遊戯王5D's 苦悩する男   作:yvisi

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第115話 来人を探して

「このカード・・・来人の・・・?」

 

龍可は外に出て、窓からカードを引きはがした。

 

『ぷはー! 助かった~!』

 

助けられたおジャマ・レッドは歓喜の声を上げる。

 

「あなた・・・やっぱり来人の・・・!」

 

『・・・! やった~! どうにか戻ってこれた~!』

 

おジャマ・レッドは部屋の中を見て喜び、ぴょんぴょんと跳ね回る。

 

「ね、ねえ・・・! あなた、なんで外に?」

 

『! 龍可ちゃん! それがひどいんだよ! 兄貴ったら、この間いきなり外で俺たちを風に飛ばしたりしてさ~!』

 

「来人が・・・!?」

 

「龍可~!」

 

慌てた様子で龍亞がリビングに入ってくる。

 

「って、龍可! 大丈夫なの!?」

 

「・・・・うん・・・。龍亞、どうしたの? 慌ててたけど・・・。」

 

「あ、そうだ! これ! これ拾ったんだよ!」

 

『! ブルー!』

 

『レッド~!』

 

おジャマ・レッドとおジャマ・ブルーは手を取り合って喜んだ。

 

「これ・・・ひょっとして、来人の?」

 

「うん・・・! 来人・・・おジャマたちまで・・・。」

 

『あれ? そういえば兄貴は?』

『確かに。姿が見えないザンスね。』

 

おジャマたちはキョロキョロと来人を探す。そんな姿を見て、龍可の顔がうつむく。

 

「・・・・・ら、来人・・・は・・・」

 

『『?』』

 

首を傾げるおジャマたちに龍可はアーククレイドルで起こったことを伝えた。

 

『うわ~ん!! うそだ~!』

 

おジャマ・ブルーの鳴き声が精霊が見える龍可の耳に響き渡る。

 

「・・・精霊見えないけど、すごい泣いてるはなんとなくわかるな・・・。」

 

『兄貴がいないなんて~!』

『うわ~ん!!』

 

「・・・そういえば、他のおジャマはどうしたんだろ?」

 

龍亞はまだ足りないおジャマがいることに気づいた。

 

「ねえ、他のおジャマたちはどうしたの?」

 

『ひぐ・・・わ、わかんない・・・。』

『いきなり飛ばされて、ここにたどり着くまでがやっとで・・・。』

 

「・・・ね、龍可。他のおジャマが集まったら、来人がどこにいるかわかったりしないかな?」

 

「!!」

 

龍亞の示した可能性に龍可は顔を明るくする。

 

「・・・レグルス、どうなの?」

 

『・・・正直、可能性はないことはない。』

 

「ほんと!?」

 

龍可の驚きの声を聞き、龍亞の顔も明るくなる。

 

『精霊との結びつきは曲りなりにも強いはずだからな。その結びつきをたどれば、見つけられるかもしれない。だが、おジャマだけの力ではわからない可能性もある。龍可と龍亞のシグナーの力を合わせれば・・・。』

 

「・・・・・。」

 

ぐうぅぅぅ・・・

 

「・・・///」

 

龍可の腹の虫が鳴った。

 

「ほ、ほら食べて食べて! 来人に会った時、笑われちゃうよ?」

 

「・・・///う、うん・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍可の遅めの昼食を終え、二人はデュエルボードに乗り、おジャマのカードを探していた。

 

「・・・ていうか、どこにあるんだろ・・・。来人、風に飛ばしたんだよね?」

 

「大丈夫・・・! きっと、見つけてみせるから・・・!」

 

「・・・・・。」

 

僅かな希望にすがる龍可を龍亞は心配そうに見ていた。

 

『・・・! こっちから声がするザンス!』

 

「・・・え?」

 

おジャマ・ブルーが指さしたのは二人も知っている場所だった。そこは来人がフォーチュンカップの頃、過ごしていた隠れ家があった。

 

『うぅ~・・・・誰か~・・・・・。』

 

おジャマ・イエローがか細い声で助けを求めていた。飛ばされたのは外に置かれたゴミ箱の中だった。

 

『誰か~・・・・・・兄貴~・・・。』

 

「・・・あ!」

 

駆けつけた龍可がおジャマ・イエローを見つけた。

 

『・・・あぁ・・・! レッド~! ブルー!』

 

『『イエロー!!』』

 

レッド、ブルー、イエローの3体は抱き合って喜んだ。

 

「・・・ここ・・・来人が俺たちと会う前に住んでたところだよね?」

 

「うん・・・もしかして・・・今まで来人がいたところに、おジャマのカードがあるのかな?」

 

『その可能性はあります。』

 

「! エンシェント・フェアリー・ドラゴン・・・!」

 

「え?」

 

龍可の頭の中にエンシェント・フェアリー・ドラゴンの声が聞こえる。

 

『飛ばされた精霊たちが来人の足跡をたどっているのでしょう。』

 

「・・・それなら・・・!」

 

龍可はある場所を思いついた。

 

「行こう、龍亞!」

 

「え、ど、どこに?」

 

「デュエルアカデミア!」

 

 

 

 

 

 

デュエルアカデミア

 

「・・・ああ、いた!」

 

アカデミアに向かうと、おジャマ・グリーンのカードが校舎のそばにある木にひっかかっていた。

 

『『『グリーン!』』』

 

『みんな~!』

 

「これであと1枚・・・どこにいるんだろ? そういえば、龍亞はおジャマ・ブルーをどこで拾ったの?」

 

