ありがとうございます!
『・・・・ここは・・・?』
龍可は暗闇の中にいた。周りを見るが、一寸先も見えないほどの闇が広がっていた。
『・・・・。』
しばらく闇の中を歩いて行った。
『・・・来人・・・?』
進んだ先でよく知った人物が立っていた。
『来人!』
龍可は来人の近くに行こうと駆け寄っていこうとする。しかし、前に進めども来人との距離は縮まらない。
『来人・・・来人・・・!』
『・・・・・・。』
来人は冷たい目で龍可を一瞥すると、暗闇の奥へと進んでいった。
『待って・・・来人・・・! 来人!!』
夕方
「来人!!」
「え・・・?」
龍可の視線の先ではきょとんとした来人の姿があった。手に水のペットボトルと空のコップを持っていた。
「んなでっかい声で出さなくても、ここにいるよ。」
「・・・来人・・・ここは・・・?」
「お前の部屋だろ。」
「え・・・?」
部屋の中を見ると、確かに龍可自身の部屋だった。
「え、私・・・アカデミアに・・・。」
「覚えてないのか? 倒れたんだぞ、お前。」
「倒れた・・・?」
「・・・まあ、いいわ。ちょっと待ってろ。」
来人はペットボトルとコップを置き、部屋を出ようとする。
「・・・・!」
龍可は引き留めるように来人に抱き着いた。
「・・・? ?? ??」
避けられていると思っていた龍可が急に抱き着いたため、さすがの来人も困惑した。
「ちょ、何を・・・。」
「・・・・!」
段々力が強くなる。
「おい、龍可・・・」
来人は一瞬、ドアの方をちらっと見ると、一旦手をほどき、龍可に向き合った。
「・・・・・?」
若干ぎこちなく、龍可を抱きしめた。
「・・・ごめんね・・・来人・・・。」
「ん? 何が?」
「・・・あなたを・・・あなたを傷つけた・・・だから・・・。」
「・・・気にするな。なんか、俺にも原因があったんだろ?」
「あ、えっと・・・その・・・」
言おうか言うまいかと迷っていると・・・
「てか、さっきから見てないで入って来いよ。」
「・・・・え?」
龍可から手を放し、ドアを開ける。
「あ、あはは・・・。」
ドアの向こうにはソラたちがいた。一番前にいたソラはドアの隙間から来人たちの様子を窺っていた。
「そ、ソラさんたち、いつから・・・。」
「あ~その~・・・龍可ちゃんが、起きたとこ・・・くらいかな?」
「///最初からじゃないですか!」
龍可の顔が一気に赤くなった。
「ご、ごめんね? でも、元気そうでよかった。」
「・・・!」
ソラが龍可に目を合わせようとすると、龍可は目を逸らした。
「・・・? 来人、ちょっとだけ部屋出てくれる?」
「え? ・・・おぉ。」
若干腑に落ちないのか、首を傾げながら部屋を出た。
「・・・えっと・・・龍可ちゃん、私、何かした・・・かな?」
「・・・来人と・・・・」
「?」
「来人と・・・その・・・つ、つつ・・・」
「つ?」
「つ、付き合ってるんですよね・・・?」
「・・・え?」
龍可の言葉を聞き、ソラはきょとんとした。
「ん、え、えっと・・・付き合ってないよ・・・?」
「・・・? え? で、でも・・・あの時・・・。」
龍可は来人とソラが腕を組んでいた様子を見たことを話した。話を聞いていたソラの顔はだんだん青ざめていった。
「・・・ソラさん?」
「ら、来人! ちょっと来て!」
急いでドアを開け、待っていた来人を引っ張り出した。
「なんだよ! 出ろって言ったり来いって言ったり!」
「ら、らら来人、その、あ、あの時のこと・・・」
「あの時?」
「いや、だから・・・」
ソラは来人の耳元で聞こえないように囁いた。
「・・・ああ、お前が翔一をストーキングしてた時な。」
「ちょ、聞こえないように言ったのに!?」
「え、す、ストーキング?」
「ああ。団体戦決勝が終わった日、理由は知らんがソラが翔一つけてんのをたまたま見てな。」
「・・・そ、それでその・・・来人と出かけてたってことにして・・・ごまかしてもらって・・・。」
目を逸らしながら、指をつんつんとし始める。
「えっと・・・ご、ごめんね? 紛らわしかったよね?」
「? 紛らわしい? 何が?」
「・・・・え~・・・・。」
ソラは龍可と来人を交互に見る。
「ちょ、ごめん、もう一回出てって!」
「あ? またかよ!? ちょ、おい!」
来人の背中を押し、無理やり追い出した。
「あ、ありがとうございます・・・ええっと、その・・・ソラさんは、その・・・・。」
「・・・うん・・・まあ・・・うん・・・。が、頑張ろうね、お互い。」
「・・・は、はい・・・。」
リビング
龍可と話し終えたソラはリビングに入った。
