【side 帝光】
「黒子、虹村と交代だ。黄瀬、青峰と交代だ。」
「「「「はい!」」」」
「…黒子、青峰。互いに彼を見ていてどうだった?」
赤司は両者に尋ねる。
「そうですね。彼は僕がでてきてから攻撃で
「俺もほぼテツと同じだな、スピードも見てて上限は大体分かってきた。もうあいつの小細工には引っ掛からねぇよ。」
「…そうか。攻撃も守備も基本は今のまま行く、紫原には負担を強いるが頑張ってくれ。」
「ん~?いいよ~。あいつ何回やられても立ち向かってくるの鬱陶しいし、そろそろ本気でやろうかなって思ってたところだから。赤ちん、ボール全部俺にちょうだい。」
「わかった、紫原にボールを集めよう。」
「ちょっと待てよ赤司!俺今からでるのにあいつと1on1やらせてくれねぇのかよ!?」
「すまないね青峰。第4Q以降くらいなら好きにできると思うよ。」
「ッチ!わーったよ。とっとと終わらせろよ紫原。」
「うん、わかった~。」
こうして帝光メンバーはコートに戻る。
紫原の目は鋭く木吉を睨んでいた。
【side out】
第2Qの残り半分は木吉先輩が完全に攻撃でも守備でも封じられてしまい、点差がどんどんと突き放されていく形となっていった。
俺も得点を決めれないわけではないが、青峰がとうとう視線誘導だけでは振り切れなくなってきた。
帝光は相も変わらず紫原を主体に攻撃を構築しており、特にタイムアウト明け後の紫原の動きのキレやパワーが一段と増して、いよいよ手がつけられなくなってきた。
第2Qが終わりスコアは30-58とほぼ30点差になっている。
ハーフタイムも皆で策を考えるも良い案は浮かばず、修正ができないまま第3Qへとはいっていった。
木吉先輩はまだ諦めている様子はないが残りの3人はもう半ば諦めており、プレーも少しずつ粗さがでてくる。
俺も青峰との1on1は勝率を5割切ってきており、段々と対応されてきている。
そんな中、遂にこの時がきてしまった。
紫原にボールが渡り、本日何度目かわからない木吉先輩と紫原のマッチアップ。
フリースローライン辺りでボールを持った紫原はそのまま木吉先輩を背に、どんどんと押し込む。
木吉先輩も腰を落として踏ん張ろうとするも、あっという間にゴール下まで押されてしまい、紫原による『
放心としている木吉先輩に紫原が
「な~んだ、こんなもんか。『鉄心』なんて呼ばれてるからどんなもんかと思えば全然大したことないじゃん。」
「ッツ…!」
木吉先輩が悔しそうな表情で紫原を睨むが、当の本人は意にも返さず自陣へと戻っていった。
「…木吉先輩。」
俺はそう言いながら木吉先輩に手を差し伸べるが、
「…すまない、俺はもう駄目かもしれない。」
「木吉先輩…?」
「俺じゃあ、あいつらに勝てないのかもしれないってなっちまったんだ。」
「…そうっすか。」
そこで第3Q終了のブザーが鳴った。スコアは42-95と残り1Qでは返すことのできない差となっていた。
「…木吉、交代だ。足に限界がきているだろう?」
監督の第一声は木吉先輩の交代を告げるものだった。紫原を相手に試合開始から約25分間、常に全力だった木吉先輩の足に限界がきてしまった。
「いや!まだ俺は!」
「…もういい木吉、それ以上無理をすると壊れてしまう。」
「…はい。」
監督は木吉先輩の身体面のことを言ったのか精神面を見抜いて言ったのかはわからないが、兎にも角にも木吉先輩抜きでラスト1Qを戦わなくてはいけなくなってしまった。
「ラスト1Q、今のお前たちに何ができるのかみせてほしい。」
振り絞った言葉で監督はそう言い、俺たちはコートへ戻った。
「よう。」
コートへ戻ると青峰に話しかけられた。
