※最終巻(31巻)を読み終わった感動のまま勢いで書き終わりました。早く最終話まで書き終わりたいんだけれど、私の執筆ペースがゴミすぎる…。
※朝倉 凜さん☆10評価ありがとうございます!!
※12月22日17:05 オリ主の対王城への口調がおかしかったので修正
攻撃にはセオリー…まず狙うべき相手がいる。それは相手の
『点を取られた人間がコート外に出る』というルールの性質上、攻め手を追い出しておけば次の守備が楽になり、相手の
だから1回目2回目共に相手攻撃手を追い出すことに成功した宵越くんは本当によくやってくれたと思う。正直ボクも同じ事をしろと言われても難しいからね。
「カバディ…」
もう1人の
ま、いっくんだもんね。逆にしどろもどろになっていたらこっちが困惑しちゃうレベルだよ。
いっくんが2つあるターゲットのうち宵越くんを狙いに動くのを
が、
「足!!」
それを読んでいたいっくんが1枚上手だった。ボクの声よりも先にいっくんの長い脚が伊達先輩の右足つま先に触れる。ハッとした顔になる伊達先輩を含むボクたちが追撃するよりも先にいっくんはすぐに帰陣した。
「え…英峰タッチ1点獲得!」
審判のヒロちゃん先輩もこの短い
「…攻撃手狙いじゃ…?」
「消極的だな…」
「減量明けだ…本調子じゃないのか…?」
「……どうかな…。叶はどう思う?」
「この合宿の間でなら今日がベストなのはたしか。いっくんにも何かしら考えがあるんだろうけれど…」
宵越くん、水澄先輩、慶さんの順で話しているのを聞いていると、マーくんから水を向けられたので今のところの考えを口にした。
いっくん自身のプレーを見るのも久しぶりだからなんとも言えないけれど、
正直感情の観点から結論に導くというのはしたくないけれど、いっくんとは長い付き合いだ。そのボクがそう思うのならきっとそれは正しいんだと思う。ま、ギリギリまで見定めさせてもらうつもりだけど。
…と思っていた矢先だった。
守備のラインが
ボーナスは守備が6人以上で有効―、つまり守備が5人ならコート端まで下がっても問題ない。当然攻撃手が得点する為にはそれまでよりも自陣から離れた位置で戦う事になる。後ろまで下がった5人守備は7人守備と同じかそれ以上に攻略し難い。さっき1人しか
たしかにそれも道理だ。
けれど、
初見とはいえ英峰の7人守備から3点を稼いだ宵越くん相手にそれはいくらなんでも消極的すぎない?
このまま得点できるかと眺めていると対角のいっくんから何やらとてつもないプレッシャーを感じた。
ス…オオオオオォォォォォ…
「カバディ!!」
それを感じたからかは分からないけれど結果宵越くんは
「完全にお前の技を分析しにきてたな」
「…ああ…そんな感じだった」
「いっくんが初手で追い出されたのも目の前で宵越くんの
「叶の言う通りだろうな。まったく…恐ぇぐらいに冷静だ」
情報不足で言い出しづらかったことをようやく打ち明けることができて少しだけ気が晴れるが何も自体は好転していないことに気付いて気を引き締める。点数上は2点のリードがあるもののこれぐらいの点差は1回の
今回のいっくんはマーくんや宵越くんがターゲットではないようだった。中央に陣取ってジリジリと近づこうとしたボクと伊達先輩に対して左腕をブン回すことで後退を余儀なくされた。
だけど、これが狙いだ。
いっくんはその類い希なる身長から繰り出す圧倒的な
だけどその圧倒的な
勝負は、
一瞬!!!
