ボクがキミを王にする   作:モーン21

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※体育祭編はあと1話の予定です


第25話 ある柔道部員の告白

 

俺が柔道を始めた理由はなんだっただろうか。物心ついた時から俺はいつの間にか柔道に我が身を投じて、日々鍛錬に明け暮れていた。

 

投げ続け、投げられ続け。それだけを続けてきた肉体は柔道に適した身体に成長していき、学年が進んでいくにつれて大会でも結果を出すようになった。

 

中学は男子校だった。俺と同じく部活動に精を出していた男たちとの絡みは中々楽しいものだったが、年が経つにつれて、別の欲求がふつふつとわき上がってきた。

 

 

 

女の子にモテたい。

 

 

 

登下校中に目にする他校の女子生徒たちが珍しかった。

柔道に邁進してきた我が身にはまず無い胸部の柔らかそうな制服の上からでもわかる凸部やスカートから覗く脚部の瑞々しさ、黄色の歓声と謳われる程の声の華やかさと鼻腔に響く花のような良い香り。

 

男である我が身では望んでも手に入らないそれらを我が物にしたい、とまでは思わなかった。ただ、ドラマや漫画のようにそんな女子からチヤホヤされたい、キャーって歓声を上げられたい。そういった男としては当然ともいえる欲求が俺の中で段々大きくなっていった。

 

元々あった何であったかすら思い出せない、オリジンの願いを掻き消すほどに。

 

その時、俺は道を誤ったのかもしれない。

その時の俺は柔道で成功すれば女子からチヤホヤされるものだと思い、それまで以上のやる気と集中力で我が身をいじめ抜くことだけに取り組んできた。

この時にふと思い直して、街を歩くカップルを観察したり幼馴染みの女子に訊いてみたりネットの海に助力を求めていたりすればもしかしたらこんな俺でも成功する道はあったのかもしれない。

 

だが、現実はそう甘くなかった。

 

中学3年の最後の大会、俺は個人戦全国ベスト8という快挙を成し遂げた。それまでは全国にいけるかどうかというレベルだった俺としては良すぎるくらいだった。家族や学校からも称賛され、仲間からも歓喜の声があがった。

 

その時の俺は舞い上がっていた。今の俺ならなんでもできるとバカみたいに思っていた。

 

学校での集会でそのことを大々的に報じられたこともあり、いつもなら部活後で重い足が異常に軽かった。そんな時俺は向かいの方から懐かしいヤツが歩いてくるのを目撃した。

 

小さい頃から交流があったお隣の同級生。小学校までは帰る方向が一緒なこともあってそれなりに交流もあった。女の子にしては珍しく柔道に興味があったようで俺の話にも良い反応を良く返してくれていた。中学では俺が男子校に進んだこともあって登下校で一緒になることはなくなったが、それでも時々こうしてバッタリ会って立ち話をすることはあった。

 

俺は歓喜した。彼女をチヤホヤされたい女の子とカウントしていいのか自分でもわからなかったが、とにかく俺自身の快挙を彼女にも伝えて喜ばれたかった。だから気が急いていたからか、彼女の隣に男がいたことに最後まで気付かなかった。

 

声をかけたのは俺の方なのにソイツの存在にやっと気付いた俺は何も話すことができなかった。俺みたいに鍛え上げられた身体ではないがそれなりにスラッとしていて俺の周りにいる男にはいないタイプ。そういえばテレビ越しによく見るタイプだと思った。俗に言うスマートなイケメンだろうか。身長は俺よりも高かった、年上だろうか。

 

だが、そんなことはどうでもよかった。彼女がとんでもないことを言い出したからだ。

 

この人私の彼氏!!な、なぁんちゃって…

 

 

 

 

 

彼氏…カレシ…KARESHI?

