作者はタイトルを執筆途中のまま投稿したりふりだしにもどるを今日までさいころではなくすごろくと書いていました。なんやねんこいつ。
八月十九日
翌日、いつも通り朝が遅い私より先にテレスは朝練に行ったようでベットは綺麗に整えられていた。昨晩の夜は遅かったのだがやっぱりテレスはすごい。私も頑張らなくては。
と、気持ちを切り替えてみようとしたもののやはりテレスにさいころの力をみせたのは良くなかったと今更ながら考えていた。
なぜなら、テレスは部屋に戻ってきたあと私を怖がっているに感じたからだ。……それでも私に優しくしてくれたのは本当に嬉しかった。
原因はまぁ、さいころ自体だけでなく自殺しようと思っていたのとさいころを手に入れたせいで昨日の私(こんがらがっているが八日後と五日後と……頭が痛くなるからこの思考はなしにする)が元々おかしかったのもあるだろう。
……こんなことを考えていても仕方ない。私も朝練に行くとしよう。
しかし、今からもう一回頑張ったところで勝てるのだろうか?
八月二十四日
さて、珍しく早起きして最後の未勝利戦。まさか本当にもう一度レースができるとは思ってもいなかったのだが……人生色々あるものだ。ここで負けたとしてもさいころを使えば良い。他人の戦術を知っていることでの卑怯だって勝つことのほうが大事である。
事情を知る他人にはこんな私をクソ野郎と罵って欲しいものだ。まあ、その事情を知りようがないからどうでもいいんだけれども。
そんなことを考えながら私一人の控室からドアを少し開けて外を見ると印象深いウマ娘がいた。
「あっ」
トイレにでも行っていたのか前に勝っていたウマ娘が歩いていた。髪の毛を朝あまり整えない私なんかと違って艶のある鹿毛をした可愛らしいウマ娘だ。……おかしいな。前はやる気に満ち溢れていた顔をしていた筈なのに今は俯いていて表情を伺えない。
はて、なにかしただろうか?一旦ドアを締めて考えてみる。
「なにか関わった覚えもないし……テレスと同じクラスだった気がするけど、前に聞いたときも特に関わりがなさそうだったし……確か怪我をして色々……いや、怪我は数ヶ月前だったような……バタフライエフェクトってやつかな?」
私が繰り返したことで私のほんの些細なことから絶好調がちょっとした不調になっただけだろう。
私が結局勝てればそれで良いのだ。そう思いたい。
「クソ野郎か」
少しだけ自虐をして無理にでも口角を上げる。これでいいんだ。ただの自己満足だろうけど。
今日は前と同じく曇り空。閑古鳥が鳴いている観客席には私の数少ない友人がいて、その中にはテレスもいた。
最後の未勝利戦で流石に皆期待していないとは思うが一応手を振っておく。すると手を振り返してくれた。嬉しいものだ。
「一番人気はこのウマ娘、エリーライザー」
「スタートダッシュが素晴らしいウマ娘です。期待が高まりますね」
エリーライザーはやはり調子が悪いらしく前のような覇気だとかやる気がない。そのおかげでこちらの空気もピリついているのは変わらないものの他の面々にもやる気が感じられる。
「二番人気、ダイススターター」
「毎回惜しくも負けてしまっていますが、さあ今回こそ勝てるでしょうか」
前と変わらない実況と解説を聞いて深呼吸。落ち着いてゲートに入った。あまり自分はゲート難の気質がなく少々良い感じにスタートできるのが私の数少ない良いところだ。
「トレーナーさんのためにも……勝たなきゃ」
隣のエリーライザーが小さく呟やくと、その数秒後にはゲートが開いた。
勝った。勝てた。
「大接戦の未勝利戦を勝利したのはダイススターター、ダイススターターです」
掲示板に輝くダイススターターの八文字。友人の歓声。その二つが勝てた事実を私に実感させてくれた。
「ダイススターターさん」
未だ初勝利の余韻に浸る私に声をかけてきたのは二着のエリーライザーだった。
「良いレースでした。初勝利おめでとうございます」
抑揚のないその声でようやく振り返るとエリーライザーは俯いたままだった。
どう声をかけたら良いのだろうか。いわばコミュ障の私には検討もつかない。返事を答えかねているとそのまま戻って行ってしまった。……ま、まぁ、あのトレーナーがなんとかしてくれるだろう。恐らく。
そう考えて掲示板を再び振り返る。
さいころでズルをしたって良いんだよ、と神様が囁いた気がした。
観客席の友人達に手を振る私に、あの時あれ程望んでいた目覚まし時計のベルが鳴った。
