恐らくガイドラインに引っかからない程度でオリウマ娘が怪我をします。
十月二日
ほんの少しというまでもない時間が経ってから画面上に五が表示された。運に任せてふりだしにもどるを振ることにする。次はいつまで戻るかなと、少しぼうっとしながらふりだしにもどるを振った。
机の上で降るとカラン、と音をたてて目を出した。
十月一日
丁度昨日に戻ったようだった。ミチビキエンゼルは今日……じゃなくて明日か。夜遅くからは出られないしそもそも夜にミチビキエンゼルがあるかどうかもわからない。
ま、早めに寝るとしよう。
十月二日
不味い不味い……!起きるのも出発するのも遅くなったのが本当に不味かった……。それにこの辺りだと思われるのにどこにもない。早く、早く……流石に一日ならまだしも、六日も戻るかもしれず、面倒くさいからやり直したくはない。
「あっ」
ウマ娘レーンといえそこまでの速度ではなかった筈だが、焦りすぎたのがいけなかったのだと思う。急に脚のバランスを崩してしまい地面が近づいたと思うと、手で抑えることもできずそのまま地面と激突した。
ズザァッ、と転ぶ音にしては中々痛い音がした。
「いたいっ! いたいぃ……」
そう叫んで幸いにも、どういう訳かここがアスファルトやコンクリートではないことに気づいたが、それでも痛いものは痛い。ジクジクと全身が痛いが取り敢えず起き上がり、地面に手を付いた。
「フーッ、フーッ……痛いなぁ」
何度か深呼吸をして落ち着くことができるようになり、この世界でなにより根本的かつ私が最も簡単に行える解決方法を思い出した。そうだ、私にはふりだしにもどるがあるじゃないか!
姿勢を変えて座り込んで取り出して、手がかなり痛々しくなっていることに気づいた。
「……」
なにか他人事かのように感じながら、赤く染まった手でポケットからふりだしにもどるを取り出し、地面で転がした。
九月二十九日
「…………気持ち悪いなぁ」
どうやら私のふりだしにもどるは無事にその権能を発揮したようで、怪我ができる数日前の朝までやり直すことに成功したようだった。
もしかすると、この一年は最悪の場合……目で見て確認したのは手だけだったが、そんな怪我だったかもしれない。
あんな軽い気持ちで振るものではなかったのかもしれない……なんて思いつつ、周囲の人に見られていないかを確認するためにも立ち上がって見渡す。どうやら直接見た人は居なかったらしくホッとしたのも束の間、向こうから話し声が聞こえてきた。
「……一年もエリーライザーって子が一人怪我したらしくって……」
「……ふーん、その子も大変そうだね。それでほら、あの人は……」
……すぐに変わったがエリーライザーの話だ。そういえば怪我をしてトレーナーが変わったのも確かこの時期だったっけ。……どうでもいいけど。
「うぅ……やっぱり気持ち悪い……帰ろ……」
少し落ち着いてきたら体調が悪くなってきていたことに気づいた。結構な怪我をしたのに一瞬で無くなったことになったせいでおかしくなりそうだ。
タイムスリップしたりタイムふろしきを使っていてもそういう描写がなかったから、もしかするとふりだしにもどるは秘密道具の中でも安物なのかもしれない。
「具合が悪そうですが……大丈夫ですか?」
「ゆ……どなたですか?」
突然呼びかけられて後ろを振り向くとまたもや指引トレーナーがいた。そのせいで驚いてまだ知らないはずなのに指引トレーナーと言いそうになってしまったが、なんとか出来たのでまぁ。
にしてもまた手を後ろにしているが今度もなにか隠しているのだろうか。
「私は指引縁と申します。新人ですが一応中央のトレーナーです」
「トレーナーさんでしたか……私はダイススターターと言います。ちょっと眠くて、土手で休んだ後ぼーっとしてただけなんで気にしないでください」
うん。中々良い感じに誤魔化せたのではないだろうか。……で、その背中から見える光輪のようなものは……いや、まさか……はは……。
「突然で申し訳ありませんが、このミチビキエンゼルらしきものを外してほしいんです」
……どうしてこの日になったのか。
その後、思いっきり動揺してしまった私を都合よく解釈してくれたようで特に不審がられることもなくミチビキエンゼルを外して、ついでに連絡先も交換して急いで寮に帰ってきた。
……これ、痛い思いをして五百円を失っただけでは?