「お前、名前は?」
「藍野 京介。」
「きょーすけ。お前、まだ本気じゃないだろ?」
「…そんなことないぞ、今でもお前から点を取るので精一杯だ。」
「ハッ!嘘つけ、まだまだ余裕ですって顔に書いてあるぞ。」
「そうかい。それで俺の本気がみたいって?」
「あぁ、戦りあおうぜ!」
「わかった、天下の帝光のエース様からのお誘いだ。喜んでその誘いに乗ろう。」
「そうこなくっちゃ!」
そうして第4Qは俺vs青峰の1on1が繰り広げられることになった。
やられてはやり返しを繰り返していくが、徐々に青峰優勢で時計の針が進んでいく。
「残り時間少なくなってきたぞ!まだまだやれんだろ!?」
くっそ、こっちは得点するのでギリギリだってのに…。
これが最後の攻撃か。ここで見せるつもりではなかったが『とっておき』を披露するか。
「スゥー、フゥー。」
息を吸い込んで吐き、覚悟を決める。
いくぞ、
【side 青峰】
俺の相手は終始驚かせてくれて、バスケも普通に上手い。帝光にきたら黄瀬あたりのスタメンは危うくなるんじゃないかって思うくらいに。
でもあいつはまだ実力を隠している、そんな気がする。
…そういやあいつの名前知らねぇな。さつきに聞くのも癪だし直接聞くか。
「よう。」
そうあいつに話しかけると名前は藍野 京介っていうらしい。
それにさっき俺の勘が言っていた実力を隠しているってのも案外本当なのかもしれないってのは話していて分かった。
全力でやってくれるらしいから最終Qくらいは楽しめそうだわ。
…最終Qに入って何度かきょーすけと1on1してるがこいつなんか変だ。確かにこれまでと比べるとスピードもキレも上がって厄介になったが、所詮その程度。
全然対応できる範囲内だ、何隠してやがる?
時間だけが過ぎていきラスト30秒、あいつらにとっては最後の攻撃。
きょーすけがパスでボールを貰い、数回ドリブルをつき、深呼吸をした。
…何かくる!ここまでの1on1の勝率は俺の方が高い、身体能力のスペックも俺の方が上、きょーすけの切り札でもある視線誘導も見破った。
…なのに、なのに何なんだ。この得体の知れないこいつから出ている空気は。
くる!
きょーすけが右から左にクロスオーバーをし一気に俺の横に並ぶ。今日一で速いが、追いつけないほどじゃない、並走して何してくるかみるか。
…あ?消えた…?
ガンッ!!
音の鳴った方を見るときょーすけがダンクしていた。
【side out】
【side 桃井】
明日は全中予選前最後の練習試合。相手は照栄中学校で『無冠の五将』と呼ばれている木吉 鉄平さんが率いる優勝候補の1つ。
いつもより多めにデータを準備して赤司君に渡してはいるけど、皆勝てるかな…?
試合当日。私たちマネージャーは試合が始まればスコアブックに記録をつけていくのが主な仕事。
やっぱり、あの木吉さんは凄いなぁ…。
第1Qの中盤、大ちゃ…青峰君が攻守で防がれてタイムアウト。
青峰君は俯いて何か呟いてるけど大丈夫かな…?って時間だよ大ちゃん!
試合は終盤になりむっくんが一人で100点を超える点数を記録した、むっくんのマークしている相手はあの『無冠の五将』なのに。でもちょっと怖いな。
最終Q、青峰君が相手の10番の選手と1on1していてとても楽しそうな顔をしている。この顔をしているときの青峰君の楽しさはこっちまで伝わってきていいな。
残り30秒、試合はどう転んでも私たちの勝ち。でもなんだが嫌な予感がする。丁度ボールが10番の選手に渡り、青峰君と1on1に。
…動いた!青峰君の横を抜けようとドリブルを突く彼はそのまま…。
えっ!?消えた!?