「拾ったっていうか・・・風で飛んできたんだよ。遊星たちのガレージの近くで顔に張り付いてきてさ。」

 

「私達の家、ガレージ、来人の家、アカデミア・・・。」

 

「う~ん・・・・。」

 

二人は腕を組んで考え始める。

 

「・・・スタジアム? ハイウェイとかは?」

 

「・・・とりあえず行ってみよっか。」

 

龍可の言ったスタジアムやハイウェイを捜索するが、残るおジャマ・ブラックのカードは発見できなかった。

 

「う~ん・・・こうなったら手当たり次第に探すしかないのかな・・・。」

 

「・・・!」

 

龍可が何かを思いついた。

 

「ねえ、来人はあなたたちをどこで放したの?」

 

『え? え~っと、確か・・・』

『・・・どこだったっけ?』

『なにせ戻るので精一杯だったしなぁ~・・・。』

『・・・・・・・あ!』

 

おジャマ・グリーンが手をポンと叩く。

 

『そうだ確か! 空に妙な島があったとき・・・』

 

「島・・・アーククレイドルね!」

 

『あの時・・・海がすぐ見えたような・・・。』

 

「・・・龍亞! 海! 海に行こう!」

 

「海?」

 

 

 

 

 

二人はおジャマが飛ばされた場所だという海が見える場所・・・港に来ていた。

 

「う~ん・・・ないなぁ・・・。」

 

「・・・ここも違ったのかな・・・。」

 

二人はカードを探すが、カードは見つけられない。

 

『・・・・か・・・・』

 

「・・・え?」

 

『・・・・か・・・てぇ・・・。』

 

龍可が精霊のか細い声を聞いた。

 

「龍可、もしかして・・・」

 

「うん・・・。でも、どこにいるのかしら・・・?」

 

『・・・・すけてぇ・・・・・。』

 

『・・・あ、いた!!』

 

「え!? ・・・・・あぁ!?」

 

おジャマ・グリーンが見つけたのは濡れたカードが鳥につつかれているところだった。

 

「ちょ、待って待って!」

 

龍亞は鳥を追い払い、カードを助け出した。

 

「ちょっと傷ついちゃってるけど・・・おジャマ・ブラックだ!」

 

「よかった・・・これで・・・!」

 

『みんな~! よかったぁ~!』

 

『『『『ブラック~!』』』』

 

全員が揃い、ブラックを胴上げして喜んだ。そして、二人は見つかったおジャマたちに来人のことを話した。

 

『そんな・・・兄貴が・・・。』

『だからだよ! 俺たちの力で!』

『兄貴を見つけるんだ!』

 

おジャマたちが手を取り合い、目を閉じる。

 

『『『『『むむむ~・・・!!』』』』』

 

「おジャマたちが力を合わせてる・・・・・龍亞! 私たちも!」

 

「うん!」

 

二人は目を閉じ、お互いの手を握った。

 

((来人・・・!))

 

すると、おジャマのカードと龍亞、龍可のアザが輝き始める。

 

「・・・・・!!」

 

龍可の脳裏にある映像が浮かぶ。水の中を流されるような映像。そして、広がる砂浜・・・前にそびえたつ建物は・・・龍可がよく見たものだった。

 

「・・・今の・・・・・!」

 

龍亞の手を放し、たまらず龍可は駆け出した。

 

「! 龍可!?」

 

龍亞は急いでそのあとを追う。

 

「来人・・・! 来人・・・!」

 

名前を何度も口にしながら、砂浜へたどり着いた。

 

「来人・・・・どこ・・・?」

 

来人を探すため、目を凝らす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・ぁ・・・。」

 

小さな声がこぼれる。

 

「・・・・あ・・・・あぁ・・・!」

 

龍可の目から涙が溢れだす。それもそのはずだ。

 

「・・・・ら・・・・来人・・・・!」

 

探していた人が見つかったからだ。龍可は来人に向かって駆け出していく。

 

「来人ーーーー!!!」

 

探していた来人は砂浜にうつ伏せで倒れていた。傍らには来人の乗っていたDホイールもあった。

 

「来人!! 来人!!」

 

龍可は来人の体を何度も揺らした。

 

「・・・来人!?」

 

龍亞が追いつき、来人に駆け寄った。

 

「来人・・・! お願い・・・目を覚まして・・・!!」

 

龍可は涙を拭い、来人の背に顔をうずめる。

 

「・・・・・ぅ・・・・?」

 

「・・・!!」

 

来人の声が聞こえ、龍可が顔を上げる。

 

「来人・・・来人!!」

 

「・・・う・・・ぁ・・・。」

 

龍可の声に応えるように、来人はゆっくりと起き上がった。

 

「「来人!!」」

 

起き上がった来人に嬉しさを抑えきれず、二人は抱き着いた。

 

「・・・・・? ・・・・。」

 

しかし、来人はぼーっとしており、二人を見て不思議そうに首を傾げた。

 

「? 来人?」

 

「・・・・・。」

 

来人は龍亞、龍可の顔をそれぞれじっと見る。

 

「え・・・来人、大丈夫?」

 

「・・・来人・・・? ・・・誰のことだ?」

 

「・・・・・え・・・・。」

 

来人は名前を聞き、頭を押さえる。

 

「・・・来人・・・まさか・・・。」

 

「・・・俺は・・・誰なんだ・・・。ここは・・・どこだ・・・?」

 

二人が探し、ようやく会えた来人は記憶を・・・失っていた。

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