一歩、足を踏み入れるだけで、爽やかさが増す。
突き刺す様な陽射しも、不快感を催す湿気もない。
列に並ぶ隊員達は、その爽快感に、顔をほころばせる。
手塚に呼び止められた二人も、その列に並ぶ。
空調の風が、様々な匂いを混ぜ、鼻をくすぐる。
空腹と期待が、増す。
香辛料。
香草。
醤油。
出汁。
揚げる音。
焼く音。
注文を繰り返す声。
食事中の雑談。
休息を楽しむ匂いと音が、心地よい。
辛い訓練も、過酷な現実も、ほんの少しの間、忘れさせてくれる。
「おーい、こっちや」
「お二人の分も、ありますよ!」
少し離れた席から、逢川と國見が、声を掛ける。
「おお!サンキュー!」
「すまねえな。後で、自分の分は渡す」
「大丈夫よ、二人とも」
「今日は、甕野さんの奢りよ!」
「何で、お前えがドヤ顔なんだよ」
「ありがとね、あかねっち」
「推しに投資とか、当然なんですけどぉ」
「なんか、悪いな。あたしらの方が先輩なのに」
「全然、気にしないで欲しいんですけどぉ!うちの今の状態とか、マジカミなんですけどぉ!」
「そうそう。ファンからのプレゼントは、気持ちよく受け取らないと」
「オメーと違って、あたしは、一般人だからな。そうそう切り替えらんねえよ」
「まあまあ、冷めないうちに、食べるっしょ!はい、るかぽよ先輩」
「お!ツインハンバーグ!やっぱ、肉だよね!」
「ほんと、肉好きだよな。ちゃんと野菜も食えよ」
「はい、いずみん先輩」
「すまねえな。…って、刀削麺んー!」
「え?」
「え?」
「え?」
「え?」
「え?」
「ゑ?」
「なんで、お前らまで『え?』ってなってんだよ!なんだよ、刀削麺って!」
「え?知らない?あの、片手に生地、片手に包丁を持って湯の沸いた鍋の前に立ち、生地を細長く削ぎ落としてゆでる奴だよ」
「そうだけど、そうじゃねえよ!何で、毎回、毎回、あたしに刀削麺食わそうとすんだ!」
「いずみん先輩、いっつも『刀削麺んー!』って叫んでるから、好きなのかなって?」
「うん、いつも叫んでんな、あたし。でも、それはツッコミであって、テンション上がって叫んでるんじゃねえんだわ。大体、なんだよ、テンション上がって『刀削麺んー!』って叫んでるヤツって。普通にヤベーヤツだろ」
「SiLファンの中では、浸透してるんですけどぉ。いずみん先輩、刀削麺大好きって」
「…頼むから、訂正しといてくれ」
「おケマルッス〜」
「大体、お前らは、付き合い長いだろうが」
「いやあ、何だかんだ言いながら、残さず食べてるから、好きなのかなって」
「いや、もったいないから食べてるだけだわ」
「うちも、大好物やと思てたわ」
「わ、私もです!」
「お前らなあ、何見てんだよ。あたしは、一回も注文した事ねえよ」
「でも、和泉さん、綺麗に食べるよね。尊敬しちゃう」
「ま、まあ、依頼者との会食とかもあったしな。それなりにマナーは、身に着けてるよ」
「でもさあ、肉食わないと、体力持たなくない?」
「あたしは、燃費が良いんだよ」
「ひーひゃっひゃっひゃ!肉も食わずにあの動きとは、貴様もやるではないか!」
「唐突に出てくんなー!色々と渋滞するわーっ!」
「まあ、あたしは見抜いていたけどね」
「はい、バカー。もうその台詞が、バカー」
「レヽずゐωせωレよ°レヽ@ナょま"/ッ]彡!マ゙/″ぁカゞゑωτ″すレナー⊂″ぉ!」
「だから、もう渋滞してんだよ!いい加減、ツッコますな!」
「で、司令官、何言っててん?」
「だから、何で、そんな切り替え早えんだよ」
「そんな細かい事気にしてたら、自分、ハゲるで」
「細かくねえわ。んで、ハゲねえわ」
「まあ、今後の訓練のことさ。あかねっちが加わったから、メニューに調整加えるって」
「その辺の、細かい打ち合わせだ」
嘘ではない。
手塚とは、訓練についての細かい打ち合わせもしている。
「明日から、新メニューだぜ?」
「何で、そんなテンション上がってんだよ」
「新メニューって響きだけで、ご飯何杯でもイケちゃわない?」
「イケねえよ。どんな腹してんだよ、おめえは」
「うちは、アガるんですけどぉ」
「おめえも、月歌と一緒かよ」
「いやいや、初めてセラフ使えるし、先輩達と訓練出来るんしょ?」
甕野が、屈託なく笑う。
そこ笑顔に、和泉は、少し陰を感じる。
「そっか。それは楽しみだね」
「うち、マジ楽しみなんですけどぉ!」
「…し、新メニュー…」
「食欲失せてきたわ…」
「今すぐ消えたい!」
「?皆さん、どうしたんスか?」
「茅森さんがね、先日、31Fの松岡さんと、悪ノリしちゃって、司令官を怒らせちゃったの。それで、みんな恐がってるみたい」
「るかぽよ先輩、何やったんスか?」
「マツチロと、ごっこ遊びみたいな感じで、戦闘訓練してただけだよ?」
「その内容が、問題なんだわ。「来いっ!司令キャン!」とか叫ぶわ、他の部隊員にも広めるわ」
「てへぺりんこ♪」
「てへぺりんこ辞めやーっ!」
「あたしが、苛つくのも分かるだろ?」
「ああ、殺意すら湧いたわ…」
「まあ、安心しろ。打ち合わせした限りでは、私情は挟んでなかったわ」
「ほっとしましたぁ」
「ま、私は見抜いていたけどね」
「どの口が言ってんだよ。一番最初に、恐れ慄いてたろうが」
「ま、そんな訳だからさ、しっかり食べて、明日に備えようぜ?」
「おう」「はい!」「おう」「ええ」「うん」「ッス!」
その後、会話をしつつ、食事を楽しむメンバー達。
刀削麺を綺麗に平らげた和泉は、、それをファン達に見られており、その上、甕野は誤解を解くのをすっかり忘れており、更に誤解が深まったのを、知る由もない。
年度末社畜生活が一段落した夢枕悪です。
本日、シンガーソングライターのゆっそさんのワンマン配信ライブでテンション上がっております。(ゆっそさんもヘブバンユーザーです)
相変わらずの会話多めで、小説の体は成しておりませんww
いっその事は、会話だけで、描写を皆様に丸投げしたいですww
…え?既にやってるだろ?
自分が住んでる地域は、連日の雨で気温が下がったり、かと思えば、晴れて一気に上がったりしております。
アラフォーの自分には、だいぶ堪える気候ですが、皆様も体調には充分にお気を付けください。