そう思っていたら、彼はダンクをしてゴールを決めていた。
【side out】
『とっておき』を決めた後、青峰に「何をした!?」という目で見られ知らんぷりしていたら最後爆速でちぎられゴールをあっさり決められ試合終了。
48-135
なんとか100点差はつけられずに済んだが、ボロボロにやられた。
「48-135で帝光中学校の勝ち!礼!」
「「「ありがとうございました!」」」
挨拶を済ませ両ベンチに戻る選手、監督からは
「今日はお疲れ様。あれが全国の頂だ、我々はあれを越さねばならない。その為にも、今日の試合はとても貴重だったといえるだろう。明日はオフとし、明後日は今日の試合の鑑賞会を行い課題点を洗い出す。今日は以上だ、帝光中の皆様をお見送りするぞ。」
「「「ありがとうございました。」」」
体育館前で並び、帰宅する帝光中に挨拶をする。
「「「ありがとうございました。」」」
そうして俺も着替えて帰ろうとしたところ
「おい!きょーすけ!」
呼ばれた方向を振り返ると青峰と隣には桃井がいた。
「?どうした、忘れ物か?」
「ちげーよ、確認だ。」
「なんの?」
「最後の最後はやられた、この仕返しは全国でな!」
「…青峰。」
「なんだ?もうやりたくないってか?」
「それこそ違うよ。俺はこの全中が終われば1年間両親の出張にスペインについていくことになってる。」
「「スペイン!?」」
隣に居た桃井も驚いた声を出していたが、一旦無視をする。
「あぁ、だから中学で戦えるのは今年の全中が最初で最後だ。」
「…俺たちと当たるまで負けんなよ。」
「絶対にと言えないのが今日の試合で痛感したが…。次は負けねぇよ!」
ここで青峰が拳を突き出してきた、これは原作お馴染みのグータッチだろう。まさか青峰とできるとは。
「おう!それじゃあな!」
「大…青峰君先に行ってて!私も藍野君に用があるから!」
「…?おう、先行ってるぞ。」
そうして青峰だけ帰っていく、それにしても桃井が俺に用とはなんだろう…?
「えっと~、はじめましてだよね?」
一応確認をしておく、昔どこかで会ったことあって俺が忘れているだけの可能性もあるから。
「うん、そうだね。私は帝光中学バスケットボール部マネージャー桃井 さつき、よろしくね。」
そう言って握手を求められたので握り返す。
「それで俺に用とは?」
腹の探り合いは無しにして直球に本題をきく。
「えっとね、今日の試合の最後のあれ何をやったのかなっていうのが一つと、高校はどこに行くのかなっていうのが一つかな。」
成程、データで未来までみえる桃井とはいえ俺の『とっておき』についてまでは予測できなかったのか、はたまた答え合わせがしたいのか。
ただ
「一つ目については教えられないかな、全中で当たるかもしれないしね。どうせ桃井さんなら今日の試合をみて答えを出せる気がするから頑張って。」
「それはそうだよね、じゃあ二つ目は?」
勿論、教えるわけがない。現状の俺にとって切り札なのだ、いくら美人でもそう易々と教えるわけにはいけない。
二つ目についてはどうしよう…?理由もわからなければ、ここで言うことによって青峰達が桐皇に行かない可能性も出てきてしまうのか…。
「理由を聞いても?」
「何となくかな。私もまだどこに行くか決めてないけど、高校で味方になりそうな気がしてね。」
お得意の乙女の勘というやつか、恐ろしい。
「それじゃあこっちも内緒で、味方になろうと敵になろうと面白くなるのは確実だからな。」
「…うん、わかった。またね!」
そう言い残すと、バイバイと手を振りながら桃井も帰宅していった。
これの結果がどうなるかなんてわかりはしないけど、いい方向に動くことを願っている。
原作の回想シーンで紫原が1試合で100点を取った描写を確認したら、観客が普通にいたので公式戦と思われるけど、過去編では描写されていなかったよね?
冷静に考えて40分で100得点はえぐすぎるか。
後はネットの情報なんで真偽の確認はできていませんが、照栄中は全国ベスト4いっているとのこと。いつだろう...。暇だったらdアニで確認します。
オリ主君の『とっておき』については暫くは触れないと思いますので少しだけ。
影が薄いわけではないがミスディレクションはできるオリ主君、黒子や黛みたいに第三者に対して『消える』ことが出来るわけないのになぜ第三者(今話では桃井)にも通用したのか。暇なら色々と考えてみてください。
ストックが尽きたのでまたスローペースになります。
所詮自己満の作品なのでお許しを。
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