遊戯王5D's 苦悩する男   作:yvisi

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アーククレイドル編
第100話 アーククレイドル


「あれは・・・アーククレイドル・・・!!」

 

「馬鹿な! 俺たちの勝利でアーククレイドルは現れないのではなかったのか!!」

 

訳が分からないジャックは思わず来人に詰め寄った。

 

「んなこと俺に言われても、現に出てきてるじゃねえか。しかしでけえな。」

 

(・・・・・出てきたか。アーククレイドル・・・!)

 

「チーム5D’s!!」

 

慌てた様子でイェーガーが駆けつける。

 

「イェーガー・・・!」

 

「急いで治安維持局に向かうのです! 収集した情報をもとに、これからの対策を考えましょう!」

 

「ああ、わかった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

治安維持局

 

解析室でアーククレイドルの解析が始まった。アーククレイドル出現によるものか、一時電力が落ちたものの予備電力で持ち直した。しかし、街中のモーメントが停止してしまっている。

 

「長官! 旧モーメントが稼働しています!」

 

「なんですと!?」

 

「通常とは反対の方向に回転しています・・・!」

 

「旧モーメントが・・・!?」

 

「これもアーククレイドルのせいなのか・・・?」

 

その後、アーククレイドルの解析が進み衝撃の事実が発覚する。アーククレイドルは3つの遊星ギアからなっており、それがマイナス回転しているため地上のモーメントが相殺され、止まってしまった。そして、なんとアーククレイドルは徐々にシティに降下してきているのだ。12時間後にはシティに激突し、被害は数百キロにまでになるという。

 

「・・・・!!」

 

全員、衝撃の事実に沈黙する。

 

「たった12時間・・・ネオドミノシティの住民全員を街から避難させるとして、どのくらいかかるのです?」

 

「最低でも24時間はかかります・・・。」

 

「全然足りないな!」

 

「これは非常事態を宣言するしかありません。非常電源を街の主なモニターにまわすのです!」

 

イェーガーにより、街中に避難が発令される。職員たちにも避難を促し、部屋にいるのは遊星たちだけになった。来人、ブルーノは街のカメラをアーククレイドルに向ける。

 

「よし。これでオッケーだ。」

 

「映像、いろいろ角度変えていくよ。何かわかることがあるかも。」

 

二人でカメラを操作し、映像を流していく。

 

「これは・・・」

 

「街・・・崩壊した街?」

 

「どうなってんだ・・・?」

 

「・・・!!」

 

ある映像を見た遊星の顔色が変わった。

 

「来人、ブルーノ! 画面を拡大してくれ!」

 

「ほいよ。」

 

指示通り、画面を拡大する。そこにはボロボロになった橋のようなものが映されていた。

 

「・・・な!?」

 

他のメンバーもその橋を見て驚いた。それは、サテライトにあるダイダロスブリッジだった。

 

「まさか・・・未来のサテライト・・・!?」

 

「じゃあ、本当に・・・!?」

 

「ネオドミノシティは破滅するのか・・・!」

 

「な、何かアーククレイドルを止める手立てはないのですか・・・!」

 

イェーガーの問いに全員が静かになる。

 

「・・・あるかもしれない。」

 

そんな中、ブルーノが口を開く。

 

(・・・!?)

 

「何!?」

 

「ブルーノ・・・?」

 

ブルーノは画面にアーククレイドルの解析図を映し出す。

 

「アーククレイドルの中心部で動いているギアはマイナス回転。そこにプラス回転のモーメントをぶつければ・・・」

 

「マイナス回転はプラス回転になる・・・か。」

 

「が、難しいだろ。今プラス回転するモーメントは止まっちまってるんだから。」

 

「く・・・!」

 

来人はふと、外の映像に切り替える。

 

「! おい、あれ見ろ!」

 

クロウが映像を指さす。そこにはDホイールで走るチームラグナロクの姿があった。外に出て、チームラグナロクから話を聞く。彼らは星界の三極神の力でイリアステルの影響を受けなかったため、アーククレイドルの影響も受けなかったという。遊星たちはDホイールのハンドルに手をかける。

