ボクがキミを王にする   作:モーン21

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※お気に入り登録、感想等ありがとうございます。

※最終巻(31巻)を読み終わった感動のまま勢いで書き終わりました。早く最終話まで書き終わりたいんだけれど、私の執筆ペースがゴミすぎる…。

※朝倉 凜さん☆10評価ありがとうございます!!

※12月22日17:05 オリ主の対王城への口調がおかしかったので修正


第39話 VS英峰 倒されない攻撃手はいない

 攻撃にはセオリー…まず狙うべき相手がいる。それは相手の攻撃手(攻め手)だ。

 『点を取られた人間がコート外に出る』というルールの性質上、攻め手を追い出しておけば次の守備が楽になり、相手の攻撃(レイド)の予定も乱せる。

 だから1回目2回目共に相手攻撃手を追い出すことに成功した宵越くんは本当によくやってくれたと思う。正直ボクも同じ事をしろと言われても難しいからね。

 

「カバディ…」

 

 既知の技(バック)ではない未知の技(カット)を食らい一挙3点を取られた英峰でも流石に数人は慌てていたけれども肝心のエース(いっくん)は落ち着いたまま攻撃(レイド)に馳せ参じた。

 

 もう1人の攻撃手(レイダー)である若菜さんが退場して、さっきの若菜さんみたいにプレッシャーが掛かっていても良いはずなのにその歩みに一切迷いは見られない。

ま、いっくんだもんね。逆にしどろもどろになっていたらこっちが困惑しちゃうレベルだよ。

 

 いっくんが2つあるターゲットのうち宵越くんを狙いに動くのを()()ボクも伊達先輩と(チェーン)を組んで囲い込みに出る。

 

 が、

 

「足!!」

 

 それを読んでいたいっくんが1枚上手だった。ボクの声よりも先にいっくんの長い脚が伊達先輩の右足つま先に触れる。ハッとした顔になる伊達先輩を含むボクたちが追撃するよりも先にいっくんはすぐに帰陣した。

 

「え…英峰タッチ1点獲得!」

 

 審判のヒロちゃん先輩もこの短い攻撃(レイド)に面を食らったのか少しだけどもった。点数は3対4と未だ能京(こっち)の有利は変わらない。初回はともかく負けている今の攻撃ならもう少し粘って来ると思っていたボクも少し驚いた。

 

「…攻撃手狙いじゃ…?」

 

「消極的だな…」

 

「減量明けだ…本調子じゃないのか…?」

 

「……どうかな…。叶はどう思う?」

 

「この合宿の間でなら今日がベストなのはたしか。いっくんにも何かしら考えがあるんだろうけれど…」

 

 宵越くん、水澄先輩、慶さんの順で話しているのを聞いていると、マーくんから水を向けられたので今のところの考えを口にした。

 いっくん自身のプレーを見るのも久しぶりだからなんとも言えないけれど、()()情報では体調が万全であることと()()いっくんが最終日の練習とはいえ試合でみっともない姿を見せるはずがないと思うからだ。

 

 正直感情の観点から結論に導くというのはしたくないけれど、いっくんとは長い付き合いだ。そのボクがそう思うのならきっとそれは正しいんだと思う。ま、ギリギリまで見定めさせてもらうつもりだけど。

 

 …と思っていた矢先だった。前者(調子)はまだ要検討だけども後者(考え)は宵越くんが攻撃(レイド)に出た後すぐに判明した。

 

 守備のラインがさっき(7人)より下がっていたからだ。

 

 ボーナスは守備が6人以上で有効―、つまり守備が5人ならコート端まで下がっても問題ない。当然攻撃手が得点する為にはそれまでよりも自陣から離れた位置で戦う事になる。後ろまで下がった5人守備は7人守備と同じかそれ以上に攻略し難い。さっき1人しか接触(タッチ)しなかったのは人数調整の為?

 

 たしかにそれも道理だ。接触(タッチ)の順番上1人触るだけでもう1人の攻撃手(若菜さん)がコートに戻れる以上先程の攻撃(レイド)で欲張る必要も無いかもしれない。

 

 けれど、

 

 初見とはいえ英峰の7人守備から3点を稼いだ宵越くん相手にそれはいくらなんでも消極的すぎない?

