飯マズ脱却の為ならサブカルを布教する【オリジナル】   作:苺のタルトですが

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38 (完結)

外からのびのびとノラえもんを呼ぶ声が聞こえる。

3人は外を見るとそこには幼馴染達が揃っていた。

凄い。

この子達も作ったのか大統領。

 

「良くきてくれた」

 

彼らに全て説明して、シスカ達は難しい顔をする。

ソラコが説明を終えた後に部屋へ戻ってきて、彼らと会う。

ソラコと3人はハジメマシテをして、ソラコと仲良く話し出す。

仲良くなっていく会話を聞いていると本当に細かく会話をしている。

AI同士だから会話も自然に出来るという仕組み。

 

「よおし、なら、ソラコの故郷を救いに行くぞ!」

 

シャイアンがグッと拳を握る。

アルメイが断るのでシステムが無理矢理進行させようと頭を使ってきた。

こういう進め方、あるんだ。

 

ズネオは相変わらずの臆病さで嫌だという。

シスカは行きたいけど怖いという、行きたくない方に傾けている。

 

これは一旦行かないようなシナリオなのかもね。

のちのち結局行くのかな。

 

「リーシャ君、リーシュ君」

 

「はいはい、なんですか」

 

大統領が服をあざとく引っ張る。

ちくせう、可愛い。

妖精みたいな顔しているから許す。

全私が許すよ。

 

「実はね、ソラコの星の制作は今現在鋭意製作中なのだよ。それでね、2話の制作にあたって、君の意見を聞きたくて」

 

噂によると制作期間が2ヶ月もなくてこの完成度はヤバすぎる。

出来てなくて当たり前であろう。

 

「具体的にどういう意見を聞きたいんですか?テストプレイなら残りの二人にも聞くのが良いと思いますよ」

 

「うーん。私はね、このゲームを第二の世界にしたいのだよ」

 

規模でっかいな。

ノラえもんミュージアムを作った人はやはり思うことが違う。

 

しかも、有言実行なので言い過ぎでもなんでもない。

大統領が言うにはノラえもんのゲームでいつでもどこでもシナリオが進行して、アニメや漫画のように非日常が起こる、世界そのものを作りたいのだという。

それが現在の大統領の趣味と実益を兼ねたやりたいことだと目をキラキラさせる。

大統領ならやってしまいそう。

アルメイ達もやりたいと手を挙げる。

 

「ゲームプログラムとAI生成を用いればかなり早く作れると思うよ」

 

土台は出来ているので、シナリオと出来事を作れば日常も非日常も起こる世界となる、と力説する。

確かに、生成プログラムを使えば毎日何か起こる街の出来上がりとなる。

電子世界を大統領は作りたいらしい。

サブカルを作ろうとして、ここまで話が大きくなるとは私にも予測出来なかったな。

 

「更に忙しくなるぞー」

 

「自分から激務にしてどうするんですかぁ」

 

言葉尻が小さくなる。

 

「楽しいからいーのいーの」

 

大統領は2話に続くというボタンに触ろうとするジャニクを眺めて言う。

地球の人達は私たちがノラえもんのアニメ世界を電子化して作って遊んでいると知ったら、驚くだろうなぁ。

 

「よし、じゃあ一旦外に出よー。ログアウトしたいって考えたら出られるよ」

 

大統領はニコニコと先導して、全員外に出る。

 

「楽しかった!」

 

「周回10は硬いです」

 

2人の幼馴染はキャラキャラと話す。

 

うんうん、好きなキャラのキャラゲームは外さないよね。

私も前世では、好きな漫画のキャラが出たらいの一番にガチャとか引きにいったもん。

わかるわかる。

好きなものに課金するのが真理というもの。

ということは大統領はもう完全なる心理を獲得していたというわけだ。

納得顔で頷き、全員各自感想を言い合う。

大統領曰く5話くらい作ってから配信を検討していくらしい。

そこで配信すると言い切らないところ、多分ちゃんとやってから配信したいんだろうね。

 

