「終わったか・・・。」
「うん。でも・・・。」
龍可が空を見るとすでに日が沈み、辺りは暗くなっていた。
「・・・!?」
突如、巨大な地震が起きる。あまりに大きな揺れから龍可は来人にしがみついた。
「おいおい、なんだこの揺れは。」
「! あ、あれ!」
龍可が指さした方角で、巨大なコンドルの地上絵が浮かび上がっていた。
「コンドルの地上絵だと・・・? しかもあれがあんのシティじゃねえか。」
「いったいどうなってるの・・・!?」
「ひとまず遊星たちと合流するぞ。」
二人は遊星たちと合流した。そこにジャックと黒いDホイールに乗った男が現れた。
「ジャック! クロウ!」
「ん、おお、あんた来人・・・だっけ? 目が覚めたんだな。」
「ああ、どうもおかげさまで・・・って、それどころじゃねえけど。」
来人は巨大な地上絵を指さす。
「確かにな。こりゃいったい・・・。・・・! おい、あれ!」
クロウが空を見上げると赤き竜が現れ、全員が光に包まれる。
「う・・・!」
かなりの明るさで全員目を閉じる。しばらくして目を開けるとそこはサテライトではなく、ゴドウィン邸の庭だった。
「ここはゴドウィンの・・・。」
「待っていましたよ。シグナー諸君。どうやらダークシグナーとの戦いに勝利したようですね。」
そびえたつ祭壇からゴドウィンが現れる。
「だが冥界の扉を閉ざすことはできなかった。」
「ゴドウィン! 教えてくれ! 俺たちは負けてしまったのか!? この世界はもう・・・」
「ええ。終わります。」
「な・・・」
ゴドウィンは世界が滅びる事実を淡々と伝える。
「冥界の王は刻一刻と近づいています。」
ゴドウィンの視線と同じ方向に目を向ける。そこにはゆっくりと近づいてくる黒い泥のようなものでできた怪物が迫ってきていた。
「あれが冥界の王・・・。」
「冥界の王がなぜここに向かっている!」
「この神殿が神聖なる儀式の地だからです。その儀式のために赤き竜を使い私があなた方を呼んだ。」
そう言って、ゴドウィンはカプセルを取り出した。そこにはドラゴンの頭の赤いアザが入った左腕が入っていた。
「それが、最後のアザ・・・。」
「この腕は我が兄、ルドガーのもの。」
ゴドウィンは自身の背中のコンドルのアザを見せる。
「! そのアザは・・・。」
「そうだ。私はダークシグナーとなった!!」
カプセルから腕を取り出し、自身の左腕につけた。
「我は・・・神になる! 邪神の力で世界を滅ぼし、赤き竜の力で世界を新たな世界をここに作る! シグナーである君たちを完膚なきまでに叩き潰し冥界の王への生け贄とするのです!」
「・・・勝負だ、ゴドウィン! 俺たちで、冥界の王の復活を止めてみせる!」
こうして、遊星・ジャック・クロウとゴドウィンによるライディングデュエルが始まった。そして・・・
「く・・・!」
ゴドウィンの竜の頭のアザ、ドラゴンヘッドが遊星のもとに渡った。
「なぜだ・・・! 赤き竜は、神たる我を選んだのではなかったのかーー!!!」
「違う! 絆を選んだんだ! 俺たちのこの絆が、運命を超えていく!!」
遊星 LP1 手札2 SPC10
【モンスター】
スターダスト・ドラゴン(ATK2500/レベル8)
スターダスト・シャオロン(ATK100/レベル1)
【魔法・罠】
伏せ1
ゴドウィン LP5900 手札1 SPC7
【モンスター】
地縛神WiraqochaRasca(ATK1/レベル10)
【魔法・罠】
「現れろ! 救世竜セイヴァー・ドラゴン!」
救世竜セイヴァー・ドラゴン ATK0/レベル1
「レベル8のスターダスト・ドラゴンとレベル1のスターダスト・シャオロンにレベル1の救世竜セイヴァー・ドラゴンをチューニング! 集いし星の輝きが、新たな軌跡を照らし出す! 光さす道となれ! シンクロ召喚! 光来せよ、セイヴァー・スター・ドラゴン!!」
セイヴァー・スター・ドラゴン ATK3800/レベル10
「セイヴァー・スター・ドラゴンの効果により、地縛神WiraqochaRascaの効果を無効にする! サブリメイションドレイン!!」
