光と闇   作:通りすがりの猫。

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日間ランキング16位で過去最高の順位をとったので投稿。

本当にありがとうございます。


所謂、策というやつ

インターバルも終わり、俺たちはコートへ戻ろうとしていたがマイケルが立たない。

 

「…マイケル?大丈夫か?」

 

「…あぁ、今行く。」

 

…ッツ!?なんだこの寒気は…!?

マイケルが立ち上がった瞬間凄まじい雰囲気がマイケルから漂っていた。今まででみたことがない。

 

コートに戻ると、シルバーもマイケルの異常な雰囲気に気が付いたのかマークをザックと交代する。

試合が始まるとレオがマイケルにパスをだす。ボールを貰ったマイケルは…!?

 

消えた。いや消えたように見えるほど速かった。

そして何者にも反応させず、ダンクを決めた。

 

「あれは…ゾーンか?」

 

「ゾーン?なんだそりゃ?」

 

あの正体を知っているレオがそう呟くと、知らないルーカスが尋ねる。

 

「ゾーン。極限の集中状態のことを指し、本来の人間なら不可能な100%の力を出すことができる。入れることのできる人間は才能のある限られた人間だけだときいたことがあるが、まさかマイケルが入ることができるとは…。聞いたことがなかったよ。」

 

マイケルと長く付き合いのあるレオでさえ、ゾーンに入ることができることは知らなかったようで驚いている。

策とはこれのことだったのか。

 

「クソが!どうなってやがる!」

 

シルバーは何が起こったのかわからず、怒っている。

 

「…みたことねぇなあんな動き、なんだありゃ?」

 

ナッシュもゾーンを知らなかったのか驚いている。

 

ジャバウォックの攻撃はナッシュが慎重に運び、様子を伺っている。

数秒周囲を確認したら、唐突にナッシュの手元からボールが消えた。

レオはボールが消えて何が起こったのか分からない様子だったが、これはナッシュによる『ノーモーションクイックパス』だ。

本来なら予備動作無しでは反応することはできないはずなのだが、唯一これに反応した人物がいた。

そう、マイケルだ。ナッシュのパスをカットして一人速攻を仕掛け、敵陣には一人でフリーの状態なのに3Pシュートを決めて悠々と自陣へと戻ってくる。

ゾーンを体験するのはこの世界で初だが、これはとんでもないな…。

 

次の攻撃。ナッシュは同様にパスをシルバーに出す。今度はパスが通りシルバーにボールが渡る。

 

「…あぁ?舐めてんのか?」

 

シルバーがそう言ったのも無理はない、マークしているはずのマイケルとボールホルダーのシルバーの間には3mもの距離があった。

しかし、シルバーは咄嗟に気が付く。

 

「まさか…この距離でも届くのか…?」

 

そう、届くのである。ゾーンに入るということを100%理解できていないシルバーでもこれには察知した。

そして、シュートは防がれると悟ったシルバーはドリブルへと移行した。

しかし、どんなフェイクにも反応すらせず本命で仕掛けたドリブルにはしっかりと対処をしてくる。

ドリブルでも無理だと考えたシルバーは今度はセンタープレイでごり押しをする方法に変更。

マイケルを背に自慢の怪力で押そうとするもビクともしない。第1Qとは違い、手を抜いていないのにだ。

 

そして24秒が経ってしまう。

マイケルはシルバーに好きなように仕掛けさせても尚、シュートすら打たせなかったのである。

この状況にすかさずジャバウォック側がタイムアウトを要求。両チームの選手はベンチに戻るのである。

 

「やべぇな!マイケル!」

 

ベンチに戻った最初の一言は、ゾーンを初めて体験したルーカスだった。

 

「…おう、これが俺の言った策だ。この状態ならある程度には対応できるが、限界がある。長くて10分から15分くらいだろう。」

 

「なら、最低限の負担にしないとな。各自、自分のマークは抑えるぞ。」

 

