遊戯王5D's 苦悩する男   作:yvisi

29 / 134
第28話 アカデミアへ

遊星たちのガレージ

 

「へ~、それでもうすぐアカデミア通いってわけか。」

 

「まあな。少しこっち来るのは難しくなるな。」

 

遊星・ジャック・クロウはネオドミノシティで開催される第一回ワールド・ライディングデュエル・グランプリ、WRGPへの出場を目指していた。そのため、Dホイールの新たなのエンジンの開発に力を入れていた。

 

「ふん。貴様の手を借りずとも、俺たちでどうにでもなる。」

 

来人は、開発に使うパーツを伝手を使い、格安で手に入れていた。

 

「何言ってんだか。第一、おめえはまともに働いてねえんだろ? 元キングさんよ。」

 

「ぐぬ・・・!」

 

「来人。そろそろエンジンのテストをしたい。」

 

「よし来た。」

 

来人、遊星はパソコンの前に座り、ジャックはテスト用のDホイールに乗る。

 

「ジャック、始めるぞ。」

 

「ああ!」

 

テスト用エンジンをかけ、徐々に出力を上げる。

 

「60・・・70・・・今んとこ順調だな。」

 

「おっしゃ、行けるぜ! そのままレッドゾーンにぶち込め!」

 

「任せろ! このジャック・アトラスに成し遂げられないことなどない!」

 

クロウの言葉で、ジャックは一気にエンジンをかける。

 

ブー! ブー! ブー!

 

「ん?」

 

画面が赤く光り、エラー音が鳴る。

 

「ジャック、アクセルを戻せ!」

 

「なんだ、聞こえんぞ!」

 

「いや、だから、アクセ」

 

ドォーーン・・・!

 

大きな爆発音とともに周囲が黒い煙に包まれる。

 

「ゲホ・・・ゴホ・・・! し、死ぬかと思った・・・。」

 

「みんな、無事か!?」

 

「な、なんとかな・・・。」

 

「どうなってるんだ! 遊星! 来人!」

 

爆発によってテストエンジンが粉々になっていた。

 

「あーあ、また作り直しだなこりゃ。」

 

「お前が調子乗って無理するからだ!」

 

「何を言う! 貴様がアクセル全開にしろと言うから・・・」

 

「ほぉ~ジャック・アトラス様ともあろうお方が、他人の指示にはいそうですかと素直に従っちまったわけだ。途中であんなおかしい音したら、普通アクセル戻すだろ!」

 

「なんだと!?」

 

「やろうってのか!」

 

「お前ら喧嘩してないで片付け手伝えっての。」

 

「なんだ、また失敗したのか?」

 

片付けの最中、牛尾、深影がやってくる。

 

「四人とも、ちょっと話いいかしら?」

 

「・・・ん。」

 

神妙な顔を見て、来人たちは急いで粉々の部品を片付けた。

 

「相変わらずDホイールの開発やってるのか。」

 

「ああ。グランプリで勝つには、どうしても新しいエンジンが必要なんだ。」

 

「そのために、働きながらマシン作りに精を出すとはな。お前たちなら、いくらでもスポンサーがつくだろ。」

 

「俺もそう言ったんだけどなぁ~・・・。」

 

「今度の大会は自分たちの力で勝ち取ってこそ、意味があるんだよ。」

 

「その通りだ。シティとサテライトが一つになり、俺たちもその一員になれた。だが俺たちに何ができるのか、どうやったらこの街に貢献できるのか、それがこの大会に勝つことで見えてくる気がする。だからこそ、自分たちの手で成し遂げたい。」

 

遊星たちの決意が語られた後、牛尾は夜にハイウェイに現れるゴーストと呼ばれるDホイーラーの調査の協力を提案しに来た。しかし、クロウはマシン作りの忙しさから、すぐに断った。

 

「・・・さて、そろそろ戻るわ。」

 

「じゃあな、来人。」

 

「ん。」

 

