数週間後
デュエルアカデミア
この日、アカデミアは大きな賑わいを見せていた。アカデミアでの大きなイベント、文化祭が開かれていた。
「え~っと・・・。」
「あ! こっちだって!」
龍亞と龍可は来人たちに誘われ、来人の教室を訪ねようとしていた。
「お、来た来た。」
「お~!」
「///・・・・。」
二人を出迎えるため、来人が教室から出てくる。来人の姿を見て、龍亞は目を輝かせ、龍可は見惚れていた。来人はいつもの制服姿ではなく、デュエルモンスターズのコスプレをしていた。来人たちのクラスはコスプレ喫茶を開いていた。
「ていうかこれ、何のモンスター?」
「ん? 伝説の賭博師。」
「////・・・・。」
懐から取り出したコインを空中に弾き、きれいにキャッチする。
「なんか急にビビッときたんだよな。自分で言うのもなんだが、結構しっくりくる。」
「みんな首傾げてたもんね~。」
ソラがドアからひょっこりと顔を出す。手には黒い日傘を持っていた。
「あ、ソラ姉ちゃん!」
「よう、ソラ。いや、ヴァンパイア・フロイライン。」
「モンスターの名前で言いなおさなくても・・・。」
「////・・・・。」
「・・・!」
来人をじっと見つめる龍可にソラはそっと近づく。
「来人の服、かっこいいなって思った?」
「////!! ・・・はい・・・。」
赤くなった顔を手で覆い隠す。
「? ソラ、龍可。何話してんだ?」
「べっつに~? ねえ、龍可ちゃん。」
「////う、うん・・・!」
「ていうか、来人たち教室離れて大丈夫なの?」
来人たちのクラスには長い行列ができていた。
「ああ、大丈夫大丈夫。俺ら吐くほど内装やったから、この格好で宣伝してこいって。」
「ほんと大変だったよね~・・・ほんと・・・。」
((一体何やったんだろ・・・。))
「そういうわけで、まあ実質一日空いてるんだよ。」
「・・・・。」
「!」
何かをひらめいたソラは龍亞にひそひそと話をする。
「じゃ、私こっち行って宣伝してくるね~。」
「俺は・・・ちょ、ちょっと天兵に用があるから!」
「////え、あ、ちょ、ちょっと!?」
ソラは手をひらひらと振りながら、龍亞はどこかぎこちなくその場を離れていった。
「////・・・ら、来人はこの後、どうするの?」
「ん? まあ、適当に宣伝しながらぶらつくよ。」
「/////そ、それなら・・・わ、私と一緒に行かない・・・?」
「一緒に? ・・・そうするか。」
(////やった・・・!)
「豪華賞品争奪デュエル大会、まもなくエントリー締め切りまーす! エントリーの方、こちらにお願いしまーす!」
来人と龍可が外に出ると、数人の生徒が大きな声で呼びかけやビラ配りをしていた。
「豪華賞品? どれどれ・・・。」
生徒が配っていたビラを受け取り、さっと目を通した。龍可もそれを覗き込む。
「商品は・・・ネックレスか。」
「・・・綺麗・・・・・。」
「ん? ほしい?」
「///あ、えっと、う、うん・・・。」
「・・・よし、んじゃあサクッと勝ってくるわ。」
来人は自信ありげににやりと笑った。
「え、でも・・・」
「任せろって。今まで有言実行してきたんだぜ?」
宣言通り、来人は次々と相手を倒し、とうとう最後の一人と対戦することになった。
「さあ盛り上がってきました大会もついに終わりが近づいています! これより最後の試合を行います! まずは、ここまで圧倒的な実力で勝ち上がってきた高等部1年B組、未谷来人!!」
「いやぁ、どーもどーも。」
来人が軽く手を挙げると、大きな歓声が上がる。特に女子生徒の歓声はひときわ大きかった。
「・・・・・。」
その様子を見て龍可は頬をふくらませ、ムッとした表情になる。
「そして彼の最後の相手は・・・高等部1年C組、西野絢香!!」
「・・・ん? 西野・・・?」
来人は紹介された対戦相手の名前に聞き覚えがあった。
「久しぶりね、未谷来人・・・。団体戦の時以来かしら。」
「団体戦・・・・・・・あ。」
来人の前にいるのは、以前来人が後攻ワンターンキルを決めた相手だった。(※第36話 大会開幕! まさかの展開)
「あ、あの時はどうも・・・。」
『あ、あの時の!』
『兄貴、俺たちの出番!?』
『またやっつけてやる!』
「・・・・・ちっ。」
西野に聞こえないくらいの舌打ちをする。
「ここで戦えるなんていい機会だわ。あの時の屈辱・・・ここで果たしてみせる!」
「・・・だったら、もう一度このデッキで相手してやるよ。」
来人はデュエルディスクにおジャマのデッキをセットする。
「さあ、それでは・・・デュエルスタート!!」
「「デュエル!!」」
来人 LP4000 手札5
西野 LP4000 手札5
「俺のターン!」
来人 手札5→6
「おジャマ・ブルーを守備表示で召喚!」
