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高校サッカー、高校バスケのハーフタイムが10分設けられているにの対してカバディのハーフタイムは5分だけ。なんでこんなに短いのかについて文献を探しても特に明記はされてない。自チームの
だが、どんな競技でもハーフタイムにすることと言えば基本は似通ってくるものだと思う。後半戦に向けて体力を回復すること。前半の試合展開や相手チームの動き方を踏まえた上でフォーメーションの変更や選手の交代。試合中ではおろそかになりがちな選手同士のコミュニケーション等、おおまかに区分すればこんな当たりだろうか。
奏和高校は何をしているのかなと慶さんと一緒に確認してみると、
「集中!!!」
「「「おう!!」」」
「プラスに考えろ!!
「「「おう!!」」」
「六弦と一緒で動きが読めないな」
「とりあえず下がって守ります?まず敵陣から遠ざけて…」
「いろいろ試してみてくださいよ。点はオレが取るんで。ガンガンやられちゃってください!!」
「なッ、何様だてめーは!!」
「高谷様」
「俺らだって点取ってやんよ!!」
部長である六弦さんの檄に始まり選手同士でマーくん対策の意識の共有、
…いや、最後のは高谷さんが実際そう考えているか分からないから保留で。
「……」
でもレモンはいいね。レモンのはちみつ漬けとか疲労回復に良いって聞くし、大会の時はボクも持ってこようかな?
「………」
……はぁ
少しため息を吐いた後観念して後ろへ向き直る。いい加減現実逃避も終わりの時間だ。
【ハーフタイム開始直後】
「おお!タイムアウト中に姫沢がチョロチョロやってるのは見えてたけど、結構サマになってるな!!」
「はい!ヒメサワのおかげで試合もずっと見ることが出来ました!!そういえばまだお礼言ってなかったべ!ほんとにありがとなヒメサワ!!」
「包帯巻きにサマも何もないと思いますけど…、同じチームなんだから気にしないでいいよ畦道。でもお礼はありがたく受け取っとくね」
先程まで悪い顔を浮かべていた水澄先輩が頭に包帯を巻く畦道の様子を見て感激したように話しかけてきた。畦道も先程までの複雑な面持ちはどこへやら、ボクに対して感謝の言葉を向けてきた。うん、感謝の言葉はいつ受けても嬉しいものだね。
「みんなも気をつけて…流れも切らさないように行こう」
「「「うす!!」」」
マーくんが軽く声かけをして水澄先輩、伊達先輩、宵越くんが反応する。うん、声もしっかり出てる。慶さんの作戦は上手くいってるみたいだね。
「んじゃメンバー交代な。予定通り宵越の所に叶を入れる。以上」
「…は?」
慶さんの指示に異議ありとでも言いたげな宵越くん。
いや、試合前にボクも途中から入るって言ってたよね?まさか自分はずっと出られるものだと思って聞き流してたのかな?
「おいおい井浦テメーコラ!なんで俺をここで下げるんだよ!!?」
「どうした宵越、叶を途中から出すのは試合前に話してただろ?」
「話してたが!俺はちゃんと
どうやら実績を盾にしてでもまだ試合に出たい模様。その意気は良しと言いたいところだけど、これ以上モメたら正直面倒くさいし試合に臨む皆のジャマになる。
仕方ないな-。
「
「うぐっ!?…いや、だからその失敗を
「
まあボクは
宵越くんは感情で動いてる感じがするけど、バカじゃない。こうやって筋道立てて説明したらしっかり理解してくれる。だから説得しやすいのは結構助かっている。
バン!!
「あだッ!!?」
説得が無事に終わったかなと油断していると後ろからカタパンされる。予期しない痛みに思わず声が出る。非難をこめた目で後ろを振り返るとなにやら言いたげな慶さんがそこにいた。
「お前の言う通りだがお前が言ったら角が立つだろうが。こういうのは
はーい
言いたいことはまだあるんだけどここまでにしておこう。せっかく良い雰囲気で終わったのにボクのせいで悪くしてたら目も当てられない。
「まだ…まだなんだよ!高谷にも六弦にも負けっぱなしで終わるなんて、そんなの認められねぇ!!」
宵越くんがまだ吠え続ける。いくらなんでもうるさすぎる。にしてもなんでこんな一巻の終わりみたいに絶望してるんだろうね?別に交代したからってもう出られない訳では…
あ
「ねぇ、宵越くん。カバディの交代とサッカーの交代が少し違うのは知ってるよね?」
「…は?
