「・・・・へ?」
「いや、話があるって言ってなかったか? アーククレイドル行く前。」
「アーククレイドル・・・行く・・・前・・・・」
次第に龍可の顔が赤くなる。
『///・・・か、帰ってきたら、話したいことがあるから・・・。』
『///だ、だめ! 帰ってから!』
アーククレイドルに行く前の自分の言葉が何度も頭の中で響いた。
(/////わ、忘れてた・・・! あ、いや、言うつもりはあったんだけど、いろいろありすぎて、それどころじゃなくなっちゃって・・・!)
「・・・? 龍可?」
「/////・・・・・。」
「? なあ・・・」
「////へ!?」
考え事をしていた龍可は思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
「?? 大丈夫か?」
「/////う、うん・・・。」
「・・・・・。」
(これは話したくない感じか?)
「あ~・・・話したくないなら別に・・・」
「////・・・あ・・・。」
離れようとした来人の服をぎゅっとつかむ。
「?」
「////・・・ちょ、ちょっと・・・そこ、座って。」
いつも座っているソファを指さす。
「ん? いや、でも・・・」
「/////い、いいから! 座って!」
「・・・・・はい。」
勢いに押され、来人はソファに座る。その隣に龍可も座る。
「「・・・・・。」」
しばらく、部屋は沈黙に包まれる。
「・・・・・。」
沈黙を破るため、来人はテレビのリモコンを取ろうとする。それを龍可は来人の手首をつかんで止める。
「・・・? 龍可?」
来人の手をつかんだまま離さない。
「・・・えっと・・・」
「/////・・・・最初は、少し怖いのかなって思ってた・・・。」
「?」
「/////でも・・・たまに見るやさしさが、うれしくて、楽しくて・・・」
「・・・??」
(・・・さっきから何の話だ・・・?)
自分の話をしているとは全く思っていない。
「/////アルカディアムーブメントの時も・・・。」
『こんなろくでもないとこでも、親切な奴がいるもんでな。』
「/////ディマクとのデュエルの時も・・・。」
『なら、俺も付き合いますかね。』
『・・・気にするな。お前はお前のデュエルをすればいい。』
「/////わ、私が、心を閉ざした時も・・・。」
『起きてとっとと帰るぞ。』
『・・・気にするな。なんか、俺にも原因があったんだろ?』
(あ・・・これ、俺の話か?)
龍可の話が続く中、来人は今更合点がいった。
「////・・・でも・・・アーククレイドルの時は・・・違った。」
「!」
アーククレイドルでのことを思い出し、来人の顔が険しくなる。
「////違ったって・・・・・思った。」
「・・・龍可・・・。」
「/////けど、それは・・・来人の・・・優しさ、だったんだよね・・・?」
「・・・・・そんな体のいいものじゃない。」
来人は自信なく首を横に振る。
「結局のところ、自分で決めるのが怖かっただけなんだよ。お前らにも、ゾーンにもついて、どっちつかず。ただただ卑怯なだけ・・・それが、本当の俺なんだ・・・。」
「・・・・来人?」
龍可は両手で来人の顔を挟んだ。
「! 龍可?」
「/////・・・・・。」
ゆっくり顔を来人に近づける。
「・・・え・・・あの・・・」
「////・・・・。」
戸惑う来人を気にせず、そのまま顔を近づける。そして・・・
「・・・・・!? !?」
「/////・・・・・。」
二人の唇は静かに重なった。さすがの来人も驚きを隠せなかった。しばらくし、二人の唇は離れた。
「・・・・・。」
呆気にとられた来人は龍可の顔をぼーっと見る。
「/////それでも・・・・・私は、好きだよ。来人。・・・大好き!」
龍可はとびきりの笑顔を来人に見せた。
「・・・・・。」
その顔を来人はじっと見る。
「・・・・ふふっ・・・。」
「/////・・・ら、来人?」
なぜか来人から笑みがこぼれる。
「まさか、ここまでされるとは思わなくて・・・それに・・・趣味が悪い。」
「////・・・・。」
来人の言葉を聞き、龍可は来人を抱きしめる。
「/////・・・悪い?」
顔を赤くし、ふくれっ面で来人を見る。
「・・・・・。」
ぎこちなく、龍可の頭をなでる。
「・・・・いいのか? こんなやつで。」
「/////・・・うん・・・!」
龍可が答えた瞬間、来人は龍可を強く抱きしめる。
「/////・・・!!」
龍可の赤かった顔がさらに赤くなる。
「・・・・・好きだよ。」
「////!?」
「俺も、好きだよ。龍可。」
「/////~~~~!!」
嬉しさから抱きしめる力が強くなった。
「・・・・・。」
「////・・・!」
「・・・さすがに苦しいぞ・・・。」
「////もうちょっとだけ・・・。」
「・・・・・。」
なぜか来人はリビングのドアをちらちらと見ていた。
(・・・さすがに言うか・・・。)
「・・・で、いつまで見てんだ?」
「/////・・・・・え?」
恐る恐るリビングのドアが開かれる。
「・・・・・。」
申し訳なさそうな顔でソラが顔をのぞかせた。
「/////!!?」
ソラの顔を見て、龍可は急いで来人から離れた。
「あ~・・・その、邪魔するつもりはなくって・・・あはは・・・。」
「////ど、どどどこからですか・・・!?」
「・・・・・告白して、キス・・・したところ?」
龍可は恥ずかしさから両手で顔を覆った。
「/////うぅ・・・! ・・・! ほ、他の人はいないですよね!?」
「だ、大丈夫大丈夫! まだみんな来てないから! ・・・龍可ちゃん!」
ソラは龍可の頭を嬉しそうになでる。
「・・・おめでとう!」
「/////あ、ありがとう・・・ございます・・・。」
「・・・・・。」
いたたまれない来人の耳は若干、赤くなっていた。
数日後
来人はセキュリティにて、アーククレイドルで起こったことをすべて話していた。話を聞くのは事情を把握している牛尾と狭霧だけだった。そして二人は上層部と協議し、来人の処分を伝えていた。
「・・・・・思ったより軽いな。」
処分の内容を見た来人はそう零した。
「この街を救った遊星たちの嘆願があったのがデカかったな。そうでなきゃお前、とっくに・・・」
「わかってる。・・・そういう奴らだよ、あいつらは。」
「まあここまで譲歩したんだ。くれぐれも問題を起こすんじゃないぞ。」
「だからわかってるって。」
会話の間、来人は何度か時計を確認する。
「・・・もういいか?」
「え? んまあ、話は終わったっちゃ終わったんだが・・・」
「ならとっとと出るわ。」
「なんだ、なんかあるのか?」
「ああ・・・これからデートなんだ。」
「なんだそう・・・・はぁ!?」
驚きの表情を見せた牛尾に軽く手を振り、来人は部屋を出た。
「はあ・・・はあ・・・!」
(準備してたら遅くなっちゃった・・・!)
