待て、それ以上近付くな! 俺の性癖が歪む!   作:POTROT

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解説と歩く説明書

 白亜の予告状を解決した翌日。

 濃厚な三日間は過ぎ去り、俺はいつも通りの仕事漬けの日々に戻ってきたわけであるが……戻ってきて早々、俺はとある問題に直面していた。

 

「と言うわけでコトリ、俺が今現在直面している問題について説明を」

「了解しました! それでは説明いたしましょう! 我らが先生は先日までの3日間の出張において、盗品オークションの支配人、明太郎の悪事を暴き、同時に盗品オークションの参加者全員の逮捕まで行ったわけですが、その盗品オークションの参加者というのが経済界においてはかなりのネームバリューを持つ方々で、そんな方々を一斉に逮捕してしまったものですから、キヴォトス経済界のバランスがかなり怪しいことになってしまったのです! そこで先生はその穴を埋めるためにこうして会社や資産家をハシゴして、方々と様々な協議を行なっているわけですね! 私は専ら開発専門なので経済方面にはあまり明るくないのですが、すごく大変なことになっているというのはわかります! 連邦生徒会財務室長のアオイさんもカンカンでしたね!」

 

 ……とまぁ、つまりこう言うことである。

 全く、何だって犯罪者どものためにこうして俺が動かなきゃならんのかね。

 こう言うのを考えるのは本来俺の仕事じゃないだろうに……いやまぁ、俺が勝手に経済方面に手を出したから考えざるを得なくなってるわけなんだが。

 それにコトリの言う通り、アオイにもカンカンに怒られるし……

 

 ……あ、そう言えば今日の当番はミレニアムサイエンススクールが誇る、技術力と功績、ついでに予算と被害額のスケールが無駄に巨大な部活ことエンジニア部から豊見コトリさんにお越しいただいている。

 一応自然科学が専門ではあるが、しかしちょっとした豆知識からガッツリとした専門分野まで様々なことに精通しており、その知識量は膨大の一言で、一度話し出すと止まらない。

 何かしらの機械的なトラブルがあればどこからともなく現れては状況解説を始めると言う、ミレニアム内でも有数の変人として名を馳せている。

 

 そして外見は小柄な体に金色の髪、赤い瞳と、涙のデザインが可愛らしいメガネと、割と正統派な可愛い系メガネ美少女なのだが……

 まぁ、その、なんだ、うん。

 格好がすごい。

 

 明らかに丈の足りていないぴっちりとしたワイシャツの襟をネクタイで締め、何故か開けている胸の谷間にそのネクタイを挟み、下から出すと言う、この時点でもちょっとよく分からない服装をしているわけなのだが、何故か胸の真下を黒いベルトのようなもので締めて胸を強調していたり、サスペンダーらしき何かでチャックがほぼ全開になっているスカートを吊るしているので普通にお腹が見えていたり、そしてその上から見るからに暑そうな毛皮のコートを着ていたりと……うん、正直見たまんまを説明しているだけでも訳わからなくなってきた。

 こう言う時こそ、解説が必要というものだろう。

 

「と言うわけでコトリ」

「はい! 何が『と言うわけ』なのかはサッパリわかりませんが、何でしょう!」

「いきなりぶっ込むようで悪いんだが…………その服、何?」

「……はい?」

 

 俺の質問に、コトリはコテンと首を傾げる。

 そしてそのままピシリと固まってしまった姿は、まるで頭の上には巨大なハテナマークが浮かんでいるようでもあり、他の表現をすればクルクルとローディング中の表示が浮かんでいるようでもあった。

 

「何……と言われましても、ミレニアムの制服ですが……ハッ、もしや、制服についての説明をお望みでしょうか!?」

「いや、違う違う。そう言うわけじゃない。そうだけどそうじゃないんだ。……ああもう、難しいな言語ってな」

「そうですか……? では一体どう言う事なのでしょう?」

 

 そう言って眉を歪めるコトリは、どうやら本気で困惑しているようだ。

 いやまぁ、俺としても困惑したい気持ちでいっぱいなんだけどね。

 

「えーっと……じゃあ一つ一つ聞いていくぞ? まず、そのシャツはどうなってるんだ? サイズ、合ってなくないか?」

「そうでしょうか? この上なくピッタリであると思うのですが」

「体のラインにはな? 丈が合ってないのよ丈が」

 

