ボクがキミを王にする   作:モーン21

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※原作の方も残り1話ですね。23日(火)が待ち遠しいです。

※お気に入り登録、感想等ありがとうございます。


第30話 ミニゲーム

『ヒメサワって50m走何秒なんだ?』

 

『6秒5だね。それがどうかしたの?』

 

『うーん、おらよりは速ぇけど…。なぁヨイゴシ、ヨイゴシはどんくらいだ?』

 

『あ?……そういえば何秒だったか?』

 

『5秒9だよ。スポーツ・テストじゃめったに聞かないってクラス中大盛り上がりだったっていうのに…。まったく宵越くんは…』

 

『いやお前そん時入院中だったろ。なんで知ってんだよ』

 

『宵越くんのことだもん。ファンとして知らない方がおかしいでしょ』

 

『…まぁ、井浦もいるし。そこ気にしても仕方ねぇか』

 

『はー、2人とも速ぇな!おらも負けてらんねぇ!!』

 

『なにか聞きたいことでもあったんじゃないの、畦道?』

 

『おぉ!そうだったそうだった!!ありがとなヒメサワ!!

 

いや、2人の攻撃(レイド)練の時な。受けてて思ったんだけど、2人のスピードにさっき聞いたよーな差が無ぇように感じて。なんでかなーって』

 

『は!!?ンな訳ねぇだろ!!俺の方が断然速ぇだろうが!!』

 

『あー、それね。カバディコートって大体縦5m横10mぐらいなんだけど。50mとか100mとか距離が長くなってくると足の長さ(リーチ)がある人が有利なのに対して、カバディコートみたいな狭くて短いところだと小回りがきくボクみたいなチビの方が速かったりするんだよ』

 

『へー、そうなんだな!!』

 

『ほーん』

 

『他の高校(チーム)にもそういう人がいるかもだから、見かけで油断しないようにね』

 

 

 

 

 

「2、30cmの身長差を埋めるスピード。理解できても攻略は難しい」

 

はっや!!

 

あらかじめ()()いたから若菜さんがスピードタイプの攻撃手(レイダー)だってことは分かっていたけれど、数値で見るのと実際に見るのとじゃやっぱり違うってことを痛感した。傍から見ても驚愕ものなんだから、直面した宵越くんたちの衝撃はそれ以上だろう。

 

宵越くん(左角)はなんとか自前の反射神経で緊急回避できた。

が、余裕は無い。いつも以上に足に力が入った為か未だ宵越くんは宙に浮いたまま着地もできずにいた。そうこうしているうちに、若菜さんは第2陣の接触(タッチ)の為にまたもや間を詰める。

 

宵越くんの着地が先か、若菜さんの接触(タッチ)が先か。判定はギリギリだ。

 

「カバディ…」

 

が、カバディはあくまで1対1(タイマン)のスポーツではない。1人である攻撃手(レイダー)に対して群れて闘うのが守備(アンティ)だ。

ワンフォーオール、オールフォーワン。

1人のピンチには全員が支援(フォロー)するのは守備(アンティ)においてまず覚えるべき重大事項である。

 

若菜さんの視界ギリギリの位置に畦道(左中)が割り込んできた。

『これ以上奥に進んだら掴む…!!だから下がれ!!』という警告を鳴らしながらのそれはコート外からのボクらでもわかった。

 

能京(うち)では周知の事実だが畦道の(パワー)はバカにならないほどだ。単純な力勝負であればボクやマーくんの場合、掴まれたらそこで試合終了(ゲームセット)()()限り、同じくらいの膂力の若菜さんも掴まれたら一巻の終わりだろう。

 

若菜さんの取る選択肢は大まかに分けて2つ。

1つは、接触(タッチ)した後で支援(フォロー)に来た守備(アンティ)と戦う。

もう1つは、畦道の警告に従い下がって攻撃(レイド)の仕切り直しを行う。

 

どちらを選んでも一長一短。若菜さんの選んだ選択は前者だった。

 

が、その内容は少しだけ異なっており

 

接触(タッチ)した後で支援(フォロー)に来た守備(アンティ)とも戦わずに逃げる。というものだった。

 