来人と待ち合わせをしていた龍可は急いで走っていた。
「・・・!」
当の来人はなにやら数人の女性に話しかけられていた。
「ねえねえ、お兄さん。今暇してる?」
「ああいや、人待ってるんで。」
特に表情を変えず、龍可の姿を探す。
「・・・!」
龍可を見つけた来人は顔を明るくし、駆け寄った。
「///! ご、ごめんね、待たせちゃって・・・。」
「いや、さっき来ただから大丈夫。行こうぜ。」
「///う、うん!」
二人は手を繋ぎ、近くのカフェに入った。
(///きゅ、急にあんな顔見せるなんて・・・しかも、手・・・!)
龍可が心臓をバクバクさせる中、席に着いた。
「やっと話が終わってな。最初に報告しとくわ。」
「////・・・うん・・・。そ、それで、どうだった?」
「こうなった。」
来人は自分の処分が書かれた紙を龍可に見せた。
「・・・え・・・? こ、これって・・・!」
書かれた内容を見て、龍可の顔が青ざめる。
「これでもかなりマシだろ。むしろこんなもんで済んでラッキーくらいだ。」
「で、でも・・・!」
書かれた内容はこうだった。
『未谷来人の処分内容』
(1):チーム5D’s除名処分
WRGP優勝チーム チーム5D’sを除名する。今後、チームの一員としては名乗れないものとする。
(2):フォーチュンカップ、WRGPの公式記録抹消
未谷来人の参加したフォーチュンカップ、WRGPでの記録を全て抹消する。フォーチュンカップの準優勝は十六夜アキとする。
(3):ネオドミノシティ追放処分
現在在学する、デュエルアカデミア卒業ののち、未谷来人はネオドミノシティから追放し、無期限の入場禁止とする。
「正直、一生檻の中かと思ったけどな。」
「・・・来人・・・。」
(2年経ったら・・・来人は・・・。)
目の前でストローでアイスコーヒーを口に運ぶ来人を龍可は見る。
「・・・どうした? さみしそうな顔して。」
「! だ、だって・・・。」
見つめてきた来人から思わず目を逸らす。
「///・・・や、やっと付き合えたんだもん・・・。」
「・・・そうか。」
龍可の言葉に来人は静かにほほ笑んだ。
「なら2年間、しっかり堪能しとくんだな。」
「///・・・た、堪能・・・。」
恥ずかしさから龍可は顔を赤くし、うつむいてしまう。
「・・・ふふ。」
そして、ここから2年の月日が流れた。
幕間短編
『距離感』
告白の翌日
リビング
「・・・・。」
来人は若干眠そうに食パンをほおばった。
「///・・・・。」
隣に座る龍可は椅子を来人に限りなく近づけ、一緒に朝食を食べる。
「・・・・?」
何か違和感のあった来人は首を傾げる。
朝食を食べ終えた来人はソファでくつろいでいた。
「////・・・・!」
それを見た龍可は来人の隣に座り、来人に体をくっつけるように寄せる。
「・・・・・なあ、龍可。」
「////な、何? 来人。」
「・・・近くね?」
「////え!?」
来人の言葉が思いもよらなかったのか、体が飛び跳ねたのかのように驚いた。
「いつもこの感じじゃなかったような・・・。」
「////そ、それは、えっと・・・」
(///つ、付き合えたことに舞い上がりすぎちゃった・・・!)
「////つ、付き合ったらみんなこんな感じだよ?」
「・・・・・。」
来人は龍可をじっと見る。
(////え・・・も、もしかして、怒ってる・・・?)
「・・・そうか、そういうもんか。」
「////・・・え?」
「そういうことなら、もうちょっと寄っていいぞ。」
来人はニコッと笑い、手招きする。
「////う、うん・・・。」
龍可はさらに寄り、腕に抱き着いた。
(付き合うとこういう感じなのか・・・勉強になる。)
(///あ、あっさり信じられると罪悪感が・・・。)
来人と龍可。二人はまだ付き合ったばかり・・・。