遊戯王5D's 苦悩する男   作:yvisi

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第60話 倒れた龍可

数日後

 

デュエルアカデミア

 

食堂

 

「・・・・・。」

 

来人はため息をつき、天井を見上げていた。

 

「また悩みか?」

 

様子を見かねて、亨たちが座る。

 

「ま~た龍可の様子が変でよ・・・。」

 

「どんな感じなんだ?」

 

「前と同じ感じだよ。挨拶しても頭下げるか、無視されるか。」

 

だいぶ参っているのか、ため息が深くなる。

 

「そうですか・・・しかし、原因がわかりませんね・・・。」

 

「う~ん・・・そういえば、龍可ちゃんの様子がおかしいのっていつぐらい?」

 

「ああ・・・団体戦決勝の次の日くらいだ。」

 

「決勝の日に何かあったりした?」

 

「何か・・・・・そういえば、龍亞にも同じこと聞かれたな。帰ってくるなり、何かあった? って。」

 

「・・・え・・・・。」

 

ソラは一瞬、向かいに座る翔一の顔を見る。

 

(ま、まさかね・・・。)

 

「まあやっぱり、聞いてみるしかないんじゃないか?」

 

「・・・だよなぁ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

龍亞・龍可の家

 

「・・・・・・。」

 

虚ろ気な目で龍可がリビングに入ってくる。すでに座っていた龍亞は心配そうに見ていた。

 

「・・・龍可、おはよう。」

 

「・・・・・。」

 

椅子に座ろうとした龍可の体がふらついた。

 

「!」

 

来人はすぐに駆け寄り、龍可を支えた。

 

「おい、大丈夫か!?」

 

「・・・・・ん。」

 

来人の手を振り払うと、龍可は部屋を出た。

 

「え・・・ちょ、おい、朝飯は!?」

 

「龍可・・・。」

 

 

 

 

 

 

昼休み

 

高等部1-Bの教室

 

「で、結局聞けなかったわけですか。」

 

「しゃあねえだろ。なんか、心ここにあらずみたいな感じだったから・・・まあ・・・うん・・・。」

 

だんだん来人の歯切れが悪くなる。

 

「まあ、今は昼休みだ。その時には聞けるんじゃないか?」

 

「・・・だな。お前ら先食堂行っててくれ。」

 

龍可たちの教室に向かおうと来人が立ち上がった時、教室のドアが勢いよく開かれた。

 

「未谷君! 今大丈夫ですか!?」

 

担任の加納が焦った様子で教室に入ってきた。

 

「先生・・・なんかありました?」

 

「それが・・・龍可さんが・・・・倒れて、保健室に運ばれたと・・・!」

 

「・・・え!?」

 

 

 

 

 

 

保健室

 

「龍可!」

 

来人は勢いよくドアを開ける。

 

「ら、来人・・・!」

 

龍亞は不安そうな顔で龍可の手を握っていた。

 

「龍亞、何があった?」

 

「わかんない・・・急に倒れて・・・。何度も呼んでるんだけど、反応がなくて・・・。」

 

「・・・龍可・・・。」

 

来人は龍可の頭をやさしくなでる。

 

(一体何が原因だ・・・? ・・・俺・・・なのか?)

 

時折苦しそうな表情を見せる龍可を見て、来人の中に不安が渦巻く。

 

「・・・龍亞。お前は午後も授業受けろ。俺が帰って、面倒見る。」

 

「え・・・? で、でも俺も・・・」

 

「内容はわからないが、俺に原因があるかもしれないんだからな。だったら、責任くらい取るっての。」

 

「来人・・・。」

 

「亨たちも来てるから、俺の荷物持ってこさせるわ。龍亞、龍可の荷物持ってこい。」

 

「・・・・・うん。わかった。しっかり見てよ、龍可のこと!」

 

来人の背中をパンと叩いた。

 

「わかってるって。」

 

保健室のドアを開け、廊下の亨たちに荷物を取ってくるように伝えた。

 

「さて・・・よっと。」

 

来人を龍可をお姫坂抱っこの状態でゆっくりと抱きかかえた。

 

「・・・・。」

 

(龍可・・・今起きてても気絶してただろうな・・・。)

 

その状態で来人は出入口にたどり着く。

 

「来人! これ来人と龍可ちゃんの・・・・・」

 

駆け寄ってきたソラは来人の様子を見て言葉を止める。

 

(龍可ちゃん・・・今起きていれば・・・!)