私達を呼び、テストプレーさせたのも、1話をしっかり作り終えてからだし、余程中途半端なものを見せたくないという、匠の思考的なものを感じた。

大統領はすごく凝り性。

全員、電子の世界から出る。

アルメイ達はいつ続きができるのかと期待に彼へ詰め寄った。

詰め寄られるのに慣れている大統領。

今回は攻撃もしてないから、ボディーガード達は後ろで静かにしていた。

前に誕生日企画をした時の襲撃を思えば、彼らはちゃんとボディーガードしてきたことを思い出した。

 

わたしは電子の世界が気になる。

もちろんノラえもんの内容も気になるが、この技術は他のゲームやアニメにも適用されるのだ。

ということは、あれやこれやなことも可能ということ。

今から楽しみでならない。

 

「まだ予定は大統領にも分からないよ。でも、楽しみにしていてくれたまえ」

 

という答えを機に全員解散した。

しきりに幼馴染らが、ノラえもんゲームの一話をやりたいとしたがったが、大統領はもう少しやりたいことがあると断固拒否していた。

相変わらず完璧を目指す大人だ。

 

尊敬する大人の一人としてずっと選ばれている人である。

同じゼクシィ人として、誇りだ。

 

「残念です」

 

 

アルメイが本当にザンネンそうにしていた。

交渉は無理だろうに、頑張ってしまったみたい。

 

私達はいつものように、別れる時間になったので家に帰っていく。

ちゃんとお互い帰る場所もあるし、泊まることってあんまりないよね。

と、思った1日の締めくくり。

 

 

 

 

 

遂にゼクシィ人全員の地球観光が解禁される日が来た。

予め半年前から告知されていたことなので、準備には抜かり無し。

私もアンバサダーの一人として、そして、地球大使っぽい役職を一時的に大統領から任命された。

大統領は私の執筆などに影響されないように、そういう仕事は割り振らないとこちらに言い続けていたのだが、リーシャ自身が何かしたいと頼んだ。

自分としては記念するべき日になるのだから、なにかしたくなっただけだけど。

 

大統領はいつも配信越しだけど、今回はセレモニー参加なので生身。

生の大統領だ。

ノラエモンファンよりも多い大統領ファンがあつまり、目の前には埋め尽くすばかりのゼクシィ人が居る。

地球の旅行が許される日、抽選でリーシャが案内を務められるように決められていて、セレモニーが終わったときこそ大忙しになる。

アルメイ達もそれぞれ案内役になっているので、珍しく全員別行動。

注意事項の部分も大統領の配信で何度も告げていて、意識の共有もしている。

パンフレットだって、今日のために星民全員に配られている。

表紙は勿論、ノラえもん。

ノラえもんの表紙を見て黄色い声を上げている星民。

大統領をみて熱い声援を送る星民。

いつもの風景だ。

 

大統領が超巨大な映像を空に投影し、ゼクシィのトップと地球のトップとの会談と友好を結ぶという証明を見せる。

これはリーシャも知らなかった。

いつの間に。

大統領は握手とか、わざわざ現地に行くことも殆ど無いと聞いているので、レアケース。

星民たちも珍しい光景に魅入っている。

 

「大統領が握手してる」

 

「手にノラえもんのぬいぐるみがあるぞっ」

 

「良いなぁ」

 

「僕もほしいっ」

 

大統領がノラえもんのぬいぐるみを片手に上機嫌だ。

段々、地球の人達も彼の扱いに慣れてきている証拠だな。

 

「是非地球を楽しんでくれ」

 

地球のお偉い人のメッセージが終わる。

観光客になるゼクシィの人達は、セレモニーが終わると次々と地球へ向かう。

既に地球にある駄菓子屋秘密基地は拡張済みなので全員余裕で入れるようにしてある。

大統領は仕事が早すぎた。

建てる前からこれを計画していたのかもしれないなと、思い出す。

やはり天才なのだ。

 

地球に私も移動して、ゼクシィの抽選当選者たちを迎え入れる。

ゼクシィの客人達は全員、感動していた。

先ず、駄菓子屋に興奮してあちこち見ていた。

他の集団も同じ反応だったので、見終わるまで待ってますよーと伝えるとはしゃいで見に行く。

こういう光景を見られて、地球を見つけられて本当に良かったと実感する。

人数が多いので時間制限でずらして空き地へ向かう。

それと、ノラえもんグッズショップも乱立させていた。

勿論、空き地の近くに。

地球との交渉は終わっていて、ショップについては透明にならずにスタッフを配置するらしい。

 