 普通、臍の上くらいまでしか丈が無いワイシャツのサイズをピッタリであるとは言わないのだ。

 って言うか本当にどうなっているのだろうかコレ。

 彼女の中々に立派な胸部装甲がしっかり包めている以上、余程のトランジスタグラマー用でも無ければ丈が足りないなんてことにはならないと思うのだが。

 ……いや、もしやコレが正しい形なのか? 臍出しワイシャツ的な感じで……いや、流石のキヴォトスでもそれは無いか。

 

「うーん……ピッタリだと思うのですが……特に誰にも何も言われないですし……」

「ああそう……」

 

 マジでどうなってるんだろうキヴォトス。

 いや本当に何がどうなってるんだろうキヴォトスの服装事情。

 アコのが変な服ならコイツも変な服だろ。どう考えてもおかしいだろコレ。

 うーん……一旦ちょっと確認しておくか……

 

「…………なぁ、エイミの服装ってどう思う?」

「エイミさんですか!? 彼女はまぁ、あまり面と向かっては言えませんが、もうちょっと隠した方がいいと思います! 流石にアレは出しすぎですよ! 彼女の体質からしてみれば確かにアレこそが最適解とも言えなくも無いですが、それにしてもやり過ぎです! あっ、そうです! 今度の新しい発明には冷却機能の付いた服を用意するというのは……」

「はいストップ。そこまで」

 

 うん、やっぱりエイミはアウトだよな。

 アレはまぁ、うん。もう、ね。

 ……って言うか近いうちにアレの当番も来るんだよな……怖いなぁ……

 っと、いけない。思考が脱線してしまった。

 

「それじゃあ……ヒビキはどうだ。ヒビキの服は」

「ヒビキ……ですか? 何かヒビキの服におかしいところってありましたっけ?」

「嘘だろ……」

 

 いやおかしいところだらけなはずなんだがなぁ……

 まぁいいや。取り敢えず理解できないと言うことは理解できた。

 

「えーっと……それじゃあその、アレだ。胸の下に着けてるそのベルトみたいなのは何だ」

「コレですか!? コレはですね! 私の胸のサイズですと、何も押さえないでいるとシャツが浮いて、何とも不格好になってしまうので、ここで押さえているのです!」

「…………普通にスカートでは押さえないのか?」

「何を言っているんです先生! これを見てくださいよ! そもそも丈が足りないじゃないですか!」

「やっぱり足りてねぇじゃねぇかよ!」

 

 さっきと言ってる事が違ぇぞお前!?

 ピッタリって言ってただろうがよお前! おかしいところは無いとも!

 それとも何だ!? 丈が足りてないのはおかしい事じゃないとでも言うのか!?

 

「……えぇい、もういい! 次! そのスカートは何だ! 何で全開なんだ! そして何でサスペンダーなんだ! 普通に締めりゃあいいだろうが!」

「えっ、可愛くないですか!?」

「まさかのファッションだったのかよそれ!?」

 

 ウッソだろお前!?

 一体何がどうして……どうなって……えぇ……?

 着崩してるとかそう言うレベルじゃねぇぞ……?

 何だ? キヴォトス人と異世界人の美的感覚の違いなのか?

 普通に歩いてるだけでパンツ見えるファッションとか普通に痴女以外の何物でもねぇぞ?

 

「えぇっと……? その、何だ。こう、作業してる時の効率云々とかそう言う話じゃなくて、ガチのマジのファッション?」

「はい! ……いえ、まぁ、その、えっと、スカートのホックを締めていると座っている時に少々苦しいと言うのはありますが……」

「……ああ…………」

 

 そう言われて思い返すのは、まだ俺がブルーアーカイブをゲームとしてプレイしていた頃に見た、晄輪大祭の時のコトリのチア衣装……の、腹。

 うん、まぁ、色々とアレなので明言するのは避けるが、確かにずっと座ってたらそうなるよね、と言う感じではあった。

 

「ちょっ、先生!? 何ですかその反応は!?」

「……いや、俺も最近、運動量の割に食う量が増えてきたからな……」

 

 最終編のストレスから解放されて、抑えられていた食欲が戻って来て……って感じなんだろうが、部活動で消費できていた前とは違って、今はデスクワークがメインだからなぁ………

 一応サオリと一緒にトレーニング自体はしているが、それでも十分とは言い難いし……

 ナノマシンを使えばその辺も何とかならない事も無さそうだが、それはそれでなんか嫌だし……

 

