龍亞・龍可の家
「おはよ~来人。」
「ん、おはよう。龍亞。」
「・・・・んん・・・・。」
「・・・おはよう、龍可。」
「・・・・・。」
龍可は少し頷くと椅子に座った。
「・・・・・。」
翌日
「・・・・・。」
ぼーっとしながら、龍可がゆっくりとやってくる。
「・・・おはよう、龍可。」
「・・・・・・・。」
来人の挨拶に頷かず、そのまま椅子に座る。
「・・・・・・。」
さらに翌日
「・・・・・。」
元気のない目で龍可がやってくる。
「・・・お、おはよう・・・龍可・・・。」
「・・・・・・・。」
またなにも反応せず、椅子に座った。
「・・・・・・。」
デュエルアカデミア
食堂
「・・・・・。」
頭を抱えながら、来人はうどんを口に運ぶ。
「随分と悩んでいる顔をしてるな。」
亨たちが席に着く。
「・・・ちょっとな。」
「何かあったの?」
「・・・・・ちょっと聞いてくれない?」
来人はここ数日の龍可の様子について話した。
「・・・どう思う?」
「どう思うって、言われてもな・・・。」
「正直に言うと、本人に聞いた方がいいのでは?」
「その方が早い。」
亨、亘、翔一ははっきりを言い切った。
「やっぱそうだよなぁ~・・・。」
「来人、龍可ちゃんに何かしたの?」
「心当たりがねえからこうして困ってんだろ? はあ・・・なにがどうなってんだか・・・・。」
翌日
小等部6-Cの教室
「はあ・・・。」
龍可は机に顔を伏せ、深くため息をついた。
「龍可・・・そんなにため息つくくらいなら、来人と話せばいいのに・・・。」
「・・・だって・・・。」
「みんな。席に着いて。」
龍可たちの担任のマリアが入ってくる。龍可は顔を上げる。
「今日はみんなに新しいお友達を紹介するわ。入ってきて。」
マリアが呼ぶと一人の男子生徒が入ってきた。赤毛の長い髪を三つ編みにし、中性的な顔立ちをしていた。
「今日からこのクラスに転校してきたルチアーノ君よ。」
「ルチアーノです。どうぞよろしく。」
ルチアーノを見て、女子生徒たちはみな、「かっこいい・・・。」といった声が上がる。龍可はルチアーノの顔をじっと見る。
「・・・・。」
ルチアーノは龍可を見て、にこやかに笑った。
「・・・!」
龍可は少し顔を赤くし、照れから下を向く。
(なんなんだよあいつ・・・。てか、龍可ってば・・・来人がかわいそうだよ。)
高等部1-Bの教室
「・・・へっくし!」
来人は教室内で盛大なくしゃみをした。
「どうした? 風邪か?」
「さあ、どうだか。」
マリアによるルチアーノの紹介が始まる。
「みんなはデュエルアカデミアイースト校で行われているジュムナエルグランプリは知ってるわね?」
「はい! あの出るだけでも難しいっていう大会ですよね?」
クラスメイトの一人、ボブが元気よく答える。
「ええ。ルチアーノ君はその大会で優勝したことがあるのよ。」
「ええ!? 優勝!?」
「すごい・・・。」
龍可の席に近い席にいる明莉、パティがルチアーノの実績に驚く。
「みんな聞きたいことがあれば、どんどんルチアーノ君に聞いたらいいわ。きっと、いい勉強になるから。」
(ふん、何が優勝だよ。運がよかっただけだろ? あんな奴、すぐに倒してやる。)
夜
龍亞・龍可の家
「・・・・・。」
夕飯を食べている来人は目の前に座る龍亞と龍可の顔を交互に見る。龍可は朝とは違い、元気な様子で反対に龍亞の方はふてくされた顔をしていた。
「なんかあった?」
「・・・あったよ。いろいろね。今日来た転校生がさぁ・・・。」
「転校生?」
「すごかったのよ! ルチアーノ君っていって、デュエルがすっごく強いの!」
興奮気味に龍可はルチアーノのことを話す。
「珍しいな。ここまで喋る龍可。」
「だって本当にすごいんだもん! ね、龍亞!」
「ごちそうさま!」
不機嫌に立ち上がり、食器を片付けた。
「? どうしたんだ? 龍亞のやつ。」
