遊戯王5D's 苦悩する男   作:yvisi

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第113話 けじめ

「だから奴は・・・不動遊星になった。」

 

来人の口から出た衝撃の事実にジャックたちは驚きを隠せない。

 

「遊星に・・・なっただと!?」

 

「そんな・・・自分をそこまで・・・!」

 

「いったい、どういうことだ!?」

 

ゾーンの真実が信じられず、来人に詰め寄る。

 

「・・・ゾーンが気づいたころには、人々の欲望や負の感情はただの人一人でどうすることもできなかった。そんなとき、かつてネオドミノシティを救った英雄の名を思い出した・・・。」

 

来人は上空でゾーンと戦う遊星を見た。

 

「そこでゾーンは遊星の人格をコピーし、同化することで不動遊星になった。そしてゾーンは自身が得た遊星の力を使い、人々を正しい方向に進ませようとした。だが・・・その頃にはもう、ゾーンに時間は残されていなかった。やがて暴走したモーメントは負の回転を始め、ネットワークは自滅を選んだ。」

 

「・・・!」

 

龍可は来人のある言葉を思い出した。

 

『失敗した英雄の言葉なんて、何の価値も意味もない・・・!!』

 

「結局、ゾーンはだれ一人救うことはできなかった。人の心を変えるなんて、できはしなかった・・・。」

 

来人は静かに目を閉じる。

 

「ゾーン・・・そしてそれを聞いた俺は、一つの結論に至った。世界を救うには、モーメントをネオドミノシティとともに歴史から消滅させるしかないと。」

 

「だから来人は・・・。」

 

「ならばどうするというのだ。また戦うか?」

 

ジャックの言葉でクロウたちは身構える。

 

「今更やるかよ。この街の運命は・・・」

 

来人を目を開け、上空の遊星とゾーンを見る。

 

「あいつらに託された。このデュエルで勝った方が正義になる。」

 

 

 

 

 

 

 

遊星とゾーンのデュエルは熾烈を極める。しかし、ゾーンは一気に5体の時械神を特殊召喚し、遊星を追い詰める。

 

「・・・!」

 

目の前の5体の時械神、接近したアーククレイドルにぶつかり、崩れるシティの建物に気を取られ、遊星はドローしたカードを落としてしまう。さらに落ちてきた瓦礫が遊星にぶつかり、Dホイールから落とされる。

 

「「「「「遊星!!」」」」」

 

「・・・・・。」

 

落ちていく遊星を来人は何も言わずに見続ける。

 

(・・・・遊星・・・やはり無理だったのか・・・。)

 

その時だった。虹色の光が旧モーメントから発生し、遊星を飲み込んだ。

 

「なんだ・・・?」

 

しばらくすると光が消え、遊星のDホイールが遊星のもとに向かう。なんとか乗り込むと上空へ飛び上がる。

 

「諦めなさい、遊星。この街はモーメントとともに滅ぶ運命なのです。輝かしい未来の礎となるために・・・!」

 

「お前の言う未来とは、本当に輝かしいものなのか? たとえモーメントが歴史から消えても、人間の行きつく先が欲望や誘惑に囚われるのならば、お前の生きた未来と何が違う? それで世界が救われたと言えるのか?」

 

「・・・・・。」

 

「本当に未来を救うためには、みんなの心が正しい方に向かい、モーメントとともに繁栄できる未来を作らなければいけない! 今を救わなければ、きっと未来も救われない! そうじゃないのか、ゾーン!!」

 

「く・・・!」

 

「俺は未来を救うために見つけ出してやる! 新たな境地を!」

 

ゾーンにそう宣言すると、遊星はさらに空高く飛び上がる。仲間やネオドミノシティの人々の声援を聞き、遊星は一つの答えにたどり着く。

 

「己の限界を超えたさらにその先に進むには、自分一人の力だけではだめだ! 仲間の思いを、絆を繋がなければいけない! それを可能にするのが俺たち、チーム5D’sの絆!」

 

遊星の脳裏にジャック、クロウ、アキ、龍亞、龍可の顔が浮かぶ。そして、来人、ブルーノも浮かんだ。

 

「何をする気だ?」

 

「・・・遊星・・・?」

 

