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「「「「ちわす!!」」」」
「能京だ!!」 「チュース!!控え室ご案内します!!」
うぅぅ、大声のおかげで更に頭が響く…
「6人だけ…?」
「いや、7人だ。それでも少ねぇが。…なんであいつおんぶされてんだ?」
「でも六弦部長と同じ世界組の…。しかも1年の世界組1番もいるって話だろ?」
「王城さんか!!細いな…おい1年!1番はどいつだ?」
「なんだあの頭…」
「てか、すごいデカイのいるな」
「あ!?あれって『不倒』の!?」
「フトウ?」
「人違いじゃなきゃサッカーで有名な人だよ」
「1番は守備が上手いって話だよな?ってことはあのガタイの良いパーマか白目か?」
「その白目におんぶされてるヤツが1番です、先輩」
「はぁ!?アイツがかよ!!?」
おぉ…好き勝手言われてる。でもそれ以上に頭が痛くてそれどころじゃない。
水澄先輩が宵越くんに「ホントにすげんだなお前」って感心してるけど、宵越くんは特になんとも思ってないみたいだね。能京でもされてるから慣れっこなのかな?
「お前も噂されてるな姫沢。…まだ顔色が戻らないか、大丈夫か?」
「本当にすいません、伊達先輩…。ちゃんと酔い止めの薬は飲んでたんですけど…。ごめんなさい重いですよね?」
ボクをおぶってくれている伊達先輩にそう返すが正直余裕がない。せっかくの初試合なのに足を引っ張ってしまって申し訳ない。
そう返すも伊達先輩は気にしていないようで、「もう少し筋肉つけないとな」と笑ってくれる。…今度何かご飯ご馳走させてもらおう。
「来たか強敵よ」
「あ。久しぶり六弦!!今日はよろしくー!!」
「フッ」
あ、六弦さんだ
え~と、
正直こんなステの相棒が
握手の為に差し出された手が六弦さんににべもなく払われる。
「ケガで休養とは情けないな。
自己管理もならん奴が部長ではチームもかわいそうだ」
「ウチのチームは出来るコが多くてね。
偉そうに
うん、いつもの調子だね。
ボクが六弦さんと最後に会ったのは彼が中3の時以来だけど、マーくんもおそらくそうだろう。あの2人休日に会いに行く柄じゃなさそうだし。あったとしても大会でちょっと顔会わせたぐらいか。
あれから時が経って少しは落ち着くかなと思ったらそうではなかったみたいだね。変わらなかったことに感心するべきか呆れるべきか。
それと六弦さん、その台詞は入学式前に入院して今も乗り物酔いでダウンしているボクに効くので止めてください。致命傷です。ツーアウト。
それから2人はさっきのマーくんの台詞から触発されたかのように
そういえばボクもマーくんがこうやって人に能京の後輩を自慢する所初めて見たね。宵越くんなんかは「後輩自慢やめろ…」とか言ってるけどボクなんかはマーくんに褒められて誇らしく思っている。いずれ変わっちゃうのかな?
「…フー…悪いな。口で勝負しても始まらんのについ…」
「いや、それはこっちだ」
「悪いが勝たせてもらう」
「それもこっち」
おーおーバチバチやりなさる。なんだか部長としてチームの勝負ってよりは個人での勝負って印象が強いけど大丈夫だよね?試合中突然「タイマンしようぜ!」とか言い出さないよね?少し心配になる。
「…王城の友人と、…忘れていた。お前も相変わらずだな、姫沢」
「あはは…こんにちは、六弦さん。締まらない格好ですいません。今降りますね」
「いやいい。試合では容赦しないからな」
声をかけられたので慌てて降りようとするも止められた。前の時は「弛んどる!!」って逐一怒られてたから拍子抜けしたのと同時に少し寂しい。
「王城の…友人ね…」
六弦さんが去って奏和の案内役についていく最中慶さんがボソッとこぼす。なんて言ったのかは聞こえなかったけど、先日に曇らせてた顔と同じ雰囲気になったのは少し気になった。
「にしても姫沢がこんなになるとはな。前からこんな感じなんスか?」
「僕が知り合った時からずっとだったから少なくとも小学生の頃からだね。今の真司みたいに僕がおんぶしてたこともあるんだよ」
「すいません…。しっかり睡眠取って酔い止めも飲んだり対策バッチリしてもこんななんです…」
「おう、苦労してるんだべなヒメサワ…」
「背番号どうする?」
「別に何番でもいいだろ」
「あ、ボク7番が良いです…」
「希望なんざいいから大人しくしとけ!!」
「控え室こちらですー…」
「いらっしゃいませ~!!」
「たっ…高谷先輩!?」
奏和の案内役に控え室まで案内されるとそこには満面の笑みの高谷さんがどっかのホストみたいに招いてくれた。うん、第一印象はチャラそう。髪色も赤と目立つし本当にスーツを着て夜の街に行けばそれなりに稼げそう。
宵越くんが高谷さんに絡みに行く。予期せぬ時に相手エースと対面したらやむなしかね。高谷さんはこちら一行を一瞥。敵情視察に来た感じかな?
