「よっこいしょっと・・・。」
来人は遊星を乗せたDホイールをゆっくりと押していく。
「ふぅ・・・。」
「こっちも運んだよ。」
緑色の髪をした子供、龍亞そして、龍亞の妹、龍可は来人のDホイールを部屋の中に入れる。
「悪いね。わざわざ・・・ふあぁ・・・。」
大きく欠伸をする。
「これで・・・なんとか・・・」
「えぇ!?」
突然、来人は床に倒れてしまう。
「ど、どどどうしよう龍可!?」
「もう・・・落ち着いてよ。」
龍可は倒れた来人に顔を近づける。
「・・・大丈夫。寝てるだけ。」
「ね、寝てる・・・?」
取り越し苦労とわかると、龍亞はホッとした。
「と、とりあえず、ソファに寝かせよう・・・。うぅ・・・重い・・・。」
翌日
「・・・ん・・・んん・・・?」
来人はゆっくりと起き上がった。
「ここは・・・」
寝ぼけまなこながらも、いつもの自分の部屋ではないことに気づく。
「・・・あ。」
様子を窺っている双子の兄弟に気づいた。
「気がついた?」
「・・・そうだ、ここ着いてすぐ寝落ちしたような・・・。」
大きく欠伸をした後、テーブルの上にある自分のデッキを見つける。
「いや~・・・申し訳ない・・・。」
来人は自分と遊星を運んでくれた双子に丁寧に頭を下げる。
「ああ、名前まだか・・・。未谷来人だ。よろしく。」
「俺は龍亞! こっちは、妹の龍可!」
紹介された龍可は警戒するようにぺこりと頭を下げる。
「しかし・・・トップスか・・・。」
窓から見えるネオドミノシティの景色に安心からのため息をつく。
「・・・ん?」
ふと気づくと、龍亞と龍可はひそひそと話をしていた。
「龍可、なんでそんな警戒してんだよ。」
「だって、ちょっと怖い雰囲気がして・・・。」
「でも、カードの精霊は大丈夫だって言ってるんだろ?」
「そうなんだけど・・・」
「なんかあった?」
「え? あ、いや、なんでもないよ! なっ、龍可?」
「う、うん。」
「ふ~ん・・・。」
不意に来人に声を掛けられ、慌ててごまかす。
「さて・・・ここからどうするか・・・。」
遊星はまだ目を覚まさず、下にはおそらくセキュリティが張り込んでいるであろうことは容易に想像できた。
「あ、それだったらしばらくうちにいない? ここなら簡単に入ってこれないし。」
「いや~・・・そういうわけにも・・・。」
「いいじゃんいいじゃん! それに・・・。」
龍亞は来人の持っているデッキをじっと見る。
「ん? デッキがどうかしたか?」
「決まってんじゃん! デュエルだよ、デュエル!」
「デュエルか・・・。」
「龍亞・・・そんな場合じゃないでしょ?」
(ま、時間つぶしくらいにならなるか。遊星もまだ起きそうにないし。)
「よし、軽く相手してやろうかね。」
「やったやった!」
飛び跳ねて喜ぶ。
「じゃあ、準備するか。」
Dホイールからディスクを取り出し、左腕に装着する。一方、龍亞はクローゼットの中から大き目のデュエルディスクを取り出す。
「なんかデカくね?」
「これしかなくってさ。おっとと。」
デュエルディスクの重さからバランスを崩す。
「ちょい待ち。」
ひもを取り出し、ずれないように調整する。
「これでよし。」
「ありがとう! よ~し、行くぜ!」
3人は広いベランダに出る。
「行くぞ、龍亞!」
「「デュエル!」」
来人 LP4000 手札5
龍亞 LP4000 手札5
「俺のターン!」
来人 手札5→6
「カード・ガンナーを守備表示で召喚!」
カード・ガンナー DEF400/レベル3
「機械族デッキだ!」
「1ターンに1度、デッキの上からカードを3枚まで墓地に送ることで、攻撃力を500ポイントアップさせる! 俺は3枚墓地に送る!」
墓地に送られたカード
《スピードリフト》
《SRスクラッチ》
《SR 赤目のダイス》
「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
「俺のターン! シャッキーン!」
龍亞 手札5→6
「
D・ビデオン ATK1000/レベル4
「ディフォーマーはその表示形式で、発動するモンスター効果が変わるんだ! 攻撃表示のビデオンの効果は・・・これだ! 装備魔法、メテオ・ストライク! このカードをビデオンに装備!」
ビデオン ATK1000→1800
「! 攻撃力が上がった?」
「ビデオンは装備カード1枚につき、攻撃力を800ポイントアップさせる! しかも、メテオ・ストライクは装備モンスターに貫通効果を与えるんだ! これで攻撃すれば、大ダメージだ!」