いやいや、そんなことは割とどうでも良いのだ。本題は何故、どうしてミチビキエンゼルが前回よりも三日早い、この日時にミチビキエンゼルが拾われたかだ。
考察しながら寮の自室のドアを開けると丁度出ようとしていたのかテレスと出くわした。
「スタータちゃんっ!? どっどどうして……!?」
「テレス……とにかく落ち着いて」
あ、そうか……普通私は朝練を行うことは滅多にない。恐らくだが瞬間移動したことになったのだろう。
面倒臭いがまた説明するかふりだしにもどるを振るか、どちらにしようかな?なんて驚きを隠せていないテレスを鑑賞しながらぼうっとしていると。
「誰か! そうだ、ヒシアマ姐さん! ヒシアマ姐さん!」
「あっ、ちょっ!」
テレスにしては珍しく(超常現象を目の当たりにしたら当然ではあるのだが)かなり動揺しているようで私を押しのけながら大声を出して走っていった。……この様子だと振った方が楽だろうな。
「行っちゃった……」
この時間帯だと布団の中で振るしかなさそうだ。この騒ぎが気になったのか他の部屋のドアが開いたり、テレスの足音が聞こえてくる。
ざわざわと騒ぎ出した美浦寮に若干ため息をつきながらテレスが入って来れないように部屋の鍵を閉めた。
いつに戻るかはわからないので、何着かパジャマを布団の中に入れて取り敢えず一昨日着たパジャマを着て布団の中に入った。
安易に振るものでないとはわかっていても仕方がないので、ふりだしにもどるをもう一度振った。
九月二十六日
今日は快晴、絶好のトレーニング日和だった。こんな日は早起きした後の朝練も気持ちよくできる。スタータちゃんもすっきりするから朝練すればいいのに……というのはついさっき、珍しく早く起きちゃったみたいで布団の中でモゾモゾしていたスタータちゃんに一回言ったけど『面倒臭いからいい』と、断られてしまった。
風邪も清々しく、秋を実感できるから私は秋の中でもこの時期が好きだ。……そういえばスタータちゃんも秋は旬な物が多いから好きだと言っていたような気もする。
……夏でも同じようなことを言っていたから冬と春でも同じことを言ってそうだけど。
そんなことを頭の片隅で考えたりしながら朝練を終わらして、寮に帰る道を歩いていると、ベンチの上にオレンジ色をした筒状のものを見つけた。
なんだか無性に気になって近寄ってみると、百均なんかで売ってそうな望遠鏡だった。
「誰も居ないし忘れ物かなぁ……」
もう一度見回してもいないことを確認した私は落とし物としてヒシアマ先輩に渡すために手に取った。
「う〜ん、レンズが綺麗じゃないし……洗ってあげようかな」
丁度良くあった近くの水道で洗おうとしてふと思い出した。
「そういえばこういうのはメガネ拭きで拭いたほうが良いって聞いたこともあるし……スタータちゃんの借りよっかな」
きっとそうしたほうが持ち主も喜ぶだろうと思って、やっぱり一旦部屋に持って帰ることにした。
(なにか大事なことをわすれている気がする……)
つい先程助けた猫を持ち、案内する方向に向かいながらドラえもんはその大事なことを思い出そうとしていた。
(朝から変なところにいるし、助けるときに手にとり望遠鏡がなくてあせったけど結局なげーなげなわを使ったのは良いとして、ウマ娘なんてぼくは見たことも聞いたことがないぞ)
そんな風に歩きながら考え込んでいると、ようやく猫の案内するトレセン学園の正門についたようだった。
「ここがトレセン学園かあ……こりゃ大っきいなぁ」
そんなことをトレセン学園の校舎を見上げながら呟き、なんの気なしに入ろうとしたところだった。
突然猫が飛び出し、学園内に入っていった。
「ちょっ、ちょっとまってよ〜」
その短足で急いで追いかけていくと、なにやら慌てた様子の緑のスーツを着た女性に猫が飛びついたところだった。
「きゃっ! ……まあ、どこに行っていたんですか? 理事長も心配していましたよ? ……あなたが見つけてくれたんです……ね……?」
どうやら猫の飼い主か、少なくともお世話をしていたりする人だったらしくドラえもんは一安心したのだが、なにやら女性が固まっている。
「よかったよかった……ん、ぼくの顔になにかついてるの?」
「ド、ド、ドラえもん……?」
しばらく唖然とした後、ようやく声を絞り出した女性はそう呟いたのだった。
ゲットテレスコープ
なにかあった訳でもないスタータが目の前で瞬間移動していたためパニックになっていた。
とうとう名前の元ネタを拾った。
ドラえもん
ようやく本筋と合流した。
六月には投稿できると思いました()
見直したら最初の四話が文字数少ないといえ三月中に投稿されててびっくり。
ただ、このままだと完結どころか確実にエタるので初期アイデアのふりだしにもどるだけの、ウマ娘ではないバッドエンドを短編で投稿するかもしれません。
感想、評価お待ちしております。
2026/1/20
残っていたメモ書きなどを公開しました。
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