 

 

 

耳に入ってきたはずなのにするすると流れて、頭に全く残らなかった。それまでの浮かれきった頭が冷水をバケツでひっくり返すような勢いで浴びせられたように急激に冷えていくのを感じた。

 

彼女にカレシ?喜ばしい話だ。幼馴染みとして祝福すべき話だろう。

だが俺は女の子からチヤホヤされる為に柔道を磨いてきたはずだ。こうして全国にも出て結果も出している。なのにそんな俺を差し置いて別に彼氏が出来たことに腹立たしく思うのと同時にどこか諦観した1つの考えが俺の中で新たに生まれた。

 

俺は強くなることに必死で、女の子と話したり一緒に遊んだりしたことがまったくないのではないかと。

 

俺はようやく自分がおかしな勘違いをしていたことに気付いた。

女の子にチヤホヤされたいのなら力を付けるより先にやるべきことがあったのではないか、

隣にいるこの男のように身だしなみを整えたり服装に気を遣ったり、俺の知らないことにも気をつけていたりしているのかもしれない。

 

「ふふっ、冗談だよ!この人は従兄弟。たまたま一緒になって…あ、ベスト8おめでとう!会場まで観に行ったけど、すごい格好良かったよ!」

 

「あ、あぁ…。ありがとう」

 

彼女が何を言っているのかわからない。声の大きさは変わらないはずなのに。

なんでだろうな。アイツのことは特別大好きな訳でもないのに、遠くに行ってしまったかのような寂しさを覚えた。アイツが彼氏を作ろうが俺には関係無いはずなのに。

 

俺は自分でも何を言ったか覚えていなかった。気付けば2人に背を向けてダッシュで家まで帰っていた。オカンが夕飯ができたと部屋まで伝えに来るまで何をしていたのかまったく覚えが無い。とにかく休みたいと部活の練習後以外で思うのは生まれて初めてだった。

 

 

 

 

 

中学卒業後、俺は近所の能京高校に入学した。家から近いというのも入学を選んだ理由の1つだがこの学校は部活動に対しての手当てが厚い上柔道部も強豪と謳われる程にレベルが高い。それになにより…

 

共学だったからだ。

 

あの時から俺は自身を見つめ直して考えられる限りの手段は取った。彼氏持ちのアイツにも恥を忍んで相談した。アイツは何故か呆れていたようだがそれでも真摯に相談に乗ってくれた。本当に感謝してもしきれない。

 

だがそれらを発揮するどころか、俺は女の子と接すること自体できなかった。

 

話しかけようとしても口から声が出てこない。業務連絡程度の会話は問題ないのに、おしゃべりになると途端に緊張してまったく話にならない。中学の3年間で女の子とまったく接してこなかったことや小学校でもそんなに積極的に絡まなかったことが原因だろうか。入学早々何回も同じ事を繰り返していたら()()()()()()()()と周りから認識されてしまった。

 

その結果、

 

「全くチャラつきおって…」

 

「ああ…けしからんな」

 

高校に入学して早3年、気付けば最高学年になった今でも俺は満足に女の子と会話することが出来ずにいた。

 

中学からの付き合いである剣道部の同士と共に見やる先にいるのは女の子2人と何の問題も無く楽しげに話すスマートなヤツ。そういえば、アイツとあの時一緒にいた男も同じような感じだったなと思い返す。

 

「ふんっ、別によい。硬派(こうは)な我々には女の子など不要!そうであろう?同士よ」

 

「あぁ…まったくもってその通りだ」

 

「硬派なんてよく言うよ。あの時は『女の子にモテたいから色々教えてくれ』って泣いて懇願してきたクセに」

 

2人して頭をはたかれた。同時に投げかけられた言葉に振り返るとアイツがいた。

中学では別の学校であったが、コイツも能京高校に入学していた。

もっとも、コイツの場合は単純に家が近いことと強豪の部活目当てであることは直接訊いている。部活が異なることもあって下校が一緒になることは少ないが、時々一緒に帰るし登校も朝練が無い時は一緒に行くのが日常だ。少し小学校の頃のことを思い出して少しだけ楽しかったりするのは内緒だが。

 

あの時から彼氏とどうなったのか訊きたいがこの数年1度も訊けた試しがない。別にアイツの事情なんだから興味本位で訊いてもいいはずなのだが、なぜか訊こうとしたら俺の身体がいつの間にかダメージを負ったように動けなくなるのだ。原因不明であったがそれを理由に俺は未だにアイツにそのことを訊けずにいる。

