※今回も10000字越えました。読み辛かったらすいません
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※公式戦だと前半開始が奏和
【宵越side】
俺にとって姫沢叶はよく分からんやつだ。
最初公園で部長と一緒に出会った際におちょくられたことには今でも根に持っている。だから最初俺はあいつと仲良くなるつもりはなく、今にして思えばかなり罰当たりな態度を取ったなと回想する。
しかし、姫沢は俺の無愛想な対応に腹を立てることはなかった。更に後の歓迎会で俺のファンだからメシの支度をしたいと言い出したことと、カバディの
更に休み明けの学校で同じクラスだということが分かったり、ヤツの料理が思いのほか美味かったり、ヤツの部屋の風呂に入った後にマッサージを受けるのが日課になったり等色々なことがあったことも原因の1つだ。しかし、ヤツのことが分からん1番の理由は別にある。それは……
「コートチェンジ!!
「6番と姫沢が交代か…気をつけていけよ」
「あれ?あの素人くん下げられちゃったんすね」
ぐぬぬぬ…
六弦と高谷にこちらの交代について触れられる。すごくムカつく。
「お…落ち着くベヨイゴシ。ヒメサワにも言われたろ?」
「うるせー!俺は落ち着いてる!!」
「まったく落ち着いてねーベよ…」
隣の畦道が何か言ってくるが的外れも良いところだ。俺は落ち着いている。少し、少しだけ!この交代を不服に思っているだけだ。交代の理由もまぁ納得できるものだったからな。これ以上引き下がるのも良くないなと思ったのだ。それに、
『ボクとマーくんは病み上がりだからね、体力も大分落ちてるから後半だけでも持たないかもしれない。いつでも出られるように集中は切らさないようにね』
俺からの質問が終わった後思い出したように姫沢が言ったことだ。その言質にほだされたわけではないが、言われた以上は準備しないわけにはいかない。俺は少しでも早くコートに戻るためにも本当に不服だがベンチにいる間に
ここ数日部長との居残り練習で『ロールキック』等
「カバディ…」
「高谷来るぞ!!」
「キャント切れんのを待つ訳にはいかない!!隙があればキャッチ行こう!!」
高谷の
高谷の正面からのタッチを余裕そうに躱す部長。いつ見ても分からん部長と姫沢の回避は。俺のはただ見て反射しての回避なのに対して2人の回避は完全に動きを呼んで先回りしている感じだ。見てるものは同じなはずなのに。
高谷は時折対角の姫沢を見て牽制している。高谷が部長と姫沢に対して
一泊置いた後高谷は先程までちょこまか動いていたのから一変、一歩ずつ部長へ向けて歩み続ける。
だが部長は徐々に進出してくる高谷に対してもまったく動かない。だがもう一歩進もうとしたタイミングを見計らって
高谷の
しかし
触られたのは水澄のみ。姫沢は高谷のリーチを完璧に把握していると言わんばかりに紙一重の所で高谷のタッチを回避した。
「はぁ!!?」
思わず声がでた。今のは
……いや、されないが?誰かが
そういえば歓迎会の後に姫沢は言っていたか。『相手がどう動くのか感覚で分かる』のだと。だからといって相手のリーチまで含めた距離感覚が瞬時に分かるものなのか?分かるとしたらそれはすごいなんてものじゃないぞ…。
高谷は
追撃!!!
完全に不意を突いたはずだった部長の追撃をすんでの所で回避する高谷。今少し振り返ろうとしていたがそれで躱せるのか。俺が前半高谷にやられたことを高谷はしのげたことに対してなんか面白くない。
追撃に慌てる奏和守備陣に対して部長は落ち着いたまま貪欲にコート最奥に向かいボーナスを獲得。
「「帰すかよ!!」」
「カバディ…」
「
六弦の指示に舌打ちしながら最後の部長のタッチを躱す高谷。部長も深追いせず後ろの様子をうかがいながらの帰陣。こういう細かい所で俺と
「なんだ今のは…!!」
「あわよくば高谷も触ろうとしてやがった…」
「こっちの守備を削っていこうと思ってた?それは無理だ」
部長がいつぞやの黒いオーラを出しながらの邪悪な笑みに少し震えそうになる。こっちが悪役だと言わんばかりだ。観客席の方からも歓声は1つもなく、代わりにヒッと怯える声が聞こえてきた。
18対24
「…
点数が徐々に縮まることで少しは緊張するかと思ったが高谷は余裕そうに振る舞う。
「そんな奴らもみんな沈めて、オレは1番になったんだった」
そう言いながら不敵な笑みを浮かべる高谷。
……
すごい顔になりそうな所をなんとか抑える。
「すげー性格してんな…」
アウトから戻ってきた水澄も俺と同じだった。それとは反対に笑みを浮かべる部長。俺を置いて勝手に勝負を始める2人に対して歯を噛みしめることでなんとか耐える。
そうしながらコートの方を見ると姫沢の表情は他のヤツらと全然違うものだということに気付いた。
再度高谷の
普段の
俺の困惑を余所に高谷の
一挙手一投足が、紙一重の連続。互角の勝負を見せる2人だがこのコートにいるのは2人だけではなかった。
姫沢と伊達が
予想通り高谷も2人の
だが、未だ
何故か、2人の
「GO!!!」
姫沢の少し高い声がコートに響く。右腕を振り回したことで無防備になった高谷の胴体へ向けて2人の
2人の
タックルを食らってるクセになんでそんな動けんだよ!!?
