遊戯王5D's 苦悩する男   作:yvisi

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第33話 神隠し 死んでも守る約束

数日後

 

職員室

 

「・・・え? いいんですか?」

 

「ええ。かまいませんよ。よっと・・・!」

 

加納はアカデミアの倉庫にあったガムテープに包まれた段ボールを来人の足元に置く。

来人は交流授業後、おジャマたちのデッキを返そうとした。しかし、おジャマたちがごねまくったため、念のため、デッキをもらえないか確認していた。

 

「・・・あ、ありがとうございます・・・。」

 

『よっしゃー!』

『やったー!』

『やっと出られるー!』

 

(くそが・・・。)

 

来人の横でおジャマたちは喜びを露にしていた。その様子を見て、来人は心の中で舌打ちした。

 

 

 

 

 

 

 

 

学食

 

「それで、おジャマデッキが来人のものになったわけか。」

 

来人、亨、亘、翔一は昼食を食べながら、おジャマデッキの顛末について話していた。

 

「つか、こんなのの話はもういいんだよ。なんか面白い話無いのかよ。」

 

「こんなのって・・・もらったカードでしょう?」

 

『そうだそうだ!』

『つれないこと言わないで~。』

『仲良く行こうよ兄貴~。』

 

「・・・すっこんでろ。」

 

『『『ひぃ~!』』』

 

小声で凄まれ、即座におジャマたちは引っ込んだ。

 

「? 来人、何か言ったか?」

 

「いや、なんでもねえ。気にすんな。それより翔一。なんか面白い話あるか?」

 

「オレに聞くな。・・・いや、確かこんな話を聞いたな。」

 

呆れてため息をつくが、ある話を思い出した。

 

「あるんですか。」

 

「たまたま聞いたんだ。神隠しのな。」

 

「神隠し? なんだ、それは。」

 

「森の中で何人も行方不明者が出ているらしい。森の化け物の仕業だの何だのって聞いたな。」

 

「都市伝説のようなものですか。まあ、大概は噂程度でしょう。」

 

「行方不明ねえ・・・つうか、よくそんな話聞いてたな。」

 

来人はコップにたっぷり入った水を一口で飲み干す。

 

「ああ。かなりでかい声で言ってたからな。肝試しにいくとか。確か・・・緑の髪だったような・・・。」

 

「へえ~・・・・・・・・ん?」

 

緑の髪と聞き、よく知った顔が来人の頭に浮かんだ。

 

「・・・・・まさかな。」

 

 

 

 

 

 

 

放課後

 

「ふ~・・・一日ってのはなげえよな~・・・。」

 

授業が終わり、来人はリラックスしてだらける。

 

「途中寝たりしてたじゃない。」

 

隣のソラは呆れている。

 

「・・・ま、ゆっくりもしてられないんだがな。よっこいしょっと。」

 

伸びをしてゆっくり立ち上がる。

 

「? 何かあるの?」

 

「ちょっとDホイールのパーツ見繕ってくる。やっっすいのをな。」

 

「へぇ~・・・。」

 

 

 

 

 

 

「・・・おい、この質でこの値段はぼったっくってねえか?」

 

「勘弁してくれって、来人の旦那。これでもだいぶ下げてんだよ・・・。」

 

「なぁに言ってんだ。まだまだ下げられんだろ?」

 

来人は意地悪そうに笑う。

 

「うぐぐ・・・・・・。」

 

店の男はうなりながら悩み始める。

 

「・・・・はぁ~・・・なら、この値段なら、どうで?」

 

電卓の数字を見せる。

 

「・・・・うん。よし、それで買おう。」

 

「へい、まいど・・・。」

 

ピリリリリ!