「すぐ調子に乗るんだから・・・。」
「う、うるさい! バトル! ビデオンでカード・ガンナーを攻撃!」
「甘い! 速攻魔法、サイクロン! ビデオンに装備されたメテオ・ストライクを破壊する!」
ビデオン ATK1800→1000
「ああ、ビデオンの攻撃力が!?」
「これで、貫通効果もなくなった!」
「でも、カード・ガンナーは破壊できるもんね! 行けー! ビデオン!」
ビデオンの蹴りがカード・ガンナーに直撃し、機能を停止させ、破壊した。
「カード・ガンナーの効果。破壊されたとき、カードを1枚ドローする!」
来人 手札4→5
「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
来人 LP4000 手札5
【モンスター】
【魔法・罠】
龍亞 LP4000 手札3
【モンスター】
D・ビデオン(ATK1000/レベル4)
【魔法・罠】
伏せ1
「俺のターン!」
来人 手札5→6
「SR ダブルヨーヨーを召喚!」
SR ダブルヨーヨー ATK1400/レベル4
「モンスター効果発動! 墓地からレベル3以下のSR1体を特殊召喚する! 俺は赤目のダイスを特殊召喚!」
SR 赤目のダイス ATK100/レベル1
「赤目のダイス? いつの間に墓地に・・・。」
「カード・ガンナーの効果ね。」
「お、察しがいいな。」
「・・・ああ!?」
来人が墓地に送ったカードを思い出し、大きな声を上げる。
「そして、赤目のダイスはチューナーだ!」
「チューナー・・・ということは・・・。」
「レベル4のダブルヨーヨーにレベル1の赤目のダイスをチューニング! 昔より伝わりし剣劇よ、立ち塞がる敵をその身で切り払え! シンクロ召喚! いでよ、HSR チャンバライダー!」
HSR チャンバライダー ATK2000/レベル5
「おおー! かっこいいー!」
「そうだろう。セキュリティには刺さらなくてなぁ。」
「こんなにかっこいいのに・・・!」
「二人とも、まだデュエル中。」
「「あ・・・。」」
「つい忘れちまった・・・とにかく、バトルフェイズ! チャンバライダーでビデオンを・・・」
「おっと、ここで、トラップカード、D・バインド! ピカーン!」
チャンバライダーが攻撃しようとしたが、ビデオンの前に電気の流れたバリケードに阻まれてしまう。
「このカードはフィールドにディフォーマーがいる限り、相手はレベル4以上のモンスターで攻撃できなくなるんだ!」
「くそ、これじゃあ攻撃できねえな・・・。」
(サイクロンはこっちに使うんだったな・・・。)
「カードを1枚セット。ターン終了だ。」
「俺のターン! シャカーン!」
龍亞 手札3→4
「おっ! 来た来た来たー!」
ドローしたカードを見ると龍亞の目は輝きだした。
「D・モバホンを攻撃表示で召喚! シャキシャッキーン!」
D・モバホン ATK100/レベル1
「モバホンの効果! 1ターンに1度、ダイヤルに表示された数字の枚数、デッキからカードをめくって、その中のディフォーマーを特殊召喚できるんだ!」
モバホンの胸の部分に表示された1から6の数字が書かれたパネルを指さす。
「行っくぞ~! ダイヤル~・・・オ~ン!!」
数字のパネルがランダムに勢いよく点滅し、やがて、ゆっくりと止まり始める。
「数字は・・・5! これで5枚めくって・・・」
めくられたカード
《ダブルツールD&C》
《D・ボードン》
《ディフォーム》
《サイクロン》
《D・クロックン》
「よし! 俺はD・ボードンを特殊召喚!」
D・ボードン ATK500/レベル3
「ボードンは攻撃表示の時、ディフォーマーは相手にダイレクトアタックできるようになる!」
「げっ!」
「出た・・・龍亞のダイレクトアタックコンボ・・・。」
「ディフォーマーで一斉攻撃!」
モバホン、ビデオン、ボードンが一斉に来人に襲い掛かる。
「カウンタートラップ、攻撃の無力化! 攻撃を無効にして、バトルフェイズを終了させる!」
「くっそー! ターンエンド!」
来人 LP4000 手札4
【モンスター】
チャンバライダー(ATK2000/レベル5)
【魔法・罠】
龍亞 LP4000 手札3
【モンスター】
D・ビデオン(ATK1000/レベル4)
D・モバホン(ATK100/レベル1)
D・ボードン(ATK500/レベル3)
【魔法・罠】
D・バインド
「俺のターン!」
来人 手札4→5
(次のターン、来人は攻撃できない。俺のターンでまたディフォーマーを特殊召喚すれば・・・俺の勝ちだ・・・!)