 

「・・・!」

 

「動く! 動くぜ!」

 

シグナーである遊星たちのDホイールは動いた。が・・・

 

「くそ、やっぱうんともすんともいわねえな・・・。」

 

来人のDホイールはまったく動いていなかった。

 

「そ、それはしょうがないよ来人・・・。」

 

「あとはアーククレイドルまで行く手段があれば・・・」

 

『それは間違いよ。』

 

突如、遊星のDホイールの画面にシェリーが映し出される。

 

「シェリー!? 生きていたのか!!」

 

『遊星、私は見たわ。これから起こる未来を。』

 

「未来?」

 

『あなたはアーククレイドルに来ないほうがいい。私が見た未来・・・それは、あなたがアーククレイドルで死ぬという未来よ。』

 

「・・・!?」

 

シェリーの話に全員、驚きのあまり声が出なかった。

 

「・・・俺が・・・死ぬだと・・・!?」

 

「・・・・・。」

 

「遊星が死ぬだと!? 誰だ!? そんないい加減なこと言いやがったのは!」

 

クロウが画面のシェリーに詰め寄る。

 

「・・・ゾーン。アーククレイドルの主で神の力を持つ男。遊星、来人。私たちがあの時出会った男よ。」

 

「・・・・。」

 

遊星は以前見た(第69話)男を思い出す。

 

『ゾーンがやろうとしていることは正しいわ。もし今、ネオドミノシティを救えば、遊星。あなたは死ぬ。そして、未来の世界は滅びるのよ。』

 

「何を言っている! そうなれば、数千・・・いや、数万の命が犠牲になるんだぞ!」

 

『けれどもその犠牲で将来の何十億という命が助かるわ。そして遊星。あなたの命も。』

 

「多くの犠牲の上に手に入れる未来が幸せな未来になるわけがない!ネオドミノシティを消滅させるなんて間違っている!」

 

『そう・・・あくまで止めようと言うのね。なら、私は全力で阻止するわ。』

 

「何だと!? それでは俺たちの敵に回るというのか!!」

 

『ええ。未来を見て、私の考えは変わった。あなたたちとは違うの。』

 

シェリーは通話を切った。

 

「・・・シェリー・・・。」

 

 

 

 

 

 

遊星たちは解析室に戻り、アーククレイドルに行く方法を考えていた。

 

「つっても、ヘリも飛行機も飛べる動力は全てモーメントだ。飛べる乗り物は一台もないぜ。」

 

「それでもあそこに行く方法は必ずある。」

 

「どうしてそう思う? 遊星。」

 

「シェリーは俺があそこに行く未来を見た。ならば何らかの方法で俺はあそこに行ったんだ。」

 

「なるほど。それもそうか。」

 

納得したように来人は手をポンと叩く。

 

「・・・俺・・・そんな方法、見つからなくていいと思う。」

 

暗い声で龍亞がそう言った。

 

「・・・?」

 

「だってあそこに行ったら遊星は死んじゃうんでしょ? そんな方法見つからなくていいじゃん。」

 

龍亞と龍可が遊星に駆け寄る。

 

「俺遊星に死んでほしくない!」

 

「私も!」

 

「そんなことでネオドミノシティが救われたって・・・」

 

涙ながらに話す龍亞の胸倉をジャックがつかみ上げる。

 

「つまらん弱音を吐くのはやめろ! あの女の見た未来など、この俺が捻じ曲げてくれる! 遊星は死なせん!」

 

「ジャック!」

 

「おい、ちょ、やめろって・・・!」

 

来人は龍亞をジャックからなんとか引きはがした。解析室は悲痛な空気が包んだ。それからしばらく、アーククレイドルに行く方法を考えていた。

 

ピリリリ・・・!

