「私が・・・あなたの弟を・・・!?」
ミスティの言葉に、アキは驚きを隠せない。そんなアキをミスティは真っ黒な目で睨みつける。
(こいつが、ミスティの弟を・・・?)
その時、一瞬、地面が揺れる。
「? なんだ?」
「さあ、私の中の神よ・・・!」
ミスティは1枚のカードを掲げる。
「レプティレストークン2体をリリース! 永き呪縛から解き放たれよ! 地縛神Ccarayhua!!」
カードから飛び出した2つの紫の魂が、窓を突き破り、空高く上がる。
「何をする気だ!」
「これは、私の復讐。私の弟、トビーを殺したアルカディアムーブメント・・・ここをつぶし、十六夜アキ。いえ、黒薔薇の魔女。あなたを殺すこと。」
「知らない・・・私は、あなたの弟なんて知らない・・・!」
(くそ、やりづれえったらないな・・・てか・・・)
「おい、あんたの召喚したモンスターはいったいどこにいるんだ?」
「もういるわ。あなたたちの後ろにね。」
「は? 後ろ?」
来人とアキはゆっくりと後ろを見る。
「・・・いや、何も・・・」
来人の言葉を待たず、窓から巨大な緑色の目が二人を見る。
「な・・・!?」
「うおおお!? なんじゃありゃ!」
「・・・どうやら、もう1つのデュエルも決着がつきそうね。」
「もう一つ?」
「ぐわあああ!!」
誰かの叫び声が聞こえる。
「なんだ・・・?」
すると、爆発音が響き、上から赤い髪の男が落下していく。
「・・・!? ディヴァイン!!」
「な、あれが!?」
衝撃によって、建物が崩れ始める。
「やべぇ・・・!」
「どうやら、勝負はお預けのようね。」
そう言い残し、ミスティは去っていく。
「十六夜、逃げろ!!」
「お前ら先に行け! 俺が連れてく!」
「来人・・・! くそぉ・・・!」
氷室たちは急いで脱出する。
「十六夜! 早く脱出するぞ!」
「・・・・・。」
未だにアキは下を見て呆然としていた。
氷室たちが脱出したところに、Dホイールに乗ったジャックが現れた。
「何があった!?」
「わからん! ダークシグナーと十六夜アキ、来人が戦って・・・。」
「来人・・・あいつか。」
フォーチュンカップでのデュエルを思い出す。
「二人は?」
「まだ中に・・・。」
「なんだと!?」
ジャックはDホイールに乗ったまま、建物に入っていく。
「おい、待て! ジャック! 危険だ! 戻れ!」
階段をDホイールで一気に駆け上がる。
「おーい! 誰かいるのか! いたら返事をしろ!」
「いるぞ・・・!」
「! お前・・・!」
ボロボロになった来人が気を失ったアキを背負っていた。
「大丈夫か!?」
「なんとかな・・・おっと。」
歩こうとしたところ、来人は足元の何かをよけた。
「なんだ?」
「いや、眼鏡が・・・ついよけちまった。」
「眼鏡・・・? ・・・・・!!」
眼鏡を拾ったジャックは、なぜか驚き目を大きく開いた。
「この眼鏡は・・・まさか・・・! カーリー! カーリー!!」
ジャックは焦った表情で誰かの名を叫び、建物の中を探す。
「お、おい、その眼鏡がどうかしたのか?」
「・・・・。」
「まさか、知り合いがいたのか・・・?」
「・・・カーリー・・・。」
天井から瓦礫が落ちてくる。
「くそ、悪いがここはいったん出るぞ。」
「・・・ああ・・・!」
翌日
意識のないアキは童実野病院に運ばれた。医師による処置が施されたが、今も意識を取り戻さなかった。そんなアキを来人、龍亞、龍可、ジャックは部屋を隔てるガラスの向こうで見ていた。
「アキさん・・・。」
「・・・ねえねえ、なんか3人のシグナーが同じ場所にいるなんて、すごいことじゃないの?」
「・・・そうね。」
「・・・あとは・・・」
部屋の近くに、スーツを着た男性と連れの女性の姿が見えた。
「アキ・・・アキ・・・。」
女性は心配そうに、何度も名前を呼んだ。医師と看護師が二人のもとにやってくる。
「せ、先生! あの子の親です!」
