってきたな。
「ねぇ、先生? 扉を開けて、一緒にお昼寝しよ……? 大丈夫、これは修行だから。おサボりさんにはならないよ〜……?」
……ふぅむ、そう、か?
まぁ、そうか。それなら……
「……ッ!!!」
思わず扉を開きそうになり、ハッとする。
そうだ。ダメだ。この扉を開けば俺は死ぬ。
一緒に昼寝なんぞ、したのならその時には俺の性癖は千々に弾け飛んでしまうだろう。
ダメだ。この扉を開けてはならない。絶対にダメだ。
「……気持ちは嬉しいが、そう言うわけにもいかんのでな……」
「えぇ〜? ちょっとくらい大丈夫だって〜……ほら、扉を……開けて……………」
「…………ん?」
ツバキの声に、何か違和感を感じた。
もしや、寝たのか? この状況で? え? 扉の前にいるよな? このままだと俺、出れなく……
「ッ!?」
急に、凄まじい力で扉が押し込まれる。
あまりにも急な事で対応が遅れてしまい、指が通るほどのサイズの隙間を許してしまった。
「なッ……ま、まさか!?」
ツバキのヤツ、まさか寝たままこの扉を押し開けようと……!?
「おい、ツバキ!? 起きろ! 起きろツバキ!!」
必死に扉を押さえながら叫ぶが、しかし返答はなく、力はますます強まるばかり。
このままでは本格的にマズい! 押し切られる!
「おい! トキ! 俺を助けろ!! このままだとマズい!!」
俺の力では無理だとトキに助けを求める。
しかし。
『ごゆっくりお休みください。寝室は温めておきますので。私で』
「アイエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!?」
まさかの裏切り!!
よりにもよってこのタイミングで裏切るかこの面白メイド!!
『イエーイ、ピースピース』
「黙れェ!!! こ、こうなったら……ワカモ! おいワカモ!!」
「はい、あなた様♡」
俺が呼べば、ワカモは俺の目の前にシュタッと現れた。
「よし、よく来た! この際なんでこの
「畏まりました♡」
ワカモがコクリと頷いた、次の瞬間。
「……ッ!?」
俺はドアから引き剥がされていた。
押さえのなくなった扉が、バァンと勢いよく開く。
「すぅ……すぅ……んんぅ……」
倒れ伏した俺の目の前には、目を閉じたツバキ。
ゆらり、と。目を閉じ、眠りに落ちたまま、彼女はこちらへ近づいて来る。
「くっ……なぁッ!?」
俺は即座にナノマシンを起動し、この場からの撤退を画策する。
しかし、その前に何者かによって妨害されてしまった。
顔を上げて見れば、そこにいたのは今まで俺を守り続けてくれた、従順だったはずの狐の姿。
「わ、ワカモ……! ワカモ……!? な、何故だ! 何故俺を……!?」
「申し訳ございません。しかし、これもあなた様が仰った事です」
「な、何だと……!?」
心当たりが無い。
「ええ、『俺が無茶をするようであれば、ぶん殴ってでも止めろ』……と」
「な、ぁっ……」
「御安心ください。いつも通り、私もご一緒しますので」
「…………う、お、あ、ああ」
ツバキが、すぐそこに居る。
「この方をお連れするのはあなたに任せましょう。さ、こちらへ」
「おおあ、あ、あああああ、あああああああああああッ!」
アッ───────────────────────────────────!!
ちなみに滅茶苦茶よく寝れたし、性癖は割と無事だった。
結果オーライであるが、今後同じような展開になったとき、また無事で居られるか保証は無い。 この対策はきちんと練らねばならないだろう。
ワカモ大勝利編
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作れ。
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作るな。