「カバディ…!!」
水澄先輩のタックルによっていっくんの身体が揺れる。いっくんの長身であれば本来ボク等以上のパワーがあって然るべきだけれど、カバディのルール上過剰の減量を強いられている為数値上であればパワー勝負は水澄先輩に軍配が上がる。
が、今回はそれ以外の要素が悪かった。
水澄先輩のタックルの方向が
本来水澄先輩が特攻した時支援に回る役目であるボクと伊達先輩は直前の回避の為出遅れている。このまま帰陣されてたまるかと追いかけようとしていると、
右側から慶さんがカバーに動いた。いっくんの胴に腕を回してそれ以上の進行を妨げる。
よし!あと少しだけ時間を稼げればと思った所で対角の宵越くんも反対側から捨て身のタックルを繰り出した。
「待て!宵越お前は…」
慶さんが思わず声を上げる。ボクの位置からはいっくんの背中が水澄先輩が重なることで一部しか見えていないけれど何か嫌な予感がした。咄嗟にいっくんの右足を掴もうと腕を伸ばしたが…。
紙一重だった。3人に掴まれている状態でそんなに派手に動けるハズがないという先入観が邪魔をしたのか分からないがボクの手はいっくんの右足に触れることはなかった。
だが結果いっくんはその状態から右足を目一杯前方へ伸ばす。その段階になってようやく気付いた。なんでいっくんが1回目と2回目で1点しか取らなかったのかということを。
たしかにボクは
だからボクは数値と同じかそれ以上にコート上の
「英峰タッチ3点獲得―――!!!」
「くそっ!!」 「…ぐ…」
その歓声は先程までボク等の追い風になっていたのとは違い、ボク等の士気を落ち込ませる向かい風の効果を生んでいた。見事にやられた結果になった水澄先輩と宵越くんが思わず声に出していたのをボクはただ呆然と見ていた。
「認めよう。『不倒』宵越。お前は能京の脅威的な攻撃手だ」
いっくんが宵越くんに掛ける言葉は賛辞だった。
「だから、最後に触って来るまで待った。コートに戻るのが最後になるようにな」
強敵と認識したから油断しない。
強敵と認識したから罠を張る。
強敵と認識したから迷わない。
改めて思う。世界組2番
いっくんの3点獲得によって点数は6対5。あれだけの宵越くんの活躍によって得られたリードがあっという間になくなりついには逆転されてしまった。
まだ試合は序盤だ。
「行くぞ英峰。ヤツを恐れる必要はない」
「星海を殺す為の、通過点だ」
「ふーん…」
「簡単には止められないだろ…いくら強豪つってもよ…」
能京の部長を『通過点』扱いしたことに少なからず体育館内でどよめきが鳴り止まない中部長を貶されたことに苛立ちを隠せない水澄先輩が毒づいていた。
「宵越くんがやられたか。だが、カレは能京
「叶」
ま、分かっていたけどね。前日のミーティングでも嬉々として宵越くんの代わりに
問題はボクのこの冗談にマーくん
ボクがいるからコート内に攻撃手がマーくん1人しかいないという最悪の状況ではないけれども仮にマーくんが攻撃失敗すればたった3人だけの守備で強豪英峰の攻撃を凌がなければいけない。
ボクの両隣にいる伊達先輩と畦道は攻撃に出るマーくんに何て声を掛けるべきなのか悩んでいるみたいだ。送り出す立場のボク等がそんな辛気くさい顔をするんじゃない!と思って2人に喝を入れようとするボクよりマーくんの方が早かった。
「大丈夫。任せてよ」
特別な言葉を使っている訳ではない。
言い方や態度もいつも通り。練習の時にやる声かけぐらいの些細な物だった。
だけど、その
マーくんのカバディに対する熱は並大抵の人には負けない。それを態度で示せるのは少なくともここではマーくんだけだ。
あぁ、こればっかりはマネできないなぁ…
「カバディ…」
マーくんの
ま、それは攻撃側のマーくんにも言えるんだけど、問題はいっくん入りの守備は今回が初めてだということ。それにあのいっくんが対マーくん用に何も策を用意していないとは考えにくかった。
案の定攻撃開始早々英峰に動きがあった。7人守備であるのにエンドラインまで守備のラインが下げた。
それに気付いた水澄先輩が思わず口を開いた。
「また奥まで下がって…今向こうは7人だろ!?」
「…ボーナスは捨ててんだ。というより部長がボーナスを捨ててる。俺たちを戻す為には相手をタッチするしかねーからな」
「宵越くんの言う通りですね。仮にマーくんがボーナスのみで帰陣した場合向こうの攻撃をボク等はたった4人で凌がなきゃいけなくなる。
ボーナスだけで帰るなら次の攻撃で獲ればよし。無茶して奥まで攻めてくるなら今の守備で倒せばよし。どっちに転んでも英峰の有利は変わりません」
…そう。点数も守備人数も全てが英峰に味方している。この攻撃如何によっては能京が
だからこそ、マーくんはここぞという場面では活躍できるんだ。
マーくんが多用する『カウンター』で守備が倒されることが多いからか勘違いされるかもだが、別に倒すことだけが『カウンター』ではない。
人間には必ず集中を切らすタイミングがある。それは人に応じてまちまちではあるがそのタイミングでこちらのMAXを合わせればどんな相手でも
だから、いつの間に
慌てる若菜さんだったけど、自身を狙う二撃目の回避には成功する辺り流石だった。
だけど、これで1点。水澄先輩が戻ってくるから5人守備であっても奥まで下がればいっくん相手でも充分勝負できるはず。
悪態を吐きながら押し返そうとする
「カバディ…」
…躱した?