宵越くんが着地する前に接触(タッチ)した後畦道のタックルを躱す。言葉以上に難しいそれを成し遂げられたのは、そのスピードがある故だった。

どれだけ目で追えていようと、センサーで動きを追えていようと、『速さ』はそれらを灰燼に帰すことができる。

『速さ』というものはそれだけ尊く儚いものなんだ。

 

 

 

 

 

若菜さんの動きはまっすぐだ。ただただ愚直に目標地点(タッチ)までの最短距離を突き進む。

 

駆け引きをする時間すらをも惜しんで速さを追求したその攻撃(レイド)は、見ていてとても爽やかで見応えのあるものであった。

 

「カバディ!」

 

 

 

が、カバディという競技はあくまでも()()()

 

 

 

ドッ

 

 

 

まっすぐ()()()その動きは得てして読みやすいものでもあった。

 

「足ィ止めたぞ!!真!!!」

 

「おう!!!」

 

 

 

 

 

「え…英峰(えいほう)攻撃(レイド)失敗!能京(のうきん)1点獲得ー!!」

 

審判を務めていた英峰生もまさか初手から止められるとは思っていなかったのか、少し声を上ずらせながらそう宣告した。

 

「…まじか…!!」 「こんなに上手くいくとは…」

 

いや、先輩たちも驚いてどうするんですか。

 

たしかに、最近教えた()()がピッタリはまったことに驚くのは分かりますけれども。

そこはブラフの意を込めて堂々としていてほしかった。

 

ま、相手に油断があったとはいえ英峰スタメンの攻撃(レイド)を初見で防いだんだ。こんな反応になるのも分かるし、称賛すべきことである。ボクはパチパチと拍手しながら「水澄先輩、伊達先輩!!ナイス守備(アンティ)です!!」と告げることにした。

 

「この守備力は一体…」

 

他のコートの英峰生からもスタメンである若菜さんが倒されたことに驚きを隠せない一方で、隣のいっくんは能京(うち)の守備力について気になるらしい。

 

ふっ、反応を返してくれた先輩2人からいっくんへ顔を向ける。

 

「若菜さんの速さはかなりの脅威でした。ただ、相性が悪かったですね」

 

わき上がる歓喜の感情を内側で潰しながらなるべく無表情になるよう努めて言の葉を紡ぐ。

 

能京(うち)のメンバーは、軽くて強い攻撃手とはやり慣れてます。それに、シャッフルレイドも速攻も今日が初めてじゃなかったですからね」

 

それを受けていっくんからの視線が強くなる。

 

…はい、その通りですよ。あの紅白戦が終わってからボクの攻撃(レイド)練習の時は皆への攻撃技術の周知も兼ねてやるようにしていた。

 

ボクが比較的多用するような、目線が不明瞭なマーくんのマネをした攻撃だけではない。さっき若菜さんがやったようなシャッフルレイドを交えた速攻はもちろん、小型攻撃手(レイダー)向けではない歓迎会の時にやった横歩きのリーディングレッグレイドも忘れた頃を目安に定期的に皆には披露していたのだ。

 

…ま、ボク自身せっかく得た技術がまだ使えるかという確認作業も兼ねていたんだけど。

 

「冷静さを欠きましたね悪いクセです」

 

「…すんません」

 

「まぁ…敵の守備も予想以上でした」

 

「いつも通り、こっちも守備で取り返そーぜ」

 

「…はい」

 

気付けばコート内で英峰のメンバーが軽い調子で若菜さんに声をかけていた。

 

軽く叱咤して反省を促した後、失敗を引きずらないように新たな目標を与える。八代さんとたっくんが当たり前のように若菜さんにとった声かけはかなりの効果があったようだ。元々失敗を引きずらない質なのかもだが、少し俯き気味だった若菜さんの顔が既に上がっている。

 

ま、ミニゲームだし万全の状態な方が能京(うち)の糧になるか。

 

「あれ?宵越くんじゃなくて畦道が攻撃(レイド)出るんだ」

 

ボクが英峰の方に気を取られていたからか、能京(うち)の1回目の攻撃者(レイダー)が畦道だと気付くのに少し遅れてしまった。

 

「ん、彼は攻撃手(レイダー)ではないのか?」

 

「ですね。これまでの練習でも攻撃(レイド)の練習している所なんて見たことないんですけど」

 

何を考えているんでしょう?