地球の現地人が対応するのだとか。

パンクするのではないか。

地球限定の商品ばかり用意している地球の気合の入れっぷりを見たとき、驚いた。

ノラえもん通りの名付けられたそこに、まさにやったなと言いたくなる。

 

空き地へ移動する時間になったのでみんなを集めて、現地へワープする。

場面は切り替わり、ゼクシィの一般人達の目に本物の空き地が姿を見せた。

 

「「「空き地!!」」」

 

「「「きゃああ」」」

 

続々と歓喜の声が飛び交う。

しかし、地球の人達には聞こえないので近所迷惑にはならない。

そういう技術も完備しているもの。

よく見ると空き地のある場所から少し離れた位置に警備員とか清掃業務の服を着ている、どうみても地球の政府関係者達が居た。

地球人には暫く立ち入り禁止にされていると聞く。

 

間違って入ってこないように見張っているのだろう。

万が一入ってきてもなにも起こらないと思うよ。

空き地を10分間撮影したり眺めたりしていた彼らは、次に地球inノラえもんショップに立ち入る。

ゼクシィよりも規模は小さいねと言い合うが、すべてゼクシィにはないオリジナルグッズばかりと知ると、意見をひるがえす。

 

「え?え?」

 

「見たことない」

 

「え?知らないよ」

 

「うわ!全部もしかして地球限定のノラえもんグッズなの!?」

 

「なにそれ!信じられないわ!」

 

子どものようにきゃいきゃいとジャンプして、買い物かごをセッティング。

みんなは思い思いに買い物を始める。

大体みんな全種類買おうとする。

ここでは日本円なのだが、特別にこのショップではゼクシィのものに置き換えられているので、お金が足りなくて買えないということにはならない。

 

ドット現れるゼクシィの人達に地球の人達は流石に緊張していたから、こっちも少しだけドキドキした。

しかし、ゼクシィの星民達のクリスマス翌日の、プレゼントをもらったときの驚くくらいの、喜びに満ちた反応。

 

それを何度も観ていて、ぽかんとしていたり、ホッとしていたり、ノラえもんの物凄い人気ぶりに驚き切っていた。

話や説明をされていたりするのだが、目にするのと聞くだけなのとは違う。

その爆発的な買い物率に戦いてもいた。

 

 

 

 

 

 

 

地球側

 

店内にいる政府関係者はゼクシィの者達が去った店内に呆然自失で過ごしていた。

休憩を入れられないと思っていたが、ゼクシィから来た幼女の見た目をしている女の子、リーシャのアドバイスにより増員に増員を重ねるように言われていたので、休憩はたくさん取れていた。

しかし、勢いには驚かされっぱなし。

買い物風景を見ているだけでも違う。

なんせ、子供がおもちゃ売り場ではしゃぐ光景にしか見えず。

 

「こっちはすべての商品が売り切れなんだが、そっちはどうだ」

 

あちこちにあるノラえもんショップ1号店から15号店までのスタッフ達が集り、今此処にいるのはリーダーのテーブル。

 

「商品は一つ残らずなくなった」

 

前にリーシャという少女から、店の数を倍増やしたほうが良いと言われたのだが、これ以上増えると対応出来なくなると増やせなかった。

1人一つの制限があっても全15号店の商品が無くなるという非常に驚愕の結果。

 

「マナーは破るやつもいなかったし、クレームもなく、待つ間も目をキラキラさせていた」

 

待ち時間でも、ノラエモンという商品を見るのを止めず、袋に入れられる間ずっと凝視していた。

 

「あんなに目をキラキラさせるなんて、今どきの地球の子供でも見ないな」

 

己の幼い時を思い出しても、あそこまで好きなものを買った時に喜んだだろうか。

 

「大統領やアルメイさん達によると目をキラキラさせる状態は一生続くらしい」

 