マーくんと慶さんの方を見る。2人とも失念していたとでも言わんばかりにハッとしている。こんな所で別競技転向組の問題が発生するとはね。未知がいっぱいだ。
「えーっとね、宵越君。カバディでは1度下げられた人ももう一度コートに戻ることができるんだ。僕たちはそれが分かっていると思って宵越君に交代してくれって言ってたんだけど…」
【回想終了】
その後すぐ宵越くんに誤解させたことを謝ったんだけど、なぜか宵越くんがボクの後ろをついて回ってくる。
何かボクに聞きたいことがあるみたいなのだが、何故か行動に移そうとせずただ見てくるだけ。いつもならボクの方から尋ねるんだけど、さっきの件でまだ気まずいから話しかけることもせずただ現実逃避していた。
言い訳ならいくらでも浮かぶ。やれ
だからといって宵越くんをむやみに不安にさせた罪は消えない。意を決して話しかけようとしたがボクよりも先に宵越くんが切り出してきた。
「井浦から聞いた…。試合前から『特に問題が無い限り
…ふむ。先程の誤解の際に慌てふためいていた宵越くんだけど、あれから時間が経ったこともあって切り替えられているっぽい。流石は宵越くんだね。まあ、そのための現実逃避タイムだったから、してなかったら困ってたけども。
「簡単な理由だよ。前半終わった時に
「は?ナメてんのか?あと半分ぐらい俺はまだ全然いけるぞ!!?」
「宵越くんの
環境次第で疲れやすさが変わるのは宵越くんなら知ってるよね?
しかも他の人と違って
グラウンドは直射日光によって体力が奪われることはあるが通気性はそれなりにある。反対に体育館は
…といっても宵越くんにおいては全く心配してなかったけどね。この理由は建前だ(畦道を交代させる理由はほぼコレ)。大事なのはもう一つの方。
「後は守備のテコ入れ。
宵越くんは回避の才能はあるものの守備はからっきしだ。このまま後半出続けても言い方が悪いが
仮にここにボクがいないのであれば、それも1つの経験と割り切れるが避けられるなら避けるべきだ。それにボクと連携するなら
それと新たにもう1つ。もしかしたら宵越くんにとっては1番大事なことかもしれない。
「コートの外からさ、ボク等がどんな
先程の交代騒動で思ったことだ。宵越くんは交代=不名誉なことだと思っている節が見られること。畦道も交代の際に抵抗していたが、あれは彼が初試合だったことと不慮の事故により動転していたことを踏まえると納得できる。
だけど宵越くんは違う。
宵越くんが内心何を思ってるかまでは分からないけど、これから先チームとして戦っていく上で
宵越くんはボクの説明を受けて少し苛立たしそうにしているが納得したのか肩の力を抜いている。少しでも自らの糧にするための貪欲な姿勢は一級品だ。普段はボクの指導は受けないと言っているのが玉に瑕だけど。
「じゃあ宵越くん、ボクがやってたスコア表やって。書き方が分からないなら教えるから」
「は?誰がそんなことやるか。畦道にでもやらしとけ」
「畦道にはビデオやってもらってるもん。あ、スコア表が書けないならボクの方から畦道に交代するようにお願いを…」
「はぁ!?誰が出来ねぇっつったよ!!?早く渡せ!!」
ジャージを脱ぎ深紅のユニフォームをたなびかせながら準備を進める。背番号は希望通りの『7』。ボクの1番好きな数字だ。下の方も見てマーくんとお揃いのスポーツレギンスを着用できているのをしっかり確認する。うん、準備万端だ。
ベンチの上にある慶さんのiPadを見やり、先程までそこに示されていたポジションを確認する。前半途中にマーくんが入った時点で少し変更もあったんだけどね。
姫沢⑦ 王城①
伊達④ 井浦②
水澄③
ボクが入るのは
後半の守備にあたって水澄先輩と伊達先輩にした連携面のお願いを頭の中で反芻して軽くジャンプをする。その段階になって試合に出るのはあの世界戦以来だということに気がついた。
あの時ボクは自身を過信していた。『1番』を任されたことと途中の試合上手くいっていたことで明らかに天狗になっていた。その結果起きたチームに迷惑をかけた上での無様な敗戦は今でも時々夢に見る。
あの時とは違う。もうあの時のようなヘマはしないと頬を叩いて集中しなおす。それに今コートにはマーくんもいる。マーくんがいるのならボクが必要以上に固くなる必要はない。
久しぶりのコートの上でボクは目を閉じる。これから先起こるであろう
宵越ってサッカー時代交代したことってあるんですかね?
「不倒」って呼ばれるくらいだから負傷退場は無いしスタミナ切れもまずない。
だから可能性があるとしたら
○大差が開いての消化試合
○宵越対策をばっちり敷かれた為仕方なく
の2通りしかないの改めて考えてもすごい選手だね