 

「・・・ん?」

 

代金を支払ったところに、来人の携帯が鳴る。

 

「・・・天兵か。珍しい。・・・はいよ。」

 

『た、たた大変なんだ!』

 

「落ち着けって。何かあった?」

 

『る、龍可が森で迷子になって・・・龍亞も龍可を探すって森へ・・・!』

 

「やっぱりあいつか・・・。」

 

僅かに感じていた予感が当たり、来人は右手で顔を覆う。

 

「・・・すぐ行く。少し待ってろ。」

 

電話を切り、部品を荷台にしまうと、Dホイールに乗り猛スピードで走り出した。

 

「ったく、あいつら・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

神隠しの森

 

「さ~て、どこいるんだ?」

 

周囲を見ながら、森の中を突き進んでいく。

 

「・・・お?」

 

進んでいくと、一件の大きな屋敷が見え、屋敷の前でDホイールを止める。

 

「・・・ここか? こんなとこに住むとは物好きもいるもんだな。」

 

屋敷をまじまじと見つめていると、玄関の大きなドアが開かれた。ドアから青い髪の少年が険しい顔をして出てきた。

 

「ん? なあ、ちょっと聞きたいことが」

 

「悪霊め! ここから先へは行かせないぞ! 僕とデュエルだ!」

 

少年は腕につけたデュエルディスクを展開する。

 

「はぁ? 悪霊? 何の話だ?」

 

「来人!」

 

「ん? ・・・あ!」

 

屋敷から呼ぶ声がしたため、窓を凝視すると部屋の中に龍可の姿があった。

 

「なんだ、ここにいたのか。」

 

来人が屋敷に近づこうとすると玄関のドアがいきなり閉じられる。

 

「行かせないと言ったはずだ。」

 

「お前の相手する理由はない。さっさとドアを開けろ。」

 

「・・・・・。」

 

少年は来人を睨みつける。

 

「・・・くそ、なんでこうなるんだ。」

 

Dホイールにセットされたデュエルディスクを接続させる。

 

「すぐに終わらせてやる。」

 

「「デュエル!!」」

 

少年 LP4000 手札5

 

来人 LP4000 手札5

 

「僕のターン!」

 

少年 手札5→6

 

「永続魔法、サークル・オブ・ライフを発動!」

 

サークル・オブ・ライフ(アニメオリジナル)

永続魔法

お互いのプレイヤーは自分のターンに魔法カードを発動できない。ターンプレイヤーはメインフェイズ1に手札の魔法カードを1枚捨てることで、この効果をターン終了時まで無効にできる。

 

二人の足元に黄色の魔法陣が現れる。

 

「なんだ?」

 

「このカードがある限り、お互いに手札の魔法カードを捨てなければ、魔法カードを発動できない。」

 

「ちっ、面倒なカード使いやがる。」

 

「僕のコンボを見せてやろう。手札から囚われの鏡を墓地に送る。」

 

少年 手札5→4

 

「そして更なる永続魔法、サークル・オブ・テラーを発動!」

 

サークル・オブ・テラー(アニメオリジナル)

永続魔法

お互いのプレイヤーは自分のターンに通常召喚・反転召喚・特殊召喚できない。ターンプレイヤーはメインフェイズ1に手札のモンスター1体を捨てることで、この効果をターン終了時まで無効にできる。

 

黄色の魔法陣の外周に沿うように赤色の魔法陣が現れる。

 

「これでモンスターを墓地に送らなければ、互いにモンスターを召喚できない。」

 

「何・・・?」

 

来人は手札をじっと見る。

 

(くそ、面倒な手使いやがって・・・毎ターン手札が減らされる・・・!)

 

「そして手札のスリーピー・ビューティーを墓地に送る。」

 

スリーピー・ビューティー(アニメオリジナル)

効果モンスター

レベル1/闇属性/アンデット族/ATK0/DEF0

このカードが墓地に存在する限り、手札のアンデット族モンスターのレベルは1つ下がる。

 

「これで手札のアンデット族モンスターはレベルが1つ下がる。よってレベル5のホロウ・スピリットはレベル4となり、リリースなしで通常召喚できる!」

 

ホロウ・スピリット(アニメオリジナル)

効果モンスター

レベル5/闇属性/アンデット族/ATK1200/DEF1000

自分の墓地にアンデット族モンスターが存在する場合、1ターンに1度、相手ライフに800ポイントダメージを与える。このカードが破壊され墓地に送られた時、自分の手札・デッキ・墓地から「ホロウ・ゴースト」1体を特殊召喚する。

 

「ホロウ・スピリットの効果! 墓地にアンデット族モンスターがいる場合、相手に800ポイントのダメージを与える!」

 

「ぐああああ!」

 

来人 LP4000→3200

 