見ながら俺は舌打ちを打つ。だがその右腕は姫沢によって抑えられた。
姫沢!?これも見えてんのか!!?
高谷も思わず目を見張ったようだ。しかし、残った左腕にまで姫沢の腕が回ることはなかった。ギリギリの所で高谷の左腕が中央線を越えて帰陣成功。奏和に2点が追加された。
18対26
「はっ、バンザイ帰陣なんてカッコつかねーな…」
「…高谷さんは顔が良いんだから、ダサい行動でバランス取ってくださいよ」
「言ってくれるねぇ
「褒め言葉として受け取りますね」
未だに起き上がらない高谷に向けて姫沢が手を伸ばす。高谷はその手を取って立ち上がった。高谷が少しだけ笑みを浮かべる傍ら姫沢は先程から相変わらずの無表情だった。
「絶対倒します。期待して待っていてください」
「ははっ、可愛くない1年生だ」
その言葉を最後に2人は離れる。片やコート内へ片やコート外へ。表情も片方は笑顔なのに対してもう片方は無表情。コートに戻って仲間から何か言われても無視する高谷に対して伊達と先程の
……
俺はさっきの
「すごいべダテ先輩。おらもヒメサワと
「は?どういう事だ畦道!」
考え込んでいると隣の畦道が聞き捨てならないことを言い出した。慌てて聞き返すと逆に畦道はそんな俺に対して驚いているようだった。
「え?ヨイゴシも知ってるはずじゃ…いや、そういえばヨイゴシはヒメサワと
「余計なお世話だ!!とにかくさっき言ったことについてさっさと教えろ!!」
「分かったから落ち着くベ…。何て言うかなヒメサワと
んなバカなことがあるか!!
と言いたいが確かにそれなら先程の
そういえば俺が
コート外にいる姫沢は未だ無表情を貫いている。仮に高谷を倒せたらその無表情は崩れるのだろうか?何となく何の根拠もないが俺はそうはならないと思った。
……それから2人の目まぐるしい攻防に会場は沸いた。
そこからは、
互いの
同じく、高谷を倒すべく
両者一歩も譲らず…!!
能京は姫沢、奏和は六弦とそれぞれ
23対27
後半開始時にあった8点差が4点差にまで縮まっていた。
「はー、4点差!!あとちょっとで逆転だべなヨイゴシ!!でもなんでこんな縮まったんだべ?」
「…姫沢のおかげだろうな」
畦道の疑問に答える。答えるつもりはなかったが手元のスコア表に目を落としていたら思わずそう零していた。畦道がまだ分からないようでこっちをまじまじと見てきたから認めたくないし面倒くさいが続けることにした。
「…後半に入ってから部長の
そう言いながら今高谷の
「ここで高谷を倒すまでいかなくても無得点で帰らせれば奏和の守備は2人だけ。部長の攻撃で十分
丁度
無論それは奏和も分かっているはずだ。だから後半開始早々みたいに高谷も部長狙いではなく取れる所を取って守備人数を戻そうと思っているだろう。今も部長を狙っているが本当の狙いは援護に来る他のメンバーだというのは言われずとも分かる。
それはコートにいる5人も分かっていた。姫沢も伊達と
高谷は引き気味な
23対28
ボーナスこそ取られたものの誰も
【高谷side】
オレが姫沢叶を見て思ったのは「こいつが本当に世界組1番なのか?」だね。
事前に六弦さんから1年生の世界組1番が能京にいることは聞いていた。それと六弦さんのライバルの王城さんのことも同じかそれ以上に気になったから能京が使用する更衣室に待機して出待ちすることにした。
3年生の1番とは去年の大会で対決できたけど、
いや、それよりも1年生の1番だった。
ドアが開いて挨拶をした後に誰がその1番なのかはすぐ分かった。オレのことを
そして試合開始。王城さんも1番くんもベンチスタートらしい。どうやらつい最近までケガで入院していたとのこと。ふーん、何か訳ありみたいだね。後で聞いてみたいな。
それから宣言通り大量点差をつけて2人を引きずりだそうとした。途中5番くんがケガして王城さんの方を先に出させることが出来たんだけど、反応すらできないままアウトにされた。
ハーフタイムが明けてついに1番くんがコートに出てきた。ハーフタイム中チラッと見てたけど交代したくないという素人くんを言い負かしている所は面白かったね。でもそれよりも興味があったのはやっぱり王城さんだ。さっきの借りも返したいし、純粋に
でもなー。なんか義務感でカバディやってるカンジがするんだよね。ずっと無表情で楽しくなさそうだし。余裕がないって訳じゃなさそうだけど、オレや王城さんみたいに楽しんでやっても誰も文句言わないだろうに。何を背負った気になってるんだろうね?