「あの、娘の容態は・・・?」
「・・・十六夜の親か。」
(てか、親いたのか・・・。)
医師はアキの両親を部屋に入れる。
「私達、同じシグナーなのになにかできることないのかな? アキさんの心に話しかけるなにか。」
「・・・周りがシグナーだなんだって括っても、この間まで赤の他人だったしな。こればっかりはしょうがねえよ。」
「そういうことだ。俺たちにはアザを持つという共通点しかない。互いのことは何もわからない。分かり合いたいとも思わんがな。」
(できるとすれば・・・。)
来人、ジャックのある人物の顔が浮かんでいた。ジャックはアキの両親のいる病室に入る。
「ただ一人、この女の心の扉を開きかけた男がいた。」
「! だ、誰です?」
「・・・不動遊星!」
ジャックの言葉を聞いたアキの父はサテライトから遊星をヘリを使い、連れてきた。アキは目を覚ますが、アキの力が暴走をはじめ、遊星とのデュエルが始まった。そして・・・
アキ LP3500 手札2
【モンスター】
ブラック・ローズ・ドラゴン(ATK1200)
【魔法・罠】
遊星 LP50 手札1
【モンスター】
スターダスト・ドラゴン
【魔法・罠】
伏せ1
「トラップカード、シンクロ・ヘイロー!」
シンクロ・ヘイロー(アニメオリジナル)
通常罠
①:自分のSモンスターの攻撃で相手モンスターが破壊されなかった場合、その自分のSモンスター1体を対象として発動できる。そのSモンスターの攻撃力はターン終了時まで2倍になり、このターン、もう一度だけ続けて攻撃できる。
「シンクロモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊できなかった時、攻撃力を2倍にして、もう一度攻撃できる!」
スターダスト・ドラゴン ATK2500→5000
「今こそ魔女の呪縛を打ち破れ! スターダスト・ドラゴン! 響け、シューティングソニック!」
アキ LP3500→0
アキの説得に成功し、4人のシグナー、来人、龍亞はジャックの付き人、狭霧深影の案内でゴドウィン邸に来ていた。
「まさか、治安維持局長官の家に行く日が来るとはな。」
「お待ちしておりました。」
来人がぼやいているところに、ゴドウィンがやってくる。
「ようこそ。シグナーの諸君。随分と回り道をしてしまいましたが、やっとこうして皆さんとお会いできたこと、喜ばしく思います。」
「ふん。どこまでも胡散臭い男だ。」
「遊星、どうしてこんなところに来たの?」
ジャック、アキはゴドウィンへの不信感を見せる。
「ゴドウィンはあなたの仲間を人質にとって、無理やりフォーチュンカップに出場するよう命令したんでしょ? そんな奴のこと、信用するの?」
「いや、ゴドウィンがこれまでやってきたことは許すことはできない。だが、世界は今不可解な現象によって、滅びの危機に瀕している。その真相を知る者はゴドウィンをおいて他にはいない。」
「それを聞き出すために、あえて誘いに乗ったわけね。」
「今はそうするしかない。」
「なあなあ、俺たちに用ってなんだよ?」
「君を招待した覚えはないが?」
ゴドウィンは鋭い目で龍亞を睨む。
「そ、そんな~固いこと言わないでさぁ~。」
「シグナーでない者に用はありません。お引き取り願いましょう。」
「・・・・。」
「私、龍亞と一緒じゃないと行かない。」
ゴドウィンの言葉に、顔を曇らせる龍亞を見て、龍可が腕を組む。
「んじゃあ、俺が送るかね。さあ帰るぞ~。」
「・・・・・仕方ありません。」
「! よかったね、龍亞。」
「う、うん・・・。」
「んじゃあ、俺は帰ろうかな。シグナーじゃないしな。」
来人は背を向け、帰ろうとする。
「ら、来人・・・。」
「ああ、君なら構いませんよ。」
「・・・・え?」
「では、早速邸内へご案内いたしましょう。こちらです。」
「・・・なんで?」
ゴドウィンの思惑はわからず、仕方なく来人も遊星たちの後に続いた。