 

「・・・? どうした? 荷物は?」

 

「・・・あ、そ、その前にちょっといい?」

 

「ん?」

 

ソラはポケットから携帯を取り出し、来人と龍可を写真に収めた。

 

「なんで写真撮ったんだよ。」

 

「あ~龍可ちゃんが気になるかなって。どうやって帰ったんだろみたいな。」

 

「・・・おぉ。」

 

若干納得していなかったが、とりあえず返事をした。

 

「はい、これ。」

 

ソラは来人と龍可の荷物を手渡そうとした。

 

「あ~わり、Dホイールのとこまで持ってきて。」

 

「うん。」

 

来人は龍可をDホイールのサイドカーに乗せ、ソラはそこに二人の荷物を置いた。

 

「んじゃあな。」

 

「気を付けてね。」

 

走り出した来人をソラは手を振って見送った。

 

 

 

 

 

 

ハイウェイ

 

Dホイールに乗る来人は誰かと連絡を取っていた。

 

「そう言わずによ、すぐ来てくれればいいんだよ。」

 

『いや、そうはいってもこっちにだって予定が・・・』

 

「何が予定だよ。どうせ地下デュエルだろ?」

 

『うぐ・・・! 大体、この間のクソガキ、礼も言わずに消えやがったんだぞ! 礼儀がなってねえんだ!』

 

「ああ・・・あんときのな。」

 

電話の主が言っているのは、以前ダークシグナーを名乗った男のことだった。(第12話)

 

「今回はちょっと緊急なんだよ。」

 

サイドカーで眠る龍可をちらっと見る。

 

「なら、報酬は3倍出す。これなら文句ないな?」

 

『さ、3・・・・・わかったよ、行けばいいんだろ。行けば。』

 

「場所は今から送る。」

 

『はぁ・・・。』

 

諦めたのか、男は電話を切った。

 

「これでよし・・・さて・・・!」

 

 

 

 

 

 

龍亞・龍可の家

 

来人は電話で呼んだ白衣を着た赤い髪の男、袴田に龍可を診せていた。袴田は医者で腕はいいが、法外な値段を請求するため、業界からは煙たがられていた。しかし、何度か情報屋として世話になった来人にはいいように使われていた。

 

「で、どうだ?」

 

「う~ん・・・こりゃ、心がどっか行っちまってるな。」

 

「心が・・・? どういうことだ?」

 

「言葉のまんまだ。これじゃ、医者の出る幕はないな。てなわけで、ほら、報酬。」

 

気だるそうに来人に向かって、手を差し出す。

 

「くそ・・・ほらよ。」

 

厚みのある封筒を手の上に乗せる。袴田はすぐ封筒を開け、金額を確認する。

 

「・・・へへ、まいど。」

 

封筒を懐にしまい、即座に退散した。

 

「・・・はあ・・・どうすっかな・・・。」

 

目を覚まさない龍可を見て、来人はため息をつく。

 

「・・・ひとまず部屋に運ぶか。」

 

来人は龍可を抱え、リビングのソファから龍可の部屋のベッドに寝かせた。

 

「参ったな・・・あんな大口叩いてこれじゃ何言われるやら・・・。」

 

『『『『『兄貴~!』』』』』

 

来人の元におジャマの精霊たちが集まってくる。

 

「くそ、うるせえのが・・・今お前らにかまってるほど、暇じゃねえんだよ。」

 

『ありゃこの子・・・』

『アラアラ・・・。』

 

おジャマ・レッド、おジャマ・ブルーが龍可の顔を覗き込む。

 

「?」

 

『この子の心、ここにないね。』

『多分精霊世界だよ。』

『うんうん。』

 

おジャマ・イエロー、グリーン、ブラックは頷きあう。

 

「そうか・・・・・・・んん?」

 

来人はおジャマたちをまじまじと見る。

 

『あれ兄貴、どうかした?』

 

「今、精霊世界にあるって言ったか? 龍可の心が。」

 

『うん。そうそう。』

 

「・・・どうやって行くんだ、精霊世界!」

 

『ええ!? 無理だって~!』

『俺たちじゃ、体力なさ過ぎて・・・』

『兄貴を運べないんだよ~・・・。』

 

「くそ、役に立たねえ奴らだな。どうにかしてそっち行って、叩き起こしに・・・・・ん?」

 

