龍亞・龍可の家
「おはよう。」
「おはよう、来人。」
「・・・・。」
起きてきた来人は龍可をじっと見る。
「・・・? ど、どうかしたの? 来人?」
「いや、朝耳元でなんか聞こえた気がしたんだけど・・・」
「え!?」
「龍可なんか知ってる?」
「///ささ、さあ~・・・ど、どうかな・・・?」
顔を赤くし、目があちこちに泳ぐ。
「・・・? おぉ・・・わかった。」
若干納得しない来人はソファに座り、テレビをつけた。
(////き、聞かれてなくてよかった・・・・・あ~・・・でも・・・!)
(何頭ぶんぶんさせてんだろ・・・?)
テレビに今日の天気が表示される。
「・・・天気急変の可能性あり、か。今日は家にいとくか。」
昼頃
「ん~・・・! おいしい~・・・!」
明莉は苺とクリームがたっぷり使われたクレープをほおばる。
「・・・・。」
周りをちらっと見ると、カップルの姿が多かった。
「・・・は、早く食べようかな・・・。・・・・・え?」
一瞬、見覚えのある人物の姿を見つけた。私服姿の亨だった。
「・・・ま、丸藤さん?」」
「ん? 明莉か。何してるんだ? こんなところで。」
「////あ、えっと、その・・・甘いものが好きで、それで・・・。」
亨に話しかけられ、明莉は髪を直しながら答える。
(///こ、ここで会っちゃうなんて・・・もうちょっとおしゃれしておけばよかった・・・!)
「・・・? どうかしたか?」
「////い、いい、いえ! な、なんでもないです!」
「クレープか・・・たまには食べてみるか。」
「///・・・え?」
「食べてるのを見たら食べたくなってきた。・・・ああすみません、このチョコバナナクレープください。」
亨は受け取ったクレープをおいしそうにほおばった。
(///・・・食べ方可愛い・・・。)
亨の食べている姿を見ながら明莉はクレープを口に運ぶ。
「・・・ふふ。」
「///?」
「いや、鼻にクリームが・・・。」
「/////え!?」
「ちょっと待て。」
亨は指で明莉の鼻についたクリームを取った。
「/////ひゃ!?」
「? どうした?」
「/////い、いい、いえ・・・! ちょ、ちょっと、は、離れましょう・・・!」
「え、ちょ・・・」
亨の手を勢いよくつかみ、クレープを食べながらその場を離れた。
「・・・それで、どこまで行くんだ?」
「///・・・は! す、すす、すみません!」
亨に言われ、急いで手を離した。
「///ま、周りに見られるのが恥ずかしくてつい・・・。」
「恥ずかしい?」
「////あ、ま、丸藤さんというのが恥ずかしい、とか、そういうのじゃなくて、その、えっと・・・」
「ああ待て。わかったわかった。落ち着け。」
ポタ・・・ポタ・・・
「・・・ん?」
顔が濡れた感覚がし、上を見る。徐々に雨が降り始める。
「降ってきたな・・・家はどこだ?」
「///あ、す、すぐ、ち、近くです・・・。」
「送っていこう。行くぞ。」
「////あ、そ、それなら、か、傘あります・・・!」
明莉はカバンから折りたたみ傘を取り出し、広げた。
「ああ、すまない。・・・少し強くなってきたな。」
「////そ、そうですね・・・。」
「・・・・・!」
亨は明莉の肩が少し濡れているのに気がついた。
「・・・濡れるぞ、少し寄れ。」
「///!?」
明莉の肩をぐいっと抱き寄せる。
(///あわわ・・・!)
(顔が赤いな・・・熱でもあるのか?)