ゾーン、来人は遊星の行動に困惑を見せる。すると赤き竜のアザが遊星のもとに集まり、遊星の体が金色に輝きだす。

 

「新たな境地! オーバートップクリアマインド!!」

 

「「!?」」

 

「レベル1となったエンシェント・フェアリー・ドラゴン、ブラック・ローズ・ドラゴン、ブラックフェザー・ドラゴン、レッド・デーモンズ・ドラゴンにレベル8のライフ・ストリーム・ドラゴンをチューニング!! 集いし星が一つになるとき、新たな絆が未来を照らす! 光さす道となれ! リミットオーバーアクセルシンクロ!! 進化の光、シューティング・クェーサー・ドラゴン!!」

 

シューティング・クェーサー・ドラゴン ATK4000/レベル12

 

「ゾーン! これが俺たち5D’sの絆の結晶! 俺たちの進化の証だ!」

 

遊星の召喚したシューティング・クェーサー・ドラゴンにゾーンと来人は驚きを隠せない。

 

「リミットオーバーアクセルシンクロ・・・!? あの時代じゃ、デルタアクセルシンクロまでしか・・・!」

 

かつてゾーンとともに見た遊星の記録にはデルタアクセルシンクロモンスターであるコズミック・ブレイザー・ドラゴンが記されていた。

 

(・・・未来を・・・・変えた・・・。)

 

人知れず、来人は涙を流した。

 

(パラドックス・・・アポリア・・・・・アンチノミー、いやブルーノ・・・お前らなんでいねぇんだよ・・・。これから未来が変わるってのに・・・。)

 

来人は遊星とゾーンのデュエルを見守るジャックたちを見る。

 

(・・・あいつらなら・・・・本当に・・・。)

 

心の中である決意を固めた。デュエルは進み、シューティング・クェーサー・ドラゴンで全ての時械神を破壊すると、シューティング・クェーサー・ドラゴンの効果で特殊召喚したシューティング・スター・ドラゴンでゾーンにダイレクトアタックを決める。衝撃によって、ゾーンは建物にたたきつけられる。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

「・・・私は、未来を救おうと長い歳月を苦しみ抜いてきた・・・! 私には歴史を変える権利があるのだ・・・!」

 

「いいやゾーン! そんな権利はだれにもない!」

 

「遊星・・・君は私の存在を否定するというのか・・・!」

 

ゾーンの言葉に下にいた来人は静かに首を横に振る。

 

「確かに未来がお前の言う通りなら、俺たちに待っているのは絶望かもしれない。しかしゾーン! たとえ世界を救うためでも、人々の未来を奪う権利はだれにもない! 未来を変える可能性は一人一人の手に平等にある! なぜそれを信じようとしない!」

 

「私に・・・そんな時間は残されていない!!」

 

ゾーンは起き上がり、再び空へ飛び立つ。

 

「君の言う可能性など、私の前ではないに等しいことを教えてやろう!」

 

ゾーンの発動していた《無限光アイン・ソフ・オウル》から暴風が吹き荒れる。やがて姿を変え、巨大な樹のようなものになる。

 

「何!?」

 

「見るがいい遊星・・・! これが私の力だ! 私の嘆きだ!!」

 

「・・・・・やめろ・・・・・」

 

「来人?」

 

「もうやめてくれゾーン!!」

 

来人のゾーンへの涙ながらの叫びがこだました。

 

「10の光からなる時械神の先に、選ばれた聖者のみが扱うことが許される隠されたダアトがある! 無は無限となり、無限の光から生まれる究極の時械神!!」

 

「究極の時械神だと!?」

 

「アイン・ソフ・オウルの効果発動! 究極時械神セフィロンを特殊召喚!!」

 

究極時械神セフィロン(アニメ効果)

効果モンスター

レベル10/光属性/天使族/攻4000/守4000

このカードは「無限光アイン・ソフ・オウル」の効果でのみ特殊召喚する事ができる。1ターンに1度、自分のデッキ・手札・墓地に存在する「時械神」と名の付くモンスターを攻撃力4000にして可能な限り自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。このカードと戦闘するモンスターのモンスター効果は無効となる。このカードの攻撃力は自分フィールド上に存在する