 

そう嘯きながら畦道が自分から攻撃(レイド)をやり始めたことに内心しめたと思う。紅白戦で活用するに至った畦道の『センサー』であれば攻撃(レイド)に有利だと思っていたんだ。

 

畦道に伝えてもよかったけど、ただでさえ初心者でやることが多い身である畦道に守備(アンティ)の練習に追加して無理矢理攻撃(レイド)の練習をさせても効果が見込めないと判断したしマーくんや慶さんが言わないならそれに倣うべきだと思った。だけど、自分でやる気を出したのなら話は別だ。

 

能京(チーム)で1番を狙っていく以上、優秀な攻撃手(レイダー)は1人でも多く欲しかったからね。

 

それはそれとしてだ。

 

「それにしても、英峰の守備は徹底してますねぇ。ボクもやっていますけど、キツさはボク以上でしょアレ?」

 

「ミニゲームの今はできて当然だ。試合の体力が残り少ない時にも反復で出来るように皆には仕込んでいるからな」

 

反対の英峰の守備を見てのボクの呟きにいっくんが返してきた。その顔はどこか誇らしげだ。なんでそうなのかはもうわかりきっているから、改めて試合の方へ集中する。

 

190cm程度の身長を誇る八代さんとたっくんを含む英峰の4人が畦道よりも低くなるように腰を落とすその様は異様だった。触られる面積を減らすことはカバディにおいては常識とも言えるがここまで徹底しているからこその『守備の英峰』と呼ばれる所以なんだろうなと思う。

 

八代さん(左角)を目標にコート奥へ進む畦道に対して、若菜さん(右角)攻撃(レイド)時に活かした俊足を用いた回り込み。畦道の死角に入ったことを確認してすぐのその動きは守備として百点に近い物と言えた。

 

が、

 

畦道は慌てること無く手を若菜さんの方へ振ることで追い払う。これも『センサー』がある所以だ。360度全方位を警戒することができる『センサー』は守備(アンティ)だけでなく攻撃(レイド)にも使える。ここまでならボクの目にも出来るが、距離感を()()()把握できるのは今知る限り畦道だけだ。それだけ畦道の『センサー』は非凡な物だ。

 

畦道の狙いは依然八代さんのようだ。当然若菜さんが視界から外れる為先程のような回り込みの的だが、若菜さんの体重は推定53kg。畦道のパワーなら若菜さん1人程度なら引きずってでも帰れる可能性が高い。それを踏まえての八代さん狙いなんだろうね。

 

結構考えてるなぁ。

 

そうこうしている内に間合いに入った。タッチを試みる畦道だったが目標の八代さんは逃げる素振りも見せずに簡単に接触(ストラグル)に成功した。

 

「「おお!!」」

 

「よし!デカイのも触っ…」

 

歓喜の声を上げる宵越くん達と反対にボクは簡単にタッチできたことに違和感を感じた。その違和感は苦悶の表情を浮かべて後ろを振り返る畦道と()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を見たことである程度察しがついた。

 

 

 

 

 

「っし!!!」

 

 

 

いつの間にか回り込んできていた若菜さんのスライディングにより両足を捉えられた畦道は逃げる暇も無くその場に崩れ落ちた。皮肉にも八代さんに右腕を掴まれていたおかげで着地の際そんなダメージを受けた様子は見られないのは幸いだった。

 

「能京攻撃失敗!英峰1点獲得!」

 

畦道の攻撃失敗によって英峰にも1点入った。英峰(強豪)相手に先制できたにもかかわらずすぐに追いつかれてしまった。

 

が、宵越くん達はそれよりも別の事が気になったようで

 

「ま…待て…なんだ!?今なんで掴まった…!!?」

 

若菜さんにケガがないか尋ねられている畦道を捕まえて、何が起きたかについて詳細を聞き出そうとする。畦道も何が何やら分からない様子だったが、真剣に宵越くんに分かったことを伝える。

 

タッチした手をタッチと同時に掴む。

 