 

「ん?」

 

来人の携帯電話が鳴る。相手は遊星だった。

 

(あいつ今となりにいるんじゃ・・・。)

 

「はいよ。」

 

『やってもらいたいことがある。ブルーノと一緒にみんなに気づかれないよう、下に降りてきてくれないか?』

 

「・・・ん。」

 

遊星との電話を切る。

 

「・・・ブルーノ。」

 

「?」

 

小声でブルーノを呼び、手招きする。

 

「・・・!」

 

来人の意図を察したブルーノは来人と同じタイミングで立ち上がった。

 

「どこへ行く?」

 

二人はジャックに呼び止められる。

 

「え、え~っとその・・・」

 

「外の空気吸ってくるわ。気分転換にな。」

 

「そ、そうそう!」

 

うまくかわし、二人は部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

旧モーメント

 

来人、ブルーノはチームラグナロクとともに旧モーメントに来ていた。旧モーメントのエネルギーを使い、ダイダロスブリッジに橋を架けるのだ。

 

「これで準備完了っと・・・! ブルーノ、そっちは?」

 

「こっちも問題ないよ!」

 

「よし・・・んじゃ、とっとと出るぞ。」

 

「うん。」

 

 

 

 

 

 

一方、遊星はダイダロスブリッジにいた。仲間には知らせず一人でアーククレイドルに向かおうとしていた。やがて、ダイダロスブリッジに虹色の橋がかけられる。ジャックたちは遊星のもとに集まっていた。

 

「・・・みんな、どうしてここに?」

 

「この辺の裏道ならお前より俺のほうが詳しいからな。全速力でかっとばしてきたぜ!」

 

「間に合ってよかったわ。」

 

「・・・あそこには、俺一人で行く。どんな危険があるかわからない。」

 

駆けつけた仲間から遊星は顔を背ける。

 

「遊星。お前が行くのを止めはしない。どうせお前のことだ。止めても無駄だろうからな。だがそれは俺たちも同じだ! お前がどんなに止めようと、俺たちはあそこに行く! お前が死ぬという未来を見過ごすことなどできん!」

 

「・・・!」

 

「遊星、あなたの未来は私達で絶対変えてみせる!」

 

「そうだよ遊星! 俺だって最強チームの一員なんだぜ! 少しは頼りにしてくれよ!」

 

「そうさ! 俺たちはどんなときだろうといつも一緒に戦ってきた! それがチーム5D’sだ!」

 

『あー、あー・・・ただいまマイクのテスト中。』

 

遊星たちのDホイールに誰かから通信が入る。

 

「その声・・・来人!?」

 

『おお、繋がった繋がった。俺とブルーノはそっち行けそうにないから、お前らでなんとかしていて。・・・まあ今ブルーノいねえけど。』

 

「相変わらず軽いな・・・。」

 

『しょうがねえだろ? Dホイール動かねえんだから。ま、ゆっくり待っとくから。んじゃあな。』

 

「あ・・・ま、待って! 来人!」

 

『ん? どうした?』

 

通信を切ろうとした来人を龍可が呼び止める。

 

「///・・・か、帰ってきたら、話したいことがあるから・・・。」

 

『? 話したいこと?』

 

聞いていたクロウと龍亞がひゅーひゅーと冷やかす。

 

『・・・なんか無性に気になってきたな。今聞かせてくんない?』

 

冷やかしていた二人は呆れたようにため息をつく。

 

「///だ、だめ! 帰ってから!」

 

『・・・おぉ。わかったわかった。んじゃあな。』

 

龍可の剣幕に押され、来人は通信を切った。遊星は静かに頷く。

 

「よし・・・行こう! 俺たちの手でネオドミノシティを救いに!」

 

「「「「「おぉ!!」」」」」

 

遊星たちは架けられた橋を渡り、アーククレイドルに向かっていった。その後ろに以前遊星にアクセルシンクロを見せたDホイーラーもいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・。」

 

来人は静かにアーククレイドルを見ていた。すると、懐から5枚のカードを取り出した。

 

『? 兄貴?』

 

取り出したのはおジャマのカードたちだった。

 

「・・・・・じゃあな。」

 

手を放すと、カードが風に持っていかれた。

 

『うわああ~!』

『なんで~!?』

『いやだぁ~!』

『助けて~!』

『兄貴~!』

 

おジャマの叫びを聞き、来人はにやりと笑う。

 

 

「・・・よし、行くか。」

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