軽く手を振って、来人はガレージを出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、牛尾はゴーストと遭遇しデュエルをした。しかし敗北し、遊星たちはゴースト捜索に乗り出した。そしてゴーストが召喚したシンクロモンスターを吸収するモンスター、機皇帝ワイゼルに苦戦を強いられるが、勝利する。ゴーストの正体はセキュリティから盗まれたライディングロイド、取締り用ロボットだった。

 

「わからねえことばかりだ。メモリーチップくらい残ってればな。」

 

牛尾は手がかりなしの状況にため息をつく。

 

「ああ、メモリーチップなら何も残ってなかったぞ。ほれ。」

 

来人はポケットにあったチップを牛尾に投げ渡した。

 

「多分、負けたらデータが消えるようになってたんだろ。」

 

「・・・って、お前、勝手に証拠品を!」

 

「かてーこと言うなよ。セキュリティの鑑識より、来人の腕の方が確かだぜ。」

 

「そりゃそうだが・・・。」

 

「しかし、シンクロモンスターを捕獲するロボットなんて、誰が何のために?」

 

「わからん。だがはっきりしていることは新たな敵が現れたということだ。」

 

「ジャックの言う通りだ。そいつがこの街を脅かすなら、俺たちは戦い続ける。」

 

「・・・・・。」

 

来人はライディングロイドの写真をじっと見る。

 

「・・・来人? どうかしたか?」

 

その様子を見て、クロウが顔を覗き込む。

 

「ん? いや、別に・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

二日後

 

デュエルアカデミア

 

職員室

 

「・・・・。」

 

「あの、緊張してます?」

 

どことなくそわそわした来人を見て、加納が声をかけた。

 

「いやあ、制服がなんか落ち着かなくて・・・。」

 

来人は普段の格好ではなく、アカデミアの制服に身を包んでいた。

 

「しかし、試験でデュエルした加納先生が担任とは・・・。」

 

「ええ、僕も驚いてますよ。」

 

加納は穏やかな笑みを浮かべる。

 

「おっと、そろそろ時間だ。では、教室に行きましょうか。」

 

「了解です。」

 

加納の後ろについて来人は教室に向かう。

 

「では、ここが君のクラスです。」

 

ドアの上の『1-B』のプレートを指さす。

 

「僕が紹介したら入ってきてください。」

 

「あ、わっかりました~。」

 

来人は軽く返事をする。

その後、加納は教室に入り、来人に教室に入るよう促した。来人はゆっくりとドアを開ける。

 

「・・・。」

 

教室内の視線が全て向いていると気づき、来人は小さく会釈をする。それを見て、生徒たち(特に女子生徒)はざわざわし始める。

 

「今日から転入してきた未谷来人君です。来人君、みんなに軽くでいいから挨拶を。」

 

「え~・・・今日から転入する未谷来人です。まあ、よろしくお願いします。」

 

パチパチパチパチと大きな拍手が起きる。

 

「来人君、席は・・・」

 

「先生、隣が空いてます。」

 

一番後ろの窓際の男子生徒が手を挙げた。

 

「ああ、ありがとう。じゃあ、来人君。」

 

来人は言われた席に座る。

 

「よろしく頼む。えっと・・・」

 

来人の呼び方に言葉が止まる。

 

「来人でいいよ。みんなそう呼んでるし。」

 

「そうか。俺は、丸藤亨。よろしく、来人。」

 

亨は少し頭を下げる。

 

「ああ、よろしく。」

 

「亨~こっちにも~。」

 

来人の右隣の女子生徒が二人に声をかける。

 

「ん、ああ。今話してきたのは影山ソラ。中等部時代から同じクラスの一人だ。」

 

「よろしくどうも、ソラ・・・さん。」

 

「ソラでいいよ。よろしくね、来人君。」

 

二人を話していると、他の生徒はその様子をじっと見ていた。

 

「?」

 

(よくわからんが・・・楽しめそうだな。)

 

こうして、来人のアカデミア生活が幕を開けた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。