『出番ザンス!』
おジャマ・ブルー DEF1000/レベル2
「カードを2枚伏せ、エンドフェイズに手札のメルフィー・パピィを特殊召喚する!」
メルフィー・パピィ DEF100/レベル2
「このカードはエンドフェイズに、手札から特殊召喚できる! ターンエンド!」
「私のターン!」
西野 手札5→6
「私はエレキングコブラを召喚!」
エレキングコブラ ATK1000/レベル4
「モンスターが召喚されたとき、メルフィー・パピィの効果発動! このカードを手札に戻し、デッキからレベル2以下の獣族モンスターを手札に加える! おジャマ・レッドを手札に!」
来人 手札2→4
「エレキングコブラは相手プレイヤーにダイレクトアタックができる! エレキングコブラでダイレクトアタック! エレキバイト!」
「く!」
来人 LP4000→3000
「エレキングコブラの効果発動! ダイレクトアタックでダメージを与えたとき、デッキからエレキと名の付くモンスター、エレキリンを手札に加える!」
西野 手札5→6
「カードを2枚伏せて、ターンエンド!」
「メインフェイズ終了時に、永続トラップ、おジャマ・パーティを発動! デッキからおジャマジックを加え、そのまま捨てる! そして、おジャマジックの効果発動! デッキからおジャマ・イエロー、グリーン、ブラックの1体ずつを手札に加える!」
来人 手札4→7
来人 LP3000 手札7(5枚メルフィー・パピィ、おジャマ・イエロー、グリーン、ブラック、レッド)
【モンスター】
おジャマ・ブルー(DEF1000/レベル2)
【魔法・罠】
おジャマ・パーティ 伏せ1
西野 LP4000 手札4(1枚エレキリン)
【モンスター】
エレキングコブラ(ATK1000/レベル4)
【魔法・罠】
伏せ2
「俺のターン!」
来人 手札7→8
「おジャマ・パーティの効果発動! デッキからおジャマ・カントリーを手札に加え、メルフィー・パピィを捨てる! そして、おジャマ・レッドを召喚!」
おジャマ・レッド ATK0/レベル2
「このカードが召喚に成功した時、手札のおジャマどもを4体まで特殊召喚できる! 現れろ! おジャマ三兄弟!」
『『『ど~も~!』』』
おジャマ・イエロー ATK0/レベル2
おジャマ・グリーン ATK0/レベル2
おジャマ・ブラック ATK0/レベル2
「さらにフィールド魔法、おジャマ・カントリーを発動! おジャマが存在する限り、フィールドのモンスターの元々の攻撃力と守備力の数値を入れ替える!」
おジャマ・イエロー ATK0→1000 DEF1000→0
おジャマ・グリーン ATK0→1000 DEF1000→0
おジャマ・ブラック ATK0→1000 DEF1000→0
おジャマ・レッド ATK0→1000 DEF1000→0
おジャマ・ブルー ATK0→1000 DEF1000→0
エレキングコブラ ATK1000→500 DEF500→1000
「おジャマ・ブルーを攻撃表示に変更する!」
おジャマ・ブルー DEF0→ATK1000
「バトル! おジャマ・レッドでエレキングコブラを攻撃!」
「トラップカード、聖なるバリア -ミラーフォース-! 攻撃表示モンスターを全て破壊する!」
「トラップ発動! トラップ・スタン! このターン、トラップカードの効果は無効になる!」
「まだよ! カウンタートラップ、攻撃の無力化! 攻撃を無効にして、バトルフェイズを終了させる!」
「・・・手札からカウンタートラップ、レッド・リブートを発動!」
「て、手札からカウンタートラップですって!?」
「このカードはライフを半分支払うことで、手札から発動できる。トラップを無効にして、フィールドにセットさせる!」
来人 LP4000→2000
「これで、攻撃の無力化とミラーフォースは無効になる!」
「うぅ・・・!」
西野 LP4000→3500
「とどめだ! おジャマどもで一斉攻撃!!」
「きゃあああ!!」
『『『『おんどりゃー!!』』』』
西野 LP3500→2500→1500→500→0
WINNER 来人
LOSER 西野
「決まったーー!! 優勝は、未谷来人君!!」
「うぅ・・・また・・・おジャマに・・・!」
またしても来人に敗北し、西野は膝から崩れ落ちる。
「・・・まあ、今回のはたまたまだ。」
「たまたまで2回もワンターンキルなんて・・・あるはずが・・・!」
「単なる偶然だ。・・・次で勝てばいいんじゃないか? またいつでもやろうぜ。」
来人はそう言って、にやりと笑った。
「///・・・・。」
西野は顔を赤くし、来人から顔を逸らした。
「・・・え?」
その様子を見て、龍可は首を傾げた。
「それでは、優勝した未谷来人君。一言お願いします!」