「デュエルでルチアーノ君に負けたのが気に入らないみたい。」
「ふーん・・・・。」
翌日
「ん?」
来人はアカデミアの前で言い争いをしている龍亞の姿を見つけた。
「何やってんだか・・・・・あいつか。」
言い争いの相手は昨日二人から聞いたルチアーノだった。教室に向かうため、来人は噂のルチアーノとすれちがった。
放課後
「さて・・・そろそろ帰るかね。」
帰るため、外に出ると・・・
「来人来人来人!!」
慌てた様子で龍亞が走ってくる。
「どうした、龍亞。血相変えて。」
「来人! Dホイール乗せて!」
「は? いや、なんで。」
「龍可がルチアーノの家に行っちゃったんだよ! 早く追いかけないと!」
「別にいいだろ。どこの誰んちに行こうが。」
「いいから早く早く!」
「・・・はあ、しょうがねえなぁ・・・。」
諦めたようにDホイールに龍亞を乗せ、ルチアーノの家に向かった。
「・・・随分な豪邸だな。」
巨大な白を基調とした屋敷が二人の前にあった。
「早く入んないと・・・!」
龍亞は門をよじ登ろうとする。
「おい、待て待て! チャイムくらい鳴らし・・・どこにあるんだ?」
「よっと!」
いつの間にか門の向こうに入ってしまった。
「あいつどんだけ気に食わねえんだよ。ここで待っとくからな~!」
手を振って、勝手に入っていった龍亞を見送った。それから十分ほど経つと・・・・
「・・・お、戻ってきた。」
「来人! 遊星のとこ!」
「お前俺をタクシーかなんかだと思ってない?」
「お、思ってないってば・・・。ほ、ほんとに・・・。」
そう言いながらも龍亞は目を逸らす。
「・・・まあいいわ。つか、龍可はいいのか?」
「今はとにかく遊星のとこ!」
「はいはい・・・。」
ガレージ
「デュエルボード?」
「うん、こんな感じの乗り物で・・・」
ガレージに着いた龍亞は遊星、ジャック、来人に説明するためホワイトボードにスケボーのようなものを書く。
「デュエルディスクとつなげて連動できるようになるんだ。」
「ふ~ん・・・。」
「なるほど、それなら簡易的にライディングデュエルができる。面白いものを考えたな。」
「遊星、どう?」
「どうって・・・余ってるパーツを使えば作れないことはないが・・・。」
「俺、どうしてもルチアーノに勝ちたいんだ! 勝ってあいつの鼻を明かしてやりたいんだ! ねえ遊星、いいでしょ!?」
「・・・仕方ないな・・・。」
遊星は諦めたようにため息をつく。
「悪いな、忙しいときに。」
「気にするな。」
「龍亞、これからどうするんだ?」
「今日はここにいる!」
「言うと思った。んじゃあ、俺は帰るとするかね。」
「え!?」
「いや、龍可ほっとくわけにもいかないだろ?」
(ま、今はしっかり話してくれるし、大丈夫だろ。)
「じゃ、じゃあ、龍可にはこのこと言わないで!」
「わかったわかった。」
夕方
「ただいま~。」
龍可がピンクのボードのようなものを持って帰ってきた。
「おかえり、龍可。」
「来人・・・あれ、龍亞は?」
「ああ、今日は遊星のとこだ。」
「遊星の? 何かあったの?」
「ん? ああ・・・」
言おうとしたが、内緒だと言われたことを思い出した。
「・・・秘密。」
「///!」
ニヤリと笑う、来人の顔を見て、龍可は顔を赤くする。
「・・・ん、それなんだ?」
「///え? あ、これ・・・もらったの! ルチアーノ君に!」
「へぇ・・・。」
初めて見たかのようにデュエルボードを手に取る。
「ちょっといろいろ調べてもいいか?」
「う、うん・・・いいよ。夕飯の支度しておくね。」
「ん。」
デュエルボードを抱え、来人は自分の部屋に入った。
「・・・さて。」
デュエルボードをパソコンにつなげ、キーボードを操作し始める。
「・・・ん?」
操作していた手が止まる。
