ボクがキミを王にする   作:モーン21

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※オリジナル展開。引き続きちょっと重め。あと1話かな?

※お気に入り登録、感想等ありがとうございます。

※最後、漢字縛りの為大分読みづらいです。ご了承ください。


第22話 出会い

来てくれたお寺さんにお茶を出して軽くお話する。このおじいちゃんはこの洋館に引っ越してから毎年来てくれている。両親からボク1人しかいないことを前もって訊いていたようで、帰り際偉いと褒めてくれた上で飴をくれた。おいしい。

 

いい時間だったので早めに昼ご飯を食べることにした。元々の予定だと父さんたちが用意してくれる手筈だったんだけど、この通り父さんたちはいないから持参してきたおにぎりを食べることにする。本当だったら父さんたちに食べて欲しかったんだけど。

 

……うん。いつもなら部活後でカロリー消費した後だからお腹に入るんだけど、今日はそんな運動していないから1個と少し食べただけでもうお腹がいっぱいだ。

残った分を入れていた保冷バックに戻す。今日の夜ご飯に回すとしよう。

サランラップをゴミ箱に捨てようと思ったけど、ゴミ箱にまったく何も入っていないのを確認したからこれも保冷バックに戻すことにした。

 

ボクの家なのに、ボクの家じゃないみたいだ。

 

少しセンチな気分になったけど、気を取り直してこれからどうするか考える。

 

線香を終えた後お寺さんが来るまでにある程度洋館も回ったけど特に気になったこともなし。自分の部屋にも入ったけど、特に感慨深くなることもなかった。ホームシックにはまだなっていないようだと他人事のようにそう思う。

 

……帰るか。今から電車に乗れば病院のイベントにも余裕を持って着くだろうし。

あのイベントには嫌な思い出があるけど、立場上行かない訳にもいかない。何なら手伝いに行かないだけでも十分ワガママ言っちゃったなと内省する。

どっちみち既に母さんに伝えてるんだから行くのは確定なんだけど。

 

数ヶ月ぶりの我が家なのに、用事を終えてすぐ帰る薄情さに我ながら呆れる。

荷物をまとめて扉をくぐる。

次に帰るのはお盆かな、その日も1人になるかもと内心愚痴りながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【宵越side】

 

「もうそろそろ着くよ。いやぁ、入院していた頃が懐かしいなぁ」

 

「懐かしんでんじゃねぇよバカ。次やったらぶっ飛ばすからな」

 

あの後零した水を拭いたり等旧体育館の後片付けを終えた俺たちは昼食を軽く済ませた後全員で姫沢ん所の病院へ向かった。

今回の催しの主なターゲットは入院中の子どもや高齢者、孤児院の子どもたちとのこと。であれば、お昼の炊き出しも食べて数時間も経った頃にはもうほとんど病室や孤児院に戻っているだろうとのことで、着いた頃にはある程度人の流れも少なくなっているだろうというのは姫沢情報だ。

 

あぁ、重ねて言うが姫沢からの情報だ。

 

部長が昼食中に姫沢に連絡を取ると、奴はどうやら本当に実家で法事をやっていたとのことだ。その後特にやることもないからということで即座にUターンして、既に病院で手伝いをしているという。後は適当なご近所の方が来るぐらいだから俺たちがお邪魔しても大丈夫だろうとのことだ。

 

せっかくなら病院の炊き出しとやらを食べてみたかったんだが部長達に止められてしまった。お前は加減せず食べ続けるだろう、と。失礼な奴らだ。量にもよるが、5周くらいで勘弁してやろうと思っていたのに。

 

「いやぁ、ホントデカイっすね。部長たちから前もって聞いてなきゃ、これが姫沢のお父さんと爺さんの2代でデカくなったって訊いても絶対信じらんねぇ」

 

「非凡な方達なんだな」

 

水澄と伊達がそれぞれ病院の大きさにビビってる。なんか井浦が言ってたな、東京の個人病院でここまでデカイ病院はここだけだとか。興味なかったからほとんど聞き流していたが。