「////お、送ってくれて、あ、ありがとうございます・・・。」
明莉はぺこりと頭を下げる。
「気にするな。大したことじゃない。」
「////あ、あの、丸藤さん、この後は・・・?」
「この後? ・・・走って帰るさ。」
「////で、でも、雨、さっきより強いですよ?」
「近くにコンビニがある。そこで傘を買って帰る。」
「/////そ、それでも丸藤さんが・・・!」
「明莉? 家の前で何騒いでるの?」
明莉の家のドアが開き、一人の女性が顔をのぞかせる。
「///お母さん・・・。」
「え?」
「・・・あら?」
亨を見た明莉の母親は目を輝かせる。
「あらあらあらあら♪」
「////え、お、お母さん?」
「明莉、何してるの? 早く上がってもらいなさい。」
「いえ、そこまでは・・・。」
「遠慮しないでくださいな。このまま帰ると風邪をひいてしまいますよ? 雨が止むまではここにいたほうがいいですし、よければ、お昼も・・・。」
「は、はあ・・・。」
明莉の母親は亨の腕をぐいぐい引っ張る。
「////お、お母さん!」
「どうです?」
「・・・そこまで言っていただけるなら・・・お邪魔します。」
「////えぇ!?」
明莉の家
「////・・・・。」
「どう? 亨君。おいしいかしら?」
「ええ。おいしいです。」
そう答えると、亨はパスタを口に運ぶ。
(/////ま、丸藤さんがうちに・・・。)
「それにしても、明莉にこんな素敵な方がいたなんて驚いたわ。」
「?」
「/////お、お母さん!」
「・・・そうだ。まだ雨も上がらないし、明莉、あなたの部屋で時間を潰してみては?」
「/////え・・・えぇ!?」
母親の思わぬ提案に明莉は立ち上がった。
「/////お母さん! い、いきなり何を・・・!?」
「あら、気を遣って言ったのだけれど。」
「/////で、で、でも、あの・・・。」
亨をちらっと見る。
「//////・・・ちょ・・・ちょっと待っててくださいぃ!!」
早足で自分の部屋に向かった。
「? なんだ?」
「ふふ、明莉ったら・・・。」
明莉の母親は部屋に駆け込んだ明莉を見て穏やかな笑みを浮かべていた。数分後、明莉が息を切らして戻ってくる。
「/////ま、丸藤さん・・・ど、どうぞ・・・。」
「あ、ああ・・・あの、食器どこに置けばいいですか?」
「あらありがとう。置いといてくれればいいわ。」
「わかりました。」
亨はお茶を飲み干し、明莉の部屋に向かった。
明莉の部屋
「/////ど、どうぞ・・・こ、こちらに・・・。」
明莉はクッションを取り出し、亨を部屋に入れる。白を基調とした部屋にファンシーな小物が置かれている。
「・・・ああ。」
部屋の中を見ながら、亨は座る。
「・・・・。」
亨は若干落ち着きがなさそうに部屋を見る。
「/////あ、あの、あまり見ないでいただけると・・・。」
「! あ、ああ、すまん。あまり人の家に来たことがなくてな。」
「/////そ、そうなんですか・・・。」
「・・・というより、少し遠くないか?」
明莉は亨から少し離れた位置に座っていた。
「/////き、気にしないでください・・・。」
「いや、自分の部屋なんだから普段通りでいいぞ?」
亨は明莉の目をじっと見る。
「//////・・・は、はい・・・・・。」
少しずつ亨のそばに近寄った。
「/////・・・・・。」
亨の横顔をちらっと見る。
「/////・・・へ?」
亨はゆっくりと明莉に顔を近づける。
「じっとしていろ。」
「/////あ、あああの!?」
(/////え・・・えぇ!? ま、丸藤さんのか、顔が・・・近くに・・・!)
緊張に耐えきれず、明莉は目を閉じる。
「/////・・・!」
「・・・・。」
亨は前髪を手で上げ、額を明莉の額にくっつけた。
「/////!!」
「ふむ・・・少し熱いな・・・。」
「/////だ、だだ大丈夫ですぅ・・・! ・・・!」
部屋のドアをよく見ると、誰かの視線を感じた。
「あら。バレちゃった。」
覗いていたのは明莉の母親だった。
「/////お、お母さん!!」
「ごめんなさいね。二人とも。お邪魔しちゃって。」
「邪魔?」
「////ち、ちち違うの! こ、これはその・・・・!」
「雨が上がったみたいだから呼びに来たのだけれど・・・ごめんね? 明莉。」
「え?」
亨は窓の外を見る。言葉通り、雨が上がり、日の光が差し込んでいた。
「いつの間に・・・では、俺はここで失礼します。」
丁寧に頭を下げる。
「またいつでも来てくださいね?」
「/////うぅ・・・!」
明莉は恥ずかしさから手で顔を覆う。
「ほら明莉。見送りしてきなさい。」
「////・・・はいぃ・・・。」
亨と明莉は玄関に向かった。
「すっかり世話になったな。」
「////い、いえ・・・。」
「次は俺の家に来い。」
「////・・・・・え?」
明莉はポカンとした顔を亨に向ける。
「礼がしたいからな。」
「////だ、大丈夫です。これくらいで・・・!」
「こういうことはちゃんとしたいんだ。じゃあ、またな。」
「/////・・・はい。」
亨は穏やかに笑い、明莉の家を出た。
「////・・・・・。」
「いい人じゃない。」
「/////・・・・うん。・・・はっ!?」
「早くしないと、取られちゃうかもよ?」
「/////~~~~!!」
明莉は恥ずかしさのあまり、その場に座り込んだ。
(////丸藤さん・・・。)