※書きたい所を書いていたら10000文字越えちゃいました。読み辛かったらすいません。
※前回の更新時に書きそびれましたが、運営が最終話まで全話無料というとんでもないことやり始めましたね。正直、単行本未収録の話を何話でも見返せるので私としては助かる所の話じゃないんですが、スゴイですよね。
※キャラクター人気投票とベスト試合投票が6月11日(火)23時59分まで開催中ですね。
私も投票してきました。どちらも1番になってほしいものです。
※6/9 22:40 呼称修正+誤字修正
【人見side】
「す、すごいね…柔道部と剣道部の皆さん…」
「いやぁ~期待以上の動きしてくれて
「それにしても、なんで『
「あくまで野球部との交渉では『野球部対カバディ部の対決』だからね。先にあっちが他の部をけしかけてきたからこうして他の部に声をかけた。けれども、仮に
「…なんであの時あんな
「男の子よりも女の子が頼み込んだ方が男の人ってテンション上がるでしょ?
それに、あの時のボクは1度も
「……わざわざ泣き崩れる演技なんかしちゃって……。おかげで大分目立っちゃったし」
「いやぁ、あそこまで目立つことになるとはねぇ。ボクの演技力が怖いねぇ。
まあでも、そんなこともあろうかと。変装用の衣装は前もって用意しておいたんだから。感謝してね」
「……うん、あのまま体操服を着てたら
……でもさ、」
「なんで衣装がチアガールなの!!?」
「可愛いからだよ!!」
「それが理由になるのは姫沢君だけだよ!!」
「人見も可愛いから大丈夫だって」
「か…かわ…、どんな理屈なのソレ!!?騙されないからね!!」
「チッ」
「今舌打ちした!!?」
皆を見送った後、僕と同じく騎馬戦には出ない姫沢くんに声をかけられたと思ったら、姫沢くんは騎馬戦に出場予定の柔道部と剣道部の方たちにカバディ部の助力をお願いしていた。その時の姫沢くんはいつもの様子とは違って、前もって男であることを知っていないと『ただ先輩たちを案じる後輩
最後の泣き崩れる演技もそうだ。事情を知る僕はそれが演技だということは百も承知のはずなのに僕は無意識に姫沢くんを助けようとした。姫沢くんに動きを誘導されたことに気付いたのはそれから少しした後だった。
彼らから無事OKをもらった後僕等は逃げるようにその場から立ち去った。さっきの姫沢君の演技の途中から妙に周りの視線が刺さるのを感じたからだ。
このまま体操服のままだと面倒だとのことで、『ボクにいい考えがある』と言う姫沢君の提案を飲んだのが運の尽き。渡されたものをトイレで着替えようとするとそれがまさかのチアガール!!何故かサイズがピッタリなことに戦々恐々しながらトイレから出ると体操服を着ていた時に浴びていた視線は減ったように思えた。
……それでも視線を浴びているように感じるのは自意識過剰だと思っておこう……。
「冗談はさておいて、『木を隠すなら森の中』って言うでしょ?
実際チア部の隣にいる今、さっきまでの視線は人見もそんなに感じないでしょ?」
「それはそうだけど…、この衣装どうしたのか聞いてもいい?」
「ああそれ?結構良い出来でしょ?2つともお母さんの自信作」
「姫沢くんのお母さん!!?お医者さんだって聞いてたけど!!?」
「お母さん可愛い物が好きでね。その趣味の甲斐もあって裁縫も得意みたいなんだ。
この間お母さんに頼んでみたら1晩でやってくれたよ。
ボクが
「いや、それについては怖いくらいピッタリだからいいんだけどさ。僕の姉もアパレル関係の職に就いてる訳だけど、姫沢君も姫沢君のお母さんもどうかしてるよ…」
隣のチア部の衣装と見比べてみるも、胸元の文字が違うだけでそれ以外ほぼ同じという出来の良さだ。そのおかげで体操服を着てた時の視線がなくなったのは確かに助かるんだけども。
いや、体操服で視線を浴びたのもチアガールの衣装を着るハメになったのもどっちも姫沢君のせいだったことを思い出して姫沢君に感謝するのはおかしいとなんとか思い直した。