 

…まあ、ほぼ毎日アイツの顔を見ているが特に困っている様子は見られないから彼氏とは順調なのだろう。俺みたいな邪魔者がほぼ毎日アイツの隣にいるのに殴り込みに来ないあたりそんなに気にしていないのかそれほど信頼しているのか。

 

…………

 

「もう…何回も言ったわよね。休憩時間にダンベル持つんじゃないって。そのせいで隣の私のクラスにまでアンタが怖いって話が回ってくるんだからね」

 

「何を言う。授業で頭を鍛えた後に筋肉を鍛える。これを順々に繰り返しているだけだ。学生としては合理的でまっとうだろう?」

 

「いくらなんでも脳筋すぎるでしょ…。小学校の頃はあんなに可愛かったのに…お姉ちゃんは悲しいよ」

 

「オマエがお姉ちゃんだと?バカ言うな。俺の方が誕生日が早いんだから俺の方がお兄ちゃんだろう。

それを抜きにしてもオマエが姉はないだろう。小学生の頃から色んな所へ俺を連れて行ったかと思えば、迷子になって俺に泣きついてきたクセに。それこそ、あの時の可愛さが見れなくなってお兄ちゃんは悲しいぞ」

 

「あぁ~!!そんな昔の事掘り返さないでよ!!ホントデリカシーないんだから!!」

 

「言い出したのはそっちだろう…」

 

「……貴女(きじょ)以外の女子とは会話にもならぬというのに、わからぬものよな」

 

適当にアイツとの会話を楽しんでいると親友がそうポロッとこぼしていた。

自分でもわからない。単純にアイツとは小さい頃からの付き合いだからこそなんだろうが。なぜ、アイツとの経験が他の女子に活かせないのか、自分自身のことなのに理解に苦しむ。

 

「それにしても貴女(きじょ)よ。このクラスに来たということは、何か用があったのではないか?」

 

「あぁ、ゴメンゴメン。忘れるところだったよ。この脳筋バカが余計な口を挟むから」

 

「誰がバカだ誰が」

 

懐から取り出したのは近々行われる体育祭の部活対抗種目参加申込書だった。

 

「今年も騎馬戦みたいでね。どうせアンタたちは参加するだろうから直接渡しにきたの。わざわざ放課後に集まって受け取るのもバカらしいから」

 

「うむ。当然我が剣道部も参戦するでござるよ。同士も参戦するであろう?」

 

「当然だ。…それにしても毎年思うことだが、高校生最後の大会が行われている途中でこんな接触が多い競技をやらせるとは…。学校側は俺たちにケガでもさせたいのか?」

 

「学校側のスケジュールの関係上先生たちは息抜き行事としてだって言ってるけど、当事者としては迷惑なことこの上ないよねー」

 

特に抵抗なく署名して提出する。俺たちの目標はあくまで部活動だ。

こんな体育祭など先生たちの言うようにあくまで息抜きとして。本気で取り組むつもりなどさらさらなかった。

 

 

 

 

 

だが、体育祭当日。思いも寄らぬ提案を俺たちは受けた。

 

「何?結託してカバディ部を潰せと?」

 

「あぁ…協力してくれるなら礼ははずむ」

 

野球部部長の錦野から告げられた内容は信じられないものだった。

 

この騎馬戦でカバディ部を狙えという要請。周りを確認してみれば錦野以外の野球部員も他の部へそう働きかけている様子。この能京高校では認可されている部活の数が多いこともあってか部活間でのトラブルは日常茶飯事だ。だが、こうやって体育祭という衆人環視の中でリンチのような真似事をするというのは決して穏やかではないし、男たるもの正々堂々と自分の力で勝つべきだと思う。

 

が、ここで野球部の要請に反した結果野球部のターゲットにされでもしたら元も子もない。

 

俺はもうすぐ引退だからまだいい。だが、俺を支える騎馬を含む1、2年生6名は違う。俺が引退してから柔道部が不遇の扱いをされるのだけは避けたい。であるならば、ここは野球部の言いなりになるべきなのか……