来人は龍可のデッキが光っているのを見つけた。

 

「・・・これは・・・。」

 

恐る恐るデッキを取り出すと《レグルス》のカードが光っていた。

 

『・・・! 未谷来人・・・!』

 

「お前確か、龍可の精霊の・・・」

 

『レグルスだ。龍可は今、私の声すら届かない状態だ。頼む、どうか龍可を・・・・!』

 

「・・・任せろ。」

 

来人が答えた瞬間、辺りは光に包まれる。

 

「うお・・・!?」

 

 

 

 

 

 

精霊世界

 

「・・・・・! ここは・・・。」

 

光が消えると、来人は広い草原に立っていた。

 

「ここが精霊世界・・・。」

 

『兄貴~!』

 

来人の姿を見つけたおジャマたちが来人の体に捕まる。

 

「!? 実体になってるのか・・・!?」

 

『そうだ。』

 

レグルスがゆっくりと歩いてくる。

 

「レグルス・・・。! 龍可はどこだ?」

 

辺りをきょろきょろと見回すが、龍可の姿はなかった。

 

『こっちだ。』

 

レグルスに案内され、来人は森の中に入っていった。

 

「・・・お、いたいた。」

 

『龍可・・・!』

 

龍可は頭を伏せ、蹲っていた。

 

『未谷来人・・・まずは・・・』

 

「おい、龍可。」

 

来人は龍可に近づき、肩を揺する。

 

『な・・・!?』

 

「起きてとっとと帰るぞ。」

 

「・・・・・ら・・・いと・・・?」

 

龍可はゆっくりと頭を上げた。

 

「龍可、早く・・・」

 

「何しに来たの。」

 

龍可は来人の顔を見るなり、冷たく言い放つ。

 

「何しにって・・・お前・・・。」

 

「何を言われても・・・私は帰らない・・・!」

 

『龍可・・・一体何が・・・?』

 

「・・・来人も・・・ルチアーノ君も・・・いなくなった・・・。」

 

「ルチアーノ・・・? お前、あのことを気にしてたのか。・・・ていうか、俺?」

 

自分の名前が出たことに来人は首を傾げた。

 

「みんないなくなるなら・・・一人でいい・・・ずっと・・・ここで・・・私は・・・。」

 

『龍可・・・。』

 

「龍可。お前がどんなに目を背けようが、起きたことに変わりはない。それに、あいつは最初からお前を騙していたんじゃないのか? それにいなくなってないだろ? 俺は。お前には龍亞だって・・・」

 

「・・・いや・・・・いや・・・!」

 

龍可は頭を横に振り、来人の言葉を遮る。

 

「くそ、どうなってんだこりゃ・・・。おい、レグルス。どうすんだよ!」

 

『手段があるとすれば・・・・・デュエルだ。』

 

「え?」

 

『デュエルで、龍可の閉ざされた心を開くしかない・・・!』

 

「・・・一番わかりやすいな。乗った!」

 

来人の腕にデュエルディスクが出現する。

 

「・・・・・。」

 

龍可も静かに腕にデュエルディスクを出現させる。

 

「行くぞ、龍可!」

 

「「デュエル!!」」

 

龍可 LP4000 手札5

 

来人 LP4000 手札5

 

「私のターン・・・!」

 

龍可 手札5→6

 

「フィールド魔法、精霊の森を発動・・・!」

 

精霊の森(オリジナル)

フィールド魔法

このカード名の②③の効果は1ターンに1度しか使用できない。

①:自分フィールドの「エンシェント・フェアリー・ドラゴン」または天使族・植物族・獣族モンスターの攻撃力は300アップする。②:自分メインフェイズに発動できる。手札からレベル4以下の天使族・植物族・獣族モンスター1体を召喚できる。その後、自分は召喚したモンスターのレベル×100LPを失う。③:自分の墓地のレベル4以下の天使族・植物族・獣族モンスター1体を対象にして発動できる。そのモンスターを特殊召喚し、自分はそのレベル×100LP回復する。

 

「精霊の森の効果! 手札からレベル4以下の天使族、植物族、獣族モンスター1体を召喚できる! レベル4のジェルエンデュオを召喚!」

 

ジェルエンデュオ ATK1700/レベル4

 

「そして私は、レベルかける100ポイントのライフを失う・・・!」

 

龍可 LP4000→3600

 