 

「人見の言った通りだな。お花がいっぱいだ。買ってきて正解だったべ」

 

「……」 「…うん」 「そうだね」

 

畦道がわざわざ買ってきた花を花以外にもお酒やらお菓子やら色々置かれている看板前に置いて手を合わせた。伴たちもそれに続いて他の奴らが着いていくのを見て俺も行く。

手を合わせながら俺が考えるのは、この今置かれてるやつはどう処理するんだろうかということだが。

 

「叶は中にいるみたいだ。行こう」

 

部長の声に俺たちも続く。慣れない場所に俺たちはそれまでの会話を続けることはなかった。俺はキョロキョロと周りを見渡しながら昼食時に訊いたことを思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――数時間前――

 

「叶の生みの親の方の父さんと育て親の父さん母さんの3人は小さい頃から仲がよかったみたいでね。生まれた時からずっと一緒だったみたいなんだ」

 

「叶は生みの親を父ちゃん母ちゃん、育ての親を父さん母さんと呼んでるみてーだから、これからはそう呼んでいくぞ」

 

誰に対しての説明だよ。

 

部長たちのおごりとのことで俺たちは今近くのファミレスにいる。今の俺らは9人だから店員にテーブルをくっつけてもらったわけだが。こんな大人数で店に来ることはなかったから慣れねえ。中学まではこういう誘いは全部断わってたからな。

 

「へぇ父ちゃんはともかく、父さん母さんは幼馴染みの夫婦なんすね。ってか、そこまでずっと一緒だと異性だって思えなさそうっすけど」

 

「あぁ、3人とも良家の生まれだからな。父さん母さんの方は小さい頃から許嫁(いいなづけ)として仲良くしていたらしいし」

 

「「許嫁!!??」」

 

「許嫁なんて初めて聞いたべ…。都会ってスゴイんだなぁ…」

 

「いや、これは都会がどうとかの話じゃないぞ畦道。それにしても許嫁か…本当にあるんだな」

 

畦道の都会のイメージを修正する伊達。何やらざわめき始めたがどうでもいい。こんなどうでもいいことで盛り上がってるのに無性に腹が立ってきた。

 

「親世代の色恋なんざどうでもいい。で?その1人残った父ちゃんの相手がさっきの写真の女って話だよな?」

 

思わず俺は口を挟んでいた。他の奴らは意外そうに…一部の奴らは注意したそうに俺を見てきたが納得したのだろう。部長が仕切り直すように手を叩いて再度自身に皆の視線を集中させた。

 

「それで、大学生の頃だったかな。お酒を飲むようになってから3人で居酒屋に行った時にホールのお仕事をしてる母ちゃんと出会ったらしいんだ」

 

「あれ?3人って良家の生まれなんですよね?居酒屋って富裕層の人があまり行くイメージないんですけど…」

 

「なんだか社会勉強の意味合いが強かったみたいだね。大学の同級生から誘われた時にトラブルが起きないようにだって聞いたよ」

 

俺は姫沢に誘われて行ったあの店を思い出した。どれだけ食べても構わないバイキングは俺にとってまさに天国だった。だから食べてる時はそんな気にしてはいなかったが、振り返ってみれば周りに結構高そうな服を着た奴らがいたなと思い出した。少なくとも今いるファミレスにいる客とはランクが2つや3つ違うことは確かだ。

 

あの時のバイキングは無料券だったとは聞いたが、もしそれがなくても奴は当たり前のように俺たちの分も払っていただろう。その余りある金銭感覚の違いに頭が痛くなる。スーパーでの買い物は特に問題ないのになと1人言を溢したこともあったな。

 

そういえばあいつ、コンビニ飯食べたことないとか言ってたな。この機会にコンビニ飯とかインスタント麺とか食べさせたら面白…、あいつの勉強になるだろう。

 