 

 右角(⑦、④)目掛けて突っ込む宵越くんに対して若菜さんは秋山さん()から距離を取ることで対応しようとするけれど、それだけじゃ戻り(バック)曲がり(カット)どちらかを予測し対応するのは難しい。

このまま得点できるかと眺めていると対角のいっくんから何やらとてつもないプレッシャーを感じた。

 

 ス…オオオオオォォォォォ…

 

「カバディ!!」

 

 それを感じたからかは分からないけれど結果宵越くんは戻り(バック)でも曲がり(カット)でもなく普通に秋山さん()の目の前でブレーキして1人と接触(タッチ)するだけに留まった。

 秋山さん()に追い出される形で帰陣し、3対5と以前能京リードのままであったけれど宵越くんの顔は浮かないままであった。

 

「完全にお前の技を分析しにきてたな」

 

「…ああ…そんな感じだった」

 

「いっくんが初手で追い出されたのも目の前で宵越くんの戻り(バック)を見たかったからと見ていいかな?」

 

「叶の言う通りだろうな。まったく…恐ぇぐらいに冷静だ」

 

 情報不足で言い出しづらかったことをようやく打ち明けることができて少しだけ気が晴れるが何も自体は好転していないことに気付いて気を引き締める。点数上は2点のリードがあるもののこれぐらいの点差は1回の攻撃(レイド)で容易く逆転できる。集中しないとね。

 

 攻撃(レイド)は先程と同じくいっくん。宵越くんも近くの水澄先輩に声をかけていて守備へのやる気が前よりも高くなっていることに少しだけ嬉しくなった。まぁ、宵越くんの場合は下手に触れられて次の攻撃(レイド)に出られないのが嫌だからというのもあるんだろうけれど。

 

 今回のいっくんはマーくんや宵越くんがターゲットではないようだった。中央に陣取ってジリジリと近づこうとしたボクと伊達先輩に対して左腕をブン回すことで後退を余儀なくされた。

 

 だけど、これが狙いだ。

 

 いっくんはその類い希なる身長から繰り出す圧倒的な攻撃範囲(リーチ)を駆使した攻撃(レイド)が武器。普通の攻撃手が『剣』ならいっくんは『槍』と区分できるぐらいだ。

 

 だけどその圧倒的な攻撃範囲 (リーチ)に応じて次の攻撃に移るまでの時間がかかるという()()が存在するというのも事実。

 

 勝負は、ボク等2人()に槍をブン回した直後の

 

 

 一瞬!!!

 

 

「カバディ…!!」

 

 水澄先輩のタックルによっていっくんの身体が揺れる。いっくんの長身であれば本来ボク等以上のパワーがあって然るべきだけれど、カバディのルール上過剰の減量を強いられている為数値上であればパワー勝負は水澄先輩に軍配が上がる。

 

 が、今回はそれ以外の要素が悪かった。

 

 水澄先輩のタックルの方向が中央線(ミッドライン)方面だったため、そのタックルの勢いを半ば利用していっくんが帰陣しようとする。

 本来水澄先輩が特攻した時支援に回る役目であるボクと伊達先輩は直前の回避の為出遅れている。このまま帰陣されてたまるかと追いかけようとしていると、

 

 右側から慶さんがカバーに動いた。いっくんの胴に腕を回してそれ以上の進行を妨げる。

 

 よし!あと少しだけ時間を稼げればと思った所で対角の宵越くんも反対側から捨て身のタックルを繰り出した。

 

「待て!宵越お前は…」

 

 慶さんが思わず声を上げる。ボクの位置からはいっくんの背中が水澄先輩が重なることで一部しか見えていないけれど何か嫌な予感がした。咄嗟にいっくんの右足を掴もうと腕を伸ばしたが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 紙一重だった。3人に掴まれている状態でそんなに派手に動けるハズがないという先入観が邪魔をしたのか分からないがボクの手はいっくんの右足に触れることはなかった。

 

 だが結果いっくんはその状態から右足を目一杯前方へ伸ばす。その段階になってようやく気付いた。なんでいっくんが1回目と2回目で1点しか取らなかったのかということを。

 

 たしかにボクは()()ことでいっくんの身体能力(ステータス)を知ることができる。だけど、この狭いコート上ではその数値で勝っているからといって必勝できるのかと問われれば断じてあり得ない。

 

 だからボクは数値と同じかそれ以上にコート上の攻撃手(レイダー)の様子を観察することを怠らない。だからだろうか、不用意に腕を振り回したのも…消極策でパワー勝負が弱いと思わせられていっくんに()()()()()()を掴まされた結果…

 

 能京(ウチ)攻め手(宵越くん)を追い出された。

 

 

 

 

 

「英峰タッチ3点獲得―――!!!」

 

「くそっ!!」 「…ぐ…」

 

 その歓声は先程までボク等の追い風になっていたのとは違い、ボク等の士気を落ち込ませる向かい風の効果を生んでいた。見事にやられた結果になった水澄先輩と宵越くんが思わず声に出していたのをボクはただ呆然と見ていた。