「時械神」と名の付くモンスターの攻撃力の合計となる。このカードの破壊とプレイヤーへの戦闘ダメージを自分フィールド上に存在する「時械神」と名の付くモンスター1体を除外する事で無効にする。

 

「思い知るがいい! 自分の無力さを!! セフィロンの効果発動! 時械神を攻撃力4000にして可能な限り特殊召喚できる!!」

 

「何!?」

 

「現れろ! 時械神メタイオン! サディオン! ガブリオン! サンダイオン!」

 

時械神メタイオン ATK0→4000/レベル10

時械神サディオン ATK0→4000/レベル10

時械神ガブリオン ATK0→4000/レベル10

時械神サンダイオン ATK4000/レベル10

 

「これだけではない! セフィロンの攻撃力は他の時械神の攻撃力の合計分アップする!」

 

セフィロン ATK4000→20000

 

「攻撃力、20000・・・!」

 

「これで、未来は救われる・・・! ネオドミノシティの消滅とともに! 行け、セフィロン! シューティング・スター・ドラゴンを攻撃! アカシックストーム!!」

 

「ぐああああ!!」

 

シューティング・スター・ドラゴンが攻撃され、爆発に包まれる。

 

「「「「「「遊星!!」」」」」」

 

「さらばだ遊星・・・消えるがいい。 ・・・・!?」

 

煙が晴れると、遊星はいまだにDホイールに乗っていた。

 

「どういうことだ・・・!?」

 

「トラップカード、集いし願い! この効果により、スターダスト・ドラゴンを特殊召喚する! 飛翔せよ、スターダスト・ドラゴン!!」

 

スターダスト・ドラゴン ATK2500/レベル8

 

「今更攻撃力2500のスターダスト・ドラゴンを召喚してどうなる。私の場には攻撃力4000の時械神4体と攻撃力20000の究極時械神セフィロンがいる!」

 

「・・・・・。」

 

(ゾーン、俺は言ったはずだぜ? ああなったあいつらは、もう誰にも止められないって・・・!)

 

「集いし願いのもう一つの効果! 墓地のシンクロモンスターの攻撃力の合計分、スターダスト・ドラゴンの攻撃力をアップする!」

 

スターダスト・ドラゴン ATK2500→23000

 

その後、セフィロンの効果で他の時械神を盾にするが、スターダスト・ドラゴンの最後の攻撃が待ち構える。

 

「俺たちの未来を受け取れ、ゾーン! 俺たちの思いが未来へと続く光さす道となる! スターダスト・ドラゴン! 究極時械神セフィロンを攻撃! シューティングソニック!!」

 

「馬鹿な・・・私が・・・負ける、だと・・・?」

 

衝撃によって、ゾーンは再び吹き飛ばされる。

 

ゾーン LP700→0

 

WINNER 遊星

LOSER ゾーン

 

遊星の勝利に見守っていた人々から大歓声が上がる。遊星は吹き飛ばされたゾーンのもとに向かう。

 

「・・・遊星が・・・・勝った・・・。」

 

ゾーンが敗北すると、アーククレイドルが停止する。徐々にアーククレイドルの瓦礫が崩れ始める。ここで来人はあることに気づいた。

 

「・・・・そういえば・・・」

 

「何だ?」

 

ジャックは来人を睨みつける。

 

「まあ聞けよ、元キング。」

 

「・・・!」

 

「来人・・・!」

 

ジャックへの呼び方がいつものに戻り、龍可は顔を明るくする。

 

「お前らどうやってここから出るんだ?」

 

「そりゃあお前、来た道・・・・を・・・」

 

話していたクロウの顔が徐々に青ざめていく。それにつられるように他の仲間たちも青ざめる。

 

「・・・・・・・・。」

 

答えに困り、沈黙に包まれる。

 

「・・・はぁ。んなこったろうと思った。」

 

呆れた来人はデュエルディスクを操作する。すると、白い縦長の穴が現れる。

 

「これは?」

 

アキがそれを怪しそうに見る。

 

「ん? 出口だよ。シティの高台に出られる。」

 

「え、ほんとに!?」

 

龍亞が来人の作った出口に近づこうとする。

 

「待て!」

 

それをジャックは大声で制する。

 

「なんだ?」

 

「なぜこんなことをする。お前は俺たちを・・・」

 

