飯マズ脱却の為ならサブカルを布教する【オリジナル】   作:苺のタルトですが

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番外編
声優になれると聞いて1


地球日本支部のヤマダさんから連絡を貰い、指名された私達3人。

宇宙人組は、早速話し合いの為に専用の部屋へ案内され、ヤマダから話を聞く。

 

「ヤマダさん。聞いた内容は本当なのでしょうか」

 

逸る気持ちで先に聞いたのはアルメイ。

私じゃないよ。

 

「ええ。ちゃんと向こうとも話し合って合意を得ました」

 

「あー、二人共話を聞いてからというもの、どこのスポ根だってくらい猛特訓したんですよ」

 

「気が早い気がしますが」

 

日本支部ゼクシィ担当の彼は笑みを浮かべて頷く。

 

「どうやらそちらもお話を受けるということで宜しいでしょうか」

 

「「「はい!」」」

 

私達は勢いよく答える。

話の流れはこうだ。

 

日本からアニメの声優をゲストで出演しないか?と聞かれた。

そのアニメはノラえもん。

まあ、順当な流れってやつかな。

ここまでノラえもんライクな星も類を見ないだろうし。

 

「うんうんっ。大統領も頑張るぞっ」

 

後方プロデューサーのように竚んでいた大統領は、ニコニコと笑う。

因みにアニメの声優を受けて大統領が僕も僕もと暴れないのは、大統領の方がビッグな待遇を受け入れたからだ。

 

「ヌフフ、フフフ!」

 

だ、大統領。

大統領の気持ちわ、いや、興奮し過ぎる故の高笑い。

 

威厳もヘッタクレもないなあ。

山田さんは特に顔色を変えず。

役人の鑑だ。

 

「大統領をそんな目で見てはいかんよ。リーシャくん。大統領の一大仕事をあげることは出来ないんだ」

 

「別に良いです」

 

「私は奪い取りたいのですが」

 

「俺も!俺もほしー!」

 

大統領大興奮の原因はノラえもん劇場版の声優と、ゼクシィの話を絡めたシナリオ映画の話が持ちかけられたせい。

 

フフ、と隠しきれぬ声音でクネクネしてくる。

 

「私達も映画に出る可能性があるから、いつか声もかかるよ、いずれ」

 

「う、俺も出たいぜ」

 

「アニメの方がすごかったら映画にもってなるかもよ」

 

「よし!アニメを先ずやるか」

 

「私は大統領からの強奪を諦めません」

 

「色んな意味で無理だと思うんだ」

 

アルメイを落ち着かせた。

大統領もさ、いつまでもニマニマしてちゃ、煽ってるだけだよ。

 

目の前でプレミア品を見せびらかせているようなもんだ。

 

「えー、では、後日ノラえもんのアニメ製作者会社の方、ノラえもん作品のすべての責任を持っておられる代表者との顔合わせも考えているのですが、そちらはいかがしますか?」

 

「なんと!ノラえもんの作品を作っている人達と会えるのですか?」

 

アルメイと大統領がずずいと前に出てくる。

私だけ押しやられてしまう。

声は後ろでも聞こえるから大丈夫大丈夫。

 

「おれ、そっちの会社に行きたいぞ」

 

「あ、それもそうか」

 

ある意味最大の聖地だ。

 

「ふふ、勿論、見学もすでに許可を得てますよ」

 

「や、ヤマダさん」

 

「かゆいところに手が届く人だ」

 

「尊敬する」

 

3人からの賛美に山田はうれしそう。

 

「はは、どうも。貴方方がアニメを楽しんでくれている効果によって、私達の国のアニメが今、全世界で注目されていて、空前のアニメブームが起きてるんです」

 

「元から盛んでしたよね。さらにブーストされてるんですか?」

 

日本じゃアニメなど、もう日常の一つ。

アニメのない生活は考えられまい。

海外の話なのだろうかと聞くと、私達の溢れんばかりのアニメ、小説、漫画の熱狂的な扱いに、自分たちの作るものが宇宙人に受けていると言う事実。

それにいたく感動し、更なる飛躍を胸にアニメの作成やアニメグッズ、燻っているアニメ化前に止まっている作品の押し上げ、アニメ化されてない作品のアニメ化の活動が再熱らしい。

 

それに関してはさもありなん。

当然の結論。

 

「私も逆の立場なら盛り上げたくなるの、分かりますよ。元々ポテンシャルがありましたし、宇宙に向けて拡散していけるコンテンツなんて、最高ですもんね」

 

私は食べ物が目的だったけど、私以外の人たちはアニメやサブカルが大好きで、これ以上ないエンタメ。

私がまだ人間のままだったらアニメというものを宇宙人に教えたくなる。

今もやってることは変わらないけど、そのほかの1人として埋もれちゃうかなあ。

 

それだったらウチの技術でアニメや漫画、サブカルの技術向上を進めて行く方が良いや。

 

「いつになるか分からないけど、ノラエモンのVRゲームが日の目をみるのが待ち遠しいね」

 

「今は3話を製作中さ」

 

大統領がえへんと胸を張る。

 

「3話はじっくり作ってますね」

 

「シナリオに深みを持たせる為に設定を練ってるのだよ」

 

5話を作りおえねば私達も地球の人達も出来ない。

是非鋭意制作を求む。

 

そんな会話をした15日後、製作者関係の人達と話し合う日がきた。

打ち合わせには大統領も来る。

なんせ、大統領は製作者もリスペクトしてるからねとわくわくした顔で指折り数えていた程。

 