 

「あのぉ…カバディ部の者ですけれど、今お時間大丈夫ですか?」

 

その時だった。渦中のターゲットであるカバディ部から声がかかったのは。

 

顔を上げるとそこには()()()が2人、俺たち柔道部と隣にいた同士を含む剣道部に話しかけていた。

俺たちに話しかけてきた金髪の髪をお団子に結んだ小柄の女の子は毅然とした表情を浮かべている一方、その金髪の女の子に隠れる形で薄い桃色の髪を後ろで1つに結んだ女の子が怯えて身体を少し震わせ金髪の女の子の両肩に掴まりながらもキッとこちらを見据えていた。

2人とも中々かわいらしかった。見覚えが無い顔だから1年生だろうか。

 

俺はこの時少しだけ高揚した。この3年間事務的な会話しか女の子とはしたことがないのに加えて、女の子側から話しかけてきた事などアイツを除けば1度もなかったのだ。

だが、今はそれどころではないとすぐに頭を切り換えた。

 

話を聞くに、野球部からカバディ部が活動する旧体育館を利用したいという要請があり、共用しようという提案も蹴られた挙げ句、この騎馬戦に負ければ旧体育館を乗っ取られてしまうというものだった。

 

さらに、野球部とのタイマンだけならまだしも、現に俺たちが言われたように他部にカバディ部を狙うように言われる始末。このまま負けてしまうとカバディ部は練習場所を失った状態で大会に臨まなければならなくなってしまうとのことだった。

 

「このままだと、マー…王城(おうじょう)先輩や井浦先輩が最後の大会に参加できなくなっちゃうんです…。()、それだけはどうしても避けないとって思って…!」

 

それまで堂々としていた佇まいから一転、金髪の子が両手で顔を覆いながら両膝をつき崩れ落ちる。後ろの桃色髪の子が慌てた様子で介抱にうつる。見ているだけで痛々しかった。

 

 

 

『ごめんねぇ…ごめんねぇ…』

 

 

 

途端、俺の頭に浮かび上がってきた過去の記憶。そうだった。あの時のアイツも目の前の女の子と同じように泣いていたんだっけ。

 

 

 

 

 

小学校に入ってからの休み時間、クラスの声が大きいやつらがボールを持ってグラウンドに駆け出す一方俺は1人教室横に咲いている花や葉っぱに興味をそそられる、今考えたらかなり浮いている存在であった。

 

「なにみてるの?アタシもいっしょにみたい!!」

 

そんななか、俺の横にいつの間にか現れて一緒に過ごすようになったのがアイツだった。アイツは俺と一緒にいても退屈だったはずなのに休み時間の度に俺に構ってくるだけでなく、帰宅する時になっても『アタシのタカラモノみせたげる!!』と言って、河川敷や草原、海岸沿い等俺が興味を引くスポットに連れていくことが多かった。

 

それまで学校と家の往復をするのみで、他に友達もおらず退屈な日々を過ごしていた俺にとってそれらはとても光り輝いて見えていた。

 

当時の俺は、それらの宝物を独り占めしないで俺の手を引いて見せてくれるアイツはヒーローのようだった。

 

だが、あの時のアイツは別人に変わったかのように泣き叫んでいたな。

 

いつものように放課後アイツに連れられて裏山に行った時、途中突然雨に降られて急遽雨宿りできる所を探したことがあった。なんとか見つけることが出来たものの、どっちも傘を持っていないから雨が止むまで立ち往生しているとアイツが急に倒れたんだ。慌てて額に手を当ててみるとすごい熱だったのを思い出す。

 

すぐにアイツを連れて帰ろうとしたけど、雨宿りできる場所を探す時にウロチョロしたせいでどこから来たかすらもわからないし雨も強くなる一方で止む気配がしないせいで立ち往生するしかない。子どもながらこれヤバいんじゃないかと思うほどだったな。

 

