「皆様お楽しみいただけたでしょうかっ!」
レジ前に出てとても響く声で話し出す。
するとお客様の視線が一斉に刺さった。
……こういうハプニングを支えるのもマネージャー!
今サポートしなくていつするんだ!!
「今のは初日限定のイベントでございますっ!」
そう、コラボイベントということにするのが私の作戦だ。
まぁ強盗さんが言った言葉を狩られたら終わってしまうけどなんとかするしかないっ……!
「演者様を紹介させていただきますっ!強盗役の田中圭さんっ!」
「あ、ありがとうございます……えぇ?」
「店員役のメグリさんっ!以上ありがとうございましたっ!!」
すると店内からは大きな拍手が鳴った。
勢いでやったけどなんとかなったかな……?
下げていた頭をあげ店内を見回すと……お客様の顔は笑っていた。
よ、よかったぁ……!
あとは……小道具を見せた方が信憑性が高いっ!
「リンネさん!刀借りて良いですか?触らせないようにしますので……」
「全然いいよっ!あ、絶対抜かないでね?抜いたら悲惨なことになっちゃうからねっ!」
サラッと怖いこと言ってるけど壁に立てかけて展示をさせてもらおう……
「こちらリンネさんの刀を実物大で作成したものになります!壁にかけますのでご覧ください!注意事項といたしましては触らないようお願いします!こちら本日限りとなりますので是非ご覧くださいっ!」
そう言って私は壁に刀をかける。
たまたまかけれそうなところがあってよかったぁ……!
多分これってイラストレーターに需要あるよなぁ……
案の定刀の周りには人だかりができ、お客様も追加オーダーをしないから結構仕事が減った。
あ、リンネさん疲れてたりするかな……先休憩入ってもらおうかな?
「メグリさん!先に休憩入ってくださいっ!代わりにそこの男性がやってくれるんで!」
「ほんと?じゃあお言葉に甘えてようかな?」
そうしてリンネさんは裏へ休みにいった。
いつも見ていないとわからないレベルでだが顔に疲労がみえた。
流石にそれを見過ごすわけにはいかない。
だって私はマネージャーだからっ!!
「あ、俺の名前は鈴木です……」
「そ、それは失礼しました!えっと鈴木さんは配膳を頼めますか?」
「はい……と言うか本当に俺に仕事を任せて大丈夫なんですか?ここを強盗しようとしたやつですよ?」
そこ気にしてるのかぁ……
でもここで問題が起きたっていう事実が困るんだよなぁ……
「今回の被害者である店主さんが許してるのに私たちがとやかく言う権利はないです……さ、これ運んでもらえますか?」
まぁこれで売り上げが落ちたらうちの事務所が訴えれるんだけど……
まぁしないけどね?
「本当にありがとうございます……!じゃあ俺配膳行ってきますっ!」
「お願いしますね……ふぅ」
男性スタッフが急遽入ったしこれなら私たちが帰っても大丈夫だろう。
それにここのアイスが美味しいことに気づいたならコラボ期間が終わっても売り上げは伸び続ける……そう私は確信している。
と言うか口コミで美味しいことが広まってるのを確認してるし大丈夫だと思う。
さて、そろそろ閉店の時間だろうか……
* * *
「お疲れ様でしたぁ……!」
初日を無事(?)乗り越えなんとか終わった。
現在は売上を店主さんに渡し終えてみんなで一息ついていた。
「ホントありがとなぁ?今までにないくらいの売り上げだべ……ホントお嬢ちゃんたちには頭が上がらないなぁ?」
「いえ、どちらかと言うと私たちのわがままから始まったことなので感謝をするのはこちらですよ!」
ちなみに金額は……結構厚みのある札束だったといっておこう。
「……そこの鈴木さん?これが今日の分のお給金だからこれで家族に美味しいご飯を食べさせてやってなぁ?」
「い、良いんですか!?ありがとうございますっ!明日からよろしくお願いしますっ!」
そう言って鈴木さんは去っていった。
なんと言うか……帰された?
「リンネさん、私達もそろそろ飛行機が……急がないと」
「そうなんだ……おばあちゃんっ!」
そう言ってリンネちゃんはおばあちゃんに抱きついた。
おばあちゃんは少し驚いた後リンネちゃんを抱きしめ頭を撫で始めた。
「私たちは帰るけど元気でねっ?私たちも頑張るからおばあちゃんも頑張って……!!