大統領達は日がな一日、あと何日だなと言うので私までなんだか楽しみな気持ちが増した。

彼らと共に会議室にいく。

食事をする場所も検討されたけど、向こうの方が喉を通らないだろうと気を遣ってみた。

 

「こんにちは」

 

「「こんにちは」」

 

4人は元気よくハキハキという。

私達は訳のわからない宇宙人的なイメージを与えないように分かりやすく声と顔でします。

私達は幼児フェイスなのでそんなことをせずとも相手に可愛がられる容姿をしているけど。

彼らは私達を緊張の眼差しで見ていた。

 

どうやら、彼らにかなりプレッシャーを与えてしまってるみたい

 

「さ、では……声優のオファーを受けて下さりありがとうございます」

 

「いえいえ、私達とっては星民達から欲しがられるようなお話をいただいていますから、当然です」

 

という話から始まり、空気が柔らかくなったところで、相手が言いにくそうにしていた話を持ちかけられる。

 

「ボイストレーニングを本当は受けていただきたいのですが」

 

怒らせるかもしれない懸念をありありと感じ取っている肩書きの良い大人達に対して、ジャニクとアルメイは胸を張って「どんなに過酷でもやり遂げる」と豪語した。

彼らは売上や社会現象は理解しているが、星民一人一人の熱量を知らないから、ぽかんとしている。

山田は説明したんですがねとぼやく。

 

ノラえもんへの熱い気持ちを聞きおえた面々は安堵の色も見せている。

コンテンツをどう思われているのか、良くわかってない部分もあったんだろう。

 

「ここまでとは、驚きました」

 

コーラル色の服を揺らして、リーシャは喉を震わせる。

 

「彼らはガチファンというものに入りますよ。正直人生の半分を今の所サブカルチャーで染まらせている程。ですので、軽い気持ちで、というわけじゃありません」

 

「そ、そうですね」

 

ノーとは言えない今の時間。

もしかして、政府からノラエモンの仕事で圧力をかけたのかもしれないと、不安に胸を痛める。

 

彼らはどれ程ゼクシィ人がお人よしなのか深く知れてない。

そんな状態で無理矢理使われるコンテンツの扱いに、叫び出すかもしれない。

 

「なにかしらの国とのやり取りで貴方方が私達に仕事を依頼した場合、そちらの方が後々の影響が強いです。ですので、やり取りの事は置いておいて、彼らの力の入れ具合を素直に見てあげて欲しいです」

 

うちの大統領は星民を愛し、星民は大統領を愛している。

後々、不味い事実が発覚すると、地球を捨てて自分たちで地球の全てを作り出して、そちらで済ませることになる。

そんな桁違いの技術力。

やろうと思えば、もう地球がしていることをゼクシィで回せるのだ。

 

山田には後で言おう。

大統領はニコニコと静観している。

どっちに転んでも大統領は構わない派なのだろう。

おそらく色んなものをデータとして取り込み、終わっているか、実現可能なことを試したあとか。

地球を捨てても第二の地球を作れるんだから、別に星事態にこだわりはないのだろう。

それと、続けてくれているのは私が長年地球を探していたのみなのだろうなと、今なら分かる。

技術力が抜きん出ているわけでも、ないし。

大統領は地球をどうこうしようなんて思ってないから、手を引くというだけで、双方損はない筈、ということも既に考えてはいる筈だ。

 

一応宇宙に脅威はないが、今後のことなど誰にも分かりはしない。

その時のために薄い糸を緩く引っ掛けているのだろう。

私なりに大統領の外交などを調べておいたから、ふんわりと予測はこれくらいなら、出来る。

 

「そう、ですね。私達は単に緊張しているだけですよ。歴史的にあなたがたとここまで近くにいて話せるなど、ありえないと思っていたのですから」

 

ふむ、確かにサブカルと宇宙人はなかなか結びつかないか。

どちらかという宇宙関連の方に向かうと思うのが通常かな。

 

ギスギスさせる空気をどうにかするために、言い繕ったが、なんとか上手くいったのだと、安心。

 

「では、話し合いを始めましょう」

 

「はい」

 

やり取りを経て、漸く話し合い。

テーブルに座り、用意されていた容姿を見る。

 

「成程、こうしてアニメは作られるのですね」

 

予算が限られた中でやりくりされる。

 

「ラフ画というものですか」

 

書きかけの漫画のような物が描写されていた。

 

それを見て、大統領、アルメイ、ジャニクが見惚れる。

 

「これに声が付くのですか」

 

女児風の宇宙人は恍惚の顔でぺらりと捲る。

 

先程の外交的やりとりは全く気にしてないらしい。

もしかしたら地球サイドは理解できてないと思っているのかもしれないが、アルメイは天才なので全て理解した上で口出ししてないだけなんだよね。

ジャニクは微妙だ。

 

「私達はこの3人なのでしょうか」

 

私が声に出して進める。

2人は台本に夢中だ。

私がやらないと進まないかも。

 

「はい。このキャラは男女の双子とお姉さんですね。ノラエモン年末スペシャルということで、いつもは30分枠なのですが、特別編なので1時間半です」

 

「いきなりスペシャル枠ですか」

 

なんとも太っ腹な。

 

「タイトル、良いな」

 

ジャニクが台本の表紙を撫でる。

 

「ノラえもん、宇宙人がやってきた。シンプルで分かりやすく、私達の存在が強く主張されていて、存在感はこれ以上なくありますね。」

 

リーシャは担当の人達に喜んでいることを敢えて言葉にする。

異星間ならばそれなりに言葉で言い表さないと、下手するとなにか食い違いが起こりかねない。

人間関係って、複雑だよねえ。

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