アタシはキヴォトス一のジャズプレイヤーになる。   作:えーすえいち

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ヒナちゃん休んで

 昼過ぎの練習が終わると、ちょうどエリカ先輩たちもBDを見終わったらしく帰りにクレープを食べに行こうと誘われた。食べに行きたいのはやまやまなのだが、財布が少し軽いので断ろうとすると、「そんなん奢ってあげるからさー!いこーよー!」と肩を揺らされてしまった。先輩が後輩に奢るって普通逆なんじゃないのかとも思ったが、まぁ奢ってくれるのなら、ありがたくいただくことにしよう…。

 

「うまぁ…。」

 

 チョコバナナクレープをばくりと勢いよく口に含むと、チョコとバナナの約束されたマリアージュに、クリームの最高な甘さが味蕾を刺激する。今日はエビフライも食えたというのにおやつにクレープなんて。最高過ぎる。

 

「やっぱアオっち幸せそうに食べるよねぇ~。」

「わかる、なんか、もっと食べさせたくなる感じする。」

 

 エリカ先輩とキララ先輩と一緒に、クレープ屋のキッチンカーの近くにあったベンチに座ってクレープを食べる。誰かと一緒に食べるご飯がやっぱり美味しい。

 

「奢ってくれてホントにありがとうございます。いつか絶対返しますので。」

「いいのいいの!後輩なんだから大人しく奢られてな~?」

 

 ホントに良い先輩に恵まれたと思う。このゲヘナ学園はキヴォトスの中で一番犯罪率というか、問題が起こる確率が高い。今日の朝にあったみたいにちょっと歩いただけでスケバンやヘルメット団に絡まれることが普通だし、風紀委員がそれを毎回鎮圧して回っているのを見ると毎回大変そうだなぁと感じる。

 クレープを食べ終わってゆっくりしていると、向かい側から小さな影がこちらに近寄ってきてるのが見えた。一応ショットガンをいつでも出せるように用意をするが、こちらに来ているのが風紀委員長だと分かったので、戦闘の心配はなさそうだなと手を膝に戻す。

 

「ん~…お?おーい!ヒナっち~!」

 

 ヒナちゃんがこちらに来ているのにキララ先輩も気づいたらしく、大きな声でヒナちゃんを呼ぶ。前にあったバレンタインのパーティー絡みで一緒に下校するときがあったらしく、それでヒナちゃんとも仲良くなったらしい。

 呼ばれたのに気付いてヒナちゃんがこちらを振り向き、近寄ってきた。

 

「こんにちは、キララ、エリカ。それと、アオ。」

「ヒナちゃんこんちゃ~」

「風紀委員長じゃ~ん、クレープ食べに来たの?」

「いや、今日はシャーレの当番だったから…先生との仕事が早めに終わって、私の仕事に戻るところ。」

 

 何日寝てないのだろうか、目の下にまぁまぁ濃い目のクマができており今にも倒れてしまいそうな感じがする。先生がこれに気づかないはずも無いし、多分そこまで仕事やらせずに休憩させてあげたんだろう。多分シャーレに行く前よりかはこれでもマシになっているのかもしれない。

 

「ヒナちゃん、ちゃんと休んでるの?」

「えぇ、休憩はちゃんと取ってるわ。」

 

 うーんこれは休むつもりないな。多分先生も早めに戻って休んでほしくて早めに解放したんだろうけど、先生がちゃんと寝かさないとヒナちゃんは寝ないぞ。あの人は何というか、朴念仁という訳では無いはずなんだけど、ちょっとおかしいところがある気がする。噂ではイオリ先輩が先生に脚を舐められたって聞いたし。それをヒナちゃんに聞いても「先生がそんなことをするはず無いでしょう?」としか言わないしな…。

 

「それよりアオ、今日の朝スケバンを鎮圧してくれたの、ありがとう。」

「鎮圧っていうか、絡まれたから返り討ちにしただけなんだけどね。」

「…やっぱり、風紀委員会に入るつもりはない?」

「何度も言うようだけど、それはヒナちゃんがアタシと一緒にジャズしてくれるなら考えてあげるって言ってるじゃん。」

「はぁ…アオが居れば私の仕事も少しは減ると思うのだけれど。」

「手伝いは言ってくれたらいくらでもやるよ?ただ風紀委員会に入るつもりは無いってだけ。」

「…なら明日、手伝い頼めるかしら。」

「おっけー。ただちゃんとアタシが手伝うからその分休みは取ってよ。今回はそれが条件。」

 

 こうでもしないと多分休んでくれないだろう。とりあえず明日は風紀委員会に寄ることはちゃんと姉ちゃんに伝えておこう…。

 

「ねーねーヒナっちもクレープ食べて行こうよー!」

「え、えぇ…でもまだ仕事が…」

「糖分補給した方が仕事もはかどると思うけどナー。それとも執務室でずっと吹いてあげようか?多分アコ先輩たちにブチ切れられると思うけど。」

「…ハァ、分かったから引っ張るのはやめて…。」

 

 

 

【アオについてか…うーん、とにかくアオは強いんだ。あぁ、サックスの音っていうのもある。毎日、朝と昼過ぎに中央運動場で練習をしているらしいんだがな、風紀委員本部にいても音が聴こえてくるんだ。それでまぁ音が強いっていうのもあるんだけど、戦闘面でも強いんだよ。委員長が、毎回アオが風紀委員会にいてくれたら早く仕事も済むのにって溢すくらいには強い。その度にアコちゃんはあんなのが毎回来たら鼓膜が破れてしまいますって言ってるけど。どう強いって?う~んと、速さっていうか、一撃がすっごい重いんだよ。速さとか予備動作とかは私の方が速いけど、ただそれでも風紀委員の中に居たら私と同じくらいか、委員長の補佐になってたかもね。

うぇ、アコちゃ…いや補佐っていうか、いや右腕はアコちゃんなんだけど、痛い痛い!もしって話だからぁ!ホントの事言った訳じゃ無いから!】

 

 

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