「本当かっ!?」

 

「資料読み込んでないな?ゼクシィ人は感受性が強く、全員が地球でいうお人好し気質らしいぞ」

 

「どうりであの反応かー」

 

資料によればゼクシィでアニメを放送した時に、毎回あの反応で、最終話は全星民が号泣なんてことは日常なのだとか。

 

「やべえ。誘拐されちまいそうな」

 

「技術は鬼強らしいから、それはありえない」

 

「なら、安心か」

 

地球のスタッフは安堵の息を吐いた。

今後の異星人との交流はかなり好感触で、地球の未来は明るい。

 

あと、いつかゼクシィの店のやり方をこちらに導入してほしい。

技術も気になるが、単純に過労になるかもしれない。

ぐったりとなる体に抗えず、机に頭をくっつけた。

 

 

 

***

 

 

 

ゼクシィのリーシャの自宅。

地球からもらった縁側と風鈴。

それと、うちわ。

浴衣に身を包み、ほうじ茶を飲んでいた。

 

じわりじわりとゼクシィ人と地球人の交流は少しずつ始まっていた。

地球の人達は気付いてないかもしれないが、人間に擬態して紛れているという話も聞くようになる。

こうして自然といつか、人間たちに受け入れられる日も来るに違いない。

 

縁側に居ると美味しそうな匂いが漂ってきた。

 

ちりん。

 

風鈴は過去を思い出させてくれる。

しかし、ゼクシィの思い出も同じくらい思い出させてくれた。

ご飯が不味くて泣いた日々。

今は美味しいものがゼクシィに溢れ出している。

季節もイベントに取り入れようと大統領が雪を降らせる企画を計画しているとの噂もある。

噂も何も、大統領と地球で雪合戦したらいたく気に入ったみたいで、ゼクシィで実現させるとは息巻いていた。

 

縁側からもノラえもんミュージアムがよく見える。

近々、ササエさんやスカーレット・エヴァーガーデンのショップも開くらしい。

地球から買ったキャラグッズに囲まれた大統領が、配信で言っていた。

 

「リーシャちゃん。どら焼き出来たわよ」

 

「はーい。今行くー」

 

最近は材料からどら焼きを作るようになった母。

 

喜んでとリビングに向かうと既にアルメイとジャニクが座って食べていた。

 

「あ、食べてる。あとで食べようって言ったのに。お腹いっぱいになると他のもの食べられなくなるよ」

 

注意しても二人の口は動き続ける。

 

「できたてホヤホヤが一番うまいのに、我慢できねえよ」

 

「右に同じ」

 

「アルメイ、ジャニクは左に居るから……」

 

苦笑いを浮かべて私もどら焼きを食べる。

半分だけね。

 

どら焼きを無心に食べる二人の今日の装いは私と同じく浴衣。

 

「今日はお前が企画している夏祭りだったよな。メイン企画者がここにいてもいいのか?」

 

「私はあくまで発案ってだけだから、あとは他の人に丸投げ。楽しみたいからね」

 

どら焼きを食べ終えて、3人は立ち上がる。

 

夏祭りでは地球の夏祭りを参考にして様々な屋台が出ている。

りんご飴、やきそば、唐揚げ。

もうメシマズとはさよなら。

 

「よし、じゃあ、行こうか」

 

「よっしゃ」

 

「私達も、いずれアニメ布教隊としてなにかお店をやりたいですね」

 

夏祭りでは花火も打ち上げる。

大統領がどデカいノラえもん花火を打ち上げるぞと3徹していると聞いた。

相変わらず無茶をする。

 

「やりたいね!紙芝居とか」

 

紙芝居に原点回帰するのもありだ。

 

玄関には桜色の扉、ノラえもんではおなじみのワープドアが置かれている。

 

ここを行けば夏祭りの場所は直ぐ。

 

カランカランと下駄が鳴る。

 

「いってらっしゃい。皆も楽しんで来なさいね」

 

髪に差した簪はノラえもんが揺れている。

 

両親に見送られて、私達はアニメのように笑顔を咲かせた。

 

 

 

 

 

 

 

「「「いってきます!」」」

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