……成程なぁ。躱すことばかり考えてきたけれど、攻撃手(レイダー)の腕を掴むことができれば他の守備(アンティ)の手助けになれるのか。『攻撃する時が最大の無防備』とはよく聞くけれど、カバディに落とし込むとこうなるんだね。

 

「いっくん、今八代さんがやったのって…」

 

「叶。いくらお前でもそう簡単に英峰(うち)の技術を教えたりはしないぞ」

 

さっきの技について尋ねようとするも、いっくんはボクに目線すら向けないままつれない反応しかしてくれない。まあだめもとだからいいけどさ。逆に教えてきたら大丈夫かと不安になるってものだ。

 

「イジワル」

 

「拗ねても無駄だ。第一、叶が俺の立場でも同じように返すだろう?」

 

「それはそうだけど…「止まるな宵越ィ!!」…あらら」

 

いっくんとじゃれあっているうちに英峰の攻撃(レイド)がもう始まっていた。

 

集中が途切れかけていた宵越くん目がけて突っ込む若菜さん。宵越くんに注意を促しながら牽制の為に近づく水澄先輩(右角)だけど、指示を出したことで生まれた隙を若菜さんが見逃さなかった。即座にターゲットを水澄先輩に移行してタッチを済ませた後何事も無かったように帰陣した。

 

「英峰攻撃成功!タッチ1点獲得!!」

 

「いや~、速いってやっぱりいいものだねいっくん」

 

「速いだけじゃない。先程の攻撃失敗を引きずることなく冷静に速攻をしかけ、無事成功を収めた。口で言えば容易いことだがそれが出来るのは並大抵のことじゃない」

 

「べた褒めじゃん。英峰は褒めて伸ばす方針なの?」

 

「そういうわけではないが、後輩の活躍だ。誰でも嬉しく思うものだろう?」

 

「いや、それは否定しないけどさ」

 

1対2

 

点差こそ1点のみだけど、この点差は数字以上に重いものだ。多分宵越くんの集中が途切れかけていたのは英峰の守備の壁が想定以上に高かったからだろう。八代さんの詳細不明の技術の上に俊足の支援ができる若菜さん。4人守備は攻撃手(レイダー)有利のはずなのに、それを感じさせないほどの強敵にさすがの宵越くんも気圧されたみたいだ。

 

さらに若菜さんの攻撃(レイド)がすぐに終わったこともあって、考える時間が与えられなかったことも大きい。

 

どう攻めるのが正解か分からないまま、刻一刻とタイムリミットが迫る中死地に追いやられようとしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて

 

キミはそんなヤワじゃないでしょ

 

宵越くん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボクのアイコンタクトがちゃんと効いたみたいだけど、なぜか宵越くんは少しだけ身震いしていた。だけど、その甲斐あってそれまであった焦燥はもう鳴りを潜めたようだ。

いつもの宵越くんらしい不敵な態度を出しながら、いつものルーティーンである右足をブンっと振り回した後攻撃に入って行った。

 

「まったく、選手ではない者の声かけがルール上禁止されているとはいえだ。()()を仲間に向けるものではないぞ」

 

「殺気って…。宵越くんが()()()()()落ち着かない様子だったから、ちょっと喝を入れただけですよ」

 

いやいやいっくん、殺気だなんて大げさな。ちょっと解釈違いが起こりかけたことは否定しないけれど。ちょっと目で会話しただけじゃん。

 

「まぁいい。その宵越は落ち着いているみたいだが、英峰(うち)の守備を相手に何か策はあるのか?」

 

「策なんていくらでもありますよ。ただま、期待して損はしないとだけ伝えときます」

 

その会話を最後にボクらは黙り込む。宵越くんの狙いは若菜さん(右角)のようだった。流石に詳細不明の技を持つ八代さんを相手にするのは危険だと判断したらしい。賢明だね。

でも、八代さん(左角)たっくん(左中)の190コンビはただそこにいるだけでも厄介だよ?