 

「認めよう。『不倒』宵越。お前は能京の脅威的な攻撃手だ」

 

 いっくんが宵越くんに掛ける言葉は賛辞だった。

 

「だから、最後に触って来るまで待った。コートに戻るのが最後になるようにな」

 

 強敵と認識したから油断しない。

 

 強敵と認識したから罠を張る。

 

 強敵と認識したから迷わない。

 

 改めて思う。世界組2番神畑樹(いっくん)は図体だけがデカいのではなく中身の精神も強大であるということを。

 

 いっくんの3点獲得によって点数は6対5。あれだけの宵越くんの活躍によって得られたリードがあっという間になくなりついには逆転されてしまった。

 まだ試合は序盤だ。メインレイダー(宵越くん)が追い出された以上代わりに出るのは決まっている。だが、次の攻撃(レイド)の結果次第では

 

 能京(ウチ)の柱が折られることになるかもしれない。

 

「行くぞ英峰。ヤツを恐れる必要はない」

 

「星海を殺す為の、通過点だ」

 

「ふーん…」

 

 

 

 

 

「簡単には止められないだろ…いくら強豪つってもよ…」

 

 能京の部長を『通過点』扱いしたことに少なからず体育館内でどよめきが鳴り止まない中部長を貶されたことに苛立ちを隠せない水澄先輩が毒づいていた。

 

 

 

 

 

「宵越くんがやられたか。だが、カレは能京攻撃手(レイダー)四天王の中でも未熟。ここは四天王最強のマーくんではなく間のボクが本物の通過点として…」

 

「叶」

 

 本人(マーくん)に止められました、残念。

 ま、分かっていたけどね。前日のミーティングでも嬉々として宵越くんの代わりに攻撃(レイド)に出ようとしていたぐらいだ。マーくんは全く変わらないことに少しだけ安心した。

 

問題はボクのこの冗談にマーくん()()反応できていないことだ。ボクも冷や汗を隠しきれない。いつもなら宵越くんなり慶さんがツッコむはずだったから、その2人が反応できていない時点で大分嫌な空気が流れていることを否応なしに認識させられる。

 

 ボクがいるからコート内に攻撃手がマーくん1人しかいないという最悪の状況ではないけれども仮にマーくんが攻撃失敗すればたった3人だけの守備で強豪英峰の攻撃を凌がなければいけない。

 

 ボクの両隣にいる伊達先輩と畦道は攻撃に出るマーくんに何て声を掛けるべきなのか悩んでいるみたいだ。送り出す立場のボク等がそんな辛気くさい顔をするんじゃない!と思って2人に喝を入れようとするボクよりマーくんの方が早かった。

 

 

 

「大丈夫。任せてよ」

 

 

 

 特別な言葉を使っている訳ではない。

 

 言い方や態度もいつも通り。練習の時にやる声かけぐらいの些細な物だった。

 

 

 

 だけど、その()()()()()が能京に流れる嫌な雰囲気と緊張感を簡単に払拭したことが見なくても分かった。

 マーくんのカバディに対する熱は並大抵の人には負けない。それを態度で示せるのは少なくともここではマーくんだけだ。

 

 

 

 あぁ、こればっかりはマネできないなぁ…

 

 

 

「カバディ…」

 

 マーくんの攻撃(レイド)が始まった。この試合初めての攻撃ではあるけれど、いっくん以外の6人はこの合宿中慶さん命名『超高性能攻撃マシーン練習』で毎日マーくんに不備を指摘されながら倒されてきたのもあって慣れていない訳ではなかった。

 

 ま、それは攻撃側のマーくんにも言えるんだけど、問題はいっくん入りの守備は今回が初めてだということ。それにあのいっくんが対マーくん用に何も策を用意していないとは考えにくかった。

 

 案の定攻撃開始早々英峰に動きがあった。7人守備であるのにエンドラインまで守備のラインが下げた。

 それに気付いた水澄先輩が思わず口を開いた。

 

「また奥まで下がって…今向こうは7人だろ!?」

 

「…ボーナスは捨ててんだ。というより部長がボーナスを捨ててる。俺たちを戻す為には相手をタッチするしかねーからな」

 

「宵越くんの言う通りですね。仮にマーくんがボーナスのみで帰陣した場合向こうの攻撃をボク等はたった4人で凌がなきゃいけなくなる。

 ボーナスだけで帰るなら次の攻撃で獲ればよし。無茶して奥まで攻めてくるなら今の守備で倒せばよし。どっちに転んでも英峰の有利は変わりません」

 

