愛しき我が子よ。
なんと、愛しきことか。
美しき我が子よ。
なんと美しきことか。
賢き我が子よ。
なんと賢きことか。
可愛い我が子よ。
なんと、可愛いことか。
ああ、
なんと愛しいことか。
ああ、
なんと美しきことか。
ああ、
なんと賢きことか。
ああ、
なんと可愛いことか。
見よ!
貴方の兄姉達を!
聞け!
貴方への祝福を!
感じよ!
貴方への希望を!
…愛しく、美しく、賢く、可愛い我が子よ。
どうか、妾が願いを、叶え賜もう。
蹂躙し、蹂躙し、蹂躙せよ。
妾の期待に、応えよ。
蹂躙し、破壊し、悲劇を産み出せ。
それこそが、妾が期待。
それこそが、妾が想い。
それこそが、妾が願い。
きっと、貴方ならば、成し遂げられよう。
愛しき、美しき、賢き、可愛い貴方に、名を授けよう。
貴方は、これより『※※※※』と名乗れ。
ああ。
聞こえるであろうか。
貴方の兄姉達の歓声が。
さあ。
貴方の兄姉達と、共に征くが良い。
ああ。
案ずることはない。
妾は、貴方が側に、必ずいるであろう。
「あなた達の後輩を、紹介するわ」
「え?」
月歌は、素っ頓狂な声を上げる。
梅雨も明け、求めていた太陽が、段々と鬱陶しく感じてきたところだ。
UVカットのガラスでは間に合わないのか、厚手のカーテンは閉められている。
外界の蒸し暑さとは切り離され、司令官室は、快適な温度を保っている。
訓練を終え、アリーナから移動してきた彼女達の熱を、心地よく奪っていく。
「ちょっと待ってくれ、司令官」
和泉が、声を上げる。
「和泉さん、どうかしの?」
「あたしらの後輩ってことは、セラフ部隊って事だよな?」
「ええ、そうよ」
「それなら、デンチョは、どうなってるんだ?」
和泉の疑問は、当然である。
デンチョ、電子軍人手帳は、セラフ部隊にしか配布されない。
見た目は、ただのスマホだが、セラフを召喚する為の必須アイテムである。
そして、それは、現存のセラフ部隊の分しか存在していない。
「一台だけ、余裕が出来たのよ」
「どういうことだ?」
ふっ、と手塚が溜め息を吐く。
その瞬間、和泉は、藪蛇だったと後悔した。
「『とある』部隊が、『独断』で制圧した施設の中で、複数の電子軍人手帳を見つかったの。その内の一台が、なんとか修理出来たのよ」
完全な失策。
はっきりとは言わないが、手塚の口調から、自分達の事であることは、バレている。
それも、確証を持ってだ。
基地内の清掃などといった、生温い罰では無いだろう。
良くて減給、最悪、デンチョの没収も考えないといけない。
どうにか白を切ってくれ、と心の底から祈る。
「へえ、そんな部隊がいるんだ」
(よし!)
「そんな事、あったんだ」
(いいぞ!)
「うちらには、考えられへんな」
(いい感じだ!)
「そ、それは、いけませんね!」
(んん…頑張った!)
「わわわわ、私達じゃないわよ!」
「アウトー!東城、アウトー!」
「ユッキー、何騒いでんだよ」
「いや、もう、完全にアウトだろ!どんっだけ、動揺してんだよ!本当に諜報員かよ!」
「ええ、世界一の諜報員を自負してるわ」
「なんっで、ドヤ顔出来んだよ!もう、完全にクロだわ!」
「いや、まだイケるで。うちらを信じい!」
「イケるかー!」
「大丈夫です!諦めなければ、試合続行です!」
「大丈夫な訳あるかー!なんだ、その某バスケ漫画の名セリフみてえなセリフはー!」
「ひーひゃっひゃっひゃっ!ならば、知ったヤツを皆殺しにすれば、問題無かろう!」
「問題だらけだわー!」
「まあまあ、ユッキー、落ち着いて」
「この状況で、落ち着けるか。落ち着いてるお前が、謎だわ。謎通り越して、むしろ尊敬に価するわ」
「いやあ、そんな褒めなくても」
「いや、褒めてねえわ」
「てへぺりんこ♪」
「てへぺりんこ禁止ー!」
「…続けても?」
「ああ」
「もう、なんなんだよ、そのメンタル」
手塚が、続ける。
「結果往来ではあるけれど、電子軍人手帳が、複数体手に入ったのは大きいわ。なので、ペナルティに関しては、一旦保留となったわ」
「良かったな、ユッキー」
「いや、あたしだけが悪いみたいに言うな。部隊長は、お前だかんな」
「私のお陰ね」
「ドヤ顔すんな。お前が、自白した様なもんなんだよ。お前は、反省しろ」
「そんな訳で、新しい電子軍人手帳が使用可能になった訳だけど、予備として遊ばせるのではなく、戦力の増強として使用する事に決定したの」
「なるほど」
和泉は、納得する。
これまでに、保有地を広げては来ているが、それを保持していくには、戦力不足だろう
しかし、なんとなく違和感を感じる。
「改めて紹介するわ。入って来なさい」
手塚の言葉と共に、一人の少女が入室する。
こつこつ、と靴音と共に金髪のサイドテールが揺れる。
歩く姿は、猫科の肉食獣の様に、靭やかで、力強く美しい。
身長は、170cmを超えるだろうか。
すらり、と手足が長い。
手塚の隣に立ち、こちらに顔を向ける。
やや垂れ気味の目を大きく見せるメイクを施し、それが褐色の肌が、更に目立たせる。
制服を着崩し、胸元を開き、スカートも短くしている。
が、厭らしさを感じさせない。
単純に、動き易いから、といった雰囲気である。
(ギャルだ)
(ギャルだな)
(ギャルだわ)
(ギャルね)
(ギャルやな)
(ギャルです!)