「
「
「へ…?なんで…」
「おおいい音!!で…例のあの人
ただ
六弦さんと同様に見てみると
にしてもうん、
そうジロジロ高谷さんを見ていたからか、誰か人を探しているらしい彼と目が合った。
うお、さっきまで笑ってたのに急にマジになるじゃん。表情は
「へぇ、君が例の『1年生の1番』か。…なんでおんぶされてんの?」
「あはは、ここに来る途中のバスで酔っちゃって。すいません、今降りますね。
にしても驚かれないんですね、他の方々には結構驚かれてたんですけれど」
「いやいいよ、そのままで。
ウチの奴らがゴメんね!まったく、強いやつぐらい見て分かるだろうに…あっ」
情報収集の為にもう少し絞りだそうとするが高谷さんの興味が他に向いてしまったためそこで終わる。その興味の先は。
「あーっ!!あなた王城さん!?
よろしく!!オレあんたと勝負したくて早起きしたの!!」
へー、マーくんの勝負が楽しみと。いいね!ボクの中で彼の評価がべらぼうに高くなる。
でも残念。マーくんは病み上がりだから今日スタートからじゃないんだよね。ついでにボクも。
「悪いけど僕今日は…」
「大丈夫!!安心してください!!」
「前半大差つけて引きずり出すんで!!」
「あの後は大変だったね。皆高谷くんを恨めしそうにしてて。当の本人はいつの間にかいなくなってたし」
「ですね。六弦さんに叱られてもケロってしているあたり部内でもやってるんでしょうね」
アップをすませてスタートから出る5人以外の残り、マーくんの隣に腰掛けてボクもコートを見やる。一人ボクとマーくんが一緒に整列しないことにおろおろする畦道に説明する宵越くんの姿を見てフォローが足りなかったなと痛感する。
畦道は今日がカバディだけでなくスポーツの試合を初めてやるんだ。本当は今日もサポートするつもりだったのに逆に世話を焼かれたことに情けなさを感じる。
「叶はよく皆をサポートしてくれてるよ。だから気にしなくていい…って言ってもしちゃうのが叶だよね」
考えてることがバレててビックリ。そんな分かりやすかったかな?
「こればかりは性分なので。マーくんに止められても辞めるつもりはないです」
そうマーくんに答えながら相手コートを見ると、高谷さんが落ち着いてる様子の宵越くんに興味が湧いたみたいで。
「…彼、素人すよね?一番落ち着いたカンジなんすけど…」
とつぶやく。傍にいた六弦さんに宵越くんが「サッカーで全国4位の猛者らしい」と伝えられると驚いた様子。
「へっ!?なんでカバディやってんの!?」
「そりゃこっちのセリフだ」
「え?オレ?水泳は1番なったしもういいかなって…
たまたま誘われたコレ。めんどい道具もないし面白そうだったから。
…でもキミ…」
「1番とってないのに、なんで辞めてんの?」
そう尋ねる高谷さんはあくまで疑問だからという体で宵越くんに言い遺る。宵越くんは何も言わない。彼が今内心何を思うのか分からない。が、道を変えても進み続ける彼なら、メンタルが誰よりも強い彼なら心配することはないと結論づけた。
「それでは始めます!!
前後半各20分!!ボーナスライン越えは守備が5名以上の時1点となります!!
それでは先行、白、奏和で試合開始ィ!!!」
「しゃす!!」
奏和高校 能京高校
審判の号令に合わせて各選手が礼をする。試合開始の挨拶はどんな時でも身が引き締まるものだね。先程まであった頭痛もすっかりなくなりボクはいつでも試合に出れる状態に変化する。
「宵越。守備は奇数の時『
守備から始まる能京コート内で慶さんの指示が走る。マーくんがベンチにいる以上今のゲームキャプテンは慶さんだ。3年生として、指導役として。慶さんにはやってもらわねばならないことが多い。
コートにいなければできない仕事もあればベンチにいなければできない仕事もある。
スコア表を右手にビデオカメラを左手に。後日情報として活かせるようにボクもベンチからやれることは全てやるつもりだった。
「『奏和にビデオを撮っていいか聞いてくれ』って連絡された時は脱帽だったよ。前までは助っ人を連れて人数ギリギリだったからそこまで頭が回らなかったんだよね」
「といってもビデオぐらい慶さんが手を回してそうですけどね。ま、色々な角度からビデオを撮れた方が役立つでしょうから」
そう言って奏和の
「僕にも手伝わせて。こういうのいつも慶が1人でやってるから一度やってみたかったんだよね」
「ありがとう、マーくん」
ビデオはマーくんに任せて試合に集中する。奏和初回の
高谷さんのダッシュに反応する間もなく、畦道が
間を置かずに裏拳のように右半身を軸に左腕が宵越くんを狙うも宵越くん余裕に回避。死角になったのを確認した水澄先輩が果敢にチャージに行くも
自陣近くまで戻るもすぐに帰らず独特なポーズのままキャントを続けるその不気味な姿はコートにいる5人を威圧するかのようだった。
「キャント続けてるぞ水澄!!