「……うん、まぁ、この話はよしておこう。互いにとって良い話じゃない」

「は、はい。そうしましょう。私もちょっと……」

「と言うわけで、最後の質問に映るが。何でお前ネクタイを胸に突っ込んでんの?」

「胸? ……ああ、これですか」

 

 そう言って、コトリは自身の胸に突っ込んでいたネクタイを引っ張る。

 

「ふふふ……よくぞ聞いてくださいました! これはですね! 私が作った、とても吸水性、乾燥性に優れた布で作られたネクタイでして! このように胸に挟んで使用する事で、普通では汗で蒸れてしまう胸の合間の汗を吸収して外に出し、乾燥させる事で! 快適に過ごす事が出来るという優れ物なのです! そしてこれのすごいところはですね、通常であれば吸水性と速乾性に優れた素材といえば(C10H8O4)nポリエステルや(C3H6)nポリプロピレンですが、しかしこの素材は……おおっと、ポリエステルやポリプロピレンと言うのはですね、炭素と水素で構成された同じ分子構造がほぼ無制限に並ぶ重合体、即ちポリマーと呼ばれる高分子化合物でして、いわゆるプラスチックというものに当たります! 特にポリエステルに関してはポリエチレンテレフタラート、即ちPETが我々の普段よく使うペットボトルの主成分であるので、そう考えると身近に感じられるのではないでしょうか! またポリプロピレンの方も我々の生活には密に関わっておりまして、ポリエステルと比べて耐熱温度が高く、硬いという特性からタッパーなどの容器に用いられる事が多い印象ですね! 他にも色々な使用例を挙げると────」

「よーしストップだコトリ。取り敢えずそのネクタイがすごいものだってことは分かったが、今はまだ仕事中だからな。後にしてくれ」

「あっ、そうでした……では、また後でお聞かせしますね!」

 

 またもや暴走しかけたコトリにストップをかけ、止めさせる。

 いやはや危なかった。後もう少しで俺の脳が爆発して死ぬところだった。

 ……いやしかし、まさかそのネクタイにそんなすごい効果があったなんて……しかも結構まともな意味があったなんて……!

 アコの『排熱』の五億倍はまともな理由だぞ……!

 

「……ところで、先生」

「ん?」

「先ほどから少し気になっていたのですが、どうして今になってそのような質問を?」

「あー……いや、何。最近になって、お前らの衣装の肌色面積が多い事がどうにも気になってな……このままだと俺の性癖が危ないって事で、どうにか出来ないもんかと……」

「……ほほう?」

「あっ」

 

 俺が馬鹿正直に質問に答えると、コトリは妙に悪そうな顔をしてメガネを光らせた。

 ……マズい。やっちまったかも知れん。

 

「成程、成程。やはり先生も我々と同じ思春期……だから先程エイミさんやヒビキのお話をなさったわけですね?」

「ま、まぁ……おう。そうなる、なぁ……」

「ふふふ……これは良い事を聞いてしまいました! つまり私にもまだチャンスがあるって事ですよね! ああ! 開発意欲が高まって参りました!」

「おい……ちょっと? コトリさん?」

「こうしてはいられません! 早急に開発に入らなければ!!」

 

 と、そう叫んで、コトリはどこかに行ってしまった。

 ……いや、普通にまだまだ仕事、残ってるんだけど……?

 

 

 

 後日、モモトークで謝罪と、『繊維透視スコープ』なるものを開発しているという旨の連絡が来た。

 そんなモン間違っても作るなと言っておいた。

 だって絶対ロクなことにならないから。




はい。舞い戻って来ました。
そしてこの2ヶ月近い間に色々あったので宣伝をば。

まずX(旧Twitter)開設しました。
アイコンは生成AIで作ったリュウタロウです。
https://x.com/POTROT185078

次にFANBOXも作りました。
まだあまりコンテンツは充実していませんが、取り敢えずこの作品のパラレル世界線として
R-18小説『ワカモとの初体験』を置いておきました。今後色々追加していく予定なので、興味があったりPOTROTを応援したいとと言う気持ちのある方は是非どうぞ。
https://pot-rot.fanbox.cc/

そしてお題箱も作りました。
好きなシチュエーションとか書いて欲しいこととか突っ込んでくれたらハーメルンで出したり、そうでなければFANBOXに載せたりします。無料なのでお気軽にどうぞ。
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ワカモ大勝利編

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