セイヴァー・スター・ドラゴンがWiraqochaRascaの力を吸収する。
「トラップカード、シンクロ・バトン!」
シンクロ・バトン(アニメオリジナル)
通常罠
自分フィールド上に表側表示で存在するシンクロモンスター1体を選択して発動する。選択したシンクロモンスター1体の攻撃力は、自分の墓地に存在するシンクロモンスターの数×600ポイントアップする。
「俺たちの墓地のシンクロモンスター1体につき、攻撃力を600ポイントアップさせる!」
セイヴァー・スター・ドラゴン ATK3800→6200
「セイヴァー・スター・ドラゴンで地縛神WiraqochaRascaを攻撃! シューティングブラスターソニック!!」
「うああああ!!」
ゴドウィン LP5900→0
WINNER 遊星&ジャック&クロウ
LOSER ゴドウィン
遊星たちの勝利によって、冥界の王は消滅していった。
「・・・・・。」
来人はその様子を静かに見ていた。
ダークシグナーとの戦いのあと、シティとサテライトを繋ぐダイダロスブリッジがかけられた。遊星・ジャック・クロウはマーサの友人、ゾラのガレージで生活をしている。アキは休学になっていたデュエルアカデミアへ復帰した。そして・・・
「これで、よし。」
来人は腕の怪我の治療に2週間ほど専念し、現在は完治。治療の間は病院に近かった龍亞と龍可の家で過ごしていた。今は自分の荷物を段ボールにまとめていた。
「あれ、来人。何してるの?」
龍亞が来人に駆け寄る。
「何って、ここ出るから荷物整理してんだよ。」
「え!?」
「なんで驚いてんだよ。そりゃそうだろ。俺の家ここじゃねえんだから。」
「いいじゃん! このままここで俺たちと暮らそうよ~!」
「いくらなんでもそこまで図々しくねえよ。戻る。」
「暮らす!」
「戻る。」
「暮らす!」
「戻る。」
「暮らす!」
「・・・・・・。」
龍亞の意志の固さを見ると、来人は荷物を持って出ようとする。
「ちょ、待って待って待って!」
来人の体にしがみついて止めようとする。
「うお・・・しつこい、ぞ・・・!」
「お願い~・・・!」
「くそ、なんで・・・ここまで・・・!」
しばらく小競り合いを続ける二人の前に龍可が近寄ってくる。
「ん、おお、龍可! ちょっと・・・龍亞、なんとかしてくれ・・・!」
「・・・・。」
龍可はそっと来人の服の袖をつかんだ。
「・・・? 龍可?」
「・・・私からも、お願い。来人。」
「は・・・? ったく、お前まで・・・・・」
来人は必死な顔をした龍亞と涙ぐんだ龍可の顔を何度も見る。
「・・・・・はぁ~・・・参った参った。降参だよ。」
諦めたように肩を落とす。龍亞と龍可は顔が明るくなった。
「「やったー!」」
「まったく・・・。」
来人は荷物を元の場所に戻し、携帯を取り出した。
「・・・ああ、もしもし氷室か?」
『おお、来人か。どうかしたのか?』
「いや、ちょっといろいろあってな。戻るのやめるわ。」
『やめる? ・・・はは、随分と懐かれたな。』
来人の住んでいた部屋には、すでに氷室、矢薙が生活していた。来人は戻った後、3人で暮らす予定だった。電話の氷室は来人の様子から察したようだった。
「今からそっちに残ってる俺の荷物持ってくから。その部屋はあんたとじーさんでテキトーに使ってくれ。」
『ああ。わかった。んじゃあ待ってるぞ。』
「ん。」
電話を切った来人は喜ぶ二人を見て、落ち着くように息を吐いた。
「さて、荷物取ってくるかね。そんなに住んでほしいならお前ら手伝え。」
「うん!」
「もっちろん!」
こうして、来人は龍亞・龍可ともにトップスで暮らすことになった。
???
「・・・俺だ。・・・久しぶりだな。」
白い鬼の仮面をつけた男が誰かと連絡を取っていた。
「ゴドウィン兄弟は失敗だったな。変化は・・・? ・・・そうか。」
男は残念そうに項垂れる。
「・・・ああ、わかっている。もう、俺たちに残された道は一つだけだ。たとえそれが、・・・・・。」
通信を切った男は雲一つない空をじっと見上げた。