「強制走行プログラム・・・? こんなんいるか? 削除削除・・・っと。・・・ちっ、消したら動きが悪くなるのか。ならこれを・・・・ったく、これ作った奴雑なプログラミングしてんな。」
ぼやきながら修正を加えていく。
「来人~夕飯できたよ。」
「ん、わかった。ああそれと・・・ほい。」
多少の改良を加えたデュエルボードを手渡した。
「あ、ありがとう・・・!」
朝
「・・・くそ、早く目が覚めた。」
大きく欠伸をしながら、来人はリビングに入る。
「・・・ん?」
テーブルに1枚の書置きを見つけた。
『遊星から話を聞きました。龍亞の様子を見に行ってきます。』
「・・・俺が秘密にした意味・・・。どれ、俺も見に行くかね。」
ハイウェイ
龍亞と龍可のいるところに向かうため、来人はDホイールを走らせていた。
『前方注意。前方注意。』
画面に赤色の文字で警告が表示される。
「なんだ・・・? ・・・・!!」
前から勢いよく走るデュエルボードに乗った二人の子供の姿が見えた。
「龍可!? ・・・と、誰だ? あれ。」
「へへ・・・!」
ニヤリと笑い、龍可と赤い髪の少年は来人の横を走り去った。
「来人!」
「龍亞! 何があった!」
「わかんない! 龍可のデュエルボードが勝手に走り出して・・・!」
「勝手に・・・? ・・・!」
来人は切り返し、スピードを上げ、二人を追い、画面を操作し始める。
「これで・・・よし!」
「な・・・!?」
龍可のデュエルボードのスピードが落ち始める。来人は少年の横にDホイールをつける。
「おいおい、随分なマネしてくれるじゃねえか。悪いが、プログラムを少し改造させてもらったぞ。」
「くそ・・・邪魔しやがって・・・! こうなったら、お前から始末してやるぜ。」
「上等だ。やれるもんならやってみな・・・!」
「「フィールド魔法、スピードワールド2、セットオン!!」」
二人を囲うように無限の形をかたどった光が浮かび上がる。
『レーンセレクション。使用可能な最適レーンをサーチ。デュエルレーン、セントラルに申請。』
『AUTHORIZATION』
『デュエルが開始されます。デュエルが開始されます。ルート上の一般車両は直ちに退避してください。』
「「ライディングデュエル、アクセラレーション!!」」
来人 LP4000 手札5 SPC0
少年 LP4000 手札5 SPC0
「俺のターン!」
来人 手札5→6
「SRパチンゴーカートを召喚!」
SRパチンゴーカート ATK1800/レベル4
「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」
「僕のターン!」
来人 SPC0→1
少年 手札5→6 SPC0→1
「手札より、アブサード・スティーラーを召喚!」
アブサード・スティーラー(アニメオリジナル)
効果モンスター
レベル1/地属性/機械族/ATK100/DEF100
このカードが召喚に成功した時、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。発動ターンのエンドフェイズ時まで、選択したモンスターの攻撃力を0にし、このカードの攻撃力は選択したモンスターの守備力と同じ数値になる。
「アブサード・スティーラーの召喚に成功した時、相手モンスター1体の攻撃力を0にし、エンドフェイズまでそのモンスターの守備力をこのカードの攻撃力にする!」
パチンゴーカート ATK1800→0
アブサード・スティーラー ATK100→1000
「アブサード・スティーラーでパチンゴーカートを攻撃! アブサードリターン!」
「ぐあああ!」
来人 LP4000→3000
来人の体に痛みが走る。
「これは・・・なんでダメージが実体化している・・・!?」
「気に入ってくれたかい? このデュエルはライフダメージを実際に体感できるのさ!」
