翌朝
「いなーい!!」
起きてきた龍亞はいなくなっていた遊星の姿を探す。
「いない! いない! いない! いない!」
「龍亞・・・なんなの?」
眠い目をこすりながら、龍可が部屋から出てくる。
「龍可! 遊星と来人がいなくなってる!」
「龍亞、何言ってるの?」
「だからぁ~遊星と来人がいないんだよ!」
「来人ならそこにいるわ。」
「え?」
龍可が指をさした先にはソファで寝息を立てていた来人がいた。
「あ・・・ら、来人! 来人!」
「んがっ。」
龍亞に体を強く揺さぶられ、来人はゆっくりと起き上がる。
「んだよ、人がいい夢見てるときに。」
「来人! 遊星は!?」
「お前らが寝た後に出てったよ。ま、止めてもどうせ出てっただろうけど。ああ、それと・・・じゃっじゃじゃーん。」
テーブルの上の2台のデュエルディスクを手に取る。
「あ~、軽くなってる! 俺のサイズにピッタリだ!」
「私たちに合うようにしてくれたの?」
「ああ。龍亞のは遊星が。龍可のは俺がやった。」
「すっげぇ~なんでもできるんだ・・・。」
ピッタリになったデュエルディスクを装着し、腕をぶんぶん回してはしゃぐ。
プルルルル!
テレビ電話の通信が入る。
『おはよう! 龍亞、龍可!』
画面に蝶ネクタイに眼鏡をかけた少年が映し出される。
「おぉ、天兵! 早いな!」
『約束今日だぞ! 忘れてないよな! ・・・あれ? お客さん?』
龍亞と龍可の後ろにいた来人の存在に気づく。
「ん、ああ、俺のことはお構いなく。いないものと思ってもらって。」
『はあ・・・。』
「ま、まあ、そういうことで! で、え~っと・・・なんだったけ?」
『黒薔薇の魔女だよ!』
「そ、そうだった! 魔女を倒しにダイモンエリアに行くんだっけ!」
(魔女・・・ああ、確かそんなんいたな。)
「二人とも大丈夫? 魔女ってすっごいデュエルが強いんでしょ? ウワサだとデュエルした人はみんな・・・」
『大丈夫だって! 俺、魔女を倒す最強デッキ考えたんだ!」
「俺もやるぜ!」
自分のやる気を見せるように、龍亞は腕のデュエルディスクを見せる。
『あれ? そのディスク、いつもと違くない?』
「まーねー。カスマタイズしてもらったんだ!」
「それを言うならカスタマイズ。」
『ていうか、龍亞ってそんなことできたっけ?』
「へへ、実はすごい人に会っ・・・」
「ちょ、龍亞!」
遊星の名前を出そうとした龍亞の口を龍可が手でふさぐ。
「何考えてんのよ! 遊星追いかけられてるのよ!?」
「あ、そ、そうだった・・・。」
龍可は急いで電話を変わる。
「ご、ごめんね! 私達、朝ごはんまだだから、またあとで電話するね!」
早口で言い、テレビ電話を切った。
「遊星のことは、私達だけの秘密よ!」
「・・・うん。俺、もう一度遊星に会いたいなぁ・・・。」
「何、心配するな。」
「え?」
「なんか、すぐ会えるような予感がする。予感だけどな。」
ピンポ~ン
「あれ? 荷物かな。」
「どれ、俺が出るかね。」
あくびをしながら、玄関に向かう。
「は~い。・・・ん?」
ドアを開けると、ピエロのメイクをした男が立っていた。
「イ~ヒッヒッヒ、わたくし、治安維持局のイェーガーと申します。」
「はあ・・・。」
「こちらを。」
イェーガーは1枚の封筒を取りだし、来人に渡す。
「ああ、どうもどうも。」
「では、失礼。」
渡すと、すぐに去っていった。
「・・・なんだあのどんぐりピエロ。」
ぼそっとつぶやくと、ドアを閉め、リビングに戻る。
