「いいデュエルだった。」
遊星は来人に声をかけるが、聞こえていないのか来人はカードを見たままだった。
「? 来人?」
「・・・ん、ああ。そうだな、いいデュエルだった。」
カードをしまい、二人は握手を交わした。
「ついにけっちゃーーく!! キングへの挑戦権を獲得したのは、不動遊星ーー!!」
「しかしどうせなら、キングとやってみたかったな・・・。」
「すごいデュエルだったな~! 俺もあんなデュエルしてみたい!」
「うん! うん!」
デュエルを終えた二人は客席に移動した。
「みんな! 早くこの会場から出るんだ!」
「しかし、あんちゃんはキングとの対決があるだろう?」
「この会場にはシグナーが4人いる。」
「シグナー・・・ん、龍可。腕にアザなんかあったか?」
龍可の袖がめくれた腕には竜の手の形をしたアザがあった。
「うん・・・。」
「とにかく、早く出るんだ。十六夜とのデュエルを見ればわかるだろう。」
準決勝のアキの攻撃によってくずれた客席を見る。
「まあ、お前が言うならさっさと出ていくが・・・サテライトの仲間が人質に取られてるんだろ?」
「ゴドウィンとは俺が話をつける。みんなは早くここから離れろ。」
そう言うと、遊星はゴドウィンのもとに向かった。
「・・・さて、んじゃあ、とっとと出るぞ。面倒になる前にな。」
「ちぃっと残念だけどね。」
来人たちは会場から出ようとする。しかし・・・
「イ~ヒッヒッヒ。」
「あんた、確か・・・。」
ピエロのメイクをした男、イェーガーが部下を連れ、行く手をふさいだ。
「残念ながら、あなたたちを帰すわけにはまいりません。ヒッヒッヒ。」
「なら腕づくで通らせてもらう!」
氷室はイェーガーの胸倉をつかみかかる。
「遊星のお仲間がどうなってもかまわないのですか?」
「! てめえ・・・。」
「イ~ヒッヒッヒ。仲間想いのあなた方のことだ。そんなことはできませんね。さあ、早く席にお戻りください。」
「・・・くそ。」
来人たちは渋々客席へと戻った。
そして、決勝戦が始まり遊星、ジャックのエースモンスター。スターダスト・ドラゴンとレッド・デーモンズ・ドラゴンが姿を現し、激突する。
スターダスト・ドラゴン
シンクロ・効果モンスター
レベル8/風属性/ドラゴン族/ATK2500/DEF2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
①:フィールドのカードを破壊する魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードをリリースして発動できる。その発動を無効にし破壊する。②:このカードの①の効果を適用したターンのエンドフェイズに発動できる。その効果を発動するためにリリースしたこのカードを墓地から特殊召喚する。
レッド・デーモンズ・ドラゴン
シンクロ・効果モンスター
レベル8/闇属性/ドラゴン族/ATK3000/DEF2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
①:このカードが相手の守備表示モンスターを攻撃したダメージ計算後に発動する。相手フィールドの守備表示モンスターを全て破壊する。②:自分エンドフェイズに発動する。このカードがフィールドに表側表示で存在する場合、このカード以外のこのターン攻撃宣言をしていない自分フィールドのモンスターを全て破壊する。
2体の竜が激突すると、デュエルをする二人の近くに赤き竜が現れた。そして、デュエルの決着が近づく。しかし、赤き竜によって二人は光の中に包まれていく。
遊星 LP400 手札1 SPC8
【モンスター】
スターダスト・ドラゴン(ATK2500/レベル8)
【魔法・罠】
シンクロ・ブラスト
ジャック LP800 手札1 SPC1
【モンスター】
レッド・デーモンズ・ドラゴン(ATK3000/レベル8)
【魔法・罠】
「Sp-ファイナル・アタック!」
Sp-ファイナル・アタック(アニメオリジナル)
通常魔法
自分のスピードカウンターが8つ以上ある場合に発動する事が出来る。自分フィールド上のモンスター1体の攻撃力を2倍する。この効果で攻撃力を2倍にしたモンスター1体は、相手プレイヤーを直接攻撃する事は出来ない。
また、このターン終了時に破壊される。
「スピードカウンターが8以上の時、モンスター1体の攻撃力を2倍にする!」
スターダスト・ドラゴン ATK2500→5000
「攻撃力・・・5000だと・・・!?」
「これでファイナルだ! 俺たちの絆はだれにも負けはしない! スターダスト・ドラゴン! 響け、シューティングソニック!!」
スターダスト・ドラゴンの攻撃がレッド・デーモンズ・ドラゴンを飲み込んだ。
「ぐああああ!!」
ジャック LP800→0
衝撃によって、ジャックのDホイールが転倒する。
「何が起きた!?」
「赤い竜が現れて、目の前が光になっちまったよ!」
「・・・終わったな。」
「え?」
「あれ見ろ。」
来人は会場のディスプレイを指さす。遊星のライフは400。ジャックのライフは0と表示されていた。
「このデュエル、遊星が勝ったわ。」
「「「えぇ!!?」」」
「つ、ついにけっちゃーーーく!!! ウィナー、不動遊星ーーー!! キング、ジャック・アトラスの無敗神話は打ち破られ、ここに新たなキングの誕生を我々は見る!! 新たなるキング、その名は不動遊星!! ニューキングは不動遊星!! サテライト出身のキングの誕生だぁーーー!!!」