「あんなの見せられて、今更どうこうするなんて思うかよ。」

 

「・・・!」

 

「未来のためなら、喜んで助けるさ。」

 

来人はにやりと笑う。その笑みは今まで仲間として見せていたそれと同じだった。

 

「来人・・・ありがとう!」

 

「早く行け。じきに消えるぞ。」

 

「で、でも、遊星が・・・!」

 

「そっちはなんとかする。早く行け!」

 

「う、うん!」

 

ジャックたちはDホイールに乗り、来人の作った出口に入っていった。

 

「・・・来人!」

 

出口に入る直前、龍可が来人を呼ぶ。

 

「どうした?」

 

「来人も、来るんだよね?」

 

「・・・まだやることが残ってるからな。それを片付けなきゃいけない。」

 

「・・・・・!」

 

デュエルボードから降り、龍可は来人に抱き着いた。

 

「・・・絶対、戻ってきてね・・・!」

 

龍可の抱きしめる力が強くなる。

 

(・・・今、なんとなくわかった気がする。これは・・・・・心配だけじゃない。・・・・だが、応えることはできない・・・。)

 

「・・・・・・・・わかってる。・・・そうだ、一つ頼まれてくれないか?」

 

「え?」

 

「アカデミアの連中には・・・このこと黙っといてくれないか?」

 

「・・・!」

 

「あいつらにとっては・・・ただの未谷来人でいたい。」

 

来人の脳裏に亨たちの姿が浮かぶ。

 

「・・・うん、わかった!」

 

「・・・頼んだ。」

 

「・・・うん!」

 

とびきりの笑顔を見せ、龍可は出口に入っていく。

 

「・・・・・さて、と・・・。」

 

来人はDホイールに乗り、あるボタンを押す。

 

『フライングモード、起動。』

 

来人のDホイールの前輪に白い羽のようなものが出現する。エンジンを入れ、来人は空へ飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゾーン!」

 

遊星は吹き飛ばされたゾーンを見つけ、駆け寄った。

 

「遊星・・・。」

 

「しっかりしろ!」

 

「無駄です・・・。私の、生命維持装置が今・・・止まろうとしている・・・。」

 

「ゾーン・・・!」

 

「いいのです・・・。私の命はもう、限界でした・・・。本当は私も、君たちが変える未来を見届けたかった・・・。だが私には、その時間が・・・・なかった・・・。うぅ・・・!」

 

ゾーンの口から血が流れる。

 

「ゾーン!!」

 

二人の元に来人が駆けつける。

 

「来人!?」

 

「ゾーン・・・!」

 

来人はゾーンに抱き着き、涙を流す。

 

「・・・なあ、遊星・・・。」

 

「?」

 

「俺の・・・俺たちのやってきたことは、間違っていたのか?」

 

「・・・お前たちは自分の未来を切り開こうとしてきただけだ。与えてくれた警告は、今に生きる人々の胸に深く刻まれた。俺たちがそれを忘れない限り、きっと未来を変えられる!」

 

「・・・遊星・・・!」

 

「遊星・・・私は、人生の最後に新たな未来を切り開くあなたを見た・・・! あなたならきっとやれる。あなたなら人々を導くことができる・・・。」

 

「だが俺には、まだやることが残っている。」

 

来人は遊星の顔を見て、考えに気づく。

 

「・・・死ぬつもりなんだな。」

 

「アーククレイドルを浮上させるには、マイナス回転をしているモーメントにプラス回転をしているモーメントをぶつける必要がある。それが俺の最後の役目だ!」

 

「・・・・・・・ふざけるな。」

 

「何?」

 

来人は怒りの形相で遊星の胸倉をつかむ。

 

「ふざけるな!! お前が見せた可能性なら、お前がそれを導く責任を取れ!! 今回の責任は・・・俺たちが取る・・・!!」

 

「な・・・!?」

 

「こういうのはな、やらかした奴がけじめつけなきゃなんねぇんだよ。」

 

「・・・確かに、そうですね。」

 

ゾーンは痛みに耐え、ゆっくりと起き上がる。

 

「ああ、そうだ。龍可にちょっと伝言頼む。」

 

来人は遊星に伝言を耳打ちした。

 

「・・・!? 待て! 来人!! ゾーン・・・!?」

 