今日は前と同じく曇り空。閑古鳥が鳴いている観客席には私の数少ない友人がいて、その中にはテレスもいた。
最後の未勝利戦で流石に皆期待していないとは思うが一応手を振っておく。すると手を振り返ってくれた。嬉しいものだ。
「一番人気はこのウマ娘、エリーライザー」
「スタートダッシュが素晴らしいウマ娘です。期待が高まりますね」
エリーライザーは先程と違いやる気に満ち溢れた……前と同じく絶好調である。私が知らなかっただけでトレーナーに奮起の言葉でもかけてもらっていたのだろう。……空気も前とほぼ同じ。これは下手すると負けてしまうかもしれない。いや、今回なら勝てる。知っているのだから。そうに決まってる。
「二番人気、ダイススターター」
「毎回惜しくも負けてしまっていますが、さあ今回こそ勝てるでしょうか」
前と変わらない実況と解説を聞いて今までにないほどの深呼吸。しかしそれでも落ち着かないままゲートに入った。あまり自分はゲート難の気質がなく少々良い感じにスタートできるのが私の数少ない良いところだが今回はどうなるか。
「トレーナーさんのためにも、頑張らなきゃ」
隣のエリーライザーが強く呟やくと、その数秒後にはゲートが開いた。
負けた。負けてしまった。
「接戦の未勝利戦を勝利したのはエリーライザー、エリーライザーです」
掲示板に輝くエリーライザーの七文字。エリーライザーとそのトレーナーが喜ぶ声。その二つが負けた事実を私に実感させてくれた。
前と同じ喜び方をする二人を見た後、掲示板を再び振り返る。
さいころでズルをしたって駄目なんだよ、と神様が囁いた気がした。そんなことない……。そんなことはないんだ……。
「フフッ」
俯きながら小さく笑ってしまった。何度でもやってやろうじゃないか。だって、何度も繰り返すだけで他のウマ娘に怪我させたりするわけじゃないんだからね。
八月二十五日
昨日は眠れなかった。やり直せるとはいえ泣いてしまった。私の友人達は本当に優しい。こんな私を慰めてくれる。
それにヒシアマゾン先輩も私を慰めてくれた。……本当に嬉しかった。勝ったらどんなに喜んでくれるのだろうか。
眠れなかった私はテレスが居なくなったのを確認してからさいころを使おうとした。
「スタータちゃん。大丈夫だよ。……やり直しなんかしなくても良いから。大丈夫、大丈夫だから」
さいころを使ったときに止めるためドアの裏で隠れていたらしいテレスはそう言って私を落ち着かせてくれた。本当に、本当に本当に優しいテレスの為にも、私はその後タイミングを見計らい一人でさいころを振った。
八月二十三日
今日は一昨日。前回より少しは無理しなきゃ。
ああ、なんだか気分が悪い。……やっぱり少しだけ休もう。
八月二十四日
勝った。今度こそ勝てた。
再び余韻に浸って掲示版を見つめていると、楽しい夢が覚めるように目覚まし時計のベルが鳴った。
負けた。また負けてしまった。
おかしい、きっとズルをしているんだ。その筈だ。呆然としてあの二人を見つめていた。
「はぁ……本当になんで僕がこんな目に……」
トレセン学園の近くを東京の曇った空を仰ぎながら絵本入り込み靴らしきものを履いたドラえもんはポテポテと歩いていた。
「しっかし困ったなぁ……変なところに放り出されたりなんだか子供が僕に抱きついてきたり、それにとりよせバックとかも丁度捨てたりしちゃったし……ま、ゲームの世界だからその舞台に行けば見つかるでしょ」
そうぼやく彼はまさかこの世界では自らが創作されたキャラクターだということに気づかず、またポテポテと歩いていった。
私は教官からのトレーニングだけでは駄目だったのだと考えた。凄いトレーナーさえいれば私なんかだって勝てるよね?そうだ、次はこうしよう。選抜レースで勝って、トレーナーと契約して、それから……。
そんな妄想をして、私はさいころを何度も振った。
エリーライザー
前トレーナーの無理なトレーニング中に怪我をし、ここまで来てしまった。しかし、幸運にも新しい優秀なトレーナーと出会えた。ダイススターターとレース以外での付き合いはない。
エリーライザーの意味は早起き。
ドラえもん
絵本入り込み靴?を履き秘密道具の回収に来た。本格的な出番はもう少し後。
レース描写なんかがうまく書けなくてですね……結局レースを削ってみました。前々から思ってたんですけどレース描写に限らず戦闘描写とかも上手い人って凄いなと改めて感じたこの頃です。
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