それにしてもチア部の人たち本当にすごい。あんなに身体全体を使って応援するなんて。テレビ越しに見る分には簡単そうに見えるけど、最近カバディ部で身体を動かし始めた身としてはあれだけ激しく足を上げたり声を出しながら笑顔を維持するのは生半可な体力で出来るものではないと分かった。ホント尊敬に値すると思う。
チア部に向けていた目を戻す途中で隣の姫沢君と目が合う。何やらニヤニヤした顔でこちらを見ているけれど。
「どうしたの、チア部をジッと見ちゃって。もしかして見惚れちゃった?」
「いや、最近になってやっとスポーツを始めた身としてチア部の応援って結構体力使うなって思って。
あれだけ動きながら笑顔を絶やさないってホントすごいよね」
そう答えると姫沢君は何やら興味深そうに僕の方をジロジロ見てきた。
なんなんだろうか。
「慌てないんだね人見。宵越くんだったら『はぁ!?全然見惚れてねぇが!!?』ってすごく動揺しながら大声で反応してくれる所だと思うんだけど。
もしかして、女の子に慣れてる?」
「うーん、慣れてるわけじゃないと思うよ。ただ姉が2人いて、2人から色々と
たしかに、宵越君ならそう言うかもなと若干宵越君の声マネをした彼を見ながら苦笑いする。
そして慌てて、姫沢君が
「あっご、ごめんね!!別にそんなつもりじゃなかったんだけど……」
「……?何をそんなに謝るのかは分からないけど、やっぱり人見もそうだったんだね。
ボクも小さい頃は可愛いもの好きのお母さんからよくスカートとかドレスとか着せてもらってたし」
今思えば、ボクが今可愛い物好きなのもお母さんの影響だろうねー。
そう続けた姫沢君だけど、正直な所僕はそうだろうなと半ば確信していた。
さっきまでの女の子と言われても信じられる容姿と演技ができる姫沢君であれば、その幼少期はさぞ可愛かったであろうことは明らかだ。
それも、服を自作するほどの可愛い物好きな人であればなおさら。身近に類似例がいる身として、僕は誰よりもこの事についてだけであれば姫沢君の言うことに1番同意できるだろうと思う。
「そうだ!せっかくの体育祭でチアガールの衣装着てるんだから、ボクらもマーくんたちを応援しようよ!!」
え!!?
だからだろうか、先程まで理解できると思われた存在から理解できない提案をされた時に情けない声を上げたのは断じて僕のせいじゃないはずだ。
「ど……どうして?」
「どうしてもなにも。こんな機会なんて滅多にないでしょ?だったら、思いっきりはしゃいで楽しんじゃおうかなって。人見も一緒にどう?」
「こんな機会って……、姫沢君が仕込んだマッチポンプじゃん……。
それに僕は姫沢君みたいに運動神経良くないから、いきなりチアガールのマネなんて……」
「応援に上手い下手は関係ないでしょ。応援する気持ちがあればそれで十分だって。
ですよね!チアガールの皆さん!!」
「そうよ!カバディ部のマネージャー諸君!!応援に1番大事なのはその子の言った通り気持ちなんだから!!それさえあれば上手い下手も関係無し!!それと、応援の時は照れを捨てないと!!」
「『身』も『心』もさらけ出すの!!男の子はそういうの好きだし!」
姫沢君が隣のチア部の人たちを巻き込んでくる。姫沢君の声かけによって応援を渋る僕に大丈夫だからと善意で声をかけてくる。
止めて!姉のおかげで女性慣れしているとは言え、いきなり女性複数に詰め寄られたらいくら僕でも緊張するんだよ!
それにあの人たち完全に僕たちのこと女の子として接しているからか、ボディータッチとかチラ見えの警戒線が明らかに緩みすぎている。僕はともかく、チアガールの衣装似合いすぎてる姫沢君も男の子だから!!もうちょっと警戒してください!!
僕はいつの日かチア部の人たちに男バレしないか怖くなった。
「うわぁ……姫沢君やわらか。足ほぼ垂直になるまで上げてるし。もしかしてI字バランスできる?」
「できるよ。中学の頃、
人見もボクほどじゃないけど中々じゃん。スポーツ最近までやってないって言ってたのがウソみたいだよ」
「うーん、実際柔軟とかほとんどやってないんだけど……体質なのかな?」
「2人とも中々やるわね!!