「そしてジェルエンデュオをリリースして、レベル7のエンジェルO7をアドバンス召喚・・・!」

 

エンジェルO7 ATK2500/レベル7

 

「エンジェルO7だと・・・? 面倒なカード出しやがって・・・!」

 

「精霊の森の効果で攻撃力は300ポイントアップ・・・!」

 

エンジェルO7 ATK2500→2800

 

「アドバンス召喚したエンジェルO7が存在する限り、相手はモンスター効果を発動できない。2枚カードを伏せて、ターンエンド・・・!」

 

「くそ、俺のターン!」

 

来人 手札5→6

 

「・・・俺はSRベイゴマックスを特殊召喚!」

 

SRベイゴマックス ATK1200/レベル3

 

「このカードが自分フィールドにモンスターが存在しない場合、特殊召喚できる! この効果は発動する効果じゃない。よってエンジェルO7がいても特殊召喚できる!」

 

「けど、ベイゴマックスの効果でデッキからスピードロイドは手札に加えられない・・・!」

 

「まだだ! SRタケトンボーグを特殊召喚!」

 

SRタケトンボーグ ATK600/レベル3

 

「タケトンボーグは風属性モンスターがいるとき、1ターンに1度、手札から特殊召喚できる! さらにSR赤目のダイスを通常召喚!」

 

SR赤目のダイス ATK100/レベル1

 

「レベル3のベイゴマックスとタケトンボーグにレベル1の赤目のダイスをチューニング! その美しき輝ける翼で、我が道を阻む敵を蹴散らせ! シンクロ召喚! 輝け、クリアウィング・シンクロ・ドラゴン!」

 

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン ATK2500/レベル7

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド!」

 

龍可 LP3600 手札1

【モンスター】

エンジェルO7(ATK2800/レベル7)

【魔法・罠】

伏せ2

【フィールド】

精霊の森

 

来人 LP4000 手札1

【モンスター】

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン(ATK2500/レベル7)

【魔法・罠】

伏せ2

 

「私のターン・・・!」

 

龍可 手札1→2

 

「永続魔法、精霊の祠・・・!」

 

精霊の祠(オリジナル)

永続魔法

このカード名の②③の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。①:自分フィールドの「エンシェント・フェアリー・ドラゴン」または天使族・植物族・獣族モンスターの攻撃力は300アップする。②:自分メインフェイズに自分の墓地の天使族・植物族・獣族モンスター1体を除外して発動できる。カードを1枚ドローする。③:自分の墓地・除外状態の天使族・植物族・獣族モンスター3体を対象として発動できる。そのモンスターをデッキに戻す。その後、自分は1枚ドローする。

 

「これでエンジェルO7の攻撃力はさらに300ポイントアップする・・・!」

 

エンジェルO7 ATK2800→3100

 

「精霊の祠の効果発動・・・! 墓地のジェルエンデュオを除外して、カードを1枚ドロー・・・!」

 

龍可 手札1→2

 

「精霊の森の効果を発動・・・! 手札からレベル3のナチュル・ローズウィップを召喚・・・!」

 

ナチュル・ローズウィップ ATK400→1000/レベル3

 

龍可 LP3600→3300

 

「ナチュルに・・・エンジェルO7だと・・・・? ・・・・・!!」

 

龍可の狙いに気づいた来人は顔が青ざめた。

 

「トラップカード、ディメンション・ガーディアン! クリアウィングは戦闘、効果で破壊されない!」

 

「ナチュル・ローズウィップをリリースして、ナチュル・バンブーシュートをアドバンス召喚・・・!」

 

「やっぱりか・・・!」

 

ナチュル・バンブーシュート ATK2000→2600/レベル5

 

「ナチュルと名の付くモンスターをリリースしてアドバンス召喚されたナチュル・バンブーシュートがいる限り、相手は魔法、トラップを発動できない・・・!」

 

「く・・・!」

 

「バトル! ナチュル・バンブーシュートでクリアウィング・シンクロ・ドラゴンを攻撃・・・!」

 

「く・・・!」

 

来人 LP4000→3900

 

「エンジェルO7でクリアウィングを攻撃・・・! エンジェルビームバスター!」

 

「ぐあああ!」

 

来人 LP3900→3300

 

「ターン・・・エンド・・・!」

 

『これで未谷来人は、モンスター効果、魔法、トラップを封じられた・・・!』

 

「くそ・・・どうしたもんかね・・・。」

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