「ついたぁっ!北海道っ!」
「あまり大きい声を出すと身バレしますよ!?リンネさんトップVtuberですからね!?」
そう、今私はリンネちゃんとオフで北海道旅行に来ていますっ!
* * *
「と、とりあえずどこに行きましょうか?」
「それは私が決めてあるよっ!」
「そうなんですか?次はどちらに?」
「酪農家さんが直接経営アイス屋さんがあるらしくってね?そこに行ってみたいっ!」
そんな場所があるのか……
調べてないわけじゃないが観光地ばかり調べていたなぁ……
「じゃあ今レンタカー借りてきますねっ!少しここで待っていてくださいっ!」
「じゃあ後ちょっとお茶飲んで待ってるねっ!」
そうして私は予約していたレンタカーを受け取り車のエンジンをかける。
すると問題なく動いた。
まぁそりゃ当然か……
というかリンネちゃん大丈夫かな?
リンネさん知らない人についていきそうな感がして怖いなぁ……
「ねぇそこのコスプレイヤーさん!僕たち君の事務所の関係者なんだけどさ!」
「え?事務所の人?なんかあったのっ?」
「そう!ちょっとトラブルが起きたからついてきてくれない?」
カフェに着くと金髪のチャラ男とガタイのいい男が誘拐まがいのことをしていた。
それアウトなやつでしょ!?
早くついてよかったぁ……
「リンネさん走ってっ!」
「え、マネちゃんっ!?」
私はリンネさんの手を掴み走り出した。
後ろから男たちの怒号が飛んできているがそんなもの気にしたらダメだ。
その後私たちは車に乗り込み急いで発進した。
「ちょっとマネちゃんっ!?あの人事務所の人でしょ!?なんで無視しちゃうの!?」
「あの人たち多分リンネさんを誘拐するつもりでしたよっ……あとうちの事務所はコスプレじゃなくてVtuberの事務所です」
「ゆ、誘拐……?なんでっ……?」
「そりゃあリンネさんが可愛いからじゃないですかね?」
「そ、それは照れるなぁ……?」
「とりあえず……知らない人についていっちゃダメですからね?いくら和國ほど命が軽くないとはいえ危ないものは危ないんですから」
「わ、わかったよっ!」
「とはいえ目を離した私が悪かったですね……これからは私がずっとリンネさんの隣にいますので安心してくださいね!」
「……へっ!?」
何かおかしいことを言っただろうか?
現在私は冷静じゃないから何かおかしなことを口走った可能性もあるけど……
でも最善策ではあると思うんだけどなぁ?
* * *
「つきましたよ……ここであってますよね?」
「あってるよっ!ここのバニラアイスが絶品らしいんだよねぇ……!」
「そうなんですか?」
辺り一面田んぼしかない道を進んだ先に一つの牧場と店があった。
これホントに合ってるのかな……?
「こっちに入り口あったよっ!」
「ホントですね……」
「お店やってますかっ!」
「リンネさんっ!?」
「やってるよぉ?あら!めんこい嬢ちゃんたちだねぇ?」
「ひぇっ!?お化けっ!?」
「リンネさん失礼ですよ……ひゃあ!?」
リンネちゃんの視界の先にはお婆さんが座っていた。
ただ店の電気が暗いためいきなりおばあさんの声が聞こえたと言う状況になる。
リンネちゃんがみていなきゃ気づけなかったと思うほど……
「あっはっは!なまらめんこいねぇ!」
「なまら?めんこい?お婆さん魔法使いなの?」
「それは方言ですよ……なまらがとてもと言う意味でめんこいは可愛いと言う意味ですよ」
「そうなのっ?おばあちゃんありがとねっ!」
「ご注文はあるかい?人気なのはバニラだよ?」
「じゃあバニラ二つっ!!」
「じゃあ席で座っててねぇ?できたら私が持ってくからぁ」
「ありがとおばあちゃんっ!」
「とりあえず外の席で待ちましょうか?」
「いや、おばあちゃん大変だろうからここで待ってて受け取るよっ!マネちゃんは疲れてるだろうから先座ってても大丈夫だよっ!」
気配りができて可愛くてってもう最強じゃん……!?
「まぁ私は隣にいますよ……じゃないと次はどんなトラブルに巻き込まれるかわからないのでね?」
「……スパダリマネちゃん?」
「ふぇっ!?」
て、照れるなぁ……?