それまであっけにとられる水澄先輩だったが、慶さんの指示で高谷さんを押し返すことで
0対2
「赤
「お…ホントにコートの外へ出んのか…」
「敵が攻撃続けようとしてたら既に触られた奴が敵陣に押し返せ。
まだ触られていない仲間が狙われちまう」
「あー…なるほど…」
慶さんが試合のセオリーについて宵越くんに教えていると奏和カバディ部員から初心者かよと嘲笑される。少しだけムカついたけど、宵越くんが何の反応も返してないのを見て自身を落ち着かせる。
「…俺が攻撃行くぞ。お前らカタくてアテにならん」
何事もなかったように宵越くんが前に出る。追い出された2人はそれぞれバカにされて怒るか反省しているが、彼はそんな様子を見る素振りも見せないまま続ける。
「俺にはとっておきがある。2点とりゃお前ら帰ってこれんだろ?短い休憩で悪いな」
そう宵越くんは不敵ににやつく。少し口が悪いけど「お前らのミスぐらい俺が取り返すから気にするな」って言いたいのかな?だとしたら不器用すぎない?
「…アレはまだ早いよ宵越君…」
「早いってマーくんが居残り練習で教えた技?」
「うん、ロールキックをね。宵越君の長い脚があれば大量得点の為に必要な
初
マーくんの説明は続く。
「まだ手でいい…そんなに完成度は高くないんだ…。
「ってことはマーくん、宵越くんは終盤までロールキックは使わないで慎重に攻めるべきって考えです?」
マーくんの考えに噛みつきながらボクは攻め入る宵越くんから目を離さない。斥候ですませる気が全く無いクセにタッチが甘い彼の様子に注視しながら。
「カバディは5人だろうが7人だろうが、攻撃できるのは1回につき1人のみ。しかも
宵越くんがここで日和る理由なんてどこにもないです」
ま、試合前にそう煽ったのはボクだけど。後悔していない。初めての試合に臨む
雑誌にはこう書かれていた。
殆どのスポーツに言えることがある。試合でまず必要なのは『流れ』だと。
それを掴むには実力以上のミラクルをおこすのが手っ取り早い。が…
当然失敗のリスクが伴う。
昔から『流れ』をつくるのが上手い選手だった。
「…そうなんでしょ?」
『不倒』宵越
攻め気が見えないことに業を煮やした奏和守備が寄って集まる瞬間を狙って宵越くんの
自陣近くまで戻るもすぐに帰陣せず振り返り「オラ、押し返せよ」と言わんばかりに手招きする。さっきの高谷さんの意趣返しかな?本当に負けず嫌いだなぁ。
3対2
「すごいな…さも当然みたく。10回に1回成功するくらいだったのに…」
「ボクも偉そうなこと言いましたけどここまで上手くいくとは驚きました。
本番に強い人っているんですね…」
「帰ってこいビビリども」
「……」
「素直にほめさせろタコー!!」
ベンチで先程の攻撃に戦くボクらをよそに宵越くんが先程アウトになった2人に呼びかける。3点とったから2人とも戻ってこれる。水澄先輩は宵越くんに吠える一方畦道は居心地が悪そうにしている。
「だいぶ…楽になった」
「はっ、感謝しろよ」
「そうだ。努力すりゃ変わるんだ。
ハッタリじゃなくなったな。『ハット・トリック』」
慶さんのねぎらいにはっとする宵越くん。え?何の話?ボクらが入院してた頃の話?それとも以前の「
「能京ってホントに弱小なのか…?」
「掴まれもしないで3点とったぞ…」
先程まで素人だとバカにしていたヤツに大量得点されたことで奏和の人達が慌て始める。この調子で全員飲まれてくれればコッチのものなんだけど…
「…ブレないね…」
「…はい」
ただ1人調子を乱さず攻撃に臨むその姿勢は強豪校のエースそのものであった。
姫沢が読み取れるステータスは合計5つ
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あくまで身体を見ているため、以下の3つ等は分からない
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