「このデュエル、俺が勝っちゃうぜ!」
「龍亞、まだわからないわ。」
「何言ってんだよ。俺の方がモンスターの数は多いし、来人はレベル4以上のモンスターで攻撃できない! 俺が勝つしかないじゃ~ん!」
自分の勝ちを確信し、顔をニヤニヤさせる。
「そうか・・・なら、今から覚悟しとくんだな、龍亞!」
「へっ?」
「手札から、魔法カード、スピードリバースを発動! 墓地からスピードロイドモンスター1体を特殊召喚する! 俺は赤目のダイスを特殊召喚!」
赤目のダイス ATK100/レベル1
「赤目のダイスの効果発動! スピードロイド1体のレベルを1から6までに変更できる! チャンバライダーをレベル1に変更!」
チャンバライダー レベル5→1
「レベル1・・・? ・・・ああ!」
「そうだ! お前のD・バインドはレベル4以上に影響を与える! これでチャンバライダーは攻撃できるようになった! チャンバライダーで、モバホンを攻撃! チャンバライダーはダメージ計算時、攻撃力を200ポイントアップさせる!」
チャンバライダー ATK2000→2200
「うわあああ!」
龍亞 LP4000→1900
「まだ行くぞ! チャンバライダーは1ターンに2回攻撃できる!」
「に、2回攻撃!?」
「今度はボードンを攻撃! チャンバラスラッシュ!」
チャンバライダー ATK2200→2400
「う、うわあああ!!」
龍亞 LP1900→0
WINNER 来人
LOSER 龍亞
「・・・うっ・・・ひっく・・・。」
「おい、大丈夫か?」
攻撃で吹っ飛ばされ、派手にひっくり返った龍亞に手を伸ばす。
「あーあ、また泣いてる。」
「な、泣いてない・・・!」
そう言いながらも、腕で流れた涙を拭う。
「ま、いい線行ってたけどな。もうちょっと、相手のカードの警戒も必要だな。」
「いいデュエルだったな。」
「ああ・・・うぉ!?」
いつの間にか起きていた遊星がやってくる。
「おま・・・いつの間に?」
「少し前にな。」
「だったら声かけろって・・・。ま、どのみちしばらくここから動けそうにないけどな。」
「よし、今のを気にしながら・・・・・遊星! 今度は遊星とデュエルしたい!」
「もう・・・龍亞ったら・・・。」
「お、いいじゃん。やれやれ!」
深夜
「・・・よし。そっちは?」
「こっちも問題ない。」
二人はすでに寝ている龍亞と龍可を起こさないように、静かに工具を置く。
テーブルの上には青とピンクのデュエルディスクが置かれており、昼間に使っていた時より、サイズが小さくなっていた。
「んで? 本当に出るのか?」
「ああ。迷惑はかけられないからな。」
「俺はもう雑賀さんから報酬もらったし、さすがについていく義理はないな。ま、俺も朝になったら出るよ。」
「そうか。世話になった。」
「・・・遊星。」
出ようとした遊星を呼び止める。
「どうした?」
「・・・いや、なんだか、すぐまた会いそうな感じがしてな。」
「・・・そうか。じゃあな。」
Dホイールを押し、遊星は部屋を出て行った。