おう、これも社会勉強だ社会勉強。別に金持ちのあいつに日頃の俺が感じてるズレをあいつにも味合わせたいとかそんなんじゃない。至って普通の、善意によるおもてなしだ。

 

「それで、注文を取りに来た母ちゃんを一目見てね、父ちゃんがいきなり母ちゃんの手を掴んで言ったらしいんだ。『大好きです!!結婚を前提にお付き合いさせてください!!』って」

 

 

「おい待て待て待て!」

 

 

耳を疑うバカバカしい妄言に俺の耳が耐えられなかった。さっき俺が言ったように親の色恋なんざ興味ねぇが、だとしてもこれはヒドすぎた。下手な少女マンガの方がもっと時間をかけてプロポーズをするだろうにと。

 

「バカか父ちゃん!?それとも良いところのおぼっちゃんはそんなに頭アッパラパーなのか!!?」

 

「うわぁ、興味ないって言っていたのにすごい声。落ち着いて、ね?宵越君」

 

「……………」

 

「お?『ヨイゴシは仁義に厚い人だからこそ、会ってばかりの女性に軽く無責任に求婚したことに憤っているのではないか?』だって?

おう、そうだったのか!?シブいべ、ヨイゴシ!!」

 

「……なるほど。宵越君は意外とその当たりしっかりしてるんだね」

 

「意外とはなんだ、意外とは!!?」

 

「母ちゃんはその居酒屋のアイドル的存在だったみたいでね。母ちゃん目当てに店に通う人もいたぐらいだったそうだ。だから突然のプロポーズにその場にいた他の店員さんとかお客さんにすごく睨まれたみたいだよ。

でも、父ちゃんはその人たちとも酒を飲み交わすうちに仲良くなって。最後にはその日のうちに母ちゃんと無事連絡先交換出来たって話だよ」

 

「……えぇ……」

 

「すごい世界の話だな…」

 

遠い目をしていた水澄と伊達ではなく、話を聞いていた俺たち全員だった。

 

無茶苦茶だ。プロポーズする方もそうだが、受ける方もだ。

いくら仲良くなったからって、いきなりプロポーズしてきた不審者(父ちゃん)になんであっさり連絡先交換してんだよ。危機感足りてねーだろ。

 

姫沢も確かにいきなり初対面の俺の世話を焼くとか言い出した無茶苦茶な奴だったけど、この子どもにして親ありとでも言わんばかりの無茶苦茶さだ。

 

俺たちが確かにあった現実を受け入れられないでいると、部長が再度口を開く。

だが、その表情は先程までの楽しげなものではなく、眉をひそめた辛そうなものだった。

 

その様子を見て俺たちも姿勢を正す。部長はそんな俺たちを一瞥すると話し始める。

 

「それから何年かの交流の後に色々と問題はあったけど、父ちゃんと母ちゃんはめでたく結婚。たしか、同じ年に父さんと母さんも結婚していたはずだよ。

そして、母ちゃんはめでたく妊娠。父ちゃんだけじゃなくて、父さん母さんも祝福していたみたい。

わざわざ2人用に姫沢総合病院近くのマンションの1室をプレゼントするぐらいだったから」

 

金持ちってレベルじゃねぇぞ!!

 

そう大声で突っ込みたかった。が、部長の表情を見て止まった。

そうだ、これを話し始める前に言っていただろうが。『決していい話じゃない』って。

 

この話がジェットコースターだとするなら今までのはあくまで開始前にガタンガタンと登っていく途中だ。登れば登るほど、落ちていく過程がその分ヒドく凄惨なモノになるというものだ。

 

「父ちゃんは心配性だったみたいでね。出産予定日付近の数日は仕事をほっぽりだして、ずっと母ちゃんに付きっきりだったらしいんだ。だから、陣痛が始まった時も母ちゃんの代わりに病院に連絡して、救急車にも一緒に乗り込んだそうだ。

……父さんたちが自分たちの情報網を使って、調べたらしい。

通行人がぎゃあぎゃあ騒いでいる父ちゃんと、大丈夫だからと逆に安心させている母ちゃんを微笑ましそうに見守ってたって」

 

「……部長(キャプ)

 

「……うん、ごめん。結果がもうわかってるのに、わざわざ追加して言う必要もなかったね。

……その後どうなったかは()()人見の新聞記事の通りだよ。」

 

 

 

 

 

ほぼ…?