レオがそう判断する。

 

「この後恐らくだが、やつらは俺の守備範囲外でパスを回してシュートを打ってくるだろう。多少のロングシュートは警戒しておけよ。」

 

「それもそうだが、あいつのパスは何なんだ?手元から消えるんだよね…。」

 

レオがナッシュのノーモーションクイックパスについて問う。

これは知っている俺が答えたほうがいいかな…。

 

「…あれは恐らく予備動作無しでの高速パスだろう。2回しか見えなかったが、お前らがパスの瞬間が見えなかったということはそういうことだろう。」

 

俺よりも早くマイケルが回答した。

ゾーン状態の時にあれが見えるのか。

これは日本に戻る前に体験できてよかったな。

 

 

【side ジャバウォック】

 

「なんなんだよあれは!」

 

怒りのボルテージがMAXにきたのか、当たり散らかすシルバー。

 

「…やつの範囲外からボールを回して外から攻める。あれがデメリット無しでずっとあの状態ってわけでもねぇから時期にとけるだろう。」

 

「でもよ、あいつの攻撃はどうする?速すぎて反応すらできねぇぜ?」

 

ニックがナッシュに問う。

 

「シルバー、不本意かもしれねぇが俺との連携で止めるぞ。」

 

「あぁ?そんなんで止まるのかよ?」

 

「途中で止め切れなくても、コースを限定させれば最終ポイントの誘導くらいはできんだろ。」

 

「なるほどな、そこを叩くって寸法か。おもしれぇ。」

 

「攻撃も時によっては、俺とシルバーの連携で崩す。やつの体力が削れれば良し、崩すことができるならそれでも良し。」

 

「ハッ!余裕で崩してやるわ!」

 

「いくぞ。」

 

【side out】

 

 

タイムアウト明け後は俺たちの攻撃から始まる。

レオはマイケルにパスを出す。

対峙するシルバーは外側を封じ、内側をあける。

そして、マイケルはシルバーの内側を抜き、ダンクへ行こうとするが、ハンクのマークについていたザックがヘルプに出ておりマイケルはターンでリングの正面に移動。

しかし移動先にはナッシュが構えており、あわや詰みかと思われたがマイケル手には既にボールはなかった。

マイケルとナッシュが相対した時にはボールはネットを潜り抜けていた。

マイケルはターンする直前に静止してボールを高くほうり投げ、シュートをしていたのだ。

これが対面していたのがシルバーやナッシュなら気が付いたのかもしれないが、ザックだった為に気が付けなかったのである。

ザックと対面した時に、ナッシュがカバーに動いていたのを見ていたマイケルは咄嗟にあのような選択をしたのだ。

 

「やってること青峰かよ…。」

 

出鱈目に投げたシュートが入るその様はまるで原作の青峰を彷彿とさせた。

続くジャバウォックの攻撃。ナッシュはマイケルの守備範囲外でボールを回し崩そうとするが、俺たちも易々と崩れたりはしない。

崩せないと判断したナッシュはドリブルでレオを抜き、守備範囲内に侵入。ヘルプにハンクが入り、ザックとシルバーの間に立つようにマイケルがセットする。

 

「ハッ!両対応しますってか?…させねぇよ。」

 

ナッシュはマイケルとは遠い位置側へハンクを抜きダンクをしようとする。

そこに超反応で追いついたマイケルだが、それを読んでいたのかナッシュは既にシルバーへとパスを出していた。

さすがにゾーンに入っているマイケルとはいえ空中で身動きがとれなければシルバーの力強いダンクは止めることはできないと誰もが思った。

しかし、実際にはナッシュのダンクにはマイケルは跳んでおらず、シルバーのダンクに合わせてブロックに跳んでおり止めたのである。

 

「…てめぇ、なんで跳ばなかった?あのまま跳ばなかったら俺にダンク決められてたろ?」

 

