Vのガワはガワじゃない!?   作:黒色火薬

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11件目 お休み返上宣伝開始っ!その2

「おばあちゃんっ!!」

 

「あれ?さっきのめんこい嬢ちゃん達だべ?なんか忘れもんでもしたんか?」

 

「いえ、実は少しお話ししたいことがございまして!」

 

社会人モードで話し始め、カバンから先ほどコンビニでコピーした書類を一通り出す。

一応でノートパソコンをカバンに忍ばせておいてよかったぁ……!

 

「私たちらいぶとーく!という事務所のものなんですけど……」

 

「やっぱあんた達芸能人さんかい?どうりでめんこいわけだぁ」

 

「ありがとうございます……本題なんですが、ここのアイスクリームとうちのタレントのコラボをしませんか?」

 

「コラボ……?こんな店とコラボなんかしたって儲けにならんべ?」

 

「違うのおばあちゃんっ!」

 

「鬼の格好した嬢ちゃんかい?なしたぁ?」

 

「儲けとか利益とかじゃなくって私がここがおすすめだからみんなに食べてほしいのっ!」

 

「ありがとうねぇ……でもこんな辺境にお客さんは来ねぇべよ?」

 

「そこは大丈夫です!人は限定品に弱いですからね……」

 

かく言う私もリンネちゃんの限定グッズのために結構遠いところまで行ったことがある。

ファンの心理がわかるのも私の強みだよね……!

 

「どうしますか……?いきなりですのでお断りされても仕方がないのですが……」

 

「嬢ちゃん達に迷惑かけるのは……」

 

「迷惑なんかじゃないよっ!私は私が大好きなものを広めたいのっ!だからお願いっ!」

 

「……あんたなら喜んで受けるんだべなぁ?昔っから可愛い子に甘くってそれで何回も喧嘩したけど……今考えればあんたは未来を見てたんだべなぁ?」

 

そう言ってお店の奥にあるであろう写真を見る。

 

「このお話受けさせてくれないべか?このお店を最後までやり切らんとあの人に合わせる顔がないからねぇ?」

 

「そ、そうですかっ!!ありがとうございますっ!!それではこちらの契約書にサインをお願いしますっ!」

 

「ありがとうおばあちゃんっ!!絶対成功させようねっ!!」

 

よし、これで宣伝や限定メニューの開発ができる……!

残り2日……それでなんとかしないと!

 

  * * *

 

なんやかんややあって2日後、お休み最終日。

コラボメニューの考案や権利関係をなんとか2日で終わらせて様子を見てから帰る予定だった……

 

「……今日から発売開始ですね?」

 

「そうだね?」

 

「私たちなんでここにいるんですか……?」

 

「おばあちゃん一人だと大変でしょ?だから私たちもお手伝いしないとって思っただけさ」

 

確かにVtuberのイベントなんて本州がメインだから北海道在住のファンはこのチャンスを逃すわけにはいかないんだろうなぁ……

まぁ私だったらいきなり離島でイベントが始まったら発狂するけどね!?

……さて一つ違和感を感じないだろうか?

 

「栞ちゃん?私の顔に何かついてた?」

 

「いえ……なんかすごく変わりましたね?」

 

とてもかっこよさを感じないだろうか?

まぁそれもそのはず……

 

「ねぇマネちゃんこれ似合う?いつも和服だから落ち着かないなぁ……?」

 

そう言って羽織っているジャケットをひらひらする。

現在のリンネちゃんは長い白髪を後ろに一つにまとめ、黒縁の伊達メガネをかけている。

そして低い身長を隠すために厚底のブーツを履き、目線が私と同じくらいまできていた。

まぁ要するにかっこいい女性みたいなリンネさんが真横にいた。

……殺す気ですか?

いつものぽえぽえボイスもいいけどきりっとしたイケボもとてもいいっ……!

あぁっ……マネージャーになってよかったぁっ……!

