あの公式企画から数日後、現在私は……
「ごほっごほっ……目眩がするし、これは風邪かな……」
絶賛風邪をひいていた。
電気に当たった影響じゃないし、最近流行ってるわけでもない……原因不明だなぁ。
「ん……あれ、もしかしてこれガチ目にやばいかも?」
「栞ちゃん!ゲームやろっ!」
「あ、リンネさん……今行きます……ねぁ」
そして私の意識は暗闇へと落ちていった。
* * *
「うぁ、頭が痛い……」
目を開けるとよく見る天井があり、自分とリンネさんの部屋ということはわかる。
体を起こすと何かに引っ張られるような抵抗感を感じ、慌てて体を伏せようとすると……
「あ、栞ちゃんっ!!よかったぁ……あ、まだ起きないで!先生も安静って言ってたし!」
隣で本を読んでいたリンネさんに発見された。
いつもはかわいいと言う印象を受けるが眼鏡をかけ本を見る彼女を見ると美しいと言う感想しか出てこなくなる。
「おはようございますリンネさん……えっと、私は?」
「ゲームしようって誘った瞬間にそのまま前に倒れちゃったんだよっ!覚えてる?」」
それを聞いて私は納得した。
体を引っ張る違和感の正体は点滴か……って高熱!?
「と言うかリンネさんや皆さんは大丈夫ですか!?」
「私たちは大丈夫!お医者さんも理由が分かってなかったみたいだけど……あ、あと何か気づくこととかないかなっ?」
「え……化粧変えました?」
「変えてないし化粧わからないからしてないよっ!?」
それですっぴん!?ほんと絵に描いたような美少女で……Vtuberだけにね!
……すみませんでした。
「ほらこれ見て!」
そして着ている服をひらひらと手で揺らす。
いつも着ている単とは違って現在リンネちゃんはナース服を着ていたのだ。
か、かわいいっ……あ、つい興奮で鼻血が出てしまった。
「し、栞ちゃん!?どうしたの!?もしかしてまだ具合が……!?」
「あ、いやすみません!あまりにも可愛かったので見惚れてました!」
私は自分の思ったことを満面の笑みでそのまま伝えてみた。
……なんで私はこんなこと言ってるんだ?
いつもは自制してるから言わないはずなのに……
「ご、ごめん!それ少し照れちゃうからやめてっ……!」
リンネさんは顔を真っ赤にして急いで隠してしまった。
……え、こんな可愛いもの見て耐えられるかって?
「ひゃうっ……」
「栞ちゃん!?」
無理に決まってるでしょ!?
この可愛さ……もとい破壊力に胸がとても跳ねた。
なんだろうこれは……あ、推しが尊いって感情だ。
そ、そうだよね!
「えっと、要するにコスプレですか……?」
「違うよっ!?今日は私が一日中看病してあげるからってことっ!!」
「り、リンネさんがですか!?」
「そう!私長女だったから看病とかできるんだっ!」
「そうなんですか……?」
「ふっふっふ……普段からしっかりものだから気づいてたかなっ!」
「いや、どっちかというと末っ子っぽいなとは感じてましたね……」
「そんな私子供っぽい!?」
「いや、あどけなさが残ってて結構可愛いと思ってますよ……?」
「な、なんか今日の栞ちゃん変じゃない!?」
「多分まだ頭が働いてませんね……私多分変なこと言ってますよね?」
「へ、変なことではないんだけどね?なんかいつもと雰囲気が違うなぁって……」
「多分現在体調不良のせいでブレーキがぶっ壊れちゃってると思います……なので変なこと言うと思いますが許してくださいっ……!」
「わ、わかったけど……私今日持つかなぁ?」
……待って?これって風邪のせいにすれば本音を言い放題なのでは?
いや、言わないけどね!?
* * *
「りんご擦ったけど食べれる?」
「食べれます……今起きますね」
「あ、私があーんするからね?口調軽いけど結構辛そうだし……」
推しと話せているのとあーんしてもらえるという事に対するアドレナリンでなんとかしているが結構辛い。
体の節々が痛むし頭も痛い……なんなら視界がずっと回っている。
起き上がるのもやっとだしね……
「いいんですか……?」
「もうあーんはしてるし今更じゃない……?」
「あ、そうですね?」
「はいお口開けてね〜?あーん」
「んむっ……ありがとうございます……」
「大丈夫だから栞ちゃんはしっかり休んでっ!」
「……ママ?」
「わ、私いつの間に娘ができたの!?」
さすがVtuber!ボケにちゃんと返してくれる!
本職は流石だなぁ……え?それを言うなら芸人だろって?
クドさんやボルトさん見てもそれ言えます……?
あの人たちほぼ芸人ですからね……あ、一人雷神様だった。
「私結婚してないんだけど娘ができたってみんなに言おうかな……」
「それは私が社会的に死ぬのでやめてくださいっ……!」
「ちょっ、体調悪いんだからしっかり寝転んで!?」
私が頭を下げようとするとしっかり止められてしまった。
さっきは妹系とか色々言ったが、いつものぽわぽわ感とのギャップも魅力の一つ……
いつかリンネさんは万病に効くと思うなぁ?
「と言うかリンネさんは配信大丈夫なんですか……?」
「配信より栞ちゃんの方が大事だよっ!?」
「私のこと好きなんですか?結婚します?」
「え、いや、そのぉ……」
「ねぇトリト?僕たちは一体何見てるの……?」
「心配してお見舞いに来た瞬間プロポーズを見せられてるよ?」
「「あっ」」
全く気が付かなかったが、いつの間にか部屋の中にクドさんとトリトさんが立っていた……
「あ、いやこちらにはお構いなく……」
「あ、そうですか?じゃあ結婚しますか!」
「トリト悪ふざけしない……マネちゃん大丈夫?社長から聞いて飛んできたんだけど……」
「コンビニで栄養価高い物買ってきたけど食べれる?」
「……それよりトリちゃんの血を飲ませた方が早くない?」
「あたしとは遊びだったのね!?この人でなしっ!」
「いや違うよ!?と言うかそもそもまだ付き合ってないでしょ!?」
「あ、あっはっは!まぁ今ペティナイフで切るから待ってて!」
「いや小瓶が確か棚の上にあるので大丈夫です!」
最近気がついたことがある……皆さん自分を大切にしない癖がない!?