ナッシュがマイケルに投げかける。

 

「身体の動きがダンクに本気ではなかった。まるで何かを見極めているかのようだった。そこで後ろから聞こえていたシルバーのバッシュ音からパスとシュートの二択があるのだと察知した。後は間に合うギリギリまで待ってから反応すればいいだけだ。どうやらお前は俺が目の前に来た瞬間にパスを出していたようだが。」

 

「…っ!ふざけた真似を…!」

 

ナッシュの判断は間違えてはいなかった。自身が認識できない速さで動くカバーを搔い潜る為には常に後手を踏ませる必要があった。

ハンクを抜き去る時にマイケルからは遠い位置にすることで距離を稼ぎ、ダンクにいくことで空中での体の制御を奪う。

しかし、ブロックに跳んでいることを確認してからパスを出していてはナッシュ自身の認識が遅れパスを塞がれてしまう恐れがある。

その為、ナッシュは目の前に見えてからパスを出せば、シルバーであれば問題ないと判断したのだ。

それは慢心でも油断でもなく、日頃から付き合っている二人だからこその確信と信頼からくるものだった。

それにタイムアウト前に見た速さをナッシュは頭に叩き込んであり、あれなら間に合わないとも判断していたのだ。

事実、マイケルは跳んでからシルバーのカバーに入ることは不可能だったし、本来なら「ギリギリ」というのもあのタイミングでは間に合っていなかったのである。

ではなぜ、マイケルはナッシュに対して「ギリギリまで待ってから」と発言したのか?

その答えを知っているのはマイケル本人と藍野だけであった。

 

(ゾーンが深くなっているというやつか…?)

 

藍野は原作知識から、マイケルはゾーンの感覚から答えを導きだした。

そしてナッシュもまた答えに近づいた人間の一人である。

 

 

【side ジャバウォック】

 

(あの野郎、なんか強くなってやがるな…?)

 

自身の計算によって導き出した答えには疑っていないナッシュはそれ以外の要因から、今回の現象の答えを自分なりに導く。

 

「どーするナッシュ?」

 

「仕掛けんなら3Q以降だ、今は耐えるぞ。」

 

すぐに解決策が思い浮かばなかったナッシュは一先ず自身の中で整理をして策を打ち出したかった。

 

「そうか、なら俺がやってもいいんだよな?」

 

シルバーはどうしてもマイケルとやりあいたいらしく、ナッシュにそう提案する。

 

「あぁ、暴れてこい。」

 

ナッシュもこのままだとシルバーは押さえつけられることによる不満が爆発すると考え許可を出した。

 

(俺の『魔王の眼(ベリアル・アイ)』で封じ込めることができるか…?いや、まだこれを切る時じゃねぇ)

 

ナッシュは自身の切り札を切るべきか考えたが、マイケルが時間制限系であると思い直し切る選択を取らなかった。

 

(さっきシルバーにも言ったが今は耐え時か)

 

そうして第2Qは耐える判断にしたナッシュ、この判断が吉とでるか凶とでるか。

 

【side out】

 

 

この後も俺たちはマイケルにボールを預け得点を量産していく。

一方守備は、エースであるシルバーが次々と仕掛ける中マイケルが全て止め、完封している。

第2Qが終了し、マイケルの躍動もあり50-38で折り返すことに成功する。

 




嬉しい悲鳴、ストックが後2話+αくらい。

感想もみてます、読んでくださりありがとうございます。

どこまで続くかわからないけど、良くも悪くも自己満作品。(n回目)

楽しく書けてる間は投稿するし、楽しくなくなったら投稿はしなくなる。

人は気まぐれロマンティックな生き物なのだよ。

ヒロインについて

  • ヒロイン無し
  • 桃井 さつき
  • 相田 リコ
  • 荒木 雅子
  • アレクサンドラ・ガルシア(アレックス)
  • 土田の姉
  • 水戸部の妹
  • オリキャラ
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