その頃は秋から冬に変わる途中だったこともあってとても寒かった。慌てて俺が着てる少し濡れた服を横になったアイツの毛布がわりにして、謝り続けるアイツをなんとか落ち着かせて雨が止むのをただ待つことしかできなかった。親から『迷子になった時はとにかくその場から動くな』と口酸っぱく言われていたから、それだけは何とか守ろうと不安になりながらもアイツを励まして時間を潰すことしかできなかった。

 

何時間経っただろうか。外が真っ暗になってもまだ雨が降りやまない中大人が複数人ボク等の所までやって来てくれた。その時の俺は助かったという安心感でそれまでずっと保っていた意識を手放してしまった。

 

なんでか覚えている。意識はなかったはずなのに大柄な大人に背負われて進んでいく安心感。

そうだ、俺が柔道をやりだしたのはこの後だったっけ。親たちからこっぴどく叱られた直後なのに『俺誰かを守れるヒーローになりたい』って言いだして、それまでカンカンだった俺とアイツの両親がどっちも呆れかえっていたのを今更思い出した。

だったら柔道だろと俺の父親が言い出したのが、俺が今日まで柔道をやる切っ掛けだったんだなと自身の過去をまるで他人事のように考えていた。

 

そっか、俺のオリジンはこれだったんだな。

いつしか柔道をやる目的が女の子にモテたいことに変わっていたけれども、思い出せてよかったとただ切実に思った。

 

 

 

だったら俺よ、あの時と同じように困った女の子を前にして、果たして俺は何をする?

 

 

 

「…わかった。お前たちの嘆願、確かに承った」

 

「…!!ありがとうございます!!」

 

「そんなにかしこまらなくていい。で、俺たちは何をすればいいんだ?」

 

ぱあぁっと明るくなった2人から指示を聞く。係の生徒から早く入場してくださいと言われるまでの間彼女たちのお礼が途切れることはなかった。

 

……こんな衆人環視の中であんな良い子たちに頼まれて断わる道は無かったなと、もしかしたら野球部だけではなく彼女たちからも嵌められたのではと勘ぐりたくなるがこればっかりは仕方なかった。

 

「お前達すまないな。俺のせいでこれからだけじゃなく来年以降も柔道(ウチの)部は野球部のターゲットになるかもしれない。強く生きてくれ」

 

「だいじょーぶっすよ部長!!俺らも部長と同じ気持ちっすから!!」

 

「俺たち相手にあれだけ言ってきてくれる女の子なんて部長の彼女ぐらいっすからね!

あんなに頼られた以上俺らも気合いが入るってもんですよ!」

 

「俺たちのことは気にしないでください。ま、上手く立ち回ってみせますよ」

 

後輩たちが元気よく返してくれる。頼もしい後輩たちだ。だが、アイツは俺の彼女じゃないぞ。いつも訂正しているのだが一向に止める気配がない。アイツには別に彼氏がいるというのに全然信じてくれないのだ。本人の耳に入らないことを祈るしかあるまい。

 

「……同士よ、同士たちも茨の道を進むのであるな?」

 

()()()ってことは、お前等剣道部もなんだな。俺が言うのもなんだが大丈夫なのか?」

 

「なに、問題あるまい。

逆にあれだけ頼ってくれた後輩の女子(おなご)を裏切ることになれば、それこそ我らは明日生きることもできまいて」

 

「…そうか」

 

剣道部の同士と共に開始位置まで移動する。途中誰かが野球部に協力するメリットなどとほざくヤツが現れたようだが無視した。そんな私欲の為にあの女の子たちを裏切ることをしてしまえば、俺は俺自身を許せなくなりそうだ。

 

開始位置につき息を整える。最初は地区大会の息抜きのはずだったのにとんだトラブルに巻き込まれたものだとため息をこぼしそうになる。

そんなのはもっと俺らみたいな硬派を気取るしかない哀れなやつではなくて、女の子からモテるスマートな人間の特権だと思っていたのに、現実はそうではないのだなと少し評価を改めることにした。

 

さて、頼られた以上は結果を出さねばな。

 

 

 

「それでは騎馬戦開始致します!!位置について!!よーい…」

 

 

 

「始め!!」

 




※BSSな柔道部員を書くつもりが途中で変わった上にいつの間にか長くなってました
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