来人は遊星の腹に拳を打ち込んだ。

 

「・・・らい・・・と・・・!」

 

遊星は気絶し、その場に倒れた。

 

「・・・悪いな、遊星。」

 

そう言うと来人はデュエルディスクを起動させる。来人は以前、エンシェント・フェアリー・ドラゴンからもらったある力を使おうとしていた。

 

『ささやかなものになりますが・・・精霊の実体化させる力です。ただし、使えるのは一度まで。よく・・・考えるように。』

 

(今が・・・その時だな。)

 

「現れろ! クリアウィング・シンクロ・ドラゴン! スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン!」

 

来人の2体のエースドラゴンが現れ、雄たけびを上げる。

 

「クリアウィング! スターヴヴェノム! 遊星をあいつらのところに届けろ!」

 

2体のドラゴンは静かに頷き、クリアウィング・シンクロ・ドラゴンは遊星を、スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴンは遊星のDホイールを持ち上げ、飛んでいった。

 

「・・・よし、行くか。ゾーン!」

 

「ええ・・・!」

 

 

 

 

 

 

ネオドミノシティ 高台

 

脱出したジャックたちはアーククレイドルの様子を注意深く見ていた。

 

「しかし、本当に遊星を連れてくんのかよ? 正直まだ・・・」

 

「大丈夫だよ! 今の来人なら・・・!」

 

「・・・・・! ねえ、あれ!」

 

アキが空を指さす。そこには2体のドラゴンが向かってきていた。

 

「・・・! 遊星!」

 

「ていうか、このモンスター・・・来人の!!」

 

2体は遊星とDホイールをゆっくりと地面に下した。

 

「遊星! おい、しっかりしろ!」

 

ジャックが遊星の体を何度も揺らす。

 

「・・・・ぅ・・・!」

 

遊星はゆっくりと目を開ける。

 

「・・・・!! 来人!?」

 

来人の姿を探し、勢いよく飛び起きた。

 

「来人はここにいねぇぜ。」

 

「遊星、来人に何かあったの・・・?」

 

「・・・・・龍可・・・来人から、伝言がある・・・。」

 

 

 

 

 

 

アーククレイドル中心部

 

「・・・ここか。」

 

来人とゾーンはアーククレイドルのモーメントにたどり着いていた。

 

「・・・終わらせよう。ゾーン。」

 

「・・・・・。」

 

「・・・? ゾーン?」

 

「来人・・・あなたも行かなくていいのですか? 仲間のもとへ。」

 

ゾーンの言葉に来人は鼻で笑う。

 

「今更無理だろ。」

 

「ですが、私についてくればあなたは・・・!」

 

「俺はゾーンには十分すぎるくらい世話になったんだ。だから、それだけで・・・。」

 

「来人・・・!」

 

「・・・・。」

 

来人は静かに目を閉じる。

 

(パラドックス・・・アポリア・・・・・・ブルーノ・・・。俺もゾーンも、もうすぐそっちに逝くよ。あの時よりも長い時間を、そっちで過ごそう・・・・!)

 

「・・・・・じゃあな。」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・うそ・・・。」

 

遊星から来人の伝言を聞いた龍可の顔が青ざめる。

 

「龍可・・・。・・・!」

 

クリアウィング・シンクロ・ドラゴンとスターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴンが雄たけびを上げる。その雄たけびはどこか悲しそうにも聞こえた。

 

「・・・! あれ!」

 

雄たけびの直後、アーククレイドルがゆっくりとその姿を消していく。それと同時に2体のドラゴンは姿を消した。

 

「・・・待って・・・待って!!」

 

龍可は悲痛な叫びをあげながら、柵から身を乗り出し、消えゆくアーククレイドルに向け手を伸ばす。

 

「る、龍可! 落ちちゃうよ!」

 

「龍亞放して!! 来人!! 来人!!」

 

来人からの伝言が頭に響く。

 

『ごめんな。龍可。』

 

「まだ・・・まだ話してないことあるのに・・・!!」

 

『///・・・か、帰ってきたら、話したいことがあるから・・・。』

 

やがてアーククレイドルは完全に消滅した。

 

「いやあああああ!!!」

 

大粒の涙を流した龍可の叫びはむなしく響き渡った。

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