「えへへぇ……」
「今度は幼女になってるっ!可愛い〜!」
「ちょ、本当に照れますって!?」
なんて赤面させながら悶えてると店主さんがアイスを持ってきていた。
見た目は普通のソフトクリームで専用のスタンドに立っている。
「はいお待ちどうねぇ?トッピングはお盆に乗ってるやつ自由に使ってねぇ」
「いいのっ!?ありがとうおばあちゃんっ!!
「い、いいんですか!?」
「お客さんなんてほとんど来ないんだからあっても困んだぁ!」
「そうなんですか……あ、これ美味しいですよリンネさんっ!」
ミルクが濃厚なのにしつこくない甘さがちょうどいい……
本当に美味しいやつだこれっ……!
「これ美味しいっ……!」
「こんなめんこい嬢ちゃんたちに言われたら旦那も未練なんてないべなぁ?」
「失礼かもしれませんが……旦那様は?」
「去年にこの店遺してポックリ逝っちまったんだ……アイス屋開くのが俺の夢ってずっと言っていたから畳むに畳めなくてなぁ?ほんと良い呪いよ……」
そうして今は亡き伴侶との思い出を懐かしむようにお店を眺める店主さん……
「でも最近儲けもなくてなぁ……そろそろ畳どきだべかねぇ?最後に美味しいって言ってくれたんだから旦那も満足だべな?」
「店主さん……」
「ねぇおばあちゃん」
「ん?なんだぁ?」
「おばあちゃんはこのお店を続けたい?」
いきなりどうしたんだろう?
何か考えがあるような様子だけど……?
「続けられるなら続けたいねぇ?この牧場と店はあたし達の夢だったからなぁ?」
「そっか……美味しいアイスありがとうおばあちゃん!また来るね!」
「あ、ちょっとリンネさん!?」
「私が生きてる間にだべ?死んでから来たら遅いからなぁ〜」
「大丈夫大丈夫!おばあちゃんはまだまだ全然死なないから安心してアイス屋さんしててっ!」
そうして早足で店を出てしまった。
私も早足で追いかける。
すると車の数歩手前で立ったまま俯いてしまった。
「ねぇマネちゃん?」
「……どうかしましたか?」
「私たち鬼は魔力感知が得意なんだ……ツノのおかげでね?」
「そ、そうなんですか……」
「でね?魔力ってのはその人自身の生命力でもあるの……若い人ほど吸収効率がいいんだけど……さっきおばあちゃんをみてみたんだけどね?魔力が少なくなってきてたのっ……!」
「そ、それってつまりっ……!?」
「あの人は長くないってことだよっ……」
あんなに元気だったのに先が短いなんて……
神様も意地悪なことをするものだ……
「それでも持って一年……短くても数週間は持つ量だったっ!!なら私は出来ることを出来るうちにやりたいっ!!」
「……てことは配信で話せばっ!!」
「それだと数日無駄にしちゃう……だからつったーで私が宣伝すればいいんだっ!」
つったー。
それはよくあるようなSNS……でも使用者が極端に多いと言う特徴がある。
だから宣伝や広告に向いてると言う性質がある。
私やリンネさんもよく配信予告に使っている。
「……でも私に判断する権限はない。仕事の割り振りは……マネちゃんの仕事でしょ?」
「……あっ!?」
ここでようやくリンネちゃんの意図がわかった。
「ねぇマネちゃん……私に仕事はあるっ?」
大きい信頼を含んだコトバ……なら私は応えるしかないじゃないかっ!!
だって私はマネージャーだからっ!!
「……ありますっ!!今から撮影交渉に行きましょうっ!!」
「マネちゃんっ……!ありがとっ……!」
そうしてリンネちゃんは涙を流しながら私に抱きついてきた。
ホントは恥ずかしいし緊張もする……けど今そんなことを言うほど鬼畜でも外道でもない。
「リンネさんっ……お仕事開始ですっ!!」
「うんっ!!」
お店の宣伝開始だっ!
大変遅れてしまい申し訳ありませんでしたっ!満足いくものを描こうとしたらいつのまにか時間が経ってまして……
ですがそのおかげでリンネの優しさと栞の愛をかける物語が描けたと思います。
大変長らくお待たせしました!ぜひこれからもお楽しみくださいっ!