 …そう。点数も守備人数も全てが英峰に味方している。この攻撃如何によっては能京が全滅(ローナ)されてしまうかもしれない。それはマーくんも当然理解しているはず。

 

 

 

 だからこそ、マーくんはここぞという場面では活躍できるんだ。

 

 

 

 マーくんが多用する『カウンター』で守備が倒されることが多いからか勘違いされるかもだが、別に倒すことだけが『カウンター』ではない。

 

 人間には必ず集中を切らすタイミングがある。それは人に応じてまちまちではあるがそのタイミングでこちらのMAXを合わせればどんな相手でも()()()()倒すことができる。

 

 だから、いつの間に接触(タッチ)されて動揺している田原さん()と若菜さんの目の前に突如現れたように見えるこれも『カウンター』だ。

 

 慌てる若菜さんだったけど、自身を狙う二撃目の回避には成功する辺り流石だった。

 だけど、これで1点。水澄先輩が戻ってくるから5人守備であっても奥まで下がればいっくん相手でも充分勝負できるはず。

 

 悪態を吐きながら押し返そうとする田原さん()を眺めながらマーくんの活躍に内心鼻高にしていると。

 

「カバディ…」

 

 …躱した?

 

「帰らない…?」

 

 宵越くんの呟きが聞こえてきた。なぜ帰らないのか理解できていないんだろう。

 

 なぜ帰ってこないのかはすぐに分かった。それは向こうのいっくんも同じだったようで、

 

「戻れ!押し返さなくていい!」

 

 と仲間に声を掛けている。英峰としては万全の状態(7人守備)で倒せないなら結局次の守備でやられると判断したからだろう。

 

「英峰の攻撃手を追い出すまで戻らないつもりか…!?」

 

 慶さんの発言で分かったのか宵越くんがハッと表情を一変させる。確かに5人守備で奥まで下がれるとはいえ先程の大量失点を起こした張本人であるいっくんをもう一度相手にする為には少し士気が足りない。

 であれば少しでも守備人数を戻して万全の状態で相手取れるように攻撃(レイド)で尽力する。さらにここでいっくん張本人を追い出せれば逆に英峰の全滅(ローナ)が視界に入るのも夢ではない。

 部長として攻撃手(レイダー)として、少しでもチームの為になる為に身を削る。奏和との練習試合では後半のみの活躍だったから見れなかったけれどきっとボクの知らないマーくんはずっとそういう試合を強いられてきたのかもしれない。

 

 …………

 

 絶妙なタイミングで対角へも威嚇(いかく)を挟むマーくんによって英峰の守備は全然後ろに回れないでいる。互いに一触即発の状態。攻撃手(レイダー)が1人なのに対して守備側が7人もいる為有利に思われるかもだが、1人でも気を緩めればそこから瓦解して失点に繋がるかもしれない。マーくんは特に基礎がしっかりしているから特にそうなのかもしれなかった。

 

「カバディ…」

 

 マーくんの適度の威嚇とフェイントによって1度も後ろをとれていない英峰守備陣。マーくんはターゲットを若菜さんがいる左角(レフトコーナー)からいっくんがいる右角(ライトコーナー)へと変えて直進する。

 

 今までは対角の後ろ取りを警戒したマーくんの威嚇が入る場面だったが今回は違った。

 

 先陣を切ったのは世界組のマーくんでもいっくんでもなく、君嶋拓(たっくん)だった。

 

 長い腕を利用してのマーくんのタッチ圏外(けんがい)ほぼ正面からの脚へのキャッチ。掴まれるまで対応できなかったマーくんだけどマーくんには『カウンター』がある。

 

0.00

 

 『カウンター』によって地に這いつくばるたっくん()。代わりにマーくんの身体が宙に浮いた。

 

0.12

 

 その隙を狙っていたのかいっくんと八代さん()が浮いた右足に向けて腕を伸ばす。

 

 この様子を見る限り英峰はマーくんの『カウンター』の隙を知っていたらしい。たっくんの特攻からいっくんたちの支援までに迷いが一切見られなかった。ミーティングで徹底的に対策していたのかな。そうだとするとその隙が大体0.5秒程だというのもバレていると見た方がいいかな。

 

 ボク等は普段マーくんの『カウンター』をほぼ毎日見ているからこそ紅白戦で倒すに至ったけれど、合宿の間飽きるほど見ていたとはいえたった7日程でマーくんの『カウンター』に対応できるなんて。

 

流石は強豪。流石だねいっくん、八代さん、たっくん。

 

 

 

 

 

 マーくんの取り越し苦労にならなくてよかった。

 

 

 

 

 

『0.5秒…ねぇ』

 