「一言? え~? ・・・・・。」
空を見上げ、少し考え込む。
「・・・あ~・・・1年B組の喫茶店、よろしくお願いしま~す。」
宣伝で出歩いていたことを思い出し、注目を集めるため、手を振り、クラスの宣伝をした。
「いや~、ちゃっかり宣伝に使われてしまいましたね~! 優勝した未谷来人君には豪華賞品を差し上げます!」
「ん、どうもどうも。」
満足げな顔で来人は龍可のもとに向かう。
「ほら、勝っただろ?」
「・・・う、うん。」
受け取ってきたネックレスを見せるが、龍可は顔を逸らす。
「? どうした?」
「な、何でもない・・・!」
(///もう・・・なんで・・・。)
「・・・・。」
来人はおもむろに箱からネックレスを取り出した。そしてそれを、丁寧に龍可の首にかけた。
「////!? ら、来人!?」
「? え、違った?」
「////え?」
「いや、首にかけてほしいかと思って・・・。」
「////え、えっと・・・・・。・・・!?」
いつの間にか観客の視線は二人をじっと見ていた。
「////ら、来人! 次のところ行こ!?」
「ん? おぉ・・・ちょ、そんな引っ張るなって。」
しばらく来人は顔を赤くした龍可といろいろなクラスをまわった。
「・・・さっきから顔赤くない?」
「/////だ、大丈夫! 大丈夫だから・・・!」
龍可の首元のネックレスがきらりと光る。
「ふーん・・・。」
「/////・・・あ、ら、来人! こ、これ見て!」
「ん?」
龍可は近くのポスターを指さした。
「・・・カラオケってお前・・・俺やったことねぇよ。」
「///え、そうなの? でも賞品、来人が欲しがってた最新のノートパソコンじゃない?」
「まじか。・・・ちょっとやるか。」
(///・・・あれ、来人って歌うまいのかな・・・。)
「さあ、続いての挑戦者は~未谷来人! デュエルの実力が高い彼は歌の実力はどうなのかぁ~!」
司会者に促され、来人はステージに上がる。そして歌う曲のイントロが流れ始める。
「////・・・・!」
龍可はわくわくしながら、その様子を見る。
「さて・・・。」
来人は歌うため、息を吸い込んだ。そして、いよいよ歌い始めた。
「・・・!?」
「うぅ・・・!?」
「うげ・・・!?」
会場は混沌に包まれ始めた。
※現在、この世のものとは思えない音声が流れております。どのような歌声かは皆様のご想像にお任せします。
やがて、曲が終わり、来人は満足げな顔で周りを見る。
「・・・ん?」
「あ、ありがとう、ございました・・・まるでリサイタルのようでした。」
「はぁ・・・リサイタル?」
「う~ん・・・だめだったか・・・。」
音痴である自覚のない来人は肩を落とす。
「///ま、まあ、そういうこともあるんじゃないかな・・・?」
「しっかし・・・そんなひどかったか?」
「///う、う~ん・・・ど、どうだろ・・・。」
龍可は首を傾げ、なんとかごまかした。
「いやぁ、欲しかったなぁ・・・。」
「////ま、まあ気を取り直してこ! はい!」
買ってきていた食べ物を差し出した。
「ん、サンキュ。さて・・・どこで食うかね・・・。」
座れる場所はなく、多くの客でにぎわっていた。
「・・・屋上行くか。あそこは今なら生徒もあまりいないだろうし。」
「////う、うん・・・!」
屋上
「おっ、思った通り。てか、誰もいないな。」
二人が来た屋上に人の気配はなかった。
「よっこいしょっと。」
屋上に備え付けのベンチに腰掛けた。
「////・・・・。」
「? 座んないのか?」
「////あ、う、うん・・・!」
来人に促され、龍可は隣に座る。
「・・・ん、うまいうまい。」
「////・・・来人・・・。」
「うん?」
「///今日・・・楽しかったね。」
「・・・そうだな。まあ、疲れもしたけどな。」
「///ふふ・・・そっか。」
(///・・・あれ・・・これ・・・。)
龍可は来人の顔をじっと見る。
(////・・・・今なら・・・。)
「・・・? 龍可?」
「////・・・来人・・・私・・・」
ピリリリリ!
「////!?」
不意に鳴った携帯の着信音に龍可はビクッとなる。
「おっと、俺だ。・・・遊星か。ちょっと待って。」
来人はポケットから携帯を取り出し、電話に出る。
「遊星、どうした? ・・・治安維持局に? ああ、だったら俺も行くわ。牛尾に用があるから。・・・ん、じゃあ、現地集合で。」
少し話をしたあと、電話を切った。
「ん、悪い悪い。それで、なんか話そうとしてた?」
「/////え、あ、う、ううん・・・大丈夫! 何でもないから!」
「・・・? そうか。」
「////・・・・。」
(////きょ、今日はだめだったけど・・・きっと・・・いずれ・・・。)
龍可は心の中でひそかに決意した。