「あはは、お誘いは嬉しいですけど遠慮しておきます。ボクらはカバディ部ですから。
ね、人見?」
「あ、はい。せっかく誘ってくれたのにごめんなさい」
「いいのよ気にしないで!!でも、もしチア部が気になったらいつでも来ていいからね!!」
僕らがチアガールで応援していると騎馬戦の方も展開が大分進んでいた。野球部の策略通り他の部はカバディ部を狙い撃ちしてくるけれど、部長と宵越君を騎手とした騎馬がそれらをかいくぐりながら続々と鉢巻きを強奪していく。さらに姫沢君の策によって仲間になった
僕は流されるまま応援を続けている。時折出場選手やそれ以外の人達から視線を浴びるけれどお隣のチア部を見ているんだよね?決して僕なんかを見ているはずがないと思うんだけど、何故か無性に気になってしまった。
「おい、あそこのチア部の端にいる金髪と桜色の2人。お前知ってる?」
「いや、チア部のことなら全て知っている俺も知らない…。最近になって入部したのか?いや、その割には桜色の子はともかく金髪の子の動きが良すぎる。無論、若干の照れを応援の節々から感じる桜色の子の応援も萌えて中々良い物だ。甲乙つけがたい」
「チア部を全把握していることに若干引いたが…。……お前、どっち派?俺は金髪の方」
「お前……ロリコンだったんだな……。俺は桜色の方だな。胸がもう少しあれば尚良しだったが。親友の性癖はともかく、狙いが被らなくて安心したぞ」
「ロ、ロリコンじゃねーし!!違うけれども……この騎馬戦が終わったら声かけてみるか」
「だな、どっちが勝っても恨みっこなしだ」
騎馬の数が大分減った後、野球部の方から動きがあった。旧体育館に殴り込んできた1人、野球部部長錦野さんが部長たちに突っ込む。何やら一言二言会話していたみたいだけど、僕らの方までその内容が聞こえてくることはなかった。それまでの相手と違って数巡粘られたものの、最後は部長が無事鉢巻きを奪い取った。
けど体勢が悪かったのか錦野部長が腕から落ちそうになったのを見た伊達先輩が自分達の馬を崩してまで錦野部長を庇ったおかげで特にケガはないみたいだ。
……おかげで、部長の馬は崩れて失格になっちゃったけど……。
「あ……部長たちが……」
「…………」
「ひっ!…姫沢君……大丈夫……?」
「……どうしたの、人見?伊達先輩が
怖い怖い怖い怖い!!
姫沢君さっきまで楽しそうに応援してたのに、急転直下ここら一帯が真冬になったかのように肌寒くなったかのような悪寒をむき出しの腕全体で感じる。
姫沢君からドドドドって黒いオーラが見えるもん!姫沢君がこんなに感情をむき出しにしてる所を見るのは今回が初めてだけど、なんとか僕が抑えないと!!
そう覚悟をきめて姫沢君と対峙しようとするも、フッとそれまで感じていた悪寒が掻き消えてさっきまでの笑顔を浮かべる姫沢君の姿がそこにはあった。
「まぁ、よかったよ。これで錦野部長がケガでもしてたらカバディ部が勝っても後味が悪かったからね。ファインプレイだよ」
「そ…そっか!」
良かった。姫沢君の機嫌はそこまで悪くないみたいだ。僕は安心して会話を続けようとしたがそれより先に、
「ま、だからって
……マーくんたちは許したかもだけど、ボクは絶対許さないよ。特に最後のことは」
二の句を継げた姫沢君に僕はヒュッと息をのんだ。発しようとした言葉が僕の口の中で完全消滅した。とてもではないが今の姫沢君に言えばその怒りが僕に向かってきそうだったからだ。
伊達先輩……骨は拾っておきますね。
グラウンド中で部長たちから許されたことでホッと一息をついている伊達先輩に悪いと思いながら十字を斬る。部長と姫沢君がお互いに大好きなのはなんとなく分かってたけれど、ここまでとは想定外だったよ。
姫沢君から目をそらしてグラウンドを見やる。気付けば残っている騎馬はもう10にも満たない。野球部とカバディ部お互いに1騎ずつ落としたのもそうだが、思った以上に
この騎馬戦では手に入れた鉢巻きの本数で勝敗を決めたハズだから、残りチームの数もあってもう優勝は柔道部か剣道部のどちらかになることは誰の目にも明らかだった。
どれだけ暴れてたんだろう……カバディ部の応援に夢中だったからそこまで注視してなかったけど。きっと、スゴかったんだろうなぁ。
伊達先輩に迫る危機から目を逸らしてあははと乾いた笑い声を出していると隣の姫沢君が先程まで出していた怒気を引っ込めた状態で僕に話しかけてきた。
「良かった、やっと笑ったね人見」