「ようやく終わりましたか。」
「随分長く話してたな。」
亘、亨はソファから立ち上がった。
「あ・・・ちょ、ちょっといろいろあって・・・。」
「いろいろ?」
翔一はソラに顔を近づける。
「///ま、まあ、いろいろあるの! あ、来人! これお見舞いね!」
ソラはカバンから包装された菓子を取り出し、来人に渡した。
「ああ、悪いなわざわざ。さっき亨たちからももらったよ。」
「何、気にするな。さて、ソラも戻ったし帰るとしよう。」
「では、また明日。」
「じゃあな。」
「ま、またね・・・! あ、来人! 龍可ちゃん、もう大丈夫だから!」
そう言うと、ソラたちは帰っていった。
「・・・大丈夫だから?」
ソラの言葉に来人は首を傾げた。
翌日
「来人、おはよう!」
龍亞が元気な声で起きてくる。
「ん、おはようさん。」
「・・・お、おはよう・・・。」
「・・・おはよう。」
来人は龍可と目を合わせようとした。しかし、龍可は顔を少し赤くし、目を逸らしてしまう。
「・・・んん?」
デュエルアカデミア
高等部1-Bの教室
「え?」
来人の話を聞いたソラは思わず声を上げた。
「いやだから、龍可の様子が前とあまり変わってないんだよ。・・・何が原因なんだかな~・・・。」
「・・・聞いてきてあげようか?」
「・・・頼む。」
昼休み
「龍可ちゃん、なんでまだ来人のこと避けちゃってるの?」
来人から事情を聞いたソラは龍可を呼び出し、話を聞いていた。
「///えっと・・・そ、その・・・きゅ、急に意識しだすと、その・・・」
「好きだから、避けちゃう・・・みたいな?」
「/////・・・・はぃ・・・。」
龍可の顔がだんだんと赤くなる。
「・・・!」
ソラは何か思いついたのか、にやりと笑った。
「///? ソラさん?」
「大丈夫大丈夫。私に任せといて!」
「////??」
食堂
「そういえば、来人。お前どうするんだ?」
「なんだよ亨、藪から棒に。なんかあったか?」
亨の発言の意図がわからず来人は首を傾げる。
「今週の連休だ。確か創立記念だとかで土日祝日を合わせるとちょっとした連休になる。」
「そういやそうだったな。生憎、特に予定はないな。」
ピピピ!
「・・・ん?」
来人の携帯にメールが入り、内容を確認する。
「・・・ソラからだ。・・・?」
「どうした?」
「いや、連休の予定空けといてくれって。別にないからいいんだけど。」
「へえ・・・。」
「来人ー!」
来人と亨のいるテーブルに龍亞が駆け寄ってくる。
「ん、龍亞。どうした?」
「今週の連休なんだけど、俺、二日くらい天兵の家に泊まることにしたから!」
「ほ~そうか。わかったわかった。しかし随分急に決まったな。」
「ま、まあね・・・!」
龍亞は来人に見られないよう、携帯のメールを確認する。ソラからのメールで連休中は来人と龍可の二人にするようにお願いした内容だった。
数日後
連休初日
龍亞・龍可の家
「おはよう・・・。」
大きなあくびをしながら、来人が起きてきた。
「お、おはよう、来人。」
「ん? 龍亞の奴、朝から出かけたのか?」
いつも起きてきている龍亞の姿はなかった。
「///う、うん・・・そうみたい。」
「元気な奴だね、まったく・・・。」
ピピピ!
「ん?」
来人が椅子に腰かけたとき、ソラからメールが入った。
「・・・?」
『連休中は龍可ちゃんに付き合ってあげること!』
「付き合うって・・・」
来人はキッチンにいる龍可を見た。
(・・・話聞いてきてくれるとは言ってたが・・・これのことか? まあ、別に予定ないからいいんだがな・・・。)
ソラに軽く返信した。その様子を龍可はじっと見ていた。
「///・・・・・。」
(今日、龍亞がいない・・・だから・・・来人と二人きり・・・・・・二人・・・。)
(なんかじっと見られてんな・・・。)
来人と龍可・・・二人きりの連休が今、始まる。
幕間短編
『写真』
龍亞・龍可の家
「あ、そうだ!」
ソラはポケットから携帯を取り出した。
「・・・? ソラさん?」
「龍可ちゃん、その、お詫びってことで・・・これで許して?」
携帯の1枚の写真を見せた。
「・・・・・!?」
その写真は来人が龍可をお姫様抱っこしているところだった。
「////あ、あの、こ、これって・・・!」
「龍可ちゃんが倒れたとき、来人がこうやって・・・。」
「/////・・・・。」
龍可は写真をまじまじと見つめる。
「////こ、これ・・・って、もらえたりとか・・・」
「もちろんもちろん!」
「////あ、ありがとうございます・・・。」
その写真は龍可の宝物になった。