「今日から、あなた達と行動を共にする、甕野朱音(かめのあかね)さんよ」
「あかねっち、今日からよろしくな」
月歌が、手を出す。
甕野は、その手を無視し、じっと月歌の顔を見る。
「…ナょωτ″すレナー⊂″」
「え?」
「マ゙/″カゝωレナ″、キナょωτ″すレナー⊂″ぉ!」
「何言ってるか分かんねえ奴来たー!」
「ゑカゝレま°ょせωレよ°レヽ、マ゙/″カゝっレナぇωτ″すレナー⊂″ぉ」
「いやあ、それ程でもあるよ」
「レヽずゐωせωレよ°レヽ@├″ラ厶、マ゙/″ιひ″れゑッス!」
「え?あ?」
「カゝれ丶)ωせωレよ°レヽ、于ョ─τωι!」
「ありがとう」
「め<″ゐωせωレよ°レヽ@丿ィス″、マ゙/″ヤノヾィωτ″すレナー⊂″ぉ」
「うちは、救世主やしな」
「ぉ勺マ└|・/せωレよ°レヽ、ちっちゃ<τカゝゎレヽレヽ@レニ∧″─スー⊂カゝι、ζ、″す、キ″!」
「いやあ、それ程ありますよお」
「⊃カゝ└|・/せωレよ°レヽ、ちカゝ<τ″ゐゑー⊂マ゙/″レよナニ″ιз<τ≠∠ィナょωτ″すレナー⊂″ぉ!」
「ふふふ、諜報員だもの。当然だわ」
「待て待て待て待てー!」
「どうしたの?ユッキー?」
「いや、もう、何言ってっか全く分かんねえわ!」
「え?」
「え?」
「え?」
「え?」
「え?」
「ゑ?」
「それえー!それだよ、それえ!お前、普通に喋れんのかー!」
「もちろん、フツーにしゃべれるんですけどぉ」
「だったら、最初っからしろー!」
「いやあ、SiLの皆さん目の前にしたら、テンション上がるっしょ」
「テンション上がったんなら、しょうがないよな」
「τ″すょね!マ゙/″ゑカゝせωレよ°レヽヵ彡ッス!」
「だから、それやめろ」
「τ∧∧°丶)ω⊇」
「それは分かったー!てへぺりんこ辞めろおー!…ていうか、お前ら、こいつが何言ってるか分かって返事してたのか?」
「あたしには、カッコ良いねって」
「マジカッコ良いんスもん!」
「私は、天使みたいって言われたわ」
「マジきゃわなんですけどぉ!」
「うちは、ノイズがヤバイ言われたわ」
「脳天直撃なんですけどぉ!」
「私は、ベースが渋いと!」
「ちっちゃくて可愛いのに、ベースとか渋過ぎっしょ!」
「ちなみに、ユッキーには、ドラムが痺れるって」
「ああ、ありがとな」
「和泉先輩のドラム、マジパないッス!」
「んで、東城は何て言われたんだよ」
「私は、賢くて頭良さそうねって」
「え?言ってなんですけどぉ」
「違った!」
「はい、バカー。東城、お前バカー」
「…自己紹介は、終わったかしら?」
毎度の事とは知りつつも、話が進まないと、痺れを切らした手塚は声を挙げる。
「はい!終わったであります!」
「部屋は、手狭になって申し訳ないけど、31Aと同じ部屋よ。荷物は、後で届けるから、案内してあげて」
「了解!」
「あと…」
司令官室を出ようとする面々を、手塚が呼び止める。
「茅森さんと和泉さんは、少し残りなさい。伝えておきたい事があるわ」
「分かった」
他のメンバーが、室を出る。
ゆっくりと、話し声と足音が遠ざかる。
充分に、遠ざかったことを確認し、手塚は口を開いく。
本日、100回目のユニゾンガチャを回した夢枕悪です。
結果は、爆死です。
予想通りです。
次回に向けて、石貯めます。
夢枕悪流ヘブバン外伝の第二弾となります。
前作の執筆中、暖めていたネタです。
もう既に、あれも書きたい、これも書きたいと思っており、自然な流れで書けるか不安いっぱいです。
また長い執筆活動となるかもしれませんが、どうか気長にお付き合いくださると、幸いです。