 

宵越くんは狙いを若菜さんに捉えてはいるものの、間合いを十分に保ったまま時折目線を対角へ向けて様子を見ている。それを数度繰り返したかと思うと、後ろに下がって距離を十分に取った。

 

どうやら、覚悟は決めたみたいだね。

 

「いってらっしゃい、宵越くん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何だったんだ、宵越のあの技は」

 

「聞かれても答えませんからね。能京(うち)の大事な情報なんですから」

 

「フッ、言い返されてしまったな」

 

あの後、宵越くんは若菜さんと援護に回り込んできていた八代さんとたっくんからも接触(ストラグル)を獲得し一挙3点を獲得することに至った。

 

コートの英峰メンバーだけではなく、隣のいっくんも驚きのあまり目をまん丸にしているのを見てドヤ顔になりそうになったが、流石にはしたないと自制した。

 

その後逆に追い詰められた英峰は攻撃(レイド)に若菜さんを送り出すも、攻撃を先回りして防がれてしまったこともあり、倒されることこそなかったが得点を得ることもないまま5分間のミニゲームは終わった。

 

「ご…5対3、能京勝利!!」

 

まさか負けるとは思っていなかったのか、気持ち審判の英峰生の声が震えているように感じた。

ちなみに英峰の3点目は宵越くんがバックで戻る際に接地に失敗してキレイにすっ転んで攻撃失敗したからだね。

 

まったく、しまらないんだから。

 

「まさか勝つとは…」

 

「おい宵越!!お前すげぇじゃねーか!!」

 

「痛ぇんだよ、このバカ力が!!」

 

「ハッ!そう褒めるなって!!」

 

「褒めてねぇよ!!?」

 

コートの中では水澄先輩が大活躍した宵越くんの背をバンバンと叩いて、これでもかと褒めている最中だった。なお、叩かれている宵越くんは憤慨しているみたいだけれど、気持ちは伝わっているのか少し顔が緩んでいるのがここからでも分かった。

 

「あの宵越の技は叶が仕込んだのか?」

 

「!!……。ノーコメントです」

 

言い当てられた動揺を抑えながら返す。だけど内心、いっくんが言い当ててくれた喜びで踊り出しそうだった。

マーくんが発案してボクが骨組みを組んで宵越くんが活用する。宵越くんだけではなくマーくんとボクも褒められるべきモノだからね。この中の1人だけでも欠けていたらこの技は完成していなかったんだ!!

 

……いや、もしかしたら()()宵越くんだったらボク等が教えなくても1人だけでこのバックを思いつきそうだな。

 

そう喜びから一転スンッと冷め切っているといっくんがボクの顔をのぞき込んできていた。

 

……なんですか、見たところで情報は明かしませんからね!

 

そうキッと睨み返すといっくんはようやくボクから目を離してくれた。

ホッと一息を入れる。

 

「急に見つめてきてどうしたんですか?」

 

「いやなに、能京の支援者(バッファー)である叶であればあの技を宵越に仕込むなど造作も無いと思っていたんだがな。まあいい。問題はこれからあの技にどう対処するかだからな」

 

「……その『能京の支援者(バッファー)』ってダサい2つ名いっくんが考えたんですか?なんか似合わないですけど」

 

「ん?(かおる)が皆に言い回っていたからそうだと思っていたんだが。違うのか?」

 

「…………ハァ」

 

あのバカ……。皆に言って回るなんて()()()()()面倒なことをするなんて。一緒に英峰に行かなかったことにまだ怒っているんだろうか。ちゃんと事前に言っておいたのに。

 

「さぁラスト守備だ」

 

心の中で薫に文句を言っていると部長の声が聞こえてきた。まだ試合やってたんだね。せっかくだしいっくんと一緒に見に行ってみるか。

 

そう思っていっくんに声をかけて移動する。こっちの試合みたいにロースコアの試合じゃないとは思っていたけど、予想以上にお互いバカスカ点を取り合ってハイスコアの試合になっていることに少しだけドン引きしたのは内緒だ。

 




※始めの50m走のタイムは独自設定です。宵越なら100m10秒代で走ってくれそう(偏見)

※宵越が事前にバックを覚えていたためミニゲームに勝利することができました。経験値が入ります。なお、おかげで次の英峰戦の難易度が上がります。やってられませんね。

※高評価を入れて頂けると私が喜びます

※コークの松田さん☆9評価ありがとうございます!!

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