 

「ツノはコラボフェスだからわかるけど声とか格好をそのままにするのは流石にアウトだからねっ?だから近くのお店で買ったはいいんだけど……」

 

「やっぱりいつもと違うと落ち着きませんよね……和服に着替えますか?」

 

「いや、大丈夫っ!マネちゃんも慣れないことするんだし私も頑張るっ!」

 

この心の綺麗さも推す理由なんだよなぁ……

ほんと大好きぃっ……!

 

 * * *

 

「コラボソフトを2つください!あと瓶牛乳を4本をテラス席で!」

 

「ただいまお作りしますのでテラス席でお待ちください!アイス2牛乳4お願いします!」

 

「あいよぉ……あいメグリちゃん?これお渡ししてくれるかい?」

 

「わかったよおばあちゃん……お待たせしました、コラボソフトと限定瓶牛乳でございます。アイスはとても溶けやすいのでお早めにお召し上がりください」

 

「「あ、ありがとうございます……!」」

 

私がカウンターを受け持ち店主さんが料理を作成。そしてイケメンなリンネちゃんが配膳を担当している。

まぁ、ある程度予想はしていたけど……リンネちゃんに対して男女問わず顔を赤くしているなぁ?

ま、まぁリンネちゃんに微笑まれたら心臓がもたないっていうのはわかりみが深いけど……!

 

「あ、あのっ!そのツノってどうやって作ったんですか?」

 

「これですか?これは……企業秘密ですよ♪」

 

そう言って人差し指を自分の口に当て秘密とジェスチャーをする……

 

「ひゃうっ……」

 

あ、腰が抜けちゃってる……

助けてあげるかぁ……?

 

「お客様?突然倒られましたが大丈夫でしょうか?」

 

「い、いえ!大丈夫ですぅっ!」

 

「あ、行っちゃった……“メグリ”さんも罪な人ですね?」

 

「そう?じゃっ、仕事に戻ろうか?」

 

「そうですね……」

 

先ほどからメグリと呼ばれているのはリンネちゃんである。

流石にそのままの名前はダメだけど名前を呼べないのは仕事に支障が出るということで、

リンネちゃんを漢字で書いた時に”輪廻“になることからとってメグリという名前にした。

決まった時のリンネちゃんからネーミングセンスを褒められてしまった……!

やったぜぃっ!

あ、お客様がさらにきたぁっ!?

急いで捌かなきゃだよなぁ……

 

「ご注文はお決まりでしょうか?」

 

「あぁ決まってるぜェ?」

 

そう言って“元”お客様は懐から包丁を取り出して私に突きつけた。

 

「おいテメェら全員動くなァっ!!有金全部出せやオタクどもっ!!」

 

「……へ?」

 

「おいそこの店員っ!急いでこのバックに金詰めろやァ!!お前らは財布とて手を机の上に置けェ!!」

 

えっと……これ強盗ってやつ?

そして私今包丁突きつけられてる?

……これが現実だと思えないなぁ?

少し前まで忙しいながらもお客様とお話してたのに今目の前には包丁を突きつける強盗と怒りに震えるリンネちゃんが……へ?リンネちゃん?

強盗の後ろで怒りで顔を赤くし、眼光がない目で強盗を睨んでいるのが視界の端で見える。

Vのガワで言うところのヤンデレフェイスに似てる……

 

「ねぇ……」

 

「あァ?なんだテメェ?テメェからしにてぇのかァ?」

 

「私の栞に何してるの?」

 

そう言って殺気全開で話しかけるリンネちゃん……他のお客様も少し萎縮してしまっているのがわかる。

ちなみに私は……

 

「……へぁ?」

 

わ、私の!?へ!?どう言うこと!?

真意を知りたいっ……!

なんて顔を赤面させながら照れていました!

だってねぇ!?推しから私の宣言されたらそりゃあねぇ!?