「こんなのをデュエルボードで受けたら・・・下手すれば死ぬぞ。こいつ・・・本気で・・・?」
「まだまだこんなものじゃないぞ・・・! カードを3枚伏せ、ターンエンド!」
アブサード・スティーラー ATK1000→100
少年はエンド宣言をすると、レーンの壁を伝い、空中で回転する。
「・・・・!!」
着地し、通り過ぎた少年の顔を見て、来人は驚いた。
「・・・あいつ・・・確か、ルチアーノとかいう・・・くそ、どうなってやがる・・・!」
来人 LP3000 手札4 SPC1
【モンスター】
【魔法・罠】
伏せ1
ルチアーノ LP4000 手札2 SPC1
【モンスター】
アブサード・スティーラー(ATK100/レベル1)
【魔法・罠】
伏せ3
「俺のターン!」
来人 手札4→5 SPC1→2
ルチアーノ SPC1→2
「SRベイゴマックスを特殊召喚!」
SRベイゴマックス ATK1200/レベル3
「ベイゴマックスの効果により、デッキからスピードロイドモンスター、タケトンボーグを加え、そのまま特殊召喚!」
SRタケトンボーグ DEF1200/レベル3
「タケトンボーグをリリースし、デッキからスピードロイドチューナー、赤目のダイスを特殊召喚!」
SR赤目のダイス ATK100/レベル1
「赤目のダイスの効果発動! スピードロイド1体のレベルを1から6までのレベルに変更できる! ベイゴマックスのレベルを3から4に変更!」
ベイゴマックス レベル3→4
「レベル4となったベイゴマックスにレベル1の赤目のダイスをチューニング! 昔より伝わりし剣劇よ、立ち塞がる敵をその身で切り払え! シンクロ召喚! いでよ、HSRチャンバライダー!」
HSRチャンバライダー ATK2000/レベル5
「キヒャヒャ・・・出たな、シンクロモンスター・・・!」
「バトル! チャンバライダーでアブサード・スティーラーを攻撃!」
「トラップ発動! エクサス・サモン!」
エクサス・サモン(アニメオリジナル)
通常罠
自分フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスターが相手モンスターの攻撃対象となった時に発動できる。攻撃対象となったモンスターを手札に戻し、そのモンスターよりも攻撃力の低いモンスター1体を手札から表側攻撃表示で特殊召喚する。
「攻撃対象となったモンスターを手札に戻し、そのモンスターより攻撃力が低いモンスターを攻撃表示で特殊召喚する! いでよ、スカイ・コア!」
スカイ・コア(アニメオリジナル)
効果モンスター
レベル1/風属性/機械族/ATK0/DEF0
このカードがカードの効果によって破壊された時、自分フィールド上のモンスターを全て破壊する。さらに、自分の手札・デッキ・墓地から「機皇帝スキエル∞」「スキエルT」「スキエルA」「スキエルG」「スキエルC」をそれぞれ1体ずつ特殊召喚する。
「攻撃力0だと?」
「さらにトラップ発動! 激流葬! モンスターが特殊召喚されたとき、フィールドの全てのモンスターを破壊する!」
激流葬のカードから流れてきた大量の水によって、チャンバライダーとスカイ・コアが飲み込まれる。
「く・・・!」
「スカイ・コアのモンスター効果! こいつがカードの効果で破壊されたとき、デッキ、手札、墓地から機皇帝スキエル
機皇帝スキエル∞ ATK0/レベル1
スキエルT ATK600/レベル1
スキエルA ATK1000/レベル1
スキエルG DEF300/レベル1
スキエルC ATK400/レベル1
「一度に5体のモンスターを召喚したか・・・!」
「驚くのはまだ早い! 合体しろ、機皇帝スキエル!」
現れた5体のモンスターが合体し、青色の巨大なロボットに姿を変えた。
「・・・機皇帝・・・スキエル・・・・!!」
来人のハンドルを握る力が強くなり、目の前の機皇帝スキエルを強く睨んだ。