「帰らない…?」
宵越くんの呟きが聞こえてきた。なぜ帰らないのか理解できていないんだろう。
なぜ帰ってこないのかはすぐに分かった。それは向こうのいっくんも同じだったようで、
「戻れ!押し返さなくていい!」
と仲間に声を掛けている。英峰としては
「英峰の攻撃手を追い出すまで戻らないつもりか…!?」
慶さんの発言で分かったのか宵越くんがハッと表情を一変させる。確かに5人守備で奥まで下がれるとはいえ先程の大量失点を起こした張本人であるいっくんをもう一度相手にする為には少し士気が足りない。
であれば少しでも守備人数を戻して万全の状態で相手取れるように
部長として
…………
絶妙なタイミングで対角へも
「カバディ…」
マーくんの適度の威嚇とフェイントによって1度も後ろをとれていない英峰守備陣。マーくんはターゲットを若菜さんがいる
今までは対角の後ろ取りを警戒したマーくんの威嚇が入る場面だったが今回は違った。
先陣を切ったのは世界組のマーくんでもいっくんでもなく、
長い腕を利用してのマーくんのタッチ
0.00
『カウンター』によって地に這いつくばる
0.12
その隙を狙っていたのかいっくんと
この様子を見る限り英峰はマーくんの『カウンター』の隙を知っていたらしい。たっくんの特攻からいっくんたちの支援までに迷いが一切見られなかった。ミーティングで徹底的に対策していたのかな。そうだとするとその隙が大体0.5秒程だというのもバレていると見た方がいいかな。
ボク等は普段マーくんの『カウンター』をほぼ毎日見ているからこそ紅白戦で倒すに至ったけれど、合宿の間飽きるほど見ていたとはいえたった7日程でマーくんの『カウンター』に対応できるなんて。
流石は強豪。流石だねいっくん、八代さん、たっくん。
マーくんの取り越し苦労にならなくてよかった。
『0.5秒…ねぇ』
『超高性能攻撃マシーン練習』の休憩時間にマーくんへボトルを持って行くとマーくんに話しかけられた。『カウンター』の改善についてだった。
『うん。どうしても【カウンター】を使うと技の仕様上大体0.5秒程身体が浮いちゃうんだ。奏和相手の時は僕が出たのが前半終了間際からだったのもあって対応される前に終わっちゃったけれど、大会ではそうもいかないだろうからね』
『
『……0.5秒
『うへぇ…、紅白戦の事まだ根に持っているのマーくん』
『当たり前だよ。
『うーん、じゃこういうのはどう?今のマーくんは縦に浮いているけれどそれを横にするように意識してカウンターしよう。正直どうすればいいのか分からないけれど今日の居残り掃除も
『……成る程。ありがとう叶、参考になったよ』
0. 28
マーくんが何事もなく着地する。マーくんの視線は支援に来ているいっくん達から離れない。視線を向けられた2人は信じられないと言わんばかりの表情でマーくんを見つめるだけ。だが、もうマーくんへと向けられたタックルを止めることは不可能だった。
マーくんが2人をタッチしようと動く。2人を触れば計4点。最後に触った宵越くんも戻って7人守備になれる上にいっくんを追い出す最高の展開だ。
これなら
ドッ
え?若菜さん?なんで?
いくら
…!もしかして…
たっくんが先陣を切るタイミングか
0. 03
マーくんのカウンターが2人ではなく若菜さんへと炸裂する。地道な積み重ねによって今回もマーくんは横に浮いている。
が、たとえ横に浮いて時間を短縮していようと浮いていることに変わりはない。
0. 19
いっくんの腕がマーくんの浮いた左足を掴んだ。カウンターは使えない。
「英…峰オォオ!!!」
「お」 「お」 「おお」
「あああああ!!!」
「カバディ…」
いっくんと若菜さん以外の5人も次々とマーくんの身体を捕らえる。気付けばマーくんの身体は脚だけではなく身体全体を英峰の誰かに掴まれることで身動きが取れないでいた。
その後体育館内で轟いていた英峰メンバーによる大声は最後マーくんのキャントを最後にピタ…と止んだ。
「おおおおお!!!」 「らああああッ!!!!」
「能京…!攻撃失敗!!英峰…1点獲得――!!!」
7対5
ヒロちゃん先輩も声を張り上げるがそれを容易に勝る大声が英峰コートに鳴り響いている。いっくんと若菜さんがお互いの健闘を讃え合うハイタッチを皮切りに英峰スタートメンバー以外の周りに英峰生の歓声が鳴り止まない。
それを眺めながらボクは1人ごちる。
『倒されない攻撃手はいない』か。マーくんの言った通りだったね。
それはそれとして、だ。この嫌な流れをどうしてくれようか。
※能京攻撃手四天王は後に誰かが加入してきても四天王のままです。けれどもし仮に能京10人全員が攻撃手になることがあれば
※最終巻(31巻)の書き下ろし分、エキシビジョンマッチについて感想を書きたいけれどもネタバレになるから書けないというジレンマ…。
なので購入しようか迷っている人に対してのプレゼンをしようと思います。
○アプリ版では明かされていなかった5対5のプロVSゲストエキシビジョンマッチ出場メンバーが全員明かされる
○プロ選手以外の道を選んだキャラ達がそれぞれの道で大成している描写があって後方保護者面できる
○とにかく試合が熱い!!
…ダメだ、全然上手く書けた気がしない。
…………
灼熱カバディ第31巻12月19日発売中!!!(ゴリ押し)