絶対長生きしてねっ!!」
「ありがとうなぁ?あんたらもけっぱれ!」
「うんっ……ありがとっ!」
「……それに可愛い鬼にがんばれなんて言われたら死ねないべ?」
「えっ……?」
なんか最後ニヤニヤしながら言われたが……バレてない!?
ま、まぁこの人なら他言はしないだろうし大丈夫かな?
「じゃあ私たちはこれで。ありがとうございました!」
「おばあちゃんまたねっ!!」
そして私たちの北海道旅行は幕を閉じた。
* * *
「帰って来れましたね……と言うかまたあの職員っ……!」
「ま、まぁまぁ!一旦落ち着こ?」
帰ってきた時に例のツノを折ろうとした職員とエンカウント……
また色々うるさく言われたが他の職員にこれはコスプレの準備で結構時間や費用もかかってる旨を伝えると普通に通してくれた。
それで良いのか……?
「まぁとりあえず事務所に戻って社長に報告して帰りましょうか……」
そして空港のタクシーに乗り込む。
一応有名人なので契約しているタクシーの会社があるのだ。
あ、来た……早くない?
とりあえず乗り込もう……
「来ましたのでリンネさんからどうぞ!」
「あ、ありがとうっ!……ふぅっ」
「結構お疲れですね?大丈夫ですか?」
「確かに疲れたけど……楽しかったねっ!」
「……まぁそうですね!」
途中から仕事だったがそれまでは普通に街を観光もしていた。
ご当地のスイーツや特産品を食べることもできたので十分観光はできたのだ。
「人間いつなにがあるかわからないですねぇ……」
「おっとっ?私は鬼ぞっ?」
「確かにそうでしたね〜?」
「もうっ!それわざとでしょっ!おりゃ〜!」
「ツノでくすぐらないでくださいよっ!あははっ!」
そうして体感数分間リンネちゃんのツノで擽られていた。
リンネちゃんのツノは見た目尖っていて痛そうだが意外とそうでもない。
なんならスベスベで気持ちがいい……羨ましいでしょっ!!
「……あの、そう言うのは自室でやってもらって良い?ちょっと気まずいからね?」
……ん?車の揺れがない?と言うかこの声……もしかして!?
「お仕事お疲れ様……リンネさんからの振り込みは確認したよ?」
「社長!?」
タクシーはとっくに事務所に着いており、社長が車のドアを開けて早く出ろと言わんばかりの圧を感じた。
「しゃちょー!北海道楽しかったよ!これお土産!」
「ありがとうございます……あと、初日大成功おめでとう」
「えっと……色々ご迷惑おかけしてすみませんでした」
実は急いだ関係で権利関係は全て社長に任せてしまってたのだ。
急な仕事だったし怒られることも覚悟してのお願いだったが……
「ん?契約をとってきた社員を怒る社長がどこにいるんだい?」
「へ?」
社長の顔は笑顔だった。
なんでぇ……?
「普通契約とってきたら褒めるもんだよ?……まぁ僕元研究職だからあんまわからないけどね?」
「は、はぁ……」
「まぁ実はね?梓川君の仕事量って他のマネージャーより多いんだよね。まぁその分お給料高いけど」
「そ、そうなんですか!?」
どうりでお給料が思ったより高いわけだ……!?
最初給与明細見てびっくりしたもん!?
「監視業務にマネージャー業務、それに加えて百合営業まで……それを普通にこなしてるのが怖いところだけどね?」
そう言って社長は苦笑いをする。
ちょっと引かれちゃったのは解せないが……
「それに加えて契約も取ってくるとか……ワーカホリックかい?」
「私は仕事中毒者じゃないですよ!?」
「でもお休み返上して仕事してるんだよ?ワーカホリック以外の何者でもなくないかい?」
「うぐっ、それは言い返せませんね……」
「早く中入ってお土産たべよっ!ほら社長も栞ちゃんも早くっ!」
「あっ、リンネさんっ!待ってくださいっ!」
「ふふっ、旅行から帰ってきたばっかりなのに二人とも元気だね?」
そんな社長の温かい視線が背中に刺さっていたが……推しが尊いからよしっ!