 

 

 

 

()()って、どういう事ですか?」

 

新聞記事を持ってきた張本人、人見がそう尋ねる。一体どこに相違があるのか気になるのだろう。

それを答えるのは部長ではなく、先程までだんまりを貫いていた井浦だった。

 

「そりゃそうだ人見。その記事には『救急車乗車の5人ともにトラックに突っ込まれて死亡した』って書いてあるだろ。逆に聞くが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妊娠中の母ちゃんが即死したんなら、その腹の中にいた叶が今生きているのは、どう考えてもおかしいだろ?」

 

「「あ!!」」

 

そういえばそうだ。なんでこんな当然のことを見落としていたんだ、俺たちは。

 

いや、あの新聞記事に写っているのが姫沢の父ちゃん母ちゃんで、実際に叶が生きているのをこの目で見ているからこそか。ちらっと1回読むぐらいで仮に違和感に気付いても、言われるまで見逃していただろう。

 

「でも…じゃあ…なんで?」

 

「……こっからはちょっと面倒な話になる。ま、結論から言えばクソ食らえな話なんだが。

 

父ちゃんの家、来家(らいけ)家の人たちが叶を捨てたって話だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【カナエside】

 

サイショはホイクエンにいたトキだっけ。

 

ボクの()()()()はおイシャさん?だからかいつもクルのがオソかった。クロフクのヒトがいるのに、これだけはユズらないってパパママがワガママをイっているのをミて、ボクはウレしかった。

 

いつもジカンギリギリにパパかママのどちらかがキてくれる。だいたいママでときどきパパだ。ボクはマっているアイダ、どっちかなってヨソウしている。ママだとヨソウしているトキにパパがキたトキはザンネンだったけど。

 

そのことをパパにイッたら、いつものムヒョウジョウのまま、オオナキするスゴイことをやってた!!ヤリカタをオシえて!とぐいぐいイったらトまっちゃったけどオオキクなったらデキるようになるっていわれた!!ハヤくオオきくなりたい!!

 

マつアイダはヒマだけど、このホイクエンで()()()マっているんだとオモうとなんでかすごくウレしくなった。

 

でも、たしか1カイだけ、トモダチがまだいるトキにママがキてくれたトキにイわれたんだ。

 

「カナエくん、ママにぜんぜんにてないね」って

 

ボクのカミノケはキンパツで、メもアカい。それとクラべて、パパママはどっちもクロかった。トモダチはハシノシタに『ヒロってください』ってハコに、ボクがハイっていたんじゃないかって。

 

そんなモモタロウじゃあるまいし。ねぇ?とママをミる。だけどママがコワイかおをしているのをミて、アレ?ってオモったんだ。

 

そのあと、ママとカエるトキにキくと、ボクの()()()()パパママはボクがウまれたトキにシんじゃったんだって。

 

パパがママをマモるためにシんで、ママがボクをウむ?ためにシんだんだって。

 

 

そのアトもなんだか「ヒキトラナイ?」とか「カナエはヤクビョウガミ?じゃない」とかムズカシイことをイわれたけど、まったくワカラナカッタ。そんなことよりも、それをボクにイうママがゲンキじゃないのがカナしかった。

 

だから、ボクはイったんだ。

 

 

 

 

 

「ボクにはパパが2人、ママが2人いるんだね!!ウレしい!!やっぱりボクはメグまれてるんだ!!」って

 

 

 

 

 

そのアト、イエまでママはずっとナいちゃってた。やっぱり、ボクはパパやママみたいにはいかないやってちょっとカナしかった。

 

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