 『超高性能攻撃マシーン練習』の休憩時間にマーくんへボトルを持って行くとマーくんに話しかけられた。『カウンター』の改善についてだった。

 

『うん。どうしても【カウンター】を使うと技の仕様上大体0.5秒程身体が浮いちゃうんだ。奏和相手の時は僕が出たのが前半終了間際からだったのもあって対応される前に終わっちゃったけれど、大会ではそうもいかないだろうからね』

 

()()()0.5秒の間に別の支援が来る守備ってどんな高レベルの相手を想定してるのマーくん』

 

『……0.5秒()だよ叶。連戦で疲れていたとはいえ紅白戦で倒された以上改善しない訳にはいかない。今でもあの時のこと夢に見るからね』

 

『うへぇ…、紅白戦の事まだ根に持っているのマーくん』

 

『当たり前だよ。()()()()()()()()()()()()()()()どれだけ用心を重ねても足りないことなんて無い』

 

『うーん、じゃこういうのはどう?今のマーくんは縦に浮いているけれどそれを横にするように意識してカウンターしよう。正直どうすればいいのか分からないけれど今日の居残り掃除も能京(ウチ)だからその時に皆にも手伝ってもらって、ね?』

 

『……成る程。ありがとう叶、参考になったよ』

 

0. 28

 

 マーくんが何事もなく着地する。マーくんの視線は支援に来ているいっくん達から離れない。視線を向けられた2人は信じられないと言わんばかりの表情でマーくんを見つめるだけ。だが、もうマーくんへと向けられたタックルを止めることは不可能だった。

 

 マーくんが2人をタッチしようと動く。2人を触れば計4点。最後に触った宵越くんも戻って7人守備になれる上にいっくんを追い出す最高の展開だ。

 これなら全滅(ローナ)も夢では…

 

 

 

 

 

 ドッ

 

 

 

 え?若菜さん?なんで?

いくら速さ(スピード)に優れているとはいえ2人よりも離れた位置であるはずなのに何で2人よりも早くマーくんにタックルできている!!?

 

 …!もしかして…

 

 たっくんが先陣を切るタイミングか()()()()()()既に行動に出て(タックルして)いた!!?

 

0. 03

 

 マーくんのカウンターが2人ではなく若菜さんへと炸裂する。地道な積み重ねによって今回もマーくんは横に浮いている。

 が、たとえ横に浮いて時間を短縮していようと浮いていることに変わりはない。

 

0. 19

 いっくんの腕がマーくんの浮いた左足を掴んだ。カウンターは使えない。

 

 

 

「英…峰オォオ!!!」

 

 

 

「お」  「お」 「おお」

 

 

 

「あああああ!!!」

 

 

 

「カバディ…」

 

 いっくんと若菜さん以外の5人も次々とマーくんの身体を捕らえる。気付けばマーくんの身体は脚だけではなく身体全体を英峰の誰かに掴まれることで身動きが取れないでいた。

 その後体育館内で轟いていた英峰メンバーによる大声は最後マーくんのキャントを最後にピタ…と止んだ。

 

 

 

「おおおおお!!!」  「らああああッ!!!!」

 

 

 

 

 

 「能京…!攻撃失敗!!英峰…1点獲得――!!!」

 

 7対5

 

 ヒロちゃん先輩も声を張り上げるがそれを容易に勝る大声が英峰コートに鳴り響いている。いっくんと若菜さんがお互いの健闘を讃え合うハイタッチを皮切りに英峰スタートメンバー以外の周りに英峰生の歓声が鳴り止まない。

 

 それを眺めながらボクは1人ごちる。

 

 『倒されない攻撃手はいない』か。マーくんの言った通りだったね。

 

 それはそれとして、だ。この嫌な流れをどうしてくれようか。

 




※能京攻撃手四天王は後に誰かが加入してきても四天王のままです。けれどもし仮に能京10人全員が攻撃手になることがあれば十刃(エスパーダ)や十本刀になるかもしれません。

※最終巻(31巻)の書き下ろし分、エキシビジョンマッチについて感想を書きたいけれどもネタバレになるから書けないというジレンマ…。
 なので購入しようか迷っている人に対してのプレゼンをしようと思います。

 ○アプリ版では明かされていなかった5対5のプロVSゲストエキシビジョンマッチ出場メンバーが全員明かされる

 ○プロ選手以外の道を選んだキャラ達がそれぞれの道で大成している描写があって後方保護者面できる

 ○とにかく試合が熱い!!

 …ダメだ、全然上手く書けた気がしない。

 …………
 
 灼熱カバディ第31巻12月19日発売中!!!(ゴリ押し)
 
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