ん?どういうことだろうか。
僕がキョトンとしていたからか、姫沢君は何やら成功したかのような達成感を感じさせる笑顔で話しかけてくる。
「最近人見が元気なさそうだったからね。今日みたいにバカ騒ぎすれば元気出るかなって思って。どうだったかな?」
………………。
「……仕方ないでしょ。野球部に練習場所奪われそうになっている今の状況で元気いっぱいな人なんて誰もいないでしょ」
……いや、チアガールの衣装を着て応援したいって
姫沢君を見つめる僕の目の冷たさに気付いているだろうに、いつの間にか姫沢君はグラウンドに向き直っている。
グラウンド中央では野球部のエースである安堂先輩と宵越君のバトルがもう始まっている。このバトルの結果次第でカバディ部の進退は決まるというのに、さっきまで続けていた応援をしようとは到底思えなかった。
「ボクが人見たちと知り合って2ヶ月弱。長いとは言えない期間だけどキツい練習に一緒に耐えてきた仲間なんだ。人見が何に悩んでいるか当てることは難しいけど、何かに悩んでいるってことは分かるつもりだよ」
「…………」
「安堂センパイに言われたことが気になる感じ?」
「………うん」
自分では当てられないと謙遜していた姫沢君に見事当てられてしまった。そのクイズの報酬として正解であることを回答者に伝えることにした。こんな僕の悩みなんて、大会に必死になっている皆には特に教えたくなかったのに。
「安堂先輩の言うことが正しいとは思っていないよ?でも、『100人いる中でのエース』とか『マイナースポーツをやる人は競争から逃げてる』って言われてあの時少しだけでもその通りかもって思っちゃったんだ。
あの時姫沢君や宵越君はあの先輩に立ち向かっていったっていうのに。それに僕がカバディをやり始めた理由なんて実際の所は……」
僕の言葉が最後まで続くことはなかった。姫沢君が僕のほっぺを両側から横イッパイに引っ張ったからだ。いつの間にかポンポンは地面に置いていたらしい。いつの間にか僕自身も俯いていたみたいだ。20cm弱ある身長差をなんとか埋めようと必死に背伸びをしながら僕のほっぺに手を伸ばしている姫沢君がなんだか面白くてちょっと気が抜ける。
「奏和の六弦さんは知ってるよね?彼は今でこそマーくんに勝つためにカバディ続けてる訳だけど、やり始めの頃は『力を使う競技なら負けないだろうから』っていう中々不純な動機で始めたんだよ」
「…え?」
「同じ奏和の高谷さんは『水泳で1番になるのに飽きて』っていうすごい理由だし。4番で試合に出てたカチューシャを付けてた
結構皆個人的な理由でカバディをやり始めたみたいなんだ。
野球とかサッカーみたいなメジャーな競技だと、こんなふざけた理由で入ろうとしたら逆に断わられそうだよね」
いきなり何を言い出すんだろうか。でもなんとなく意図は分かった。
僕のことを励ましてくれているのかな。
「人見がカバディに興味を持った
それだけは人見自身も否定しちゃいけないことだよ」
だからか、ちょっと興味が湧いたんだ。
「姫沢君の『1番になりたい』以外の理由はないの?さっきの六弦さんみたいな」
「ボク?うーん、たしかお父さんが昔カバディをやっていたからかな。正直保育園に通ってた頃だから全く覚えてないんだけども」
「へぇ、お父さんもカバディやってたんだね」
「うん。たしか父ちゃんも一緒に参加してたみたいでね。今でも父ちゃんの知り合いから良くしてもらってるよ」
「そ、そうなんだ」
亡くなられた父ちゃんの話題が出てきて少し驚いたけどそんな反応はしなかったはず。姫沢君も僕の反応に気を悪くしてないように見えるから大丈夫だと信じたい。
「で、小学校1年生の頃かな。東京でやってるカバディ教室で当時3年生のマーくんと他数人と初めて会ってね。そこでマーくんと意気投合したことだけはよく覚えてるよ。
『1番になりたい』って理由もたしかマーくんを真似たモノだし」
「へぇ、そうだったんだ。副部長はその時会わなかったんだね」
「うん。慶さんがカバディをやり始めたのは慶さんが6年生の時だからボクが4年生の頃だね。その頃にはボクも今の家に引っ越してたからそんなに頻繁には遊べなかったけど。
そうだ!マーくんと慶さんがボクの家に泊まりに来たことがあってね!その時に…」
そう笑顔のまま僕に伝えてくる姫沢君はとても楽しそうだ。
先日安堂先輩に突っかかって行った人と同じ人だとは到底思えないくらい。
あの時人が変わったように安堂先輩に絡みに行った時は正直怖かったけど、