「「「「「「遊星!! 遊星!! 遊星!!」」」」」」
この言葉に、会場は今までで一番の盛り上がりを見せる。観客による遊星コールが起こる。
「このサテライト野郎!! どんな反則使いやがったー!!」
「マーカー野郎め!!」
「認めないぞ! サテライト出身のキングなんて!!」
一部からはサテライト出身でマーカーのある遊星に対し、不満の声が上がる。
「遊星!」
来人、龍亞、矢薙、氷室が駆け寄る。
「来人! 龍亞!」
「あんちゃん、このまま逃げるぞ!」
「え?」
「あれ見ろ、あれ!」
来人が指さした先には、多数の記者が詰めかけようとしていた。
「遊星、早く!」
氷室は急いで遊星のDホイールを押す。
「あ、ああ・・・。」
遊星たちはどうにか会場から抜けだした。
地下通路
「よし、ここならうまく逃げられそうだ。」
来人は携帯電話を取り出し、地図を確認する。
「ここはスタジアム作るときに使っていた通路だ。今じゃ使ってるやつはだれもいない。」
「さすが、情報屋だな。」
「この程度は朝飯前だ。」
「にしてもすごいぜ、あんちゃんよ。本当にキングになっちまうんだからなぁ。」
「遊星なら必ずキングになるって信じてたよ!」
「そんなのんきなことも言っていられないぞ。遊星の仲間を誘拐するような連中だ。何をしてくるか知れたもんじゃねえ。」
「氷室の言う通りだな。・・・おっ、全員ちょい待ち。」
来人の言葉通り、全員は足を止める。
「こっちの出口なら、俺の隠れ家に近い。そこで身を隠すぞ。龍亞と龍可もしばらく俺らといろ。その方が安全だ。」
「ほんと!? やった! また遊星や来人と一緒にいられる!」
喜ぶ龍亞の隣で、龍可は不安げな顔をしていた。
「遊星・・・私、見てた・・・。サテライトが・・・。」
「!」
二人は光の中で、サテライトが崩壊していく光景を見ていた。
「あれはいったい・・・。」
「わからない。だがあの光景がサテライトの未来なら、絶対に阻止する。」
「ま、とりあえず話は俺の隠れ家に着いてからだな。よし・・・そろそろだ。」
来人の隠れ家
「もう、ずいぶん昔に見たもんだからなぁ・・・。」
矢薙は紙に昔自分が見たという紋様が描いていた。
「うろ覚えだが、こんな感じだ。」
紙には簡略化したような竜の絵が描かれている。
「!」
遊星はその竜の尻尾の部分を見ると、自分の服の右腕の袖をまくる。絵によく似た形のアザが腕にあった。
「ふむ・・・確かに、よく似ている。龍可は手の部分・・・。何か意味があるのか?」
「わしが聞いた星の民の伝説では、赤い竜の頭、翼、手、足、尻尾の五つの部分がそれぞれ分かれ、シグナーと呼ばれる人たちにアザとなって封印されたということじゃった。」
「待てよ、今わかってるシグナーは遊星、ジャック、龍可、そして十六夜アキの4人。でもあの赤い竜が現れたってことは・・・。」
「案外、5人目も近くにいたのかもな・・・。」
「どっかにアザ、ないかなぁ~。」
龍亞は服をめくって、アザを探している。
「いや、みんな腕にあるんだから腕見ろ、腕。」
そんな中、龍可は倒れてしまう。
「おっと・・・!」
なんとか来人が支えた。
「龍可!」
「龍可、どうしたんだ?」
「大丈夫・・・ちょっと、疲れただけ・・・。」
「無理もないな。この二日、いろいろなことがありすぎたからな。」
「だな。今日はもう休んどくか。客用の布団取ってくる。」
深夜
「・・・んん・・・・・。」
床で寝っ転がっていた来人がゆっくりと起き上がる。
「・・・・。」
目をこすり、部屋の様子を見る。
「・・・こんな人多いと寝づらいな・・・。」
いつも自分が寝ているソファには龍可。他のソファには矢薙、龍亞、氷室が寝ている。
「・・・あれ?」
ふと見ると、遊星の姿がなかった。
「こんな時間にどこ行ったんだ・・・・?」
寝ぼけまなこながらも、部屋の外に出る。
「・・・・・ん?」
外には黒いフードを被った男が立っていた。男の右腕は紫色のアザが輝いていた。
「・・・あんた、なにもんだ?」
「・・・・・。」
「悪いが、ここにはアポなしじゃ入れないぜ? そもそもいるのは双子一組、爺さん一人、ウニ坊主一匹だ。あんた、一体・・・」
(・・・目的はシグナーか・・・? あのアザ・・・。)
「・・・・・。」
男は何も言わず、立ち去る。
「! 待て!」
来人は逃げた怪しい男を追いかけた。やがて、男は使われていない倉庫の中に入り、足を止める。
「もう一度聞くぜ。あんた、なにもんだ?」
「・・・ふふふ。闇のデュエルに聞けばいい。闇はすべてを知っている。」
「闇のデュエルだ? 上等だ。相手してやる。」
二人はデュエルディスクを展開する。
「「デュエル!!」」
「! これは・・・?」
二人の周りを紫色の炎が囲む。
「ふふふ・・・我らは闇の祭壇に捧げられし生贄。もう逃れることはできない。」
「何言ってやがる・・・悪趣味な奴め。」
幕間短編
『寝るとこ』
「んじゃあ、龍可。このソファに布団敷いとくぞ。」
「え、でも、このソファ・・・。」
「いつもは俺が寝てるんだが、まあ、寝心地は保証できる。」
そう言いながら、来人はソファに布団を敷く。
「で、でも・・・。」
「いいからいいから。他の布団取ってこなきゃな。」
布団を取りに部屋を出る。
「・・・・・。」
龍可はゆっくり布団の中に入る。
「・・・はっ。な、何考えてるんだろ・・・。」
布団にくるまった龍可の顔は少し赤かった。