「このカード・・・来人の・・・?」
龍可は外に出て、窓からカードを引きはがした。
『ぷはー! 助かった~!』
助けられたおジャマ・レッドは歓喜の声を上げる。
「あなた・・・やっぱり来人の・・・!」
『・・・! やった~! どうにか戻ってこれた~!』
おジャマ・レッドは部屋の中を見て喜び、ぴょんぴょんと跳ね回る。
「ね、ねえ・・・! あなた、なんで外に?」
『! 龍可ちゃん! それがひどいんだよ! 兄貴ったら、この間いきなり外で俺たちを風に飛ばしたりしてさ~!』
「来人が・・・!?」
「龍可~!」
慌てた様子で龍亞がリビングに入ってくる。
「って、龍可! 大丈夫なの!?」
「・・・・うん・・・。龍亞、どうしたの? 慌ててたけど・・・。」
「あ、そうだ! これ! これ拾ったんだよ!」
『! ブルー!』
『レッド~!』
おジャマ・レッドとおジャマ・ブルーは手を取り合って喜んだ。
「これ・・・ひょっとして、来人の?」
「うん・・・! 来人・・・おジャマたちまで・・・。」
『あれ? そういえば兄貴は?』
『確かに。姿が見えないザンスね。』
おジャマたちはキョロキョロと来人を探す。そんな姿を見て、龍可の顔がうつむく。
「・・・・・ら、来人・・・は・・・」
『『?』』
首を傾げるおジャマたちに龍可はアーククレイドルで起こったことを伝えた。
『うわ~ん!! うそだ~!』
おジャマ・ブルーの鳴き声が精霊が見える龍可の耳に響き渡る。
「・・・精霊見えないけど、すごい泣いてるはなんとなくわかるな・・・。」
『兄貴がいないなんて~!』
『うわ~ん!!』
「・・・そういえば、他のおジャマはどうしたんだろ?」
龍亞はまだ足りないおジャマがいることに気づいた。
「ねえ、他のおジャマたちはどうしたの?」
『ひぐ・・・わ、わかんない・・・。』
『いきなり飛ばされて、ここにたどり着くまでがやっとで・・・。』
「・・・ね、龍可。他のおジャマが集まったら、来人がどこにいるかわかったりしないかな?」
「!!」
龍亞の示した可能性に龍可は顔を明るくする。
「・・・レグルス、どうなの?」
『・・・正直、可能性はないことはない。』
「ほんと!?」
龍可の驚きの声を聞き、龍亞の顔も明るくなる。
『精霊との結びつきは曲りなりにも強いはずだからな。その結びつきをたどれば、見つけられるかもしれない。だが、おジャマだけの力ではわからない可能性もある。龍可と龍亞のシグナーの力を合わせれば・・・。』
「・・・・・。」
ぐうぅぅぅ・・・
「・・・///」
龍可の腹の虫が鳴った。
「ほ、ほら食べて食べて! 来人に会った時、笑われちゃうよ?」
「・・・///う、うん・・・。」
龍可の遅めの昼食を終え、二人はデュエルボードに乗り、おジャマのカードを探していた。
「・・・ていうか、どこにあるんだろ・・・。来人、風に飛ばしたんだよね?」
「大丈夫・・・! きっと、見つけてみせるから・・・!」
「・・・・・。」
僅かな希望にすがる龍可を龍亞は心配そうに見ていた。
『・・・! こっちから声がするザンス!』
「・・・え?」
おジャマ・ブルーが指さしたのは二人も知っている場所だった。そこは来人がフォーチュンカップの頃、過ごしていた隠れ家があった。
『うぅ~・・・・誰か~・・・・・。』
おジャマ・イエローがか細い声で助けを求めていた。飛ばされたのは外に置かれたゴミ箱の中だった。
『誰か~・・・・・・兄貴~・・・。』
「・・・あ!」
駆けつけた龍可がおジャマ・イエローを見つけた。
『・・・あぁ・・・! レッド~! ブルー!』
『『イエロー!!』』
レッド、ブルー、イエローの3体は抱き合って喜んだ。
「・・・ここ・・・来人が俺たちと会う前に住んでたところだよね?」
「うん・・・もしかして・・・今まで来人がいたところに、おジャマのカードがあるのかな?」
『その可能性はあります。』
「! エンシェント・フェアリー・ドラゴン・・・!」
「え?」
龍可の頭の中にエンシェント・フェアリー・ドラゴンの声が聞こえる。
『飛ばされた精霊たちが来人の足跡をたどっているのでしょう。』
「・・・それなら・・・!」
龍可はある場所を思いついた。
「行こう、龍亞!」
「え、ど、どこに?」
「デュエルアカデミア!」
デュエルアカデミア
「・・・ああ、いた!」
アカデミアに向かうと、おジャマ・グリーンのカードが校舎のそばにある木にひっかかっていた。
『『『グリーン!』』』
『みんな~!』
「これであと1枚・・・どこにいるんだろ? そういえば、龍亞はおジャマ・ブルーをどこで拾ったの?」