「ぐ・・・!」

 

体への痛みから思わず膝をつく。

 

「なんだ、この衝撃・・・! こいつ、なにもんだ?」

 

「僕のターンは終了だ。」

 

「くそ、俺のターン!」

 

来人 手札5→6

 

「・・・俺は電々大公を墓地に送る。」

 

「おっと、ただモンスターを墓地に送るだけでは意味がない。」

 

「何?」

 

「僕がさっき墓地に送った囚われの鏡は同じ種族のモンスターを犠牲にしなければ攻撃できない。ただし、アンデット族と機械族は例外だけどね。」

 

その言葉に来人はにやりと笑う。

 

「忠告ありがたいが、問題ねえよ。俺はSRマジックハウンドを召喚!」

 

SRマジックハウンド ATK800/レベル3

 

「機械族デッキ・・・!?」

 

「マジックハウンドの効果! デッキのスピードロイドカード1枚を墓地に送る! 俺は赤目のダイスを墓地に送る。さらにタケトンボーグを特殊召喚!」

 

SRタケトンボーグ DEF1200/レベル3

 

「このカードは風属性モンスターがいるとき、特殊召喚できる! そして、自身をリリースすることでスピードロイドチューナー1体をデッキから特殊召喚できる! SRカールターボを特殊召喚!」

 

SRカールターボ DEF1200/レベル3

 

「レベル3のマジックハウンドにレベル3のカールターボをチューニング!風を纏う魔剣がここに現れる! シンクロ召喚! 貫け、HSR魔剣ダーマ!」

 

HSR魔剣ダーマ ATK2200/レベル6

 

「魔剣ダーマの効果! 墓地のタケトンボーグを除外して、500ポイントのダメージを与える!」

 

「く!」

 

少年 LP4000→3500

 

「ん、この音・・・。」

 

ダメージを与えたところで、Dホイールの走行音が聞こえる。

 

「! 遊星! 龍亞!」

 

音の主はDホイールに乗った遊星と龍亞だった。

 

「龍亞はともかく・・・遊星、なんでお前まで?」

 

「天兵から話は聞いた。だが、これはいったい・・・。」

 

「来人、龍可は!?」

 

龍亞に聞かれ、来人は目の前の屋敷を指さす。

 

「あん中だ。だがあいつの聞き分けが悪くてな。」

 

「また悪霊が現れたか。」

 

「ここは俺がなんとかする。隙見てお前ら、屋敷ん中入れ。・・・バトル! 魔剣ダーマでホロウ・スピリットを攻撃!」

 

「ぐあああ!」

 

少年 LP3500→2500

 

「!!」

 

少年がひるんだ隙に遊星が龍亞とともにDホイールで屋敷の中に突入した。

 

「く・・・!」

 

少年は遊星を追おうとする。

 

「お前の相手は俺だ!」

 

「・・・許さない。」

 

「あ?」

 

「僕の大切な妹を・・・クレアを傷つける奴は・・・絶対に許さない!!」

 

少年の周りを無数の怨霊が取り囲んだ。

 

「!? お前・・・一体何者だ? あの雰囲気・・・こいつ自身が悪霊ってことか・・・?」

 

手札のあるカードをじっと見る。

 

「ホロウ・スピリットの効果発動! このカードが墓地に送られたことで、デッキのホロウ・ゴーストを特殊召喚する!」

 

ホロウ・ゴースト(アニメオリジナル)

効果モンスター

レベル7/闇属性/アンデット族/ATK2600/DEF0

このカードは通常召喚できない。「ホロウ・スピリット」の効果でのみ特殊召喚できる。カードが墓地に送られる度に、相手ライフに600ポイントダメージを与える。自分の墓地に「ホロウ・スピリット」が存在しない場合、

このカードの攻撃力は0になる。

 

(だったら・・・!)

 

「3枚カードを伏せ、ターンエンド!」

 

少年 LP2500 手札1

【モンスター】

ホロウ・ゴースト(ATK2600/レベル7)

【魔法・罠】

サークル・オブ・テラー

サークル・オブ・ライフ

 

来人 LP3200 手札0

【モンスター】

魔剣ダーマ(ATK2200/レベル6)

【魔法・罠】

伏せ3

 

「僕のターン!」

 

少年 手札1→2

 

「ホロウ・ゴーストで魔剣ダーマを攻撃!」

 

「永続トラップ、ディメンション・ガーディアン! 魔剣ダーマは戦闘では破壊されなくなる!」

 

「だがダメージは受けてもらう!」

 

「ぐあああ!」

 

来人 LP3200→2800

 

「さらにサークル・オブ・ライフとサークル・オブ・テラーの効果により、2枚のカードを墓地に送る! そして、ホロウ・ゴーストの効果により、カードが墓地に送られるたびに600のダメージを与える!」

 

「うぐ、ぐあああ!」

 

来人 LP2800→2200→1600

 

「これで僕は、ターンエンド。」

 

「く、俺のターン!」

 

来人 手札0→1

 

「トラップ発動! 無限泡影! ホロウ・ゴーストの効果をこのターン、無効にする!」

 

ホロウ・ゴーストの目から光が失われる。

 

「さらにマジック・ディフレクターを発動! このターン、互いのフィールド魔法、装備魔法、速攻魔法、そして永続魔法の効果は無効になる!」

 

「な、なんだと!?」

 

二人の足元にあった魔法陣が消滅する。

 

「墓地の電々大公の効果発動! このカードを墓地から除外することで、手札、墓地のスピードロイドチューナー1体を特殊召喚できる! 戻れ! 赤目のダイス!」

 

赤目のダイス ATK100/レベル1

 

「赤目のダイスの効果! 魔剣ダーマのレベルを4にする!」

 

魔剣ダーマ レベル6→4

 

「墓地のカールターボの効果! 墓地のこのカードとマジックハウンドを除外し、風属性モンスターの攻撃力を800ポイントアップさせる!」

 

魔剣ダーマ ATK2200→3000

赤目のダイス ATK100→900

 

「く!」

 

「バトル! 魔剣ダーマでホロウ・ゴーストを攻撃!」

 

「ぐああ!」

 

少年 LP2500→2100

 

「赤目のダイスでダイレクトアタック!」

 

「く!」

 

少年 LP2100→1200

 

「これでとどめだ! トラップカード、緊急同調! バトルフェイズ中にシンクロ召喚を行う!」

 

「何!?」

 

「レベル4となった魔剣ダーマにレベル1の赤目のダイスをチューニング!昔より伝わりし剣劇よ、立ち塞がる敵をその身で切り払え! シンクロ召喚! いでよ、HSRチャンバライダー!」

 

HSRチャンバライダー ATK2000/レベル5

 

「チャンバライダーでダイレクトアタック!」

 

「ぐああああ!!」

 

少年 LP1200→0

 

WINNER 来人

LOSER 少年

 

「ふぅ~・・・。」

 

来人は一息つき、その場に座り込んだ。

 

「僕じゃ・・・僕の力じゃ・・・クレアを守り抜くことはできないのか・・・!」

 

「そんなことない!」

 

龍可が龍亞、遊星とともに出てくる。

 

「お、無事だったか。」

 

「お兄ちゃん・・・!」

 

金色の髪にリボンをつけた少女が足を動かさず、少年に近づいた。

 

「・・・本当に幽霊だったのかよ。」

 

「クレア・・・僕は、お前を守れなかった・・・。」

 

「・・・・。」

 

一瞬、来人は険しい顔で少年を見た。

 

「もう・・・十分守ってもらったわ。」

 

「・・・ありがとう・・・クレア・・・。」

 

二人は光に包まれ、ゆっくりと上に上がっていき、姿を消した。

 

「約束は死んでも守るが俺のモットーなんだが・・・大したもんだ。」

 

「大丈夫か、来人。」

 

遊星は座っている来人に手を差し伸べる。

 

「ん、サンキュ。」

 

遊星の手を取り、ゆっくりと立ち上がる。

 

「さて・・・帰るとするか。クタクタだ。」

 

「ああ、天兵が心配している。」

 

「「・・・あ、忘れてた。」」

 

来人、龍亞の声が重なった。

 

「も~・・・二人とも・・・。」

 

「あははは!」

 

その後、神隠しに会った人々は解放され、森の中の屋敷は跡形もなくなくなっていた。

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