あぁもう言語化が出来ない……!

もうリンネちゃんはそう言うこと普通に言っちゃうんだよなぁ……

マネージャーが私でよかったよ全く!私以外だったらガチ恋しちゃうもんねっ!!

 

「とりあえずその包丁を下げてくれないかな?」

 

「下げろって言われてはいそうですかって下げるやつはいねェだろ?」

 

「……覚悟もないのに武器を向けないで?刺せるの?ほら私を刺してみなよ?」

 

「な、なんだよお前?自殺志願者のキチガイか!?」

 

「刺せないでしょ?まぁ脅している時点で刺す気はないよねぇ?」

 

「じゃあっ!!こ、こいつがどうなってもいいのかァ!?あ“ぁ!?」

 

そう言って私の頭を掴みレジテーブルに叩きつけ、ナイフを首元に当てる。

なんなら刃が当たって少し切れている。

 

「い、痛いっ!?」

 

「栞ちゃん!?……君今やっちゃいけないことしたよ?」

 

「今どっちが上かわかてるのかァ?こっちは包丁を持ってるんだぞォ?」

 

「……じゃあこれでも?」

 

「へ?」

 

そうしてどこからか一振りの刀を取り出す。

それはどこか美しく、そしてどこか禍々しくもある綺麗な一振りだった。

赤色の鞘に刻まれた真紅の円環のような紋様……家紋だろうか?

リンネちゃんの名前をそのまま表してるみたいだし刀匠は“わかってる人”だろう。

ただ一つ刀としておかしいところがある。

それは、鍔と鞘が下緒によってガッチガチに固定されてる。

このままではせめて鈍器がいいところだろう。

……サラッと異世界の技術使ったな!?これ私怒られる!?

 

「これでやめてくれる?私の方が上ってことになるけど?」

 

「……はっ!その刀抜けないんだろ!なんも変わらないぜお嬢ちゃん?」

 

「私は何もしないさ。……さぁ、あなたが廻り廻って到着するのはどこだろうねっ?」

 

「……実は家族を食わすにはこれしかなくって……!」

 

リンネちゃんが刀を抜いた瞬間男は人が変わったように怯えてしまった。

いや……狼狽か?

そして気がつけば語り出してしまった。

私の首にナイフ突きつけられてるんですけどぉ?

男の言い訳をまとめると、元々現場作業員だった彼はいきなり会社の不況のせいで解雇されてしまった。

会社に勝手に自己都合退社にされてしまったためお金も降りず家族を食べさせられない状況だったと。

そして保険金のために死のうと散策したらこのお店を見つけたと言う。

客の並びもいいからお金もあるだろうし並んでる客も筋肉があるわけで見なかったから近くのスーパーで包丁を買い反抗に及んだそうだ。

にしてもどうしていきなり事情を語り出したんだ?

まぁとりあえず警察に通報して対処しないと……

 

「そっか、じゃあ警察に……」

 

「嬢ちゃんたち待ってくれないべか?」

 

「店主さんっ!?ど、どうかしたんですか?」

 

「あんたいま仕事ないのかい?」

 

「そうなんです……会社に理不尽に解雇されてっ……!」

 

「じゃあうちで働くかい?明日から人手が足りないんだよぉ?」

 

「い、いや俺はあんたの店の金盗もうとしたんだぞ!?」

 

「だったら罰としてここで働いてくれないべか?ここでの低賃金労働、それなら罰になるべ?」

 

「店長さんっ……!本当にすみませんでしたぁっ!!心入れ替えて働かせていただきますっ!!」

 

おおっと周りから歓声と拍手が出てきた。

ただリンネさんの異能を隠さないといけないよね……

 

「強盗さん、少し話を合わせてくださいね?リンネさんもお願いしますよ?」

 

「え?」

 

「どう言うことかわからないけど協力するよ?」

 

よし準備は整った!

”ネタバラシ“のお時間だ!

 

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