「拾ったっていうか・・・風で飛んできたんだよ。遊星たちのガレージの近くで顔に張り付いてきてさ。」
「私達の家、ガレージ、来人の家、アカデミア・・・。」
「う~ん・・・・。」
二人は腕を組んで考え始める。
「・・・スタジアム? ハイウェイとかは?」
「・・・とりあえず行ってみよっか。」
龍可の言ったスタジアムやハイウェイを捜索するが、残るおジャマ・ブラックのカードは発見できなかった。
「う~ん・・・こうなったら手当たり次第に探すしかないのかな・・・。」
「・・・!」
龍可が何かを思いついた。
「ねえ、来人はあなたたちをどこで放したの?」
『え? え~っと、確か・・・』
『・・・どこだったっけ?』
『なにせ戻るので精一杯だったしなぁ~・・・。』
『・・・・・・・あ!』
おジャマ・グリーンが手をポンと叩く。
『そうだ確か! 空に妙な島があったとき・・・』
「島・・・アーククレイドルね!」
『あの時・・・海がすぐ見えたような・・・。』
「・・・龍亞! 海! 海に行こう!」
「海?」
二人はおジャマが飛ばされた場所だという海が見える場所・・・港に来ていた。
「う~ん・・・ないなぁ・・・。」
「・・・ここも違ったのかな・・・。」
二人はカードを探すが、カードは見つけられない。
『・・・・か・・・・』
「・・・え?」
『・・・・か・・・てぇ・・・。』
龍可が精霊のか細い声を聞いた。
「龍可、もしかして・・・」
「うん・・・。でも、どこにいるのかしら・・・?」
『・・・・すけてぇ・・・・・。』
『・・・あ、いた!!』
「え!? ・・・・・あぁ!?」
おジャマ・グリーンが見つけたのは濡れたカードが鳥につつかれているところだった。
「ちょ、待って待って!」
龍亞は鳥を追い払い、カードを助け出した。
「ちょっと傷ついちゃってるけど・・・おジャマ・ブラックだ!」
「よかった・・・これで・・・!」
『みんな~! よかったぁ~!』
『『『『ブラック~!』』』』
全員が揃い、ブラックを胴上げして喜んだ。そして、二人は見つかったおジャマたちに来人のことを話した。
『そんな・・・兄貴が・・・。』
『だからだよ! 俺たちの力で!』
『兄貴を見つけるんだ!』
おジャマたちが手を取り合い、目を閉じる。
『『『『『むむむ~・・・!!』』』』』
「おジャマたちが力を合わせてる・・・・・龍亞! 私たちも!」
「うん!」
二人は目を閉じ、お互いの手を握った。
((来人・・・!))
すると、おジャマのカードと龍亞、龍可のアザが輝き始める。
「・・・・・!!」
龍可の脳裏にある映像が浮かぶ。水の中を流されるような映像。そして、広がる砂浜・・・前にそびえたつ建物は・・・龍可がよく見たものだった。
「・・・今の・・・・・!」
龍亞の手を放し、たまらず龍可は駆け出した。
「! 龍可!?」
龍亞は急いでそのあとを追う。
「来人・・・! 来人・・・!」
名前を何度も口にしながら、砂浜へたどり着いた。
「来人・・・・どこ・・・?」
来人を探すため、目を凝らす。
「・・・・・・・・ぁ・・・。」
小さな声がこぼれる。
「・・・・あ・・・・あぁ・・・!」
龍可の目から涙が溢れだす。それもそのはずだ。
「・・・・ら・・・・来人・・・・!」
探していた人が見つかったからだ。龍可は来人に向かって駆け出していく。
「来人ーーーー!!!」
探していた来人は砂浜にうつ伏せで倒れていた。傍らには来人の乗っていたDホイールもあった。
「来人!! 来人!!」
龍可は来人の体を何度も揺らした。
「・・・来人!?」
龍亞が追いつき、来人に駆け寄った。
「来人・・・! お願い・・・目を覚まして・・・!!」
龍可は涙を拭い、来人の背に顔をうずめる。
「・・・・・ぅ・・・・?」
「・・・!!」
来人の声が聞こえ、龍可が顔を上げる。
「来人・・・来人!!」
「・・・う・・・ぁ・・・。」
龍可の声に応えるように、来人はゆっくりと起き上がった。
「「来人!!」」
起き上がった来人に嬉しさを抑えきれず、二人は抱き着いた。
「・・・・・? ・・・・。」
しかし、来人はぼーっとしており、二人を見て不思議そうに首を傾げた。
「? 来人?」
「・・・・・。」
来人は龍亞、龍可の顔をそれぞれじっと見る。
「え・・・来人、大丈夫?」
「・・・来人・・・? ・・・誰のことだ?」
「・・・・・え・・・・。」
来人は名前を聞き、頭を押さえる。
「・・・来人・・・まさか・・・。」
「・・・俺は・・・誰なんだ・・・。ここは・・・どこだ・・・?」
二人が探し、ようやく会えた来人は記憶を・・・失っていた。