気付けば8点もあった点差は4点まで縮められていた。いやぁ、マジで面白いね!前半は簡単に得点取れてたのに後半になってからまったく簡単にはいかなくなった。王城さんは触らせてくれないし、1番くんが触りに来る時は絶対と言っていいほど糸目クンも一緒だ。1人だけの時は王城さんみたいに絶対に触らせてくれない。そのクセ牽制はしてくるのが本当にウザいね、可愛くない。
相手の2番さんが引き気味に守るように守るようにとの指示を出す。
ボーナスを取れば手が早そうなパーマくんが突っかかってくるかなと思ったけどそんなことはなかった。前半の能京と同じとは思えないな。マジで強い。キャントを1分以上粘ったのにボーナス以外に得点できなかったのは初めてだよ。帰ろうとした時に1番くんが突っかかってきたのは分かったけど、牽制だっていうのが分かっていたから前までと同じように腕を振る。やっぱり躱すよね、分かってたよ。
後半開始早々追撃をかましてきた王城さんを視界から外さないように帰陣する。でもどうしようか?守備の人数増やせなかったから今コートにはオレと六弦さんだけ。2人だけで王城さんの相手をするのは手が焼ける。でも
「何をやっている!!?早く戻れ高谷!!」
「
視界には入っていたんだ。
いくら王城さんを最警戒していても一番近くにいる相手を警戒していないはずがなかった。
しかし相手からはまったくそういう
だって、思わないじゃん?
それまでずっと無表情で楽しげもまったく見せない程守備に徹していた男が、
別人と見間違うほどの、太陽のような会心の笑顔を浮かべながら
【姫沢side】
身体が重い。
後半だけの出場だっていうのになんだこの体たらくは?自分のことながら情けない。いくら病み上がりとはいえ、集中しすぎたら疲れやすいとはいえ、あの時はもっと長く動けていたのに。
何を我慢しているんだ、ボクは?
気付けばボクは
試合に出る前のボクは何か考えてたみたいだけどなんだったっけ?
……まあいいや。思い出せないってことはどうでもいいことだってこと。
マーくんは遠い。ならいいや。迷惑かけたらその時だ。
だって今なら
高谷さんが帰陣する。あ、マーくんの方を見てる。ボクのことは眼中にないのかな?
なら仕方ないね!!
ボクのことを放っといて余所見する高谷さんが悪いんだもん!!ボクは悪くない!!!
身体が軽い。今ならなんでもできそうだ。
【宵越side】
「
六弦がそう高谷に告げるのと同時だった。牽制に出ていた姫沢がそのまま追撃に出て高谷に
俺は思わず立ち上がった。隣の畦道も同じだ。
触られた高谷はやっと事態に気付いたようでコート奥へ進む姫沢を追う。進行方向には奏和の部長であり守備の柱の六弦。六弦は一瞬面を食らったようだったがすぐに落ち着いたようだ。
六弦は逃げもせずにただその場にいるだけだった。その佇まいから隙らしい隙はない。どこを触っても掴まれて倒される。そう思わされるほどだった。
姫沢と六弦、2人の間の距離が縮まり最早
「カバディ…」
「おい!ヒメサワ!!?」
畦道が悲鳴に近い声をあげる。俺は何も言わずにただその光景を見ていた。
それはまるで、『逆再生』だった。
トップスピードのまま突っ込んできた姫沢に対し思わず伸ばされた六弦の右腕に
真後ろで姫沢を追っていた高谷は驚いたようだがすぐに両手を広げて待ち構える構え。左右どちらへ避けても対処できるそれはリーチで負けている姫沢には到底太刀打ちできないものだった。
だからこそ、この時点で勝敗は喫した。
ドグッ!!
肉と肉がぶつかる嫌な音。姫沢が選んだのは
その隙を姫沢は逃さなかった。
少し動きが止まった高谷を後ろに押し出し後ろから付いてきていた六弦の追撃を遅らせる。ぶつかった張本人はまったく動きに遅れはなく、
それから誰にも触られないまま姫沢は帰陣する。
タッチ2点と
27対28
奏和2度目の
オリ主(152cm)と高谷(185cm)の身長差どれくらいだろって思って「152cm 185cm」で検索したらyah○○でカレカノ事情についての質問がトップに出てきてビックリしました
簡単な省略中の得点経緯(左から接触順)前半終了時 15対23
奏和攻撃 能京攻撃
5人 15対24(③) 5人 18対24(⑨④+1)
5人 18対26(④⑦) 5人 21対26(⑤⑨+1)
5人 21対27(③) 4人 23対27(⑤④)
5人 23対28(+1) 2人 27対28(③①+2)
これだけで15分ぐらいが経過するはずもないので、途中に無得点帰陣が数回あったと思ってくれれば幸いです。