最近になって始めた僕とは違って、物心ついた時から続けているカバディを否定されたこんな楽しい思い出を否定されれば仕方ないのかなと思えてきた。
気付けば僕たちは応援そっちのけで姫沢君の思い出話に花を咲かせていた。気付けば宵越君と安堂先輩の勝負も宵越君の勝利で終わり、カバディ部の進退が決まる部活対抗戦は何事もなく終了……
と思われたが。
【宵越side】
「…連携が悪くねぇっつーのも…カバディで知ったんだ。
旧体育館…もらってくぞ!!!」
安堂が俺の腕の動きを
「おめでとう、カバディ部の諸君。野球部との勝負見事であった」
途端、後ろから声をかけられる。競技中だというのに物思いにふけっていた俺自身を恥じながらハッとして慌てて後ろを振り向いたがソイツを見てホッと一息をついた。
そこにいたのは
「おう、悪いな。何回かあんたらに助けられちまった」
「おぉ…
「うっせぇぞ畦道」
「いやなに、俺達はただ助けを求められてそれに応えた。それだけの話だ。
お前達が気に病むことは何もない」
「助け…あぁ、姫沢に何か言われたんだったな。
俺たちがグラウンドに向かう途中アイツが柔道部と剣道部の奴らに声をかけているのは見えていた。余計なことをとその時は思ったが、実際騎馬戦を開始してから予想以上に他の部から狙われたことと想定以上に
だから、この返答も何も他意などなかった。尊敬する相手
ただ、問題があるとするならば、
「アイツ?」
対峙した相手が既にマトモでなかったことか。
「……俺の目の前で
「ん?ヨイゴシ、お前柔道部の部長と知り合いだったのか?」
「いや、今日初めて会ったはずなんだが」
「丁度いい。お前に俺のオリジンを教えてやろう」
「いや、助かったのは事実だが。あんたのオリジンとか別に興味な…」
「あれは俺がまだ小学生の頃、幼馴染みに連れられて裏山に遊びに行った時だ…」
「突然語り始めたけど、本当に知り合いじゃないの宵越君?」
「だから違うっつってんだろうが!!お前らの俺への信頼の無さはなんなんだ!!」
「「だってヨイゴシ(宵越君)だし…」」
「お前ら俺をバカにしてるな!!そうなんだな!!」
「突如大雨に降られた俺達は右往左往しながらも雨宿りの場所を見つけてそこで雨が止むのを待つことにした。だが待っている間幼馴染みが高熱を出してしまって…」
「今良いところ……」
「ん、どうした伴?何々…」
「あんなやつの語りなんざ無視していい!さっさと鉢巻き取って終わろうぜ!!」
「いや、流石にしゃべってる途中の相手に攻撃を仕掛けるのは人として恥ずべきことなんじゃ…」
「急に自分語りするヤツの方が恥ずかしいだろうが!!」
「その時だ。幼馴染みのアイツの看病をする俺のシャツを掴んで、自分も不安で泣きたいはずなのに幼馴染みの体調を案じて泣くまいと必死に堪える
そうだ…なんで俺は今まで忘れていたんだ…!」
突然頭を抑えてうずくまる柔道部部長。なんか嫌な予感がビンビンするんだが、さっさと鉢巻き取って終わりにしようぜ?
「あぁ…そうだ。あの子は…
あの子は俺の
ハァ?
思わず声が出た。姫沢はアイツの妹?いやいや、そもそも性別から違うだろうが。
「おい、何をとち狂ったか知らねえが。
「あの子を男だと!?お前の目は腐っているのか!!?あそこで応援しているあの子はどう見ても女の子だろうが!!」
「なんであいつらチアガールの衣装なんて着てンだよ!!?誤解深まってんじゃねえか!!」
「1度ならず2度までも!俺の前であの子をアイツと呼ぶだけでは飽き足らず、あんなに可愛いあの子を女の子っぽくないとほざくとは!!もう許さんぞ!!!」
「話を聞けぇぇ!!」
「……成る程。あくまで兄である俺の前からあの子を奪うつもりなのだな。ならばそれもまたよし。この場でお兄ちゃんである俺の屍を越える覚悟があるのならな!!」
「おい、俺が悪いのか?アイツとの会話が出来ないのは俺のせいなのか!!?」
「……都会ってスゴイ人がいるんだべな……」
「都会を誤解しないで畦道君…」 「……」
「黙れ小僧!!お前に妹が任せられるか、最後の勝負だ!!覚悟しろ!!
「誰が
結局、これまでの戦いでの疲労とアイツのペースに飲まれたこともあってか、俺たちの鉢巻きはアイツに回収されて試合終了。
最後に生き残ったのも、鉢巻き獲得数でも勝った柔道部が勝利した形で部活動対抗戦騎馬戦は今度こそ終了となった。
野球部に勝って目的は達成したはずなのに、なんか釈然としねぇ……