「来人~。何だった?」
「なんかピエロみたいなやつが来てた。ほい。」
受け取った封筒を龍亞に渡す。
「・・・あれ? これ、来人宛だよ?」
「はあ? なんでここに俺宛の手紙が来るんだよ。」
もう一度封筒をちゃんと見た。
「・・・本当だ。俺宛だ。なんでここが・・・?」
「・・・え、ていうか、それって・・・・・!」
龍亞が何かに気づき、わなわなと体を震わせる。
「・・・フォーチュンカップ・・・?」
「え!?」
龍可も驚き、封筒を覗き込む。
「来人も選ばれたんだ! 実は、龍可も選ばれてるんだよ!」
「へえ・・・。」
「私、出る気ないから。」
「聞いた? 龍可いっつもこうなんだ。だから、当日は、俺が龍可の格好して出ようと思うんだ。」
「龍亞に私の真似は無理だから。」
「無理じゃないって! 同じ顔してるんだから!」
来人を忘れ、言い合いを始めてしまう。
「ったく・・・。しかし、フォーチュンカップね・・・。」
数日後
フォーチュンカップ会場
来人、龍亞、龍可は予感通り、遊星と再会した。その遊星の後ろには仲間だという、氷室、矢薙がいた。
「・・・うん、これでよし。」
来人は龍亞の髪をまとめていた。
「どう? 龍可にそっくりでしょ?」
そう言う龍亞の服はいつもの服ではなく、龍可がよく着る服を着ていた。また、大げさなほどに化粧がされている。
「さすが双子。全然わからんよ。」
矢薙はうんうんと頷く。
「でしょでしょでしょ~・・・いで!?」
はしゃぐ龍亞に龍可が脛を蹴った。
「私そんなんじゃない!」
「まあまあ、ちゃんとやるから安心しろって。
じゃあ~・・・遊星、来人。行きましょ~。」
「ああ。」
「しかし、龍亞。化粧はさすがにいらねえだろ・・・。」
「あ~ん、やっぱり~?」
「エビバディリッスン!! デュエル・オブ・フォーチュンカップ、ついに開幕だーーーー!!!」
MCの掛け声と共に、キングであるジャック・アトラス、そしてそのエースモンスター、レッド・デーモンズ・ドラゴンが姿を現した。
「キングは一人! この俺だ!! 俺とデュエルするのは、誰だ!」
ステージがせり上がり、来人たちの姿がスタジアムに現れ、会場は盛り上がる。しかし・・・
「おい、マーカーつきがいるぞ。」
「誰かの招待状、盗んできたんだろ?」
遊星のマーカーに気づいた観客がざわざわし始める。
「お集まりの諸君! 私の名はボマー!」
ボマーという男がMCのマイクを取り、観客に向かって話し始める。観客が次第に静かになる。
「ここに立つデュエリストとして、諸君らが一体何を見ているのか問いたい!」
そう言って、遊星を指さす。
「この男は我々と同じ条件で選ばれたまぎれもないデュエリストだ! カードを持てば、マーカーがあろうがなかろうが、皆同じだ! この場にっていることに何ら恥じることはない。むしろくだらぬ色眼鏡で彼を見る諸君の言葉は、暴力に他ならない!」
ボマーが言い終えると、治安維持局長官、ゴドウィンは静かに拍手した。すると、会場が拍手に包まれた。
「さあ、一回戦の組み合わせはこうだーーー!!」
一回戦 組み合わせ
龍可 VS ボマー
未谷来人 VS ジル・ド・ランスボウ
不動遊星 VS 死羅
十六夜アキ VS 来宮虎堂
「あ、俺第一試合だ! やった!」
龍亞はボマーをじっと見る。
「俺は第二試合か。相手は・・・あれか。」
騎士の格好をした男を見る。
